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2026.10.20 らしくコラム

Accessの保守と作り直しの違い|保守会社に頼むときの判断

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

打ち合わせ机で保守会社の担当者が印刷した画面一覧を指し、社内の担当者がペンを持っている

この記事の結論

  • Accessの保守は、画面やプログラムの修正に加え、データの入ったファイルの手入れとバックアップまでを含みます。
  • ファイルの大きさと同時に使う人の数を見て、使い続けるか、データだけ移すか、作り直すかを決めます。
  • Access 2016・2019・2021はサポートが終わっているため、保守会社に頼む前に社内の版を一覧にします。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

Accessで作った顧客台帳や受注管理を、作った担当者が異動してから誰も直せない。最近はファイルを開くのにも時間がかかる——。部門で業務用のデータベースを作って使ってきた会社では、こうした事態が起こりがちです。Microsoft Accessは、データをためる表と、入力画面(フォーム)や帳票(レポート)を1つのファイルにまとめて作れるデータベースのソフトウェアです。

業務に合わせて手早く作れる反面、作った人の手を離れると、直せる人がいなくなりがちです。保守会社に頼めば使い続けられますが、万能ではなく、作り直したほうがよい場合もあります。本記事では、情報システムの担当者や部門の責任者に向けて、Accessの保守と作り直しの違い、サポート期限の確かめ方、複数人で使うときの手当て、そして保守会社に頼むときに確認したい点を整理します。

Accessの保守とは

Accessの保守とは、業務で使っているデータベースを、止めずに使い続けられる状態に保つ作業のことです。Accessは1つのファイルに多くのデータをため、複数の人が同時に読み書きする使い方を前提にしています。そのため、画面やプログラムの修正だけでなく、データの入ったファイルの手入れも保守に含まれます。

  • 不具合と改修:エラーの修正や、帳票の項目・入力画面の変更
  • ファイルの手入れ:大きくなったファイルを「最適化と修復」という機能で小さくし、壊れにくい状態に保つ
  • バックアップ:データの入ったファイルを、決まった時刻に別の場所へ写しておく
  • 版の確認:社内で使っているAccessの版と、そのサポート期限を把握する

Microsoftのサポート記事によると、Accessのファイルは使うにつれて急速に大きくなり、動作が遅くなったり壊れたりすることがあります。表や画面を削除しても、使っていた領域は自動では空きません。*7

保守と作り直しの違い

保守会社に相談すると、使い続けるか作り直すかの判断を求められることがあります。Accessには、1つのデータベースのファイルが2GB(システムが使う領域を除く)まで、同時に使える人が255人までという上限があります。*5 いまの大きさと使う人の数が、判断の材料になります。

事務室の机の島で、何人もの社員が同じ形の入力画面をそれぞれのモニターで使っている

Accessの業務データベースの3つの選択肢
選択肢 向いている場面 気をつけたい点
保守を頼んで使い続ける 使う人が社内の限られた人数で、ファイルの大きさに余裕がある。業務の流れが大きく変わらない Accessの版の入れ替えのたびに動作の確認が要る
データだけをデータベースサーバーに移す 画面や帳票はいまのまま使いたいが、データの量や同時に使う人が増えている データベースサーバーという別のソフトウェアの用意と管理が要る
Webの業務システムに作り直す 社外や外出先からも使いたい。ほかのシステムとデータをやり取りしたい 費用と期間がかかる。いまの画面と帳票の動きを仕様として書き出す必要がある

真ん中の選択肢は、画面や帳票を残したまま、データをSQL Serverなどのデータベースサーバーに置く方法です。Microsoftは、多くのデータベースサーバー製品が、Accessのファイルの上限の約500倍にあたるテラバイト級のデータベースを扱えると説明しています。*8 作り直しを選ぶ場合の進め方はVB6・Access業務アプリの刷新で扱っています。

Accessのサポート期限

保守を頼む前に、社内のPCで使っているAccessの版と、そのサポート期限を確かめておきます。サポートが終わった製品には、新しいセキュリティ更新プログラムや、セキュリティ以外の更新プログラムが提供されなくなります。*2

