LASSIC Media らしくメディア

2026.06.25 らしくコラム

クラウドのバックアップ・スナップショットコストを外注で最適化する進め方

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

data backup storage

この記事のポイント

  • EBSスナップショットは増分保存でも世代が積み重なると費用は膨らみ続けるため、定期的な棚卸しとライフサイクル設計が欠かせません
  • Amazon Data Lifecycle ManagerとEBS Snapshots Archiveを組み合わせることで、保持コストを大幅に抑えられる可能性があります
  • 削除ポリシー設計・DLM設定・Archive移行判断は専門知識が必要で、外注パートナーへの依頼範囲を明確にした進め方が成果を左右します

EBSスナップショットコストが積み上がる3つの原因

server backup cloud

クラウドのバックアップ・スナップショットコストを外注で最適化するとは、EBSスナップショット(Amazon Elastic Block Storeのデータ保護機能)の不要世代放置・自動化未設定・アーカイブ未活用という3つの課題を、専門パートナーへの委託によって体系的に解消し、保持費用を継続的に抑制する取り組みを指します。

AWSのクラウドコスト最適化に取り組む担当者から、「コンピューティングや通信料は見直したのに、スナップショットの費用だけが毎月じわじわ増え続けている」という声をよく聞きます。原因を特定しないまま放置すると、半年後には無視できない金額になっていることがあります。

棚卸し 不要SS・ 旧AMIの 特定・削除 DLM設定 世代管理を ポリシーで 自動化 Archive移行 90日超の 低頻度SSを 低コスト層へ AWS Backup ライフサイクルで コールドへ 自動移行 継続監視 Cost Explorer +タグで 支出を追跡
EBSスナップショットコスト最適化の5ステップ

増分保存なのになぜコストが増えるのか

EBSスナップショットは増分バックアップです。初回は全データを保存しますが、2回目以降は前回から変更のあったブロックのみを保存します*1。この仕組みは1回あたりの保存量を小さく抑えますが、蓄積した世代数が増えると合計保存量は増加し続けます。

また、スナップショットを削除してもコストが減らないケースがあります。削除されるのは「そのスナップショットのみが参照しているデータ」に限られ、他のスナップショットが共有しているブロックは保持されるためです*1。課金対象のデータが消えていないのに削除作業だけを行うと、手間だけかかって費用が変わらないという状況が生まれます。

不要スナップショット・古いAMIの放置

開発・テスト・本番の各環境でスナップショットを取得しているシステムでは、運用が長期化するほど「いつ取得したか分からない」スナップショットが増えていきます。AMI(Amazon Machine Image)は複数のEBSスナップショットを束ねる形で参照しており、古いAMIを残したままにすると参照先スナップショットも削除できません。

結果として、実際に利用する可能性がほぼないデータが毎月課金対象として残り続けます。これはガバナンスの問題であり、個人の判断で削除しにくいことも放置につながる要因です。

世代管理ルールの不在

スナップショットを手動で取得している環境では、「何世代まで保持するか」「どのタイミングで削除するか」のルールが整備されていないことがあります。担当者が退職または異動した場合、ルールの引き継ぎが行われず、削除作業が止まるリスクもあります。

世代管理ルールがない状態では、バックアップポリシーの見直し機会も生まれません。「念のため残しておく」という判断が積み重なると、保持コストは設計上の想定を超えていきます。

コスト削減の4つのアプローチ

EBSスナップショットのコスト最適化には、AWS公式ドキュメントが示す4つの主要な手段があります。これらを組み合わせることで、保持費用を継続的に管理できます。

①不要スナップショット・古いAMIの特定と削除

最初のステップは棚卸しです。AWS Cost Explorer(クラウドの使用コストを可視化するサービス)やタグを使ってスナップショット単位の支出を追跡し、長期間参照されていないものを特定します。

特に注意が必要なのは、AMIの登録解除とスナップショット削除の順序です。AMIを登録解除せずにスナップショットだけを削除しようとするとエラーになります。先にAMIの登録解除を行い、その後に依存するスナップショットを削除するという手順を守る必要があります。

削除前には「このスナップショットを参照している他のスナップショットがあるか」を確認することも大切です。AWS CLIまたはコンソールで依存関係を確認できますが、数が多い環境では一覧化するだけでも工数がかかります。

