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Nutanix移行はなぜ段階的に進めるのか?手順と体制を解説
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- Nutanix移行には、ハイパーバイザーをESXiのまま残す方法とAHVへ切り替える方法があります。
- 移行は業務の単位で分け、影響の小さいシステムで手順を確かめてから重要なシステムへ進めます。
- 責任者・基盤・ネットワーク・業務システム・運用の役割を、社内と外部のどちらが持つか先に決めます。
※ 本記事は2026年11月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
VMwareの契約更新の見積もりを見て、移行先を探し始めた。候補にNutanixが挙がったものの、何から手をつければよいか分からない——。仮想化基盤を長く使ってきた情報システム部門では、こうした戸惑いが起こりがちです。Nutanix移行とは、VMwareなどの基盤で動かしている仮想マシンを、サーバーとストレージを一体にしたNutanixの基盤へ移すことを指します。
移す方法は1つではなく、仮想マシンを動かす土台のソフトを今のまま残すか切り替えるかで、作業の量が変わります。ただし万能な近道はなく、移行のツールがあっても、業務を止めない順番づくりと体制は自社で考える必要があります。本記事では、VMwareからの移行先としてNutanixを検討している情報システムの担当者に向けて、移行の方法の違い、段階的に進める理由、進め方と体制、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
目次
Nutanix移行とは
移行先になるNutanixの基盤は、Nutanix Cloud Infrastructure(NCI)と呼ばれます。Nutanixは、HCI(ハイパーコンバージドインフラ)を「サーバー(コンピューティング)とストレージをソフトウェアで統合し、シンプルかつ柔軟に拡張できる分散型インフラ基盤」と説明しています。*1 サーバー、ストレージ、ストレージネットワークを別々に設計して管理してきた従来の形とは、組み立て方が異なります。
- NCI:HCIの基盤です。1台1台のサーバーをノードと呼び、ノードを束ねてクラスタを組みます*1
- AHV:Nutanixのハイパーバイザー(仮想マシンを動かす土台のソフト)です。単体の製品ではなく、NCIの一部として提供されます*5
- Prism:オンプレミス、エッジ、パブリッククラウドの環境をまとめて管理する画面です*3
- Nutanix Move:仮想マシンを移すためのツールです。vSphere、Hyper-V、AWSなどから移せます*4
移行で触るのは仮想マシンだけではありません。ストレージの構成、ネットワークの設定、バックアップや監視の仕組みも、新しい基盤に合わせて組み直すことになります。どこまでを今回の移行に含めるかを、最初に決めておくと作業の抜けを防げます。
ESXiのまま移る方法とAHVへ移る方法の違い
NCIでは、ハイパーバイザーをVMware ESXiやMicrosoft Hyper-V、AHVから選べます。*2 そのため、Nutanixへの移行には大きく分けて、ハイパーバイザーを今のESXiのまま残す方法と、AHVへ切り替える方法があります。機器を自社で持たず、パブリッククラウドの上でNutanixを動かす選択肢もあります。*5

| 方法 | 変わるもの | 変わらないもの | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| ESXiのままNutanixの基盤へ移る | サーバーとストレージの構成、基盤の管理の仕方 | 仮想マシンを動かすハイパーバイザー | 機器の入れ替えを先に済ませ、ハイパーバイザーは後で考えたいとき |
| AHVへ移る | ハイパーバイザー、管理画面、運用の手順 | アプリケーションの中身(コードや構成は変えずに移せると案内されています) | VMwareの製品から離れることを決めたとき |
| パブリッククラウド上のNutanixへ移る | 機器の置き場所と調達の仕方 | Nutanixの基盤としての操作の仕方 | データセンターの機器を自社で持ちたくないとき |
今使っているストレージ装置を残したい場合は、認定ストレージパートナーの外付けストレージと組み合わせるNCI Computeという形もあります。*2 VMwareを続けるか移るかの判断の軸はVMwareライセンス改定後の移行判断で、オープンソースの仮想化基盤を選ぶ場合はProxmox VEで仮想化基盤を外注構築で扱っています。
なぜ段階的に進めるのか
仮想マシンを一晩でまとめて移そうとすると、切り替えにかかる時間が長くなり、問題が起きたときにどの仮想マシンが原因かを絞り込めません。Nutanix Moveにも、移行を小さく分けて進めるための機能がそろっています。*4
- 移行プランごとに1台または複数の仮想マシンをまとめ、業務の単位で順番に移せます
- 切り替えの数日〜数週間前にデータを移行先へ移しておき、切り替えの時間を短くできます
- 切り替えの前に、移行先で仮想マシンの動きを確かめられます
- 切り替えのときは、最後の差分だけを同期してから移行先で起動します
- 移行元のネットワークと移行先のネットワークの対応づけを設定できます
段階的に進めると、最初に影響の小さいシステムで手順を確かめ、つまずいた点を直してから重要なシステムへ進めます。手順書と切り戻しの方法を最初の1群で固めておけば、後の群ほど作業が安定し、停止時間の見積もりも立てやすくなります。
移行の進め方と体制
Nutanix移行は、次の4つのステップで進めると、途中で計画を作り直さずに済みます。
- ステップ1:今の仮想マシン、ストレージ、ネットワーク、バックアップの構成を洗い出す
- ステップ2:小さな環境で試す(自社の機器で動かせる無料のCommunity Editionと、ブラウザで操作を試せるTest Driveがあります)*6
- ステップ3:業務の単位で移行プランを分け、影響の小さいものから移す
- ステップ4:切り替え後の動作を確かめ、監視とバックアップを新しい基盤に合わせる
