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MariaDBとMySQLの違い|サポート期限と移行の注意点
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- MariaDBはMySQLから分かれたオープンソースのデータベースで、接続の仕組みは互換ですが実装の差は版ごとに広がっています。
- コミュニティ版のLTSは一般提供から3年(11.4までは5年)保守され、10.6は2026年7月に保守が終わりました。
- MySQL 8.0以降から移すときは、JSONの列や利用者の認証方式などの差を試験の環境で確かめてから切り替えます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
システムの構成表に「MariaDB」と書かれているが、MySQLと何が違うのか説明できない。いま使っている版の保守がいつまで続くのかも分からない——。データベースの運用を引き継いだ情報システムの担当者には、こうした悩みがつきものです。MariaDBは、MySQLから分かれて開発が続いているオープンソースのデータベースです。
MySQLと同じ感覚で使える場面は多いものの、万能ではなく、版によってはMySQLとの差が移行の手間になります。本記事では、システムの担当者に向けて、MariaDBとMySQLの違い、MariaDBの版ごとのサポート期限、MySQLから移すときの進め方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
目次
MariaDBとは
MariaDBは、MySQLの元の開発者たちが作ったデータベースで、MariaDB財団はオープンソースであり続けることを約束しています。*1 もともとMySQLをそのまま置き換えて使えるように設計され、SQLという共通の言葉で操作します。
- MySQLから分かれて(フォークして)開発が続いているソフトウェアで、ソースコードはGitHubで公開されています
- ライセンスはGPLv2(ソースコードの公開を条件に自由に使えるライセンス)で、MySQLから引き継いだものです*5
- 開発はMariaDB財団と企業のMariaDB plcが担い、期間の長い有償のサポートはMariaDB plcが提供しています
- 版は、毎年出る長期サポート版(LTS)と、四半期ごとに出るローリングリリース(保守の期間が短い版)の2本立てです
MySQLで動いていたアプリケーションの多くは、そのままMariaDBでも動くと案内されています。*3 ただし、版が新しくなるたびにMySQLとの実装の差は広がっているとも書かれています。*2
MariaDBとMySQLの違い
両者は同じ根から分かれたため、基本の使い方は共通しています。MariaDBの文書は、アプリケーションとの通信の仕組み(プロトコル)がMySQLと互換で、MySQL用の接続部品(コネクタ)がそのまま使えると説明しています。*2 一方で、開発の体制やデータの持ち方には違いがあります。

| 比べる点 | 違いの中身 |
|---|---|
| 開発の体制 | MariaDBは財団とMariaDB plcが開発し、MySQLはOracle社の製品です |
| 保守期限の決め方 | MariaDBは財団の保守方針、MySQLはOracle社のサポート方針で、それぞれ版ごとの期限を公開しています |
| アプリケーションとの接続 | 通信の仕組みは互換で、MySQL用の接続部品をそのまま使えます |
| JSONの保存 | JSON(データの書き方の一つ)を、MySQLは専用の形式で、MariaDBはただの文字列として保存します |
| 複製の通し番号 | 複製(レプリケーション)で使う通し番号のGTIDは方式が異なり、互換性がありません |
| 標準で入る機能 | MariaDBには、複数台のデータを同時にそろえるGalera Clusterが標準で含まれています |
差が大きく出るのは、MySQL 8.0以降から移るときです。MariaDBの更新の仕組みがデータファイルをそのまま引き継げるのは、MySQL 8.0より前の版です。*1 MySQL 8.0からは、データを書き出して入れ直すか、複製でデータを流し込みます。MariaDB 11.4.5以降などの版は、条件つきでMySQL 8.0からの複製を受けられます。*4
版ごとのサポート期限
MariaDB財団は、LTSを毎年1つ出し、コミュニティ版のLTSは一般提供の開始から3年間、そのまま入れられる形のソフト(バイナリ)を無償で出すとしています。11.4までの版は5年間です。期限の後も、重大な修正とセキュリティの修正はソースコードの形でさらに2年出ますが、自社で組み立てる手間がかかります。*1
