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2026.06.24 らしくコラム

AWS NAT Gatewayのコストを削減する外注の進め方【VPCエンドポイント活用】

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

cloud network infrastructure

この記事のポイント

  • AWS NAT Gatewayの費用は「時間課金」と「データ処理料金(1GBあたり)」の2軸で構成され、データ量が増えるほどデータ処理料金が膨らみやすい仕組みになっています
  • S3・DynamoDB向けのトラフィックはゲートウェイ型VPCエンドポイントを活用することでNAT Gateway経由を回避でき、追加料金なしでデータ処理料金を削減できる可能性があります
  • 削減を着実に進めるには通信内容の可視化が前提となり、通信分析・エンドポイント設計・効果測定を外注委託することで、工数と設計リスクの両方を抑えられます

NAT Gatewayのコストが膨らむ理由:2軸の課金と見落としやすい構造

aws server connection

AWS NAT Gateway(ネットワークアドレス変換ゲートウェイ)とは、プライベートサブネット内のリソースがインターネットへアクセスする際に経路を中継するマネージドサービスです。EC2インスタンスやECSタスクなどがインターネット上のAPIや外部サービスへ通信するとき、NAT Gatewayを経由することでプライベートIPアドレスを外部に公開せずに通信を成立させます。

このNAT Gatewayの費用が月次請求の中で想定外に膨らんでいるケースが見られます。その背景には、2軸からなる課金体系があります。AWS公式の「NATゲートウェイの料金」ページによると、NAT Gatewayの課金は「プロビジョニング時間に対する時間単位の料金」と「NAT Gatewayを通過したデータ量に対するデータ処理料金(1GBあたり)」の2つで構成されています*1

時間料金はNAT Gatewayを作成している間は常に発生し続けます。データ処理料金は通信量に比例するため、サービスの成長や処理量の増加とともに積み上がりやすいです。この2つが重なることで、特に意識して管理しなければコストが増加し続ける構造になっています。

NAT Gateway経由 時間課金(稼働中は常時発生) +データ処理料金(1GBあたり) S3・DynamoDB・インターネット すべて同一経路でコスト増 VS VPCエンドポイント活用 S3/DynamoDB→エンドポイント経由 (ゲートウェイ型:追加料金なし) NAT Gateway通過量を削減 →データ処理料金の回避へ
図:NAT Gateway経由とVPCエンドポイント活用の課金構造の違い

もう一つの見落とし要因は、AWS Cost Explorerの費目表示です。NAT Gatewayの費用は「EC2 – Other」「VPC – NatGateway」といった項目に含まれることがあり、コンピューティングやストレージの費用最適化に注力しているうちに転送費用が積み上がるケースがあります。

課金の仕組みを正しく理解する:時間課金とデータ処理料金

削減施策を検討する前に、課金の仕組みを正確に把握することが重要です。AWS公式の「NATゲートウェイの料金」ページによると、NAT Gatewayの料金は2つの要素で構成されています*1

時間課金:稼働している間は継続して発生

NAT Gatewayは作成した時点からプロビジョニングされ、削除するまで時間単位で料金が発生します。東京リージョンでは1時間あたりおおむね0.045USD程度が目安ですが、料金は改定されることがあるため最新はAWS公式ページでご確認ください*1。使っていない時間帯も課金が続くため、不要になったNAT Gatewayを放置すると時間料金だけが積み上がります。

また、可用性のために複数のAZ(アベイラビリティーゾーン)それぞれにNAT Gatewayを配置している場合、その数だけ時間料金が発生します。AZごとにNAT Gatewayを持つ構成は標準的な高可用性の実装ですが、料金も台数分になります。

データ処理料金:通過量に応じて積み上がる

NAT Gatewayを通過したデータ量(GB単位)に対して課金されます。東京リージョンでは1GBあたりおおむね0.045USD程度が目安です(AWS公式ページで最新値をご確認ください)*1。インバウンド・アウトバウンドの両方向のトラフィックが対象となります。

サービスが扱うデータ量や外部通信の頻度が増えるほどデータ処理料金は増加します。特に、Amazon S3やDynamoDBへの頻繁なアクセスをNAT Gateway経由で行っている場合、その通信量がそのままコストに反映されます。VPCエンドポイントを導入することでこの経路を変えられる点が、削減のポイントになります。

データ転送料金との関係

NAT Gatewayのデータ処理料金とは別に、リージョン外への通信には「データ転送料金(エグレス料金)」が別途発生します。NAT Gateway経由でインターネットへ送出するトラフィックは、NAT Gatewayのデータ処理料金と、AWSのデータ転送料金の両方が課金される場合があります。AWS公式の「Amazon VPCの料金」ページで、エンドポイントの種別ごとの適用条件を確認することが大切です*2

