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2026.07.16 らしくコラム

出張手配システムの選び方|予約から経費精算まで一元化

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)として業務システム・基幹連携の開発を受託

出張手配のイメージ

この記事のポイント

  • 出張手配システム(BTM/Business Travel Management)は、出張の申請・承認、航空券や宿泊の予約手配、出張旅費規程の照合、経費精算・会計連携、出張データの可視化までを一つの流れで扱う仕組みです。
  • 1件の精算処理を担う経費精算システムや、汎用の申請承認を担うワークフローとは対象範囲が異なり、出張手配システムは「出張という業務のライフサイクル全体」を束ねる基盤として位置づけられます。
  • 開発を外注する際は、予約チャネルの連携範囲、出張旅費規程のルール化、電子帳簿保存法に沿った領収書の保存、既存の経費・会計・人事システムとの接続を確認の軸に据えると、要件がぶれにくくなります。

出張の予約・申請・精算がばらばらで、コストも実態も見えない

宿泊予約のイメージ

出張の多い組織では、一連の業務が別々のツールに分かれてしまいがちです。出張の申請はワークフローや紙の稟議で、航空券や宿泊の手配は担当者が各予約サイトで個別に、精算は表計算や経費精算システムで、というように工程ごとに道具が違います。同じ一回の出張が、申請書・予約控え・領収書・精算書として別々の場所に散らばっている状態と言えるでしょう。

図
図:出張手配システムが束ねる一連の流れ(申請→承認・規程→予約手配→精算・会計連携→データ可視化)

この分断は、いくつもの実務上の負担を生みます。申請時に想定した予算と、実際の手配額と、最終的な精算額が別管理のため、突き合わせに手間がかかるのです。出張旅費規程で定めた上限や日当のルールに沿っているかは、申請者本人や承認者の記憶と目視に頼りがちになります。担当部署が個別に予約サイトを使うと、法人契約の割引やまとめ交渉が効かず、同じ路線でも人によって費用が変わってしまう場合もあります。

さらに、領収書や旅程の証憑は電子帳簿保存法の対象であり、電子的に受け取った取引データは、原則として電子データのまま保存する義務があります(2024年1月以降)*2。工程が分断されていると、この保存を工程ごとに人手で担うことになり、抜け漏れのリスクが残ります。出張手配システムは、こうした分断を一つの流れに束ね、コストと実態を見える化するために使われる基盤です*4

出張手配システム(BTM)とは、予約から経費精算までを一元化する仕組み

出張手配システムとは、交通機関や宿泊先の手配、出張の申請・承認、経費の精算といった出張に関する業務を、一つの仕組みで一元管理するシステムを指します*4。英語のBusiness Travel Managementの頭文字をとって、BTMと呼ばれることもあります。単なる予約ツールではなく、出張という業務のライフサイクル全体を対象にする点が特徴と言えるでしょう。

出張は、目的地や予算を決める申請から始まり、上長の承認、航空券・新幹線・宿泊の手配、実際の移動、費用の精算、そして会計への計上と続きます。出張手配システムは、この一連の工程を分断させずに、同じデータを引き継ぎながら進められるように設計されます*4。申請時に入力した行先や予算が予約手配へ、手配額が精算へ、精算結果が会計連携へと流れていくため、二重入力や突き合わせの手間を減らせるのです。

加えて、出張手配システムには「誰が・いつ・どこへ・いくらで」出張しているかを一覧で把握する管理・分析の側面もあります*4。個々の手配を効率化するだけでなく、全社の出張コストを可視化し、ガバナンス(統制)を効かせるための土台としても位置づけられます。出張が多い組織ほど、こうした一元管理の効果は大きくなるでしょう。

経費精算システム・ワークフローとの違い——出張全体を束ねる基盤

出張手配システムは、経費精算システムや汎用のワークフロー(申請承認)と混同されやすい仕組みです。しかし、対象とする業務の範囲が異なります。すでに経費精算システムやワークフローを導入している組織でも、出張手配システムが担う領域は別にある、という点を押さえておきたいところです。

経費精算システムが主に担うのは、発生した費用を1件ずつ精算する処理です。領収書の読み取り、精算申請、承認、会計仕訳への反映といった「精算」の効率化を得意とします。一方で、出張前の予約手配や、出張旅費規程に沿った事前チェックまでは対象外になることが多いのです。出張手配システムは、この精算処理の前段にある「予約手配」と「規程に沿った申請・承認」を含めて扱う点で範囲が広くなります。

汎用のワークフローは、稟議・申請・承認といった意思決定の流れをデジタル化する仕組みです。出張申請にも使えますが、あくまで「承認を回す」ことが中心で、その申請内容に沿って航空券や宿泊を実際に手配したり、出張旅費規程の上限を自動で照合したりする機能までは持たないのが一般的でしょう。出張手配システムは、承認と手配と精算を同じデータでつなぐ点で、単体のワークフローとは役割が違います。

