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2026.10.24 らしくコラム

Moodleとは?構築の進め方と保守を外部に頼むときの確認点

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

研修室の作業台で小型サーバーにLANケーブルを差しノートPCで設定する手元

この記事の結論

  • Moodleは無料で入手できるオープンソースの学習管理システムで、自社のサーバーに構築して使えます。
  • 版ごとにサポート期間が決まっており、長く使うならセキュリティの修正が36か月続く長期サポート版が向きます。
  • 構築と保守を外部に頼むときは、版の更新の担当と管理者の権限の扱いを最初に決めておくことが大切です。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

社内研修の教材をどこに置くか決まらない。無料と聞いてMoodleを入れてみたものの、更新を誰が受け持つのか決まっていない——。研修の仕組みづくりを任された情報システム部門では、こうした迷いが起こりがちです。Moodle(ムードル)は、教材の配信や受講の記録、テストの採点をWebの画面で行う学習管理システムで、無料で使えるオープンソースのソフトウェアです。

自社のサーバーに構築すればライセンスの費用はかからず、機能を自社の研修に合わせて広げられます。ただし万能ではなく、版の更新やサーバーの保守は自分たちで受け持つことになります。本記事では、社内研修の基盤を検討する情報システムの担当者に向けて、Moodleを使う方法の違い、版とサポート期間、構築の進め方、そして構築と保守を外部に頼むときに確認したい点を整理します。

Moodleとは

開発元はMoodleを「世界のオープンソースの学習プラットフォーム」と紹介し、大学や学校、企業で広く使われていると説明しています。*1 学習管理システム(LMS)の一つですが、ソフトウェアそのものを無料で手に入れて、自社のサーバーで動かせる点が、月額で借りるタイプのサービスとの大きな違いです。

  • ライセンスはGPLの第3版です。改変したものを配るときはソースコードも公開する、という条件つきで自由に使えます*1
  • ソフトウェアは無料で入手でき、自社のWebサーバーに構築して動かせます
  • 開発元のクラウド版(MoodleCloud)や、開発元と組むパートナーによるホスティングも選べます*1
  • 機能はプラグイン(後から加える追加機能)で広げられます

無料で入手できる一方、自社のサーバーに構築した場合は、版の更新やバックアップ、障害への対応が自社の仕事になります。どこまでを自社で持ち、どこからを任せるかが、Moodle構築で最初に決めておきたい点です。

自社構築とクラウド版の違い

Moodleの使い方は、大きく3つに分かれます。公式のリポジトリの説明は、自社のWebサーバーで動かす方法のほか、Moodleパートナーと組む方法や、MoodleCloudとパートナーによるホスティングを挙げています。*1 MoodleCloudは、技術的な設定やサーバーの管理をせずに始めたい個人や小さなチーム、成長中の組織に向けたものと説明されています。*5

Moodleを使う3つの方法の違い
方法 自社で持つ作業 向いている場面
自社のサーバーに構築 サーバーの用意、導入、版の更新、バックアップ、障害への対応 社内のアカウントや人事のデータとつなぎたい、データを自社の環境に置きたいとき
MoodleCloud 講座づくりと受講者の管理が中心。サーバーの管理は不要 小さな規模で早く始めたい、要件が単純なとき
構築と保守を外部に頼む 要件と運用ルールを決め、仕上がりを確かめる 自社の環境に置きたいが、更新や保守を受け持つ担当者がいないとき

開発元は、より大きく複雑な要件には、MoodleCloudとは別の提供の形を案内しています。*5 LMSそのものの選び方はLMS(学習管理システム)開発を外注する方法で扱っています。ここではMoodleを使うと決めた後の判断に絞ります。

版とサポート期間

Moodleは、大きな版を毎年4月と10月の年2回、細かな修正版をおおむね2か月ごとに出しています。*2 版ごとに修正が届く期間が決まっていて、期間を過ぎた版を使い続けると、あとから見つかった弱点が直らないまま残ります。

サーバー室でラックの薄型サーバーに手を添え引き出し棚のノートPCを操作する両手

版の種類ごとの修正が届く期間
版の種類 不具合の修正 セキュリティの修正
通常の版 12か月 18か月
長期サポート版(LTS) 12か月 36か月

たとえば2026年10月5日に出た5.3は長期サポート版で、セキュリティの修正は2029年10月1日まで続く予定です。*2 何年も使う社内研修の基盤なら、長期サポート版を選び、次に上げる時期を最初から計画に入れておくと、急な更新作業に追われにくくなります。版が上がると、サーバーに求められる条件も変わります。5.3の場合は次のとおりです。

  • プログラムを動かすPHPは8.3以上*3
  • データベースはPostgreSQL・MySQL・MariaDB・Microsoft SQL Serverなどから選び、Oracle Databaseは5.0から対象外*3
  • 5.3へ更新できるのは、4.4以降の版を使っている場合*3

サーバーのOSやPHP、データベースにもそれぞれサポートの期限があるため、Moodleの更新とあわせて見直します。PHPの版の終了への備えはPHP 8.1サポート終了、バージョン移行を外注で対応で扱っています。

Moodle構築の進め方

Moodleの構築は、ソフトを入れる作業よりも、どの版を選び、どこに置き、何を加えるかを決める作業が中心です。次の4つの段階で進めると、運用に入ってからの作り直しを減らせます。

  • ステップ1:版を選ぶ(長期サポート版かどうか、サポートの終わる日)
  • ステップ2:サーバーとデータベースを用意する(版の要件を満たすPHPとデータベース、通信の暗号化)
  • ステップ3:プラグインを選ぶ(対応する版と、更新が続いているか)
  • ステップ4:更新と復旧の手順を決める(修正版を当てる間隔、バックアップの戻し方、担当者)