VPCエンドポイント活用による削減:ゲートウェイ型とインターフェイス型の使い分け

NAT Gatewayのデータ処理料金を削減する中心的な手段が、VPCエンドポイント(Amazon VPC Endpoint)の活用です。VPCエンドポイントとは、インターネットを経由せずにVPC内からAWSサービスへプライベートに接続する仕組みです。エンドポイントを通じてAWSサービスへのトラフィックをNAT Gatewayの外に出すことで、NAT Gatewayのデータ処理料金を回避できる可能性があります*2

ゲートウェイ型VPCエンドポイント:S3とDynamoDBは追加料金なし

ゲートウェイ型VPCエンドポイントは、Amazon S3とAmazon DynamoDBの2サービスに対して利用できます。AWS公式によると、ゲートウェイ型エンドポイント自体には追加料金がかかりません*2。ルートテーブルにエントリを追加するだけで、対象サービスへのトラフィックがNAT Gatewayを経由しないルートに切り替わります。

S3へのアクセスが多い環境(大量のファイル読み書き、CloudFormationテンプレートの取得、ECRのイメージ取得など)では、ゲートウェイ型エンドポイントを設定することでNAT Gatewayを通過するデータ量を削減できます。設定変更の手順はAWS公式ドキュメント「ゲートウェイエンドポイント」に記載されています。

インターフェイス型VPCエンドポイント:対象が広い分コスト比較が必要

インターフェイス型VPCエンドポイントは、Amazon ECR・Secrets Manager・CloudWatch Logs・Systems Managerなど、多くのAWSサービスに対応しています。NAT Gateway経由でこれらのサービスへ大量にアクセスしている場合、インターフェイス型エンドポイントへの切り替えを検討できます。

ただし、インターフェイス型エンドポイントには時間単位の料金とデータ処理料金が発生します*2。NAT Gatewayのデータ処理料金と比較して、どちらのコストが低くなるかを対象トラフィック量と料金体系をもとに試算することが前提です。通信量が少ないサービスではインターフェイス型エンドポイントのコストが上回るケースもあるため、導入前の見積もりが欠かせません。

種別 対応サービス 追加料金 主な用途・注意点
ゲートウェイ型 Amazon S3
Amazon DynamoDB
なし ルートテーブルの変更のみで設定可能。
NAT Gateway経由のS3・DynamoDB通信を回避できる。
インターフェイス型 ECR、Secrets Manager、CloudWatch Logs、Systems Manager など多数 時間料金+データ処理料金(AWS公式参照) NAT Gatewayとのコスト比較が前提。
通信量が少ないサービスでは逆にコスト増になる場合がある。

表の料金はAWS公式の「Amazon VPCの料金」ページで最新値をご確認ください*2。東京リージョンの料金は他リージョンと異なる場合があります。

削減を進める流れ:可視化→エンドポイント化→不要通信削減→モニタリング

NAT Gatewayのコスト削減は、「どのトラフィックがNATを通っているか」を把握することから始まります。可視化なしで施策を進めると、効果の見積もりが難しく実装後の評価もできません。以下の流れが実務上の基本ステップです。

ステップ1:通信内容の可視化 — VPC Flow LogsとCost Explorerを使う

VPC Flow Logs(VPC フローログ)は、VPC内のネットワークインターフェイスを通過するトラフィックの送受信先IPアドレス・ポート・プロトコル・転送量などを記録する機能です。CloudWatch LogsやAmazon S3に出力したFlowLogsを分析することで、NAT Gatewayを経由しているトラフィックの送信先がS3・DynamoDB・インターネットのいずれかを判別できます。

AWS Cost Explorerでは「サービス = EC2 Other」や「使用タイプ」フィルタを使って、NAT Gatewayに帰属するコストを期間別・項目別に把握できます。時間料金とデータ処理料金をそれぞれ把握することで、削減余地の大きい項目を特定しやすくなります。

ステップ2:ゲートウェイ型エンドポイントの設定 — S3・DynamoDB経路の切り替え

Flow Logsの分析でS3やDynamoDBへのトラフィックがNAT Gatewayを通っていることが確認できたら、ゲートウェイ型VPCエンドポイントを設定します。AWSマネジメントコンソールまたはAWS CLIからエンドポイントを作成し、プライベートサブネットのルートテーブルにS3・DynamoDBへのルートを追加します。

設定変更後はテスト環境で対象サービスへの接続が正常に動作することを確認してから本番適用することが重要です。ゲートウェイ型エンドポイントはマネージドサービスであるため、AWSが可用性を管理していますが、ルートテーブルの設定誤りによる意図しない通信経路の変更には注意が必要です。