三者の違いを整理すると次の通りです。競合する関係ではなく、出張手配システムが経費精算システムやワークフローと連携しながら、出張という業務の全体を束ねる、と捉えると理解しやすいはずです。

項目 出張手配システム(BTM) 経費精算システム ワークフロー(申請承認)
主な対象範囲 申請・承認・予約手配・精算・可視化まで*4 発生費用の精算処理 申請・承認の意思決定フロー
予約手配 航空券・宿泊・交通を手配*4 対象外が多い 対象外
出張旅費規程の照合 上限・日当などをルール化して照合 精算時の一部チェックにとどまる 承認者の目視に依存
コストの可視化 全社の出張費を一覧・分析*4 精算単位の集計が中心 基本的に持たない

この整理からも分かるように、出張手配システムは経費精算システムやワークフローを置き換えるものではありません。むしろ、それらと連携しながら出張業務の入口から出口までをつなぐ役割を担います。自社にすでにある仕組みとの重なりと隙間を見極めることが、導入や開発の検討における出発点になるでしょう。

出張手配システムを支える4つの機能——予約・申請承認・規程・連携

出張計画のイメージ

出張手配システムの中核は、大きく四つの機能に整理できます。ここでは、それぞれが出張業務のどこを担うのかの確認です。自社にとってどこが重いのかを見極めると、開発や選定の優先順位が定まります。

予約手配——航空券・宿泊・交通を一つの画面で

一つ目は、予約手配の機能です。新幹線や航空券、宿泊先、レンタカーといった移動・滞在の手段を、システム内で検索して手配できるようにします*4。担当者が複数の予約サイトを行き来する必要がなくなり、手配のばらつきを抑えられるのが利点です。法人契約や交渉レートを組み込めば、同じ路線での費用差も小さくできるでしょう。手配の記録がそのまま精算や可視化のデータになる点も、一元化の効果と言えます。

出張申請・承認——事前に流れを止めない

二つ目は、出張の申請と承認です。行先・目的・期間・概算費用を申請し、上長や管理部門の承認を経て手配へ進む流れを、システム上で完結させます*4。紙やメールでのやり取りに比べ、どの申請がどの段階にあるかが一目で分かるため、承認の停滞を防ぎやすくなります。承認の段階で予算や行先を確認できれば、手配後に「そもそも認められない出張だった」と気づく手戻りも減らせるはずです。

出張旅費規程の照合——ルールを仕組みに落とす

三つ目は、出張旅費規程との照合です。多くの企業は、宿泊費の上限や日当、交通手段の等級などを出張旅費規程で定めています。ここで税務上の背景を押さえておくと設計の解像度が上がります。出張旅費や日当のうち、その旅行に通常必要であると認められる範囲の金品は、所得税の課税対象とされません*1。裏を返せば、規程に基づかない過大な支給は非課税の範囲を外れる可能性があるということです。

出張手配システムでは、この規程上の上限やルールをあらかじめ設定し、申請・手配の段階で自動的に照合させられます。承認者の記憶や目視に頼らず、規程に沿った運用を仕組みとして担保できるわけです。規程そのものの内容は各社が定めるものですが、そのルールをシステムに落とし込む設計は、開発・カスタマイズの重要な論点になります。

経費精算・会計連携——精算と保存を後工程へつなぐ

四つ目は、経費精算・会計との連携です。手配額や実費を精算データとして引き継ぎ、既存の経費精算システムや会計システムへ連携します*4。ここで欠かせないのが、電子帳簿保存法への対応です。電子的に授受した領収書などの取引データは、原則として電子データのまま保存しなければなりません(2024年1月以降)*2。紙で受け取った領収書についても、一定の要件を満たせばスキャナ保存が認められています*3

出張手配システムを設計する際は、これらの保存要件を満たす形で証憑を扱えるかどうかを確認する必要があります。あわせて、可視化・分析の機能によって、部門別・期間別の出張コストを把握できるようにしておくと、経営判断や規程の見直しにも活かせるでしょう。四つの機能のどこまでを自社で求めるかが、外注範囲を左右します。

出張手配システムの開発を外注する際に確認したいこと

出張手配システムは、パッケージやクラウドサービスとして提供される製品もあれば、自社の業務や既存システムに合わせて開発・カスタマイズする選択肢もあります。予約チャネルの範囲や出張旅費規程の作り込み、基幹システムとの連携などは個別性が高く、ここが内製と外注の判断が分かれるところです。専門パートナーへ委託する場合は、依頼範囲の広さと自社要件との適合を確認しておくとよいでしょう。

確認したい軸は、おおむね次のように整理できます。第一に、予約手配の連携範囲です。どの交通・宿泊のチャネルとつなぐのか、法人契約や既存の旅行手配窓口をどう組み込むのかを、早い段階ですり合わせておきます。第二に、押さえたいのが出張旅費規程のルール化の範囲です。上限額や日当、等級、例外承認の扱いをどこまでシステムで自動照合するかを言語化しておくと、要件がぶれにくくなります。