②DLMで世代管理を自動化——作成・保持・削除のポリシー設定

Amazon Data Lifecycle Manager(DLM)は、EBSスナップショットの作成・保持・削除を自動化するAWSサービスです*2。ライフサイクルポリシーを作成することで、「毎日1回スナップショットを取得し、7世代保持したら古いものから自動削除する」といった運用を設定できます。

DLM自体のサービス利用に追加料金はかかりません*2。課金されるのはスナップショットの保存容量のみです。手動運用で世代が積み重なっていた環境では、DLM導入後から保持世代数が一定に保たれ、ストレージ量の増加が抑制されます。

ポリシー設計では、保持世代数・取得頻度・対象ボリュームのタグ条件を決める必要があります。システムの特性によって最適な設定は異なるため、設計フェーズにはAWSの知識が求められます。

③EBS Snapshots Archiveで90日超の保持コストを削減

EBS Snapshots Archive(EBSスナップショットのアーカイブ階層)は、90日以上保持する予定でほとんどアクセスしないスナップショットを低コストで保存するための仕組みです*3

AWS公式ドキュメントによれば、アーカイブストレージの料金は1GBあたり月0.0125ドルで、標準ストレージの0.05ドル(東京リージョン)と比較して料金水準が大きく異なります*4。なお、アーカイブから復元する際は1GBあたり0.03ドルの取得料金が発生し、最小保持期間は90日間です*3

コンプライアンス要件で特定時点のスナップショットを長期保存しなければならないケース、プロジェクト終了時のスナップショット、月次・四半期・年次の保存義務があるスナップショットなどがArchiveの主な対象です*3。頻繁に参照するスナップショットには向かないため、アクセス頻度の見極めが必要です。

④AWS Backupのライフサイクルでコールドストレージへ移行

AWS Backup(複数のAWSリソースのバックアップを一元管理するフルマネージドサービス)では、ライフサイクルポリシーを使ってバックアップをウォームストレージからコールドストレージへ自動移行できます*5

DLMがEBS専用であるのに対し、AWS BackupはEC2・RDS・DynamoDBなど複数のAWSサービスを横断して管理できます。複数サービスのバックアップを統一ルールで管理したい場合や、組織全体にバックアップポリシーを適用したい場合に特に有効です。

タグベースのバックアップポリシーを使うと、特定のタグを持つリソースに自動でバックアップルールを適用できます。マルチアカウント環境での一元管理にも対応しており、ガバナンスを整備する観点からも活用されています。

内製vs外注——コスト最適化の担当判断軸

スナップショットコストの最適化を内製で進めるか外注するかは、保有するスキルセットと作業範囲によって判断が変わります。

内製で対応できるケースと必要なスキル

単一アカウント・単一リージョンで、スナップショット数が数十件程度であれば、AWSコンソールとCLIを使った内製対応が現実的です。AWS CLIでスナップショット一覧を取得し、作成日やタグを確認しながら不要なものを削除する作業は、AWSの基本操作ができる担当者であれば対応できます。

内製で完結させるには、以下のスキルが必要です。AWS CLIの基本操作とIAM権限の理解、EBSスナップショットの依存関係(AMIとの関係)の把握、DLMポリシーの設計と設定、Cost Explorerを使ったコスト分析の読み方です。

これらを習得済みの担当者が1名いれば初回の棚卸しと設定変更を行えますが、継続的なモニタリングと定期的な見直しを加えると、月次で数時間程度の工数が発生します。専任担当者がいない環境では、他業務との兼務で後回しになりがちです。

外注が有効なケース——マルチアカウント・タグ設計・ガバナンス

以下の条件に当てはまる場合は、外注によって品質と速度の両方を確保しやすくなります。

マルチアカウント環境では、アカウントをまたぐスナップショットの一覧化とポリシー統一が必要です。AWS Organizationsと連携したAWS Backupの設定や、IAMロールのクロスアカウント設計は、経験のない担当者には時間がかかります。

タグ設計が不十分な環境では、まずタグガバナンスを整備してからDLMポリシーやCost Explorerの配分タグを設定する必要があります。タグ戦略の策定はクラウド全体の運用方針に関わるため、全体設計の経験が求められます。

コンプライアンス要件(特定世代を何年保持するか等)を踏まえた保持ポリシー設計や、削除作業前の承認フロー整備なども、社内で一から構築するよりも実績のあるパートナーに相談した方が手戻りを減らせます。

