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2026.10.23 らしくコラム

ファイルサーバー移行の6ステップ|アクセス権と共有の設計を解説

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

ラックのファイルサーバーのランプを指しながらノートPCを操作する担当者の手元

この記事の結論

  • ファイルサーバー移行は、ファイルだけでなくアクセス権と共有の経路を移行先の仕組みに合わせて移す作業です。
  • 棚卸し、範囲の決定、権限の設計、名前の手直し、試しの移行、本番と切り替えの6ステップで進めます。
  • 権限は個人ではなく部署や役割のグループ単位で付け直し、移行先の上限に収まる形にしておくことが大切です。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

ファイルサーバーの入れ替え時期が近い。クラウドへ移す方向は決まったものの、部署ごとに積み重なった共有フォルダとアクセス権をどう引き継げばよいか分からない——。部署の多い会社のファイルサーバーでは、こうした迷いが起こりがちです。ファイルサーバー移行とは、社内の共有フォルダにあるファイルを、アクセス権や共有の設定も含めて、SharePointやGoogle ドライブなどのクラウド、または新しいサーバーへ移す作業を指します。

ただし万能な移し方はなく、移行先によってアクセス権の付け方が違うため、元の権限をそのまま写すと使いにくくなることがあります。本記事では、情報システムの担当者に向けて、移行先ごとの違い、ファイルサーバー移行の6ステップ、アクセス権と共有の設計、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

ファイルサーバー移行とは

ファイルサーバー移行の行き先は、大きく2つに分かれます。1つはMicrosoft 365(SharePoint・Teams・OneDrive)やGoogle ドライブ、Boxといったクラウドのストレージ、もう1つはいまと同じ仕組みの新しいサーバーです。どちらを選んでも、移すものはファイルだけではありません。

  • フォルダの構成:部署やプロジェクトごとに作ってきた階層
  • アクセス権:誰がどのフォルダを開けて、誰が書き込めるか
  • 共有の経路:社員がフォルダを開くときのパスやドライブの割り当て、社外とのファイルの受け渡し
  • 日付と版:更新日や過去の版の履歴(移行先とツールによって引き継げる範囲が違います)

部署の多い会社ほど、難しいのはアクセス権と共有の経路です。異動や兼務のたびに足してきた権限は、全体を把握している人がいないこともあります。

移行先ごとの違い

移行先を選ぶときは、容量や費用だけでなく、アクセス権をどの単位で付ける仕組みかを比べます。

ファイルサーバーの主な移行先とアクセス権の付け方
移行先 アクセス権の付け方 考えやすい場面
SharePoint・Teams(Microsoft 365) サイトやライブラリの権限を下の階層が引き継ぐ。必要なフォルダだけ引き継ぎを外して個別に付ける Microsoft 365をすでに使っていて、TeamsやOfficeと合わせて使いたいとき
Google ドライブの共有ドライブ 共有ドライブのメンバーとして人やグループを追加する。見せる相手を絞るフォルダは別に設定する Google Workspaceをすでに使っていて、チーム単位でファイルを持ちたいとき
Box 上のフォルダの権限が下のフォルダにも及ぶ(進め方はBox移行の5ステップで解説) 移行先がBoxに決まっているとき
新しいファイルサーバー(Windows Server) いまと同じフォルダごとのアクセス権をそのまま使える 社内のシステムがファイルのパスを直接読んでいて、すぐには変えられないとき

クラウドへ移す場合、MicrosoftのMigration Managerは、社内ネットワークの共有フォルダからSharePoint・OneDrive・Teamsへファイルを移す道具です。*1 移行後も同じユーザーがアクセスできるようにする権限の設定も備えています。*2 新しいサーバーへ移す場合は、Windows Serverの記憶域移行サービスが、ファイルと共有の設定、セキュリティの設定をまとめて移し、旧サーバーの名前を新しいサーバーに引き継げます。*4 名前を引き継げば、社員はいつものパスのままフォルダを開けます。