| 版 | 一般提供の開始 | コミュニティ版の保守終了 |
|---|---|---|
| 10.6 | 2021年7月6日 | 2026年7月6日(終了済み) |
| 10.11 | 2023年2月16日 | 2028年2月16日 |
| 11.4 | 2024年5月29日 | 2029年5月29日 |
| 11.8 | 2025年6月4日 | 2028年6月4日 |
| 12.3 | 2026年5月28日 | 2029年6月12日 |
表のとおり、新しい版ほど保守が長いとは限りません。11.4は5年の対象のため、後から出た11.8より1年ほど長く保守されます。保守が終わった10.6を使い続けている場合は、更新を急ぐ必要があります。なお財団は、これらの日付は法的な約束ではないとしています。*1
MySQLの期限は、Oracle社のサポート方針の一覧に載っています。MySQL 8.0は延長サポートが2026年4月に終わり、8.4は標準のサポートが2029年4月、延長サポートが2032年4月までです。*6 どちらを選ぶ場合も、期限を台帳に写し、更新の時期を前もって決めておきます。
MySQLから移すときの進め方
MySQL 5.7のような古い版の保守が終わったことをきっかけに、移行先としてMariaDBとMySQL 8.4を比べる場面があります。MySQLのまま版を上げる場合の進め方はMySQL 5.7の終了に伴う8.0への移行で扱っています。ここでは、MariaDBへ移す場合の流れを4つの段階で示します。
- ステップ1:いまの版と保守の期限を棚卸しする(本番・検証・バックアップ用の全台)
- ステップ2:移行先のLTSを選ぶ(保守の期限が、業務システムの更新の計画に合う版)
- ステップ3:試験の環境で差を確かめる(JSONの列、利用者の認証の方式、日本語の並び順の設定、アプリケーションの動き)
- ステップ4:切り替えの方式と、移行した後の更新の計画を決める
つまずきやすいのはステップ3です。MySQLのSHA256方式のパスワードで作った利用者はMariaDB 11.8では使えず、MySQLで標準で有効な性能の監視機能(performance schema)も標準で無効です。*3 アプリケーションだけでなく、監視などの運用の道具も試験に含めます。
台数が少なく、MySQL 8.0より前の版から移すだけなら、社内で進められる場合もあります。複数のシステムが同じデータベースを使う、止められる時間が短い、といった条件が重なるなら、外部の手を借りる判断も現実的です。
外部に頼むときに確認しておきたい点
MariaDBへの移行や版の更新を外部に頼むときは、作業の範囲と、移した後の保守を誰が持つかを最初にそろえておきます。次の点を見積もりの前に確かめておくと、話が食い違いにくくなります。

- 範囲:版の棚卸し、移行先の選定、試験、切り替え、移行した後の保守のうち、どこまでを任せるか
- 試験の方法:アプリケーションの動作を誰がどの手順で確かめ、どの結果で合格とするか
- 切り替えの方式:データを書き出して入れ直すか、複製を使って並行して動かすか。止める時間の見込みと元に戻す手順
- 有償サポートの要否:コミュニティ版のまま運用するか、MariaDB plcやOracle社の有償サポートを付けるか
- 移行した後の更新:修正版を誰がいつ当て、次のLTSへの更新をいつ計画するか
特に移行した後の更新は、引き継ぎで抜けやすい点です。MariaDBの不具合修正の版は四半期ごとに出る予定です。*1 修正版を当てる時期と次の版への更新を、移行の計画と同じ文書に書いておきます。
まとめ:MariaDBで確かめておきたい3つの点
MariaDBを選ぶ、または使い続けるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、MySQLと接続の仕組みは互換でも、JSONの保存などの実装が違うと理解しておくこと。第二に、使っている版の保守の期限を財団の表で確かめ、次のLTSへの更新を計画すること。第三に、MySQL 8.0以降から移すなら、認証方式や監視の道具まで試験の環境で確かめることです。この3点を踏まえておけば、「移してみたら一部の機能が動かず、元のMySQLに戻すことになった」という事態を避けやすくなります。移行先の選び方や切り替えの方式に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
MariaDBは無料で使えますか
はい、ライセンスはGPLv2で、ソフトウェアの利用料はかかりません。*5 ただし、コミュニティ版の保守の期間を過ぎた版を長く使いたい場合や、問い合わせの窓口が必要な場合は、MariaDB plcの有償サポートを検討することになります。
