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2026.06.25 らしくコラム

データアナリスト・BI人材不足を外注・委託で補完する進め方

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

data analytics dashboard

この記事のポイント

  • データアナリスト/BI人材の役割はデータエンジニアやデータサイエンティストと明確に異なり、採用難度も高い領域です。
  • 外注・業務委託で補完すると、採用コストをかけずに分析・可視化・意思決定支援を即戦力として活用できます。
  • 委託先の選定では、BIツール対応・分析設計力・ドメイン理解の3軸を優先して評価することが大切です。

データアナリスト・BI人材の役割とは

business intelligence charts

データアナリスト(BI/分析人材)の外注・委託とは、自社で確保が難しいデータ分析・BI(ビジネスインテリジェンス)領域の業務を、専門スキルを持つ外部パートナーに委ねる委託形態です。具体的には、経営課題の定義・KPI(重要業績評価指標)設計・BIダッシュボード構築・分析示唆の提供・定期レポーティングまでを担います。

課題定義 KPI設計 ビジネス理解 優先度整理 データ整備 収集・加工 クレンジング DWH連携 BI構築 Tableau Power BI Looker 分析・示唆 統計解析 示唆抽出 仮説検証 定期報告 レポーティング 改善提案 意思決定支援
データアナリスト/BI人材が担う5つの業務フロー

データアナリストの役割を理解するうえで、隣接する職種との違いを整理しておくことが重要です。混同したまま委託先を探すと、要件定義がずれてしまいます。

職種 主な役割 代表スキル 本記事との関係
データアナリスト
/ BI人材
課題定義・KPI設計・BIダッシュボード構築・示唆出し・定期レポーティング Tableau / Power BI / Looker・SQL・統計リテラシー・業務理解 本記事の対象職種
データエンジニア データ基盤(パイプライン・DWH・データレイク)の設計・構築・運用 Python / Spark / Airflow・クラウドDWH(BigQuery / Redshift) 関連記事へ送客(id999)
データサイエンティスト 統計モデル・機械学習による高度分析・予測モデル構築 Python / R・統計学・機械学習(scikit-learn / PyTorch) 関連記事へ送客(id1045)
DBA(データベース管理者) DBの設計・運用・パフォーマンスチューニング・バックアップ管理 SQL Server / Oracle / MySQL・チューニング・セキュリティ設定 関連記事へ送客(id1069)

データアナリストの中心的な価値は「データをビジネスの意思決定につなげること」です。データエンジニアが「データを届ける基盤」を担い、データサイエンティストが「高度なモデルで将来を予測する」とすると、データアナリストは「今起きていることを可視化し、次の打ち手を示唆する」役割を担います。

データアナリスト不足の背景——BI市場拡大と採用難

デロイト トーマツ ミック経済研究所「ビジネス・アナリティクス市場展望2025年度版」(2025年6月公表)によれば、国内BI・アナリティクス市場は2024年度に7,830億円(前年度比115.9%)に達し、2025年度は8,960億円規模へとさらに拡大する見込みです*1。生成AIの統合とクラウド型BI(BI as a Service)の普及が成長を加速させています。

一方で人材供給は追いついていません。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が2025年10月に公表した「DX動向2025-AI時代のデジタル人材育成」では、日本企業の85.1%でDXを推進する人材が不足していると回答しており、米国・ドイツと比較して著しく高い水準です*2。データ分析・BI領域はこの人材不足が顕著な分野のひとつです。

データアナリスト採用が難しい主な理由は、スキルセットの複合性にあります。BIツール(Tableau・Power BI・Lookerなど)の操作スキルに加え、SQLやデータ設計の基礎知識、統計リテラシー、さらに分析対象の業種・業務への深いドメイン理解が求められます。これらを兼ね備えた人材は市場に少なく、採用競争も激しくなっています。

採用ではなく外注・委託で補完する4つの理由

採用による内製化は理想ですが、現実には4つの課題があります。外注・業務委託はこれらを回避しながら分析能力を即時調達できる手段として有効です。

  • 採用リードタイムのリスク:データアナリスト職の中途採用は、求人から内定・入社まで半年〜1年規模のリードタイムを要するケースが少なくありません。DXプロジェクトの立ち上げや経営判断の加速が求められる局面では、採用完了を待てない状況が生まれます。
  • 採用コストと定着リスク:データアナリスト専門職は採用競争が激しく、採用コストが高騰しています。入社後の定着率にも課題があり、短期離職が生じると採用に投じたコストが回収できなくなります。
  • プロジェクト型ニーズへの対応:新規事業立ち上げ・特定キャンペーンの分析・決算期の集中分析など、常時フルタイムが必要ではない業務に対して、正社員採用はコスト効率が合いにくい場合があります。委託であれば必要なタイミング・工数を柔軟に設定できます。
  • 最新ツール対応の即時調達:BI・分析ツールの進化は速く、Tableau・Power BI・Lookerへの対応だけでなく、生成AI統合(Copilot in Power BIなど)の活用も求められ始めています。専門の外注先は最新スキルを持つ人材を継続的に育成しており、即時投入が可能です。