ファイルサーバー移行の6ステップ

ファイルサーバー移行は、一度に全部を移すのではなく、調べて、設計して、試してから移すのが基本です。次の6つのステップで進めると手戻りを減らせます。

2台のモニターの表の同じ行を指先とペン先で見比べる移行の確認作業

  • ステップ1:現状を棚卸しする。共有フォルダごとの容量とファイル数、持ち主、付いているアクセス権を一覧にします
  • ステップ2:移行先と移す範囲を決める。使っていない古いフォルダは移さずに保管へ回すかを、持ち主と決めます
  • ステップ3:新しいフォルダ構成とアクセス権を設計する。権限を付ける単位を、部署や役割のグループにまとめ直します
  • ステップ4:ファイル名とパスを直す。移行先で使えない文字や長すぎるパスを、移す前に片づけます
  • ステップ5:試しに移して確かめる。1つの部署で移し、件数と容量、権限の効き方を照らし合わせます
  • ステップ6:本番の移行と切り替えを行う。まとめて移した後に差分を移し、旧サーバーは読み取り専用で残します

ファイルサーバー移行の6つのステップを左から順に並べた流れ図。STEP1 現状を棚卸し、STEP2 移行先と範囲を決定、STEP3 権限と構成を設計、STEP4 名前とパスを直す、STEP5 試しに移す、STEP6 本番移行と切り替え。

時間がかかりやすいのはステップ3とステップ4です。SharePointやOneDriveでは、フォルダのパスとファイル名を合わせた長さが400文字以内という決まりがあります。*3 深い階層のファイルはこの長さを超えることがあるため、移す前に階層を浅くするか、名前を短くします。Migration Managerには、使えない文字を含むファイルを移行の対象から外すかどうかを選ぶ設定もあります。*2

アクセス権と共有の設計

中規模以上の会社のファイルサーバー移行で、最も手間がかかるのがアクセス権の設計です。ファイルサーバーでフォルダごとに個人の名前で細かく権限を付けてきた場合、それをクラウドへそのまま写すと、移行先の上限や仕組みとぶつかります。

ノートPCの表の1行を指してアクセス権の設計を確かめる打ち合わせ

  • SharePointでは、1つのリストやライブラリで固有の権限を付けられる項目は5万件までで、推奨は5,000件までです*3
  • SharePointでは、10万件を超える項目を含むライブラリやフォルダは、権限の引き継ぎを外せません*3
  • Google ドライブの共有ドライブでは、メンバー全員がすべてのファイルを閲覧できます。見せる相手を絞るには、アクセスを制限したフォルダを使います*7
  • 共有ドライブ1つに入るのは50万アイテムまで、メンバーは600まで(そのうちグループは100まで)です*6

そのため設計では、権限を付ける単位を「個人」から「部署や役割のグループ」へ切り替え、機密の度合いが違うフォルダはサイトや共有ドライブを分けるのが基本の考え方です。共有ドライブのファイルは個人ではなくチームが持つため、社員が退職してもファイルは残ります。*5 社外とのやり取りに使っていたフォルダは、外部との共有を許す場所と許さない場所を分け、移行の前にルールを決めておきます。

外部に頼むときに確認しておきたい点

ファイルサーバー移行の道具は、どれも社内の管理者が操作する前提です。Migration Managerを使うには、Microsoft 365の全体管理者かSharePoint管理者の権限と、移行元の共有フォルダを読み取れるWindowsの資格情報が要ります。*1 外部に頼むときは、次の点を確かめておきます。

  • 範囲:棚卸し、移行先の選定、権限の設計、移行の実行、社員への説明のうち、どこまでを任せるか
  • 権限の設計:個人ごとの権限をグループへまとめ直す案を誰が作り、どの部署の誰が承認するか
  • 試しの移行:どの部署で試し、移す前と後の件数と容量をどう照らし合わせるか
  • 切り替え:差分の移行を何回行い、いつ切り替えて、旧サーバーをいつまで残すか
  • 移行後の運用:権限の追加や変更の申し込みを受ける窓口と、定期的な見直しを誰が持つか

誰に見せてよいかは、フォルダの持ち主である各部署が判断する場を計画に入れておきます。データ移行全般の外注についてはシステム移行・データ移行を外注する進め方で扱っています。