外注する際の進め方——要件定義から成果確認まで

スナップショットコスト最適化の外注を成功させるには、現状の把握から依頼範囲の明確化まで、段階を踏んだ進め方が大切です。

現状のスナップショット台帳を整備する

外注先への依頼前に、自社で現状の台帳を整備します。AWSコンソールまたはCLIで全スナップショットのIDと作成日・紐づくボリューム・タグを一覧化し、スプレッドシートに記録します。

AMIに関連するスナップショットは、AMI一覧と突き合わせて把握します。登録解除済みのAMIに依存するスナップショットが残っているケースは珍しくなく、このような「孤立スナップショット」がコスト増の隠れた原因になっていることがあります。

台帳があると外注先との認識合わせがスムーズになり、作業スコープと費用の見積もりが正確になります。情報が整理されていない状態で依頼すると、調査・情報収集の工数が余分にかかります。

削除ポリシー・保持期間ルールを決める

外注先が作業を開始する前に、削除に関する意思決定のルールを社内で決めておく必要があります。「何日以上前のスナップショットを削除対象とするか」「本番・検証・開発で保持期間を変えるか」「コンプライアンス上、特定スナップショットを削除できないか」を確認します。

この判断はビジネス要件・セキュリティポリシー・コンプライアンス要件に関わるため、インフラ担当だけでなく情報システム部門・コンプライアンス担当も参加して決める必要があります。ここを外注先に丸投げすると、「本来残すべきスナップショット」を誤って削除するリスクが生じます。

外注先評価と依頼範囲の明確化

依頼範囲は「棚卸し・削除だけ」「DLMポリシー設計と設定まで」「Archive移行・継続監視体制構築まで」の3段階で検討します。初回は棚卸しと削除から始め、継続的な運用体制の構築を次フェーズに分けるやり方が、リスクを抑えながら成果を確認するうえで有効です。

見積もり段階では、作業内容・成果物・完了基準を書面で確認します。「コスト削減の目標値をどう定義するか」「削除したスナップショットのリストを報告するか」「DLMポリシーの設定内容を引き渡しドキュメントとして提供するか」を事前に明確にすることで、完了後のトラブルを避けられます。

外注ベンダー評価の3つのポイント

スナップショットコスト最適化を外注する際は、以下の3点でベンダーを評価することを推奨します。

AWS認定資格とEBSコスト最適化の支援実績

AWS Solutions Architect(Professional)やAWS DevOps Engineer(Professional)などの認定資格は、技術知識の基準として参考になります。ただし資格のみで評価するのではなく、「EBSスナップショットのコスト最適化を支援した実績があるか」を具体的に確認します。

事例として「スナップショット台帳を整備して不要分を削除した」「DLMポリシーを設計して保持コストを抑制した」「Archive移行の対象選定と移行作業を行った」などの経験があるかを確認します。特定サービスへの対応実績は、公開事例またはヒアリングで確認します。

DLMポリシー設計・Archiveへの移行経験

DLMのライフサイクルポリシーはスケジュール・保持ルール・対象ボリューム選定・クロスリージョンコピーなど設定項目が多く、システム要件に合わせた設計には実務経験が影響します。

Archive移行については、増分スナップショットがアーカイブ時に完全スナップショットへ変換される点や、最小保持期間90日の制約、復元時の取得料金が発生する点を理解したうえで移行対象を選定できるかを確認します*3。移行すればコストが下がるとは限らず、アクセス頻度と保持期間に応じた判断が必要です。

継続的なコスト監視とレポーティング体制

一度設定しても、新たなスナップショットの発生・タグの変更・保持ポリシーの例外処理など、運用上の変化が生じます。継続的なモニタリングとレポーティングを提供できるかを確認します。

Cost ExplorerやAWS Budgetsを使った定期レポートの提供、異常な費用増が発生した際のアラート設計、四半期ごとのポリシー見直しといったサービス内容が含まれているかを確認すると、長期的な費用管理の実効性が高まります。

また、設定内容の引き渡しドキュメントや社内担当者へのナレッジ移転が含まれるかも評価ポイントです。ベンダー依存が続くと、将来的な変更・拡張の際にコストがかかり続けます。

