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ヘルプデスクによくある質問の内容と対応範囲|社内の問い合わせ9選
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- 社内ヘルプデスクの質問の内容は、アカウント・PC・ソフト・ネットワーク・申請・業務システム・セキュリティの種類に分けられます。
- パスワードやPCの不調は一次対応で閉じやすく、申請やセキュリティは受付だけをして承認者や責任者へ回します。
- 外部に頼む前に、一次対応で閉じる範囲、回し先、記録の形、優先度の決め方、引き継ぎを整理します。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
社内ヘルプデスクにどんな質問が来ていて、どこまで答えればよいのか——。ヘルプデスクの体制を見直そうとする情報システム部門の担当者は、まず質問の内容を整理するところでつまずきがちです。パスワードの再設定から業務システムの不具合、怪しいメールの報告まで、窓口に届く内容は幅広いからです。
本記事では、社内ヘルプデスクに来る問い合わせを種類ごとの表で分け、一次対応で答えられるか、外部への委託に向くかの目安を示します。そのうえで、よくある質問9つをQ&Aの形で並べ、それぞれの答えの要点と、ヘルプデスクがどこまで対応するかを整理します。
目次
ヘルプデスクの質問内容とは
社内ヘルプデスクには、社員からITに関するさまざまな質問が届きます。パスワードの再設定のように数分で終わるものもあれば、業務システムの不具合のように調べるのに日数がかかるものもあります。内容を分けずに同じ窓口で受けていると、急ぎの質問が後回しになったり、担当者が答えられない質問を抱え込んだりしがちです。
経済産業省の「システム管理基準」は、サービスレベル管理の管理活動として、利用部門を支援するためのサービスデスクを設置することを挙げています。*1 あわせて、利用部門からの問合せと対応結果を記録し、その記録をレビューして必要な改善を行うことも挙げています。*1 質問の内容を種類で分けておくと、この記録とレビューもしやすくなります。
- 一次対応:窓口でその場で答えて閉じる質問
- 二次対応:機器の修理や業務システムの調べなど、専門の担当へ回す質問
- 社内の判断:許可や優先順位など、情シスや責任者が決める質問
問い合わせの種類と分け方
社内ヘルプデスクに来る質問の内容を、種類ごとに分けると次の表のようになります。右の2列は、窓口の一次対応で答えられるかと、外部への委託に向くかの目安です。自社の問い合わせの記録を、この表の種類で数えてみると、どこに手間がかかっているかが見えてきます。
| 種類 | よくある問い合わせの例 | 一次対応で答えられるか | 委託に向くか |
|---|---|---|---|
| アカウント・パスワード | パスワードを忘れた/アカウントがロックされた | 答えられる(本人確認の後に再設定) | 向く |
| PC・周辺機器 | PCが起動しない/動きが遅い/印刷できない | 多くは答えられる(故障は修理の手配へ) | 向く |
| ソフトの使い方 | 表計算やWeb会議の操作が分からない | 答えられる | 向く |
| ネットワーク・メール | 社外からつながらない/メールが届かない | 1人だけの不調なら答えられる | 向く(全員の不調は障害として別の担当へ) |
| 申請・権限 | ソフトを入れたい/共有フォルダを見たい | 受付と案内まで(許可は承認者) | 受付は向く。許可の判断は社内に残す |
| 入社・退社・異動 | 新しい社員のPCとアカウントを用意してほしい | 手順が決まっていれば答えられる | 向く(手順書と申請の形が要る) |
| 業務システム | 社内の業務システムでエラーが出る | 聞き取りと既知の事象の確認まで | 受付は向く。原因の調べは保守・開発の担当へ |
| セキュリティ | 怪しいメールを開いた/偽の警告が出た | 最初の指示まで | 受付は向く。判断はセキュリティの責任者 |
表のうち、手順が決まっていて結果を確かめやすい種類ほど、一次対応で閉じられ、外部にも頼みやすくなります。反対に、申請やセキュリティのように誰かの許可や判断が要る種類は、受付だけを窓口で行い、決める人へ回す流れをつくります。システム管理基準は、インシデントの影響度と緊急度を利用部門とIT部門の間で評価し、対応の優先度について合意することも挙げています。*1
アカウントとPCのよくある質問
ここからは、社内ヘルプデスクによくある質問をQ&Aの形で並べます。まずは件数が多くなりやすい、アカウントとPC、ソフトとネットワークの質問です。どれも一次対応で閉じられることが多い質問ですが、どこから先を別の担当に回すかを決めておくと、窓口で抱え込まずに済みます。

Q1. パスワードを忘れました
- 答えの要点:本人であることを確かめてから、パスワードを再設定するか、ロックを解除する
- ヘルプデスクの対応範囲:再設定とロックの解除まで。本人確認のやり方は情シスが決めておく
Q2. PCが起動しない・動きが遅いです
- 答えの要点:電源と配線、再起動、更新の途中で止まっていないかを順に確かめてもらう
- ヘルプデスクの対応範囲:切り分けと代わりのPCの用意まで。故障なら修理の手配へ回す
Q3. プリンターで印刷できません
- 答えの要点:印刷先のプリンターの選び方と、紙詰まりやトナーの表示を確かめてもらう
- ヘルプデスクの対応範囲:設定の案内まで。機器の故障は保守の業者へ回す
Q4. 社外からVPNにつながりません
- 答えの要点:1人だけの不調か、ほかの社員も同じかを確かめ、接続の手順を案内する
- ヘルプデスクの対応範囲:1人だけの不調の解決まで。全員がつながらないなら障害としてネットワークの担当へ
Q5. メールが届かない・添付が送れません
- 答えの要点:迷惑メールのフォルダ、宛先の綴り、添付の大きさの上限を確かめてもらう