進め方と同じくらい大切なのが、誰が何を受け持つかです。移行は基盤の作業だけでは終わらず、業務部門との日程の調整や、切り替え後の動作確認が伴います。役割は次のように分けておくと、作業の抜けや重なりが見えます。
| 役割 | 主な仕事 |
|---|---|
| 移行の責任者 | 移す順番と停止時間を業務部門と決める。切り戻すかどうかを判断する |
| 基盤の担当 | Nutanixのクラスタを構築し、ストレージとハイパーバイザーを設定する |
| ネットワークの担当 | 移行先のネットワークを設計し、移行元との対応づけを決める |
| 業務システムの担当 | 移行の前後でシステムの動きを確かめ、利用部門へ連絡する |
| 運用の担当 | 監視とバックアップを切り替え、運用の手順書を新しい基盤に合わせて直す |
社内で全部の役割をそろえられない場合は、責任者と業務システムの確認を社内に残し、基盤とネットワークの作業を外部に任せる分け方が考えられます。停止できる時間や確認の観点は、業務の事情を知っている社内の人でなければ決められないためです。
外部に頼むときに確認しておきたい点
Nutanix移行の作業を外部に頼むときは、移す台数だけで見積もりを取ると、確認や切り戻しの作業が抜け落ちがちです。見積もりの前に、次の点を確かめておきます。

- どこまで頼むか:構成の洗い出し、クラスタの構築、仮想マシンの移行、監視とバックアップの切り替えのうち、どれを任せるか
- 移行の順番:業務の単位でどう分けるか。最初の1群にどのシステムを選ぶか
- 確認の方法:切り替えの前後でどの項目を誰が確かめるか。結果をどう記録するか
- 切り戻し:問題が出たとき、どの時点までなら移行元に戻せるか
- 運用後の見直し:移行後の監視の結果を見て、構成やバックアップの設定を直す場を設けるか
特に切り戻しの手順は、移行元の環境をいつ止めるかと合わせて決めます。移行元を早く止めすぎると戻る先がなくなり、残しすぎると2つの基盤の保守費用と手間が重なります。
まとめ:Nutanix移行で確かめておきたい3つの点
Nutanix移行を進めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、ESXiのまま移るかAHVへ移るかを、今の構成を洗い出したうえで決めること。第二に、業務の単位で移行を分け、影響の小さいシステムで手順を確かめてから進めること。第三に、責任者・基盤・ネットワーク・業務システム・運用の役割を、社内と外部のどちらが持つかを最初に決めることです。この3点を踏まえておけば、「移行のツールは用意したのに、切り替えの日程がいつまでも決まらない」という事態を避けやすくなります。移行の計画や体制づくりに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
移行のときにアプリケーションの改修は必要ですか
Nutanixは、Nutanix Moveを使えばコードや構成を変えずにアプリケーションを移せると案内しています。*4 ただし、ソフトウェアのライセンスが機器の構成にひもづいている場合などは、移行の前にそのソフトの提供元へ条件を確かめておきます。
今使っているサーバーやストレージはそのまま使えますか
NCIは、サーバーメーカーを問わず構成を選べると案内されており、認定ストレージパートナーの外付けストレージと組み合わせる形もあります。*2 今の機器がそのまま対象になるかは、型番を添えてNutanixや販売店に確かめるのが確実です。
本番の前に操作を試すことはできますか
試せます。自社の機器に入れて使える無料のCommunity Editionと、ブラウザからガイド付きで操作を試せるTest Driveが用意されています。*6 Community Editionは上級者向けとされているため、構築に慣れていない場合はTest Driveから始めると進めやすくなります。
Nutanix移行の計画と体制づくりのご相談
VMwareからNutanixへの移行の計画づくりから、仮想マシンの移行、監視とバックアップの切り替えまで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:Nutanix「ハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)とは?」(https://www.nutanix.com/ja/hyperconverged-infrastructure)。出典:HCIの定義、ノードとクラスタの説明を参照(2026年11月確認)
- *2 参考:Nutanix「Nutanix クラウドインフラ(NCI)」製品ページ(https://www.nutanix.com/ja/products/nutanix-cloud-infrastructure)。出典:ハイパーバイザー(VMware ESXi・Microsoft Hyper-V・AHV)の選択、任意のサーバーメーカーのサーバーの選択、外付けストレージをサポートするNCI Computeの記述を参照(2026年11月確認)
- *3 参考:Nutanix「AHV」製品ページ(https://www.nutanix.com/ja/products/ahv)。出典:Nutanix MoveによるAHVへの移行、Prismによる統合管理の記述を参照(2026年11月確認)
- *4 参考:Nutanix「Nutanix Move」製品ページ(https://www.nutanix.com/ja/products/move)。出典:移行プラン、データの事前投入、カットオーバー前のテスト、最終的な差分同期、ネットワークのマッピング、対応する移行元(vSphere・Hyper-V・AWSなど)の記述を参照(2026年11月確認)
- *5 参考:Nutanix「VMware からの移行」ページ(https://www.nutanix.com/ja/vmware-alternative)。出典:AHVがスタンドアローンではなくNutanix Cloud Infrastructureの一部であること、パブリッククラウド上での実行の記述を参照(2026年11月確認)
- *6 参考:Nutanix「Nutanix Community Edition」製品ページ(https://www.nutanix.com/ja/products/community-edition)。出典:Community Edition(自社のハードウェアで無料・上級者向け)とTest Driveの記述を参照(2026年11月確認)