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2026.11.02 らしくコラム

OCI移行の4つのステップ|今のデータベースを活かすクラウド移行

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

夜の運用室でモニターの同期の表を指すDB担当と、後ろからのぞき込む同僚

この記事の結論

  • OCIはOracleのクラウドで、Oracle Databaseを種類を変えずに載せるサービスを複数そろえています。
  • 移行先は性能だけでなく、パッチ適用やバックアップを自社とOracleのどちらが受け持つかで選びます。
  • 移行はオンラインとオフラインから選び、リハーサルと戻す手順を用意してから切り替えます。

※ 本記事は2026年11月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

データセンターの機器の保守期限が近いのに、Oracle Databaseを別のデータベースへ作り替えるほどの予算も時間もない。クラウドへ移したいが、今のライセンスがどうなるのか分からない——。Oracle Databaseを長く使ってきた会社では、こうした迷いが起こりがちです。OCI(Oracle Cloud Infrastructure)は、Oracleが提供するクラウドで、Oracle Databaseを載せるためのサービスを複数そろえています。

Oracle Databaseを使い続けたままクラウドへ移せるので、アプリの作り直しを抑えたい場合の選択肢になります。ただし万能ではなく、どのサービスに載せるかで、自社で受け持つ運用の範囲が大きく変わります。本記事では、システムの移行を検討する情報システムの担当者に向けて、移行先の違い、OCI移行の4つのステップ、ライセンスの扱い、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

OCIとは

Oracleの公式ドキュメントは、OCIを、可用性の高い環境でさまざまなアプリケーションやサービスを構築して動かすための、互いに補い合うクラウドサービスの集まりと説明しています。*1

  • 国内には東京と大阪の2つのリージョン(データセンターを置く地域)があります*2
  • Oracle Database向けに、仮想マシンで動くBase Database Service、専用機で動くExadata Database Service、運用を自動化したAutonomous AI Databaseがあります
  • データベースを移す道具として、Zero Downtime Migration(ZDM)と、ZDMを土台にした管理サービスのOCI Database Migrationが用意されています*3

OCI移行の特徴は、データベースをOracle Databaseのまま移せることです。PostgreSQLなど別のデータベースへ移す場合の進め方は脱Oracle DB、PostgreSQL移行を外注で進めるで扱っています。

データベースの移行先の違い

OCIでOracle Databaseを動かす場所は、大きく4つに分かれます。性能だけでなく、パッチの適用やバックアップといった日々の運用を、自社とOracleのどちらが受け持つかが変わります。

壁のモニターの4列の表を示すDB担当と、腕を組んで見る課長

OCIでOracle Databaseを動かす4つの移行先
移行先 特徴 向いている場面
Base Database Service 仮想マシンで動くデータベース。1台の構成と、複数台で1つを動かすRAC構成がある。OSとデータベースの更新は利用者が定期的に行う*3 今のデータベースの構成をなるべくそのまま移したいとき
Exadata Database Service Oracleの専用機Exadataをクラウドで使う。データベース用とストレージ用のサーバーを後から追加できる*4 大きなデータベースや処理の重いシステムを移したいとき
Autonomous AI Database 構築・バックアップ・パッチ適用・アップグレードをサービス側が行い、データベース管理の作業が要らない*5 設定の自由度より保守の軽さを取りたいとき
コンピュートに自分で導入 仮想マシンや物理サーバーを借り、Oracle Databaseを自社で入れて管理する OSやデータベースの細かな構成まで自社で決めたいとき

今の運用をそのまま続けたいならBase Database Service、保守の手間を減らしたいならAutonomous AI Database、という分け方が基本です。リホストやリプラットフォームといった移行方式の全体像はクラウド移行戦略と移行方式(6R)の選び方にまとめています。

OCI移行の4つのステップ

OCI移行は、データを運ぶ作業より、その前の棚卸しと方式の決定に時間をかけるほうが手戻りを減らせます。次の4つのステップで進めます。

  • ステップ1:今のデータベースを棚卸しする(版・容量・つながるアプリ・止められる時間)
  • ステップ2:移行先のサービスとライセンスの扱いを決める
  • ステップ3:移行の方法を選ぶ(止めずに移すオンラインか、止めて移すオフラインか)
  • ステップ4:リハーサルで手順と時間を確かめてから本番を切り替える