Accessの版ごとのサポート期限(Microsoftのライフサイクル情報から作成)
版 ライフサイクルの種類 サポートの期限
Access 2016 固定ライフサイクル 延長サポートは2025年10月14日に終了*1
Access 2019 固定ライフサイクル 延長サポートは2025年10月14日に終了
Access 2021 モダンライフサイクル 2026年10月に終了*3
Access 2024 モダンライフサイクル 2029年10月まで
Microsoft 365のAccess モダンライフサイクル サポート中*4

Access 2016と2019はすでに延長サポートを終え、Access 2021も2026年10月に終わりました。保守会社に頼むときは、PCごとの版の一覧を渡し、どの版に合わせて直すかを最初に決めておくと、修正後に一部のPCだけ動かないという事態を避けやすくなります。

複数人で使うときの手当て

保守で特に差が出るのが、共有フォルダに置いて複数の人で使う場合です。1つのファイルをそのまま共有すると、表・画面・帳票のすべてがネットワークを流れるため遅くなりやすく、同時にデータを変えたときの信頼性にも限りがあるとMicrosoftは説明しています。*8 そこで勧められているのが、2つのファイルに分ける「分割」です。

分割したAccessデータベースの構成図。共有フォルダにデータの表だけを入れたバックエンドを1つ置き、3台のPCそれぞれに入力画面と帳票を入れたフロントエンドを置く。PCとバックエンドの間はデータだけが行き来する。

  • バックエンド:データの表だけを入れたファイル。共有フォルダに1つ置く
  • フロントエンド:入力画面・帳票・問い合わせ(クエリ)を入れたファイル。各PCに1つずつ配る
  • 分割すると、ネットワークを流れるのはデータだけになり、速さが改善し、ファイルが壊れる可能性も下がります
  • 利用中に予期せず終了しても、壊れるのは通常その人のフロントエンドの写しにとどまります*6

分割したあとの保守では、修正したフロントエンドを全員のPCへ配り直す手順と、バックエンドの最適化と修復をいつ行うかを決めておきます。最適化と修復はファイルを独占して使う必要があるため、ほかの人に使用を控えてもらう時間帯を設けます。*7 また、MicrosoftはOneDriveやSharePointのドキュメントライブラリからAccessのファイルを開かないよう勧めています。*8

保守会社に確認しておきたい点

Accessの保守を会社に頼むときは、修正の腕前だけでなく、データの入ったファイルの扱いまで含めて確かめておきます。見積もりの前に、次の点を話しておきます。

機器棚の小型ファイルサーバーに外付けHDDをつなぎ、確認表に印を付けている手元

  • 最初の調査:表・画面・帳票・マクロとVBA(Accessに組み込むプログラム)の一覧と、つながる先(Excel、共有フォルダ、ほかのデータベース)を、どんな文書で受け取るか
  • 版とサポート期限:社内のAccessの版をそろえるか。サポートの終わった版をいつまでに入れ替えるか
  • ファイルの手入れ:分割するかどうか。最適化と修復、バックアップを誰がいつ行うか
  • 修正の確かめ方:本番のデータを写した環境で試し、修正の前と同じ入力から同じ帳票が出るかを確かめるか
  • 運用後の見直し:ファイルの大きさや同時に使う人の数を定期的に報告し、作り直しを相談する場を設けるか

特にバックアップは、Microsoftも最適化と修復の直前に取るよう求めています。修復の処理で、壊れた表のデータの一部が切り捨てられることがあるためです。*7 部門のExcelのマクロも併せて頼みたい場合はExcel VBAの保守を外注する方法にまとめています。

まとめ:Accessの保守で確かめておきたい3つの点

Accessの保守を保守会社に頼むうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、ファイルの大きさや同時に使う人の数から、使い続けるか、データだけを移すか、作り直すかを決めること。第二に、社内のAccessの版とサポート期限を一覧にし、どの版に合わせて直すかを決めること。第三に、複数人で使うなら分割したうえで、最適化と修復、バックアップの担当と時期を決めることです。この3点を踏まえておけば、「保守を頼んだのにデータが戻らない」という事態を避けやすくなります。どこから手を付けるかに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Accessの保守の引き継ぎでは、まずテーブル・クエリ・フォーム・レポート・マクロ・VBAのモジュールを洗い出し、リンクテーブルの接続先や参照設定(外部の部品への参照)を一覧にします。設計上の判断点は、データベーススプリッターウィザードで分割したバックエンドを、NTFSのアクセス権で守った共有フォルダに置くか、SQL Serverへ移してリンクテーブルでつなぐかで、ファイルの大きさと同時に使う人の数をもとにお客様と決めます。検証では、本番データの写しで修正の前と後の帳票を突き合わせます。運用では、最適化と修復とバックアップの手順、フロントエンドの配り直しの手順を文書にし、ファイルの大きさの推移をもとに作り直しの時期を提案します。