STEP 1 通信可視化 FlowLogs分析 Cost Explorer STEP 2 経路見直し GW型EP設定 IF型EP検討 STEP 3 不要通信削減 通信量絞込み GW廃棄検討 STEP 4 モニタリング Cost Explorer 継続的な管理
図:NAT Gatewayコスト削減の4ステップ(可視化→経路見直し→不要通信削減→モニタリング)

ステップ3:不要な通信・不要なNAT Gatewayの削減

Flow Logsの分析で、利用されていないまたは通信量がほぼない経路があれば、その経路を整理することも有効です。過去に構築したシステムが引き続きNAT Gatewayを使っているが実際にはほとんどアクセスしていないケースでは、NAT Gatewayそのものを削除または統合できる場合があります。

また、外部サービスへのAPIコールについては、コール頻度・バッチサイズ・不要なポーリングの見直しによって転送データ量を削減できることがあります。ただし、通信量の削減がシステムの動作に影響しないかを事前に確認することが前提です。

ステップ4:継続的なモニタリング — Cost ExplorerとCloudWatchで監視

施策実装後は、AWS Cost ExplorerでNAT Gatewayに関連するコストが変化しているかを定期的に確認します。CloudWatchでNAT GatewayのメトリクスとしてBytesIn・BytesOutをモニタリングすることで、通信量の増減を把握できます。

システム構成の変更やサービスの成長に伴い、新たにNAT Gateway経由のトラフィックが増える可能性があります。一度施策を実装して終わりではなく、定期的に通信フローとコスト配分を見直す運用体制を維持することが重要です。

外注の使いどころ:通信分析・診断・設計の委託判断軸

NAT Gatewayのコスト削減に取り組むためには、VPC Flow Logsの解析・AWS料金体系の理解・ルートテーブルとエンドポイントの設計・変更後の動作検証という複数の専門的な作業が必要です。これらを内製チームだけで対応するには、AWSネットワークとコスト管理に精通したエンジニアの工数が必要になります。

外注が有効な3つの場面

外注委託を検討する場面として、次の3つが挙げられます。第一に、VPC Flow Logsを活用した通信分析の経験がなく、どのトラフィックがNATを通っているかを把握できていない場合です。通信内容を正確に特定するには、FlowLogsの出力設定・Athenaや分析ツールでのクエリ・送信先IPアドレスとAWSサービスの対応付けなどの技術的な手順が必要です。

第二に、VPCエンドポイントの設計・実装経験がなく、設定変更が本番環境に与える影響を評価できない場合です。ルートテーブルの変更はネットワーク経路に直接影響するため、設定誤りによる通信断のリスクを適切に管理する必要があります。

第三に、削減施策の優先度付けや費用対効果の試算に工数をかけられない場合です。インターフェイス型エンドポイントの導入判断には、NAT Gateway料金とエンドポイント料金の比較試算が必要であり、複数のサービスを対象とすると分析の工数が増えます。

委託先を選ぶ際の判断軸

外注先を選定するときは、以下の3点を確認することが大切です。まず、VPC Flow Logsを使った通信分析の実績があるかどうかです。通信可視化はコスト削減の前提となる作業であり、実績のない委託先では分析精度に不安が残ります。

次に、VPCエンドポイントの設計から実装・動作検証まで一貫して対応できるかです。診断フェーズと実装フェーズを別々の委託先に分けると、設計意図の引き継ぎや責任範囲の曖昧さが生じます。元請(プライムベンダー)として一括して受託できるベンダーを選ぶと、工程間の情報ロスを防ぎやすいです。

また、実装後の効果測定・継続モニタリングの体制があるかも重要な確認点です。施策実施後にコスト変化を可視化し、新たな最適化の余地を発見できる体制があると、長期的なコスト管理につながります。

委託の進め方:診断フェーズから段階的に

最初から全工程を一括で委託するよりも、まず「通信分析・コスト診断フェーズ」から始める段階的な進め方がリスクを抑えやすいです。診断結果をもとに削減施策の優先度と費用対効果を確認してから、実装フェーズへ移行する流れが実務的です。

内製チームがAWSの操作権限を保持したまま、設計・判断支援を委託するかたちも選択肢の一つです。この場合は委託範囲(診断のみか、設計仕様書の作成まで含めるか、実装も行うか)を契約前に明確に合意することが重要です。

まとめ:NAT Gatewayコスト削減外注の3つの判断軸

本稿では、AWS NAT Gatewayのコストが膨らむ理由から、削減の中心手段であるVPCエンドポイント活用の仕組み、実践ステップ、外注委託の判断軸までを整理しました。要点を3つにまとめます。