委託できる業務範囲——課題定義から定期レポートまで

データアナリスト外注の業務範囲は広く、部分的な依頼から全工程の委託まで選択できます。以下に主な委託対象を整理します。

分析設計・課題定義

「どのデータを見れば何がわかるか」という問いを整理する工程です。ビジネス課題をデータで解ける問いに変換し、KPI・指標を設計します。分析前提の整理が甘いと、後工程でのやり直しが発生するため、最初に投資する価値が高い工程です。

データ収集・加工・クレンジング

社内システム・SaaS・外部データソースからデータを収集し、分析可能な形式に整備します。DWH(データウェアハウス)やデータレイクとの連携設計も含みます。データエンジニアと役割が一部重なりますが、アナリストは「分析目的のデータ整備」に特化します。

BIダッシュボード構築

Tableau・Power BI(マイクロソフト提供のBI・可視化ツール)・Looker(Google提供のクラウドBIプラットフォーム)などのツールを用いて、経営層・現場担当者が日常的に参照できるダッシュボードを構築します。ツール選定のアドバイスも委託に含めることが多いです。

定期分析・示唆出し

月次・週次などの定期的な分析を担います。単なる数値集計にとどまらず、「なぜその数値が動いたか」「次に何をすべきか」という示唆の提供がデータアナリストの核心的な価値です。

定期レポーティング・経営報告支援

分析結果を経営会議・部門会議向けに整理し、意思決定を促す資料を作成します。数値の解釈と判断の方向性を提示する役割を担います。

委託先の選定で見るべき5つの評価軸

委託先選定の失敗は、ダッシュボードは作れても「何も示唆が出ない」という状態や、業務文脈を無視した分析結果を招きます。以下の5軸で候補先を評価することを推奨します。

評価軸 確認すべき内容 確認方法
分析設計力 課題定義・KPI設計の実績があるか。
「ダッシュボード構築だけ」ではなく示唆まで出せるか。
過去の提案書・成果物サンプルの提示を求める
BIツール対応力 自社が使用・導入予定のBIツール(Tableau / Power BI / Looker)の実績があるか。 認定資格・構築実績の具体的な件数を確認
SQL/統計リテラシー データ抽出・加工をSQLで自律的に行えるか。
統計的有意性・相関/因果の区別を正しく扱えるか。
技術面談・簡易スキルチェックの実施
ドメイン理解 自社業界・業務フローへの理解があるか。
業界固有KPIを定義した経験があるか。
同業種・類似業務の支援実績を確認
レポーティング・コミュニケーション力 経営層・現場双方に伝わる資料・説明ができるか。
定例報告の品質維持体制があるか。
報告書サンプルの確認・実績先への参照照会

この5軸に加えて、委託範囲が広い場合は「データエンジニアやデータサイエンティストとの連携体制」も確認します。分析に必要なデータ基盤整備を一括で対応できる会社か、それとも分析特化で自社側のエンジニアとの協働が必要かを事前に確認しておくことが大切です。

委託形態の比較——フリーランス・SES・受託・コンサル

データアナリスト・BI人材の外注には主に4つの形態があります。業務の継続性・スピード・コストの優先度によって適した形態は異なります。

委託形態 特徴 向いているケース 費用感(市場参考値・一次資料ではない)
フリーランス
(準委任)
個人の専門家に直接委託。
コストを抑えやすい反面、担当者交代リスクがある。
特定ツールの構築・単発の分析プロジェクト 月額40万〜80万円程度
SES
(システムエンジニアリングサービス)
エンジニアを常駐・準委任で調達。
社内チームへの組み込みがしやすい。
継続的な分析業務・社内チームの補強 月額60万〜100万円程度
受託開発・
分析受託
成果物(ダッシュボード・レポート等)を定義して一括請負。
要件が明確なら工数が読みやすい。
BIダッシュボード構築・一括分析プロジェクト プロジェクト規模による(数十万〜数百万円)
コンサルティング
課題定義・戦略立案から分析実行まで担う。
単価は高いが意思決定支援まで包含。
分析戦略の立案・組織のデータ活用変革 月額100万円〜(規模による)

費用レンジはあくまで市場参考値であり、一次調査データではありません。実際は担当者のスキルレベル・業務の複雑さ・ツールライセンスコストによって変動します。複数社から見積もりを取ることが推奨されます。

委託を失敗させる3つの落とし穴

データアナリスト外注の失敗事例で繰り返し見られるパターンは3つに集約されます。委託前にこれらを確認しておくことで、手戻りリスクを大幅に減らせます。

落とし穴1:「分析してほしい」だけでは動けない——課題定義の甘さ

「売上が落ちている原因を分析してほしい」という依頼は、一見明確に見えますが分析者にとって不十分です。どのデータが利用可能か、どの期間・セグメントを対象とするか、分析結果を誰がどのような意思決定に使うかが未定義のまま委託を開始すると、何回も仕様変更が発生します。