よくある質問

作った人がいなくて設計書も無いAccessでも保守を頼めますか

頼めます。最初に保守会社の担当者がファイルを調べ、表と画面・帳票のつながりや、マクロとVBAの中身を文書にまとめるところから始めます。調査の結果を見てから保守の範囲を決めると、費用の見通しが立てやすくなります。

分割したデータベースは、版の違うAccessが混ざっていても使えますか

分割したデータベースを使うには、全員がバックエンドのファイル形式に対応した版のAccessを持っている必要があります。*6 データをSQL Serverなどのデータベースサーバーに置く方法なら、全員が同じ版をそろえなくてもよいとMicrosoftは説明しています。*8

サポートが終わった版のAccessはどうすればよいですか

サポートが終わった製品には、新しいセキュリティ更新プログラムなどが提供されなくなります。*2 保守会社に頼む場合は、サポート中の版へ入れ替える計画と合わせて相談すると、修正後の動作確認を一度で済ませやすくなります。

Accessの保守と引き継ぎのご相談

作った人がいないAccessの調査から、分割やバックアップを含む保守の引き継ぎ、作り直しの判断まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:Microsoft Learn ライフサイクル「Access 2016」「Access 2019」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/lifecycle/products/access-2016)。出典:固定ライフサイクルポリシーであること、延長サポートの終了日を参照(Access 2019は https://learn.microsoft.com/ja-jp/lifecycle/products/access-2019 )(2026年10月確認)
  2. *2 参考:Microsoft Learn「2025 年のサポート終了」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/lifecycle/end-of-support/end-of-support-2025)。出典:Access 2016・Access 2019の延長サポート終了日(2025年10月14日)と、サポート終了後に更新プログラムが提供されなくなることの記述を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Microsoft Learn ライフサイクル「Access 2021」「Access 2024」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/lifecycle/products/access-2021)。出典:モダンライフサイクルポリシーであること、廃止日を参照(Access 2024は https://learn.microsoft.com/ja-jp/lifecycle/products/access-2024 )(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Microsoft Learn ライフサイクル「Microsoft 365 Apps」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/lifecycle/products/microsoft-365-apps)。出典:モダンライフサイクルポリシーであること、サポート中であることを参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:Microsoft サポート「Access の仕様」(https://support.microsoft.com/ja-jp/access/access-specifications)。出典:データベースの合計サイズ(2 GBからシステムオブジェクトに必要な領域を差し引いたもの)と同時ユーザー数(255)の記述を参照(2026年10月確認)
  6. *6 参考:Microsoft サポート「Access データベースを分割する」(https://support.microsoft.com/ja-jp/access/split-an-access-database)。出典:バックエンドとフロントエンドの構成、分割の利点(パフォーマンス・信頼性)、バックエンドのファイル形式と互換性のある版が必要なことの記述を参照(2026年10月確認)
  7. *7 参考:Microsoft サポート「データベースを最適化および修復する」(https://support.microsoft.com/ja-jp/access/compact-and-repair-a-database)。出典:ファイルの増大と破損、削除したオブジェクトの領域、直前のバックアップ、排他的アクセスの記述を参照(2026年10月確認)
  8. *8 参考:Microsoft サポート「Access デスクトップ データベースを共有する方法」(https://support.microsoft.com/ja-jp/access/ways-to-share-an-access-desktop-database)。出典:単一データベースの共有の制限、OneDrive・SharePointから開かない勧め、データベースサーバーによる共有の利点(約500倍の大きさ・版をそろえなくてよいこと)の記述を参照(2026年10月確認)




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