まとめ:バックアップコスト最適化の判断軸3点

本稿では、EBSスナップショットのコストが増加する原因と、DLM・Archive・AWS Backupを組み合わせた最適化手段、外注の進め方を整理しました。

要点を3つに集約します。第一に、スナップショットは増分保存でも世代の積み重ねと放置によってコストが増え続けるため、棚卸しとライフサイクル設計が費用管理の起点になります。第二に、Amazon Data Lifecycle ManagerとEBS Snapshots Archiveは、それぞれ世代管理の自動化と長期保持コストの抑制に有効ですが、設定設計には実務知識が必要です。第三に、外注を活用する際は削除ポリシーの判断基準を社内で決めてから依頼範囲を明確にすることで、手戻りと誤削除リスクを減らせます。

スナップショットのコスト最適化は単発の作業ではなく、継続的な監視と定期的な見直しが伴います。専門パートナーへの依頼を検討する際は、初回の棚卸し・削除から始め、DLM設定・Archive移行・継続監視体制の構築へと段階的に進める進め方が現実的です。

よくある質問

EBSスナップショットを削除してもコストが変わらないのはなぜですか

スナップショット削除時に実際に削除されるのは、「そのスナップショットのみが参照しているデータブロック」に限られるためです*1。複数のスナップショットが同じブロックを参照している場合、そのブロックはいずれかが残る限り保持され続けます。削除前に依存関係を確認し、複数世代をまとめて整理することでコスト削減の効果が出やすくなります。

EBS Snapshots Archiveはどのようなスナップショットに向いていますか

90日以上保持する予定で、かつほとんどアクセスしないスナップショットに向いています*3。コンプライアンス要件で長期保存が義務付けられているもの、プロジェクト終了時の記録、月次・年次の定期スナップショットなどが代表的な対象です。アーカイブからの復元には取得料金(GB単位)が発生し、最小保持期間も90日あるため、頻繁に参照するスナップショットは標準ストレージに残すことを推奨します。

Amazon Data Lifecycle Managerを使うと追加費用はかかりますか

DLMのサービス利用自体に追加料金はかかりません*2。課金されるのはDLMが作成・保持したEBSスナップショットの保存容量です。手動管理で過剰に積み重なっていた世代数をDLMで一定に保つことで、スナップショットの保存量増加を抑制できます。

スナップショットのコスト最適化を外注する場合、事前に何を準備すればよいですか

外注依頼前に、全スナップショットのID・作成日・紐づくボリューム・タグの台帳を整備しておくことを推奨します。加えて、「何日以上前のスナップショットを削除対象とするか」「本番・検証・開発で保持期間を変えるか」「コンプライアンス上削除できないものがあるか」という社内の削除ポリシーを確認しておくと、外注先との認識合わせがスムーズになり、誤削除リスクも低減できます。

DLMとAWS Backupはどちらを使うべきですか

EBSスナップショットの細かい世代管理に特化するならDLMが適しています。一方、EC2・RDS・DynamoDBなど複数のAWSサービスのバックアップを統一ポリシーで一元管理したい場合や、マルチアカウント環境全体にバックアップルールを適用したい場合はAWS Backupが有効です*5。両者を組み合わせて使うことも可能で、対象リソースの範囲と組織のガバナンス方針によって選択します。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑

LASSICに相談するメリット

LASSICは元請(プライムベンダー)としてAWSを中心とするクラウドの設計・構築・運用保守を受託しており、EBSスナップショットのライフサイクル設計からDLMポリシー設定・Archive移行まで一貫した体制を整えています。コスト可視化から削除ポリシー設計・継続監視体制の構築まで、貴社の状況に合わせたスコープでご支援します。


ITアウトソーシング・システム開発のご相談はLASSICへ

元請(プライムベンダー)として、貴社の課題に合わせた体制構築・開発支援をご提案します。まずはお気軽にご相談ください。

無料相談はこちら

ご不明な点はお問い合わせフォームからもご連絡いただけます。

  1. *1 出典:Amazon Web Services「Amazon EBS スナップショット」(2024年確認)
  2. *2 出典:Amazon Web Services「Amazon Data Lifecycle Manager」(2024年確認)
  3. *3 出典:Amazon Web Services「EBS Snapshots Archive」(2024年確認)
  4. *4 出典:Amazon Web Services「Amazon EBS 料金」(2024年確認)
  5. *5 出典:Amazon Web Services「AWS Backup とは」(2024年確認)


View