第三に、電子帳簿保存法への対応です。電子取引データの保存や、紙の領収書のスキャナ保存の要件を満たす形で証憑を扱えるかを、設計段階から織り込む必要があります*2*3。第四に、既存システムとの連携方針です。すでにある経費精算システム・会計システム・人事システムと、どのデータをどの方向でやり取りするのかを整理しておくと、稼働後の二重入力を避けられます。

第五に、稼働後の運用と内製移管のしやすさも見ておきたい点です。規程や組織は変わっていくため、ルールの変更や連携先の追加を自社側で回せる余地があるかを確認しておくと、長く使える仕組みになります。移行対象の予約チャネル数や連携先の多さによって必要な工数は変わるため、現状の業務フローを診断したうえで、内製・外注の切り分けを検討することが実務的です。

まとめ:出張手配システムの選び方で押さえる3つの判断軸

本稿では、出張手配システム(BTM)の役割と機能、隣接する仕組みとの違いを、公式情報をもとに整理しました。要点は三つに集約できます。第一に、出張手配システムは、申請・承認から予約手配、出張旅費規程の照合、経費精算・会計連携、コストの可視化までを一つの流れで束ねる基盤です*4。第二に、1件の精算を担う経費精算システムや、汎用の申請承認を担うワークフローとは対象範囲が異なり、出張という業務の全体を束ねる点に違いがあります。第三に、開発を外注する際は、予約チャネルの連携、規程のルール化、電子帳簿保存法に沿った証憑の保存、既存システムとの連携が確認の軸になります*1*2*3。自社の出張業務のどこに負担が集中しているかを言語化することが、出張手配システムを選び分ける第一歩になるでしょう。

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、業務システムや基幹連携の開発を元請(プライムベンダー)として受託しています。出張業務の棚卸しから、予約手配チャネルの連携設計、出張旅費規程のルール化、電子帳簿保存法に沿った証憑保存、既存の経費精算・会計・人事システムとの連携まで、要件定義から一貫して支援する体制を整えています。どこまでを自社に合わせて作り込むべきかの見極めからご相談いただけます。

よくある質問

出張手配システムと経費精算システムはどう違いますか。

経費精算システムは、発生した費用を1件ずつ精算する処理を主に担います。これに対して出張手配システムは、その前段にある出張の申請・承認や、航空券・宿泊の予約手配、出張旅費規程の照合までを含めて扱う点で範囲が広くなります*4。精算した費用は既存の経費精算システムや会計システムへ連携する形が一般的です。

すでにワークフロー(申請承認)があれば出張手配システムは不要ですか。

ワークフローは承認の流れをデジタル化する仕組みで、申請内容に沿って実際に予約を手配したり、出張旅費規程の上限を自動照合したりする機能までは持たないのが一般的です。出張手配システムは、承認と手配と精算を同じデータでつなぐ点で役割が異なります。既存のワークフローと連携させて使う構成も選べます。

出張旅費や日当に税金はかかりますか。

国税庁の所得税基本通達では、出張旅費や日当のうち、その旅行に通常必要であると認められる範囲の金品は、所得税の課税対象とされないとされています*1。裏を返せば、出張旅費規程に基づかない過大な支給は、この範囲を外れる可能性があります。規程で上限や日当を明確に定め、システムで照合できるようにしておくことが実務的です。

出張の領収書は電子データで保存しなければならないのですか。

電子的に授受した領収書などの取引データは、原則として電子データのまま保存する必要があります(2024年1月以降)*2。紙で受け取った領収書については、一定の要件を満たせばスキャナ保存が認められています*3。出張手配システムを設計する際は、これらの保存要件を満たす形で証憑を扱えるかどうかを確認しておくとよいでしょう。

出張手配システムの開発を外注する場合、何を確認すればよいですか。

予約手配の連携チャネルの範囲、出張旅費規程のルール化の範囲、電子帳簿保存法に沿った証憑保存への対応、既存の経費精算・会計・人事システムとの連携方針が、まず確認したい項目です*2*3。加えて、稼働後にルール変更や連携先の追加を自社で回せるかも見ておくと、長く使える仕組みになります。現状の業務フローを診断したうえで、内製と外注の範囲をすり合わせることをおすすめします。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:国税庁「所得税基本通達 第9条関係(非課税とされる旅費の範囲)」(法令解釈通達)(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/02/03.htm )
  2. *2 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/index.htm )
  3. *3 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】」(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/07scan/index.htm )
  4. *4 出典:ITトレンド「おすすめの出張管理システム(BTM)をタイプ別に比較!費用相場や選び方も解説」(https://it-trend.jp/btm/article/943-877


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