Moodle構築を4つの段階で左から順に並べた流れ図。STEP1 版を選ぶ、STEP2 サーバーとデータベースを用意、STEP3 プラグインを選ぶ、STEP4 更新と復旧の手順を決める。

つまずきやすいのはステップ3です。プラグインは開発元のMoodle Marketplace(以前のプラグインの一覧に代わる場所)で探せます。それぞれに対応するMoodleの版が示され、最後の公開から3年以上たったものを含めるかどうかで絞り込めます。*4 本体の版を上げる前に、プラグインごとに新しい版への対応を確かめることになるため、数を必要なものに絞ると保守が軽くなります。

外部に頼むときに確認しておきたい点

Moodleの構築と保守を外部に頼むときは、作業の範囲に加えて、版の更新を誰がいつ行うかまで見積もりの前に決めておきます。開発元のセキュリティの指針は、サイトの管理者はすべての設定を変えられ、間接的にサーバー上でプログラムを動かせるため、完全に信頼できる人でなければならないとしています。*6

小会議室で1台のノートPCを見ながら分担を話す社内担当と外部技術者

  • どこまで頼むか:サーバーの用意、Moodleの導入、プラグインの選定、いまの教材と受講者の取り込み、操作の説明のうちどれを任せるか
  • 版の更新:修正版をどの間隔で当てるか。長期サポート版が終わる前に、次の版へ上げる作業を契約に入れるか
  • 管理者の権限:外部の担当者に渡す管理者アカウントの数と、作業が終わったときに止める手順
  • プラグイン:入れたプラグインの一覧と、更新の有無を確かめる担当
  • バックアップと復旧:データをどこへどの頻度で保存し、戻す手順を一度試すか

特に管理者の権限は、構築が終わった後もそのまま残りやすい点です。作業のたびに権限を渡して戻す手順を決めておけば、外部の手を借りても、管理の主導権を自社に残せます。

まとめ:Moodle構築で確かめておきたい3つの点

Moodleを社内研修の基盤として構築するうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、長期サポート版を選び、サポートの終わる日から次の更新の時期を逆算しておくこと。第二に、サーバーとデータベースが版の要件を満たしているか、プラグインが新しい版に対応しているかを、更新の前に確かめること。第三に、構築と保守を外部に頼むなら、更新の担当と管理者の権限の扱いを契約の前に決めることです。この3点を踏まえておけば、「無料で入れたはずが、古い版のまま誰も更新できない」という事態を避けやすくなります。構築や更新の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Moodleの構築では、PHPとデータベース(PostgreSQLやMySQL)の版を公式の要件に合わせて選び、Webサーバーの通信をHTTPSに限ったうえで公開します。設計の段階では、長期サポート版を選ぶかどうか、加えるプラグインの絞り込み、社内アカウントとの連携の有無を、お客様の研修の運用を見ながら決めます。更新では、検証用の環境で本体とプラグインの更新を試してから本番に当て、バックアップから戻す手順も文書にします。運用では、OS・PHP・データベース・Moodle本体のサポートの終わる日を一覧にして、次の版へ上げる時期を提案します。

よくある質問

Moodleの構築にライセンスの費用はかかりますか

ソフトウェアは無料で入手でき、利用料はかかりません。*1 ただし、サーバーの費用や、構築・更新・バックアップの作業にかかる費用は別に見込む必要があります。MoodleCloudを使う場合は、選んだ料金プランの費用がかかります。

すでに古い版で動いているMoodleはどうすればよいですか

まず、いまの版のサポートがいつ終わるかと、使っているプラグインが新しい版に対応しているかを確かめます。そのうえで、本番とは別の検証用の環境で更新を試してから本番を上げると、更新後に画面や機能が動かなくなる事態を避けやすくなります。

構築にはどのくらいの期間がかかりますか

受講者の数、取り込む教材の量、社内のアカウントなどとつなぐ仕組みの数によって変わるため、一概には言えません。版の選定とプラグインの確認を先に済ませておくと、見積もりの幅が狭まり、計画を立てやすくなります。

Moodleの構築と保守のご相談

Moodleの版の選定とサーバーの構築から、プラグインの確認、更新とバックアップの運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:moodle/moodle(GitHub)README・ライセンス(https://github.com/moodle/moodle)。出典:リポジトリの説明(オープンソースの学習プラットフォーム)、自社のWebサーバーでの運用・Moodleパートナー・MoodleCloudによるホスティング、GNU General Public License第3版の記述を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:Moodle Developer Resources「Releases」(https://moodledev.io/general/releases)。出典:大きな版(4月・10月)と修正版(2か月ごと)の公開周期、通常の版と長期サポート版の修正期間、5.3の公開日とセキュリティ修正の終了予定日を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Moodle Developer Resources「Moodle 5.3」リリースノート(https://moodledev.io/general/releases/5.3)。出典:Server requirements(PHPの最小の版、対応データベース、Oracle Databaseの扱い、更新元の版)を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Moodle Marketplace(https://marketplace.moodle.com/)。出典:Plugins Directoryに代わる場所であること、各プラグインの対応するMoodleの版、最後の公開から3年以上のプラグインを含める絞り込みを参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:MoodleCloud 公式サイト(https://www.moodlecloud.com/)。出典:技術的な設定やサーバー管理なしで始められるクラウド版の説明と、大きく複雑な要件に向けた案内を参照(2026年10月確認)
  6. *6 参考:Moodle Developer Resources「Security」(https://moodledev.io/general/development/policies/security)。出典:管理者の権限(すべての設定の変更、間接的なプログラムの実行)と、管理者は完全に信頼できる必要があるとの記述を参照(2026年10月確認)




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