委託前に「どの問いに答えたいか」「答えが出たら何をするか」を自社側で整理し、要件書またはブリーフィングシートに落とし込んでから発注することが、失敗回避の第一歩です。

落とし穴2:データが整っていないまま分析を発注する

BIダッシュボード構築の依頼を受けた委託先が実際に着手してみると、元データのフォーマットが不統一・欠損値が多い・システム間でIDが一致していないなどの問題が判明することがあります。データクレンジングに予想外の工数が発生し、本来の分析期間が大幅に圧迫されます。

委託前にデータの状態(テーブル一覧・データ品質の概況・アクセス権限の整備状況)を棚卸しておくことで、委託先との工数見積もりの精度が上がり、追加費用の発生リスクも抑えられます。

落とし穴3:内製化計画なしで依存が固定化する

外注は即戦力として有効ですが、委託先への依存が長期固定化すると、ノウハウが社内に蓄積されません。担当者が交代した際に分析が止まるリスクや、委託費用が継続的にかかり続けるコスト負担が生じます。

委託開始時から「いつまでに何を内製化するか」のロードマップを委託先と共有することが重要です。ナレッジ移転・ドキュメント整備・社内担当者の育成支援を委託スコープに含める形が、持続可能な体制構築につながります。

まとめ——外注・委託でBI/分析力を補完する3つの判断軸

本稿では、データアナリスト・BI人材の不足を外注・委託で補完するための考え方と進め方を整理しました。要点を3つにまとめます。

第一に、役割の定義から始めることです。データアナリストはデータエンジニアやデータサイエンティストとは異なる役割を担います。「分析してほしい」の一言では委託先に伝わりません。KPI設計・BIダッシュボード構築・示唆出しのどの工程を委託するのかを明確にすることが出発点です。

第二に、委託先の選定では分析設計力・BIツール対応・ドメイン理解の3軸を優先することです。ツール操作スキルだけでなく、業務文脈を踏まえた課題定義と示唆提供まで担える委託先を選ぶことが、成果につながります。

第三に、内製化ロードマップをあわせて設計することです。外注はあくまで補完手段です。委託開始時から知識移転・育成支援を委託スコープに含め、社内のデータ活用能力を段階的に高める設計が、長期的なコスト削減と組織の自立につながります。

よくある質問

データアナリストとデータエンジニアの違いは何ですか。

データアナリストは「データからビジネスの示唆を引き出す」役割を担い、KPI設計・BIダッシュボード構築・定期分析が中心業務です。データエンジニアはデータを分析可能な状態に届けるパイプラインやDWHの設計・構築・運用を担います。両者は協働関係にありますが、担当工程と求められるスキルセットは明確に異なります。

BIツール(Tableau・Power BI)の選定は委託先に任せてもよいですか。

初期段階では委託先の意見を参考にすることを推奨します。ただし、ツール選定は自社のIT環境・ライセンスコスト・社内ユーザーのスキルレベルに依存するため、最終判断は自社側で行うことが大切です。Power BI(マイクロソフト提供)はMicrosoft 365との親和性が高く、Tableau(Salesforce提供)は可視化の柔軟性が高い傾向があります。Looker(Google提供)はBigQueryとの連携に強みがあります。

委託費用の目安はどのくらいですか。

委託形態・業務の複雑さ・担当者のスキルレベルによって幅があります。市場参考値として、SES(システムエンジニアリングサービス、エンジニアを準委任で調達する形態)型の月額は60万〜100万円程度、フリーランス活用では40万〜80万円程度を目安にするケースがあります。ただしこれは市場参考値であり一次調査データではないため、複数社から見積もりを取ることを推奨します。

自社のデータが整っていなくても委託できますか。

データ整備から含めて対応できる委託先は存在します。ただしデータ品質が低い状態での委託はクレンジング工数が増え、費用と期間が見積もりより膨らむリスクがあります。委託前に自社データの概況(テーブル一覧・欠損率・システム間のID統一状況)を棚卸しし、委託先に共有してから見積もりを依頼することで、工数の精度が上がります。

内製化に向けて委託先から知識移転を受けることはできますか。

委託先によって方針は異なりますが、交渉次第でナレッジ移転・ドキュメント整備・社内担当者の育成支援を委託スコープに含めることが可能です。契約開始前に「いつまでに何を内製化するか」のロードマップを提示し、知識移転の進め方をスコープに明示することを推奨します。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑

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  1. *1 出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「ビジネス・アナリティクス市場展望2025年度版 プレスリリース」(2025年6月)
  2. *2 出典:IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「DX動向2025-AI時代のデジタル人材育成」(2025年10月)


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