OCI移行を4つのステップで左から順に並べた流れ図。STEP1 今のデータベースを棚卸しする、STEP2 移行先とライセンスを決める、STEP3 移行の方法を選ぶ、STEP4 リハーサルをして切り替える。

ステップ3で使う道具がZDMです。Oracleによると、ZDMはOracle Database 11g Release 2(11.2.0.4)以降に対応し、オンラインとオフラインのどちらでも移行できます。*6 オンラインの方法では、たとえばData Guard(本番のデータベースの複製を別の場所で同期させ続ける仕組み)で移行先を追いつかせておき、切り替えのときだけ止めます。その停止は通常15分未満とされています。*6

オフラインの方法は、元のデータベースのバックアップを取り、移行先で復元する形です。作業のあいだは元のデータベースが止まります。ZDMを自社で入れる手間を避けたいときは、ZDMを内部で動かす管理サービスのOCI Database Migrationを使えます。*7

ライセンスの持ち込みとは

OCIのデータベースサービスでは、Oracle Databaseのライセンスの扱いを2つから選びます。Exadata Database Serviceの説明では、必要なライセンスを利用料に含める方法と、すでに持っているライセンスを持ち込む方法が示されています。*4

  • ライセンス込み(License Included):利用料にライセンスが含まれ、データベースのサポートもクラウドの契約に含まれます*3
  • 持ち込み(BYOL:Bring Your Own License):今持っているライセンスを使います。持ち込むライセンスには、有効なサポート契約が必要です*3

持ち込みを選ぶ場合は、今のライセンスの種類と数、サポート契約の期限をステップ1で確かめておきます。数え方は契約によって変わるため、最終的にはOracleとの契約書や購入先に確かめます。

外部に頼むときに確認しておきたい点

OCI移行を外部に頼むときは、つながるアプリやネットワークまで含めて範囲を決めます。見積もりの前に、次の点を確かめておきます。

タブレットの日程表を見せる委託先の技術者と、質問しようとする情シス担当

  • どこまで頼むか:棚卸し、移行先の設計、データの移行、アプリの動作確認、移行後の運用のうち、どれを任せるか
  • 移行の方法:オンラインかオフラインか。止められる時間に収まるかを、リハーサルで測ってから決めるか
  • ネットワーク:社内とOCIをどうつなぐか。切り替えの日に、アプリの接続先をどう変えるか
  • 戻す手順:切り替えで問題が出たとき、元のデータベースへ戻す手順と、戻すかどうかを決める期限があるか
  • 移行後の運用:パッチの適用、バックアップ、監視を、自社と委託先のどちらが受け持つか

特に戻す手順は後回しにされやすい点です。戻す判断を誰がいつまでに下すかを、切り替えの前に決めておきます。

まとめ:OCI移行で確かめておきたい3つの点

OCI移行を進めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、Base Database Service、Exadata Database Service、Autonomous AI Databaseなどの移行先を、自社で受け持てる運用の範囲から選ぶこと。第二に、ライセンスを利用料に含めるか持ち込むかを、今の契約を棚卸ししたうえで決めること。第三に、オンラインかオフラインかの移行方法をリハーサルで確かめ、戻す手順まで用意してから切り替えることです。この3点を踏まえておけば、「移したあとで運用の負担が思ったより増えた」という事態を避けやすくなります。移行先の選び方や切り替えの計画に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

OCI移行では、Base Database Service・Exadata Database Service・Autonomous AI Databaseのどれに載せるかを、今のデータベースの版・容量・RAC構成の有無と、お客様が受け持てる運用の範囲から決めます。移行の方法は、ZDMやOCI Database Migrationを使ったオンライン移行とオフライン移行を比べ、Data Guardで同期させる場合も、止められる時間に収まるかをリハーサルで測ってから選びます。設計の段階では、社内とOCIをつなぐネットワーク、アプリの接続先の切り替え、元のデータベースへ戻す手順を文書にします。運用では、パッチの適用・バックアップ・監視の分担を決め、移行後に見直す場を設けます。