まとめ:ファイルサーバー移行で確かめておきたい3つの点

ファイルサーバー移行を進めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、アクセス権の付け方の違いを踏まえて移行先を選ぶこと。第二に、個人ごとに付けてきた権限を、部署や役割のグループ単位へまとめ直してから移すこと。第三に、試しの移行と差分の移行を重ね、旧サーバーを読み取り専用で残したまま切り替えることです。この3点を踏まえておけば、「切り替えた翌朝から、フォルダが開けない、見えてはいけないフォルダが見えるという問い合わせが続いた」という事態を避けやすくなります。段取りに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

ファイルサーバー移行では、移行元のNTFSのアクセス権とActive Directoryのセキュリティグループを書き出し、フォルダごとに誰がどの権限を持つかの一覧を作ります。設計の段階では、Microsoft Entra IDやGoogle グループのどのグループに置き換えるか、SharePointのサイトや共有ドライブをどの単位で分けるか、引き継ぎを外すフォルダをどこまで許すかを、各部署の持ち主と決めます。移行では、Migration Managerのエージェントや記憶域移行サービスのオーケストレーターを置くサーバーを決め、部署単位のタスクに分けて、試しの移行で件数と容量を照らし合わせます。切り替え後は旧サーバーを読み取り専用で残し、権限の申し込みと見直しの手順を文書にしてお渡しします。

よくある質問

移行の作業中も社員はファイルサーバーを使えますか

多くの期間は使えます。最初にまとめて移した後、更新されたファイルを差分の移行で追いかける進め方なら、切り替えの直前まで元のファイルサーバーで作業を続けられます。Migration Managerにも差分を移すための設定があります。*2 切り替えの当日だけは、書き込みを止める時間を設けます。

古いファイルもすべて移すべきですか

すべて移す必要はありません。何年も開かれていないフォルダは、持ち主と相談して保管用の場所へ回すと、移す量と権限の設計の手間を減らせます。Migration Managerには、作成日や更新日で移行の対象から外す設定があります。*2

新しいファイルサーバーにWindows Server 2016を使えますか

記憶域移行サービスの移行先は、Windows Server 2019以降が前提です。2016も対象には含まれますが、移行が難しくなる場合があり、サポートは2027年1月に終わると案内されています。*4

ファイルサーバー移行と権限設計のご相談

ファイルサーバーの棚卸しから移行先の選定、アクセス権の設計、移行と切り替え後の運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:Microsoft Learn「概要: ファイル共有を Microsoft 365 に移行する」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/sharepointmigration/mm-get-started)。出典:Migration Managerでネットワークのファイル共有をSharePoint・OneDrive・Teamsへ移す仕組み、必要な管理者の権限と移行元の読み取り権限の記述を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:Microsoft Learn「移行マネージャーのプロジェクト設定」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/sharepointmigration/mm-project-settings)。出典:無効な文字・日付によるフィルター、アクセス許可の設定、差分同期の記述を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Microsoft Learn「SharePoint の制限」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/office365/servicedescriptions/sharepoint-online-service-description/sharepoint-online-limits)。出典:ファイルパス400文字、固有のアクセス許可(サポート5万・推奨5,000)、10万件を超えると継承を解除できないことの記述を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Microsoft Learn「記憶域移行サービスの概要」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-server/storage/storage-migration-service/overview)。出典:ファイル・共有・セキュリティ構成の転送、移行元サーバーのIDの引き継ぎ、移行先の要件(Windows Server 2019以降、2016のサポート終了)の記述を参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:Google Workspace ラーニング センター「共有ドライブとは」(https://support.google.com/a/users/answer/9310156?hl=ja)。出典:共有ドライブのファイルを個人ではなくチームが所有すること、メンバーが去ってもファイルが残ることの記述を参照(2026年10月確認)
  6. *6 参考:Google Workspace ラーニング センター「Google ドライブにおける共有ドライブの制限」(https://support.google.com/a/answer/7338880?hl=ja)。出典:1つの共有ドライブのアイテム数50万、メンバー600、グループ100の上限を参照(2026年10月確認)
  7. *7 参考:Google Workspace ラーニング センター「共有ドライブ内のフォルダの共有の仕組み」(https://support.google.com/a/users/answer/12380484?hl=ja)。出典:メンバー全員がすべてのファイルを閲覧できること、アクセスを制限したフォルダの記述を参照(2026年10月確認)




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