MariaDBとMySQLを同じシステムで混ぜて使えますか
MySQLからMariaDBへの複製は、版と設定の条件を満たせば組めます。*4 ただし複製の通し番号の方式が違うなど、運用の手順は別々になります。移行のための一時的な並行稼働にとどめ、長く混ぜたままにしない計画にしておくと、保守の手間を抑えられます。
ローリングリリースの版を本番で使ってもよいですか
公式のリポジトリでは、本番にはLTSを勧めています。*5 ローリングリリースは新しい機能が早く入る代わりに保守の期間が短いため、検証用の環境で新しい機能を試す使い方が向いています。
MariaDB・MySQLの移行と保守のご相談
MariaDBとMySQLの版の棚卸しから、移行先の選定、試験と切り替え、移行後の更新の計画まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:MariaDB Foundation「About MariaDB Server」(Maintenance policy を含む)(https://mariadb.org/about/)。出典:MySQLの元の開発者による開発、LTSの保守期間(コミュニティ版3年・11.4までは5年・ソースコードでの2年の追加)、版ごとの一般提供日と保守終了日の表、日付が法的な約束ではないこと、MySQL 8.0より前の版のデータファイルの更新、四半期ごとの修正版の記述を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:MariaDB Documentation「MariaDB versus MySQL – Compatibility」(https://mariadb.com/docs/release-notes/community-server/about/compatibility-and-differences/mariadb-vs-mysql-compatibility)。出典:クライアントとの通信の仕組みの互換、MySQL用コネクタがそのまま使えること、版ごとに実装の差が広がることの記述を参照(2026年10月確認)
- *3 参考:MariaDB Documentation「Incompatibilities and Feature Differences Between MariaDB 11.8 and MySQL 8.0」(https://mariadb.com/docs/release-notes/community-server/about/compatibility-and-differences/incompatibilities-and-feature-differences-between-mariadb-11-8-and-mysql-8)。出典:多くのアプリケーションがそのまま動くこと、Galeraが標準で含まれること、GTIDの非互換、JSONの保存形式、SHA256方式のパスワードの利用者、performance schemaの既定値の記述を参照(2026年10月確認)
- *4 参考:MariaDB Documentation「Replication Compatibility Between MariaDB and MySQL」(https://mariadb.com/docs/release-notes/community-server/about/compatibility-and-differences/replication-compatibility-between-mariadb-and-mysql)。出典:MySQL 8.0からの複製を受けられる版(10.6.21・10.11.11・11.4.5以降など)と、その条件の記述を参照(2026年10月確認)
- *5 参考:MariaDB/server(GitHub)(https://github.com/MariaDB/server)。出典:READMEのライセンス(GPLv2・MySQLから継承)、開発体制、本番にはLTSを勧めること、MySQLがOracle社の製品であることの記述を参照(2026年10月確認)
- *6 参考:Oracle「Oracle Lifetime Support Policy: Oracle Technology Products」(https://www.oracle.com/us/support/library/lsp-tech-chart-069290.pdf)。出典:Oracle MySQL Releases の表(MySQL Database 8.0・8.4のPremier Support・Extended Supportの終了時期)を参照(2026年10月確認)