よくある質問

データベース以外のサーバーもOCIへ移せますか

移せます。VMwareの仮想マシンを対象にしたOracle Cloud Migrationsというサービスがあり、移行できる仮想マシンの洗い出しからデータの複製、OCI上での起動までを進められます。*8

移行の前にOracle Databaseを試す環境は作れますか

開発や検証のためであれば、データベースのライセンス料がかからないBase Database Service for Developersがあります。*3 ただし、サーバーやストレージの利用料はかかり、本番の業務には使えません。1台の構成に限られるなどの制約もあります。

移行したあとのバックアップはどうなりますか

Base Database Serviceでは、毎日の自動バックアップと、任意のタイミングでの完全バックアップを取れます。*3 保存先は、データベースのサーバー内か、OCIのオブジェクトストレージから選びます。保存する期間や復元の手順は、移行の設計の段階で決めておきます。

OCIへのデータベース移行のご相談

OCIへのOracle Databaseの移行先の選定から、移行のリハーサル、切り替え後の運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:Oracle「Welcome to Oracle Cloud Infrastructure」(OCIドキュメント)(https://docs.oracle.com/en-us/iaas/Content/GSG/Concepts/baremetalintro.htm)。出典:OCIの説明(可用性の高い環境でアプリケーションを構築・実行するクラウドサービスの集まり、物理サーバーのコンピュートと仮想ネットワーク)を参照(2026年11月確認)
  2. *2 参考:Oracle「Regions and Availability Domains」(OCIドキュメント)(https://docs.oracle.com/en-us/iaas/Content/General/Concepts/regions.htm)。出典:リージョン一覧の Japan East (Tokyo)・Japan Central (Osaka) を参照(2026年11月確認)
  3. *3 参考:Oracle「Base Database」(OCIドキュメント)(https://docs.oracle.com/en-us/iaas/base-database/index.html)。出典:仮想マシンのDBシステム(1台構成・RAC構成)、OSとデータベースの定期的な更新、自動バックアップと保存先、ZDMとOCI Database Migration、ライセンス込みと持ち込みのサポート要件、Base Database Service for Developersの記述を参照(2026年11月確認)
  4. *4 参考:Oracle「Oracle Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure Description」(OCIドキュメント)(https://docs.oracle.com/en-us/iaas/exadatacloud/doc/exa-service-desc.html)。出典:ライセンスを含める方法と持ち込む方法、データベース用とストレージ用のサーバーの追加の記述を参照(2026年11月確認)
  5. *5 参考:Oracle「What is Oracle Autonomous AI Database?」(OCIドキュメント)(https://docs.oracle.com/en-us/iaas/autonomous-database-serverless/doc/autonomous-intro-adb.html)。出典:データベース管理が不要であること、構築・バックアップ・パッチ適用・アップグレードをサービスが行うことの記述を参照(2026年11月確認)
  6. *6 参考:Oracle「Introduction to Zero Downtime Migration」(Zero Downtime Migration 26.1 ドキュメント)(https://docs.oracle.com/en/database/oracle/zero-downtime-migration/26.1/zdmug/introduction-to-zero-downtime-migration.html)。出典:対応する版(11.2.0.4以降)、オンラインとオフラインの移行、Data Guardを使うオンライン移行、停止が通常15分未満、バックアップと復元によるオフライン移行の記述を参照(2026年11月確認)
  7. *7 参考:Oracle「Overview」(OCI Database Migration ドキュメント)(https://docs.oracle.com/en-us/iaas/database-migration/doc/overview-oracle-cloud-infrastructure-database-migration.html)。出典:OCIへデータベースを移す管理サービスであること、内部でZero Downtime Migrationのサーバーが動くことの記述を参照(2026年11月確認)
  8. *8 参考:Oracle「Overview of Oracle Cloud Migrations」(OCIドキュメント)(https://docs.oracle.com/en-us/iaas/Content/cloud-migration/cloud-migration-overview.htm)。出典:VMwareの仮想マシンをOCIへ移すサービスであること、仮想マシンの洗い出し・データの複製・OCI上での起動の記述を参照(2026年11月確認)




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