- ヘルプデスクの対応範囲:原因の確かめと案内まで。送信の制限を変えるかは管理者が決める
申請とセキュリティの質問
次は、窓口だけでは閉じられない質問です。許可や判断が要るため、ヘルプデスクの役目は受付と最初の案内、決める人へ回すところまでになります。

Q6. 仕事で使うソフトを入れたいです
- 答えの要点:社内で使ってよいソフトの一覧にあるかを確かめ、無ければ申請の手順を案内する
- ヘルプデスクの対応範囲:申請の受付まで。入れてよいかは承認者が決める
Q7. 共有フォルダが見られません
- 答えの要点:誰の承認があれば見られるかを案内し、承認が出てから権限を付ける
- ヘルプデスクの対応範囲:承認後の設定まで。誰に何を見せるかは部署の責任者と情シスが決める
Q8. 業務システムでエラーが出ます
- 答えの要点:画面の表示、起きた時刻、直前の操作を聞き取り、既に分かっている事象かを確かめる
- ヘルプデスクの対応範囲:記録と既知の事象の案内まで。原因の調べは保守・開発の担当へ回す
Q9. 怪しいメールを開いた・偽の警告が出ました
- 答えの要点:表示された番号に電話をかけず、PCをネットワークから外して、すぐに窓口へ知らせてもらう
- ヘルプデスクの対応範囲:最初の指示と報告の受付まで。調べるかどうかの判断はセキュリティの責任者へ
セキュリティの質問は、企業でも少なくありません。IPA(情報処理推進機構)の企業組織向け「サイバーセキュリティ相談窓口」が2026年4〜6月に対応した相談は302件でした。*2 そのうちインシデント対応が65件、偽のウイルスの警告で電話をかけさせるサポート詐欺が68件です。*2
同じ報告には、電話の指示で遠隔操作のソフトを入れてしまった社員の相談事例が載っています。IPAは、端末で何が行われたかを調べる場合は、すぐに初期化せず電源を切ったまま保全し、セキュリティベンダーの指示に従うよう答えています。*2 ヘルプデスクが慌てて初期化すると、後から調べられなくなります。窓口の手順には「初期化の前に責任者へ回す」を入れておきます。
外部に頼むときに確認しておきたい点
よくある質問の多くは手順が決まっているため、一次対応は外部に頼みやすい業務です。頼み方の形や社内に残す仕事はヘルプデスクの業務委託で扱っています。ここでは、質問の内容に沿って相談の前に整理しておきたい点を挙げます。
- 範囲:表の種類のうち、どれを一次対応で閉じてもらい、どれを受付だけにするか
- 回し先:二次対応の担当と、許可を出す承認者、セキュリティの責任者の連絡先
- 記録:問い合わせと対応の結果を残す形と、記録を見直す時期
- 優先度:影響度と緊急度の決め方。全員が使えない障害と1人の不調の扱いの違い
- 引き継ぎ:よくある質問の答えと手順書を、社内で読める形で受け取る時期
よくある質問の答えを社員が自分で探せるようにすると、窓口に届く質問そのものを減らせます。問い合わせを記録する仕組みの形はosTicketとZammadの違いで、情シスの業務全体の分け方は情シスの業務一覧で整理しています。
まとめ:質問の内容で窓口の役目を分ける
社内ヘルプデスクの見直しで押さえておきたい点は、3つに整理できます。第一に、届く質問の内容を種類ごとに分け、問い合わせの記録をその種類で数えること。第二に、パスワードの再設定やPCの切り分けのように一次対応で閉じる質問と、申請やセキュリティのように受付だけをして承認者や責任者へ回す質問を分けること。第三に、外部に頼む前に、閉じる範囲・回し先・記録の形・優先度の決め方・引き継ぎを決めておくことです。質問の内容ごとに窓口の役目が決まっていれば、担当者が答えられない質問を抱え込むことも減らせます。
よくある質問
問い合わせの内容はどう記録すればよいですか
受け付けた日時、質問した人、種類、内容、対応の結果、回した先を残します。種類は本文の表のように決めておくと、あとで数えて見直すときに使えます。表計算でも始められますが、件数が多いなら問い合わせを管理する仕組みを使うと記録の漏れを減らせます。
よくある質問の答えは社員に公開したほうがよいですか
パスワードの再設定の手順やプリンターの設定のように、社員が自分で解決できる質問は公開すると窓口の負担が減ります。権限の申請やセキュリティの報告のように判断が要るものは、答えではなく窓口への連絡の方法を載せておきます。
ヘルプデスクを外部に頼むと情シスの仕事はなくなりますか
一次対応の作業は減りますが、ソフトや権限の許可、優先度の決め方、セキュリティの判断、委託先の管理は社内に残ります。どの質問を頼み、どの質問を社内で受けるかを先に決めておくと、頼んだ後の行き違いを防げます。
社内ヘルプデスクの見直しのご相談
問い合わせの種類の棚卸しから、一次対応で閉じる範囲と回し先の決め方、記録とナレッジの整え方まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:経済産業省「システム管理基準」(令和5年4月26日)(https://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/sys-kansa/sys-kanri-2023.pdf)。出典:Ⅱ.5.5 インシデント管理・問題管理(影響度と緊急度の評価と優先度の合意)と、Ⅱ.5.6 サービスレベル管理(サービスデスクの設置、問合せの記録とレビュー)を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「サイバーセキュリティ相談窓口の相談状況[2026年第2四半期(4月~6月)]」(https://www.ipa.go.jp/security/support/reports/2026q2outline.html)。出典:1-1 相談件数の推移(2026年4月~6月の合計302件、インシデント対応65件、サポート詐欺68件)と、2 相談事例の回答(初期化をせず電源を切ったまま保全)を参照(2026年10月確認)