第一に、NAT Gatewayの費用は時間課金とデータ処理料金の2軸で構成され、データ量の増加に伴いデータ処理料金が積み上がりやすい点を正確に把握することが出発点です。AWS公式の料金ページで最新値を確認することも欠かせません。

第二に、S3・DynamoDB向けトラフィックにはゲートウェイ型VPCエンドポイントが有効で、追加料金なしでNAT Gateway経由のデータ処理料金を回避できる可能性があります。インターフェイス型エンドポイントはNAT Gateway料金とのコスト比較を前提に選択することが重要です。

第三に、削減施策を進めるには通信内容の可視化(VPC Flow Logs分析)が前提となり、このスキルが社内にない場合は通信分析・エンドポイント設計・効果測定まで一貫した外注委託がコスト削減の確実性を高めます。委託先には通信分析実績・設計から実装まで対応できる体制・継続モニタリングの提供有無を確認しましょう。

よくある質問

NAT Gatewayのデータ処理料金はどのように計算されますか?

AWS公式によると、NAT Gatewayのデータ処理料金はNAT Gatewayを通過したデータ量(GB単位)に対して課金されます。インバウンド・アウトバウンドの両方向のトラフィックが対象です。東京リージョンでは1GBあたりおおむね0.045USD程度が目安ですが、料金は改定されることがあるため最新はAWS公式の「NATゲートウェイの料金」ページでご確認ください。データ処理料金に加え、NAT Gatewayがプロビジョニングされている時間についても時間単位の料金が発生します。

ゲートウェイ型VPCエンドポイントはどのAWSサービスに使えますか?

AWS公式によると、ゲートウェイ型VPCエンドポイントはAmazon S3とAmazon DynamoDBの2サービスに対応しています。これらのサービスへのトラフィックをゲートウェイ型エンドポイント経由にすることで、NAT Gateway経由のデータ処理料金を回避できます。ゲートウェイ型エンドポイント自体の追加料金はありません。それ以外のAWSサービス向けにはインターフェイス型VPCエンドポイントを検討することになりますが、インターフェイス型には時間料金とデータ処理料金がかかるため、NAT Gateway経由と比較の上で導入を判断することが大切です。

NAT Gatewayのコスト削減に取り組む前に何を確認すればよいですか?

まずAWS Cost ExplorerやVPC Flow Logsを使って、どの通信がNAT Gatewayを経由しているかを把握することが出発点です。S3やDynamoDBへのトラフィックが多い場合はゲートウェイ型VPCエンドポイントの効果が大きくなります。通信内容を可視化しないまま施策を進めると、コスト削減効果を見積もりにくく、実装後の効果測定も難しくなります。まず現状の通信フローとコスト配分を正確に把握することが、削減施策を優先度付けする前提条件になります。

NAT GatewayをVPCエンドポイントに切り替えると可用性に影響しますか?

ゲートウェイ型VPCエンドポイントはAWSが管理するマネージドサービスで、AWSが高い可用性を提供しています。エンドポイント設定後はルートテーブルにエントリが追加され、S3やDynamoDB向けトラフィックが自動的にエンドポイント経由になります。ただし、設定変更後は対象サービスへの接続が想定どおりに動作しているかをテスト環境で検証してから本番適用することをお勧めします。インターフェイス型エンドポイントを導入する場合も同様に、本番適用前の動作確認が必要です。

NAT Gatewayのコスト診断・設計を外注する場合、どこに依頼すればよいですか?

AWSのネットワークコスト最適化の実績を持つITベンダーや、クラウドインフラの運用支援を手がける会社に相談することが一般的です。依頼先を選ぶ際は、VPC Flow Logsを用いた通信分析の実績・VPCエンドポイント設計の経験・コスト診断から実装・効果測定まで一貫して対応できるかを確認することが重要です。元請(プライムベンダー)として契約できるベンダーを選ぶと、設計から実装・監視まで責任を一本化でき、指示系統の複雑化を避けられます。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑

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LASSICは元請(プライムベンダー)としてAWSをはじめとするクラウドインフラの設計・構築・運用支援を受託しています。VPC Flow Logsを活用した通信分析やVPCエンドポイントの設計・実装を含むネットワークコスト最適化の対応実績を持ちます。クラウドコスト最適化・運用支援の知見コスト診断から施策実装・効果測定まで一貫して担当する体制を整えており、まずはコスト診断フェーズからのご相談も承っています。


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  1. *1 出典:Amazon Web Services「NATゲートウェイの料金(Amazon VPCの料金)」(2024年)
  2. *2 出典:Amazon Web Services「AWS PrivateLink の料金」(2024年)

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