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入社承諾書のテンプレート|項目ごとの書き方と承諾後の辞退の扱い
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- 入社承諾書は候補者が条件に合意したことを書面で残すもので、労働条件の明示は労働条件通知書で先に行います。
- ひな形は宛名・承諾の文言・確かめた書面・入社予定日など9項目で、条件の中身は書面の名前と日付で指します。
- 印鑑は必須にせず署名かメールで足りる形にし、辞退に備えて違約金ではなく連絡の窓口を書いておきます。
※ 本記事は2026年11月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
エンジニアの中途採用で内定を出したあと、候補者に入社承諾書を返してもらう場面があります。何を書いてもらえばよいか、オファーレターや労働条件通知書と何が違うのか、承諾のあとに辞退されたらどうなるのかで、ひな形づくりの手が止まることがあります。
本記事は、エンジニアを採る企業の採用担当者に向けて、入社承諾書の項目のテンプレートを、書く中身・記入の例・よくある抜けの表で示します。日付・署名・印鑑・保証人の書き方と承諾後の辞退の扱いは、法令の条文と官公庁の資料で確かめられることだけを書きます。
目次
入社承諾書とオファーレターの違い
入社承諾書は、内定を受けた候補者が、示された条件で入社することを承諾したと会社に伝える書面です。労働基準法、同法の施行規則、労働契約法には、入社承諾書という名前の書面の定めはありません。
労働契約法第6条は、労働契約は、働くことと賃金を払うことについて労働者と使用者が合意することで成立するとしています。同法第4条は、労働契約の内容をできる限り書面で確認するものとしています。*1 入社承諾書は、この合意を候補者の側から書面で残す役目を持ちます。
| 書面 | 出す側 | 役目 | 主な中身 |
|---|---|---|---|
| オファーレター | 会社 | 内定を伝え、条件の全体像を示す | 役割・年収の内訳・入社日・回答期限 |
| 労働条件通知書 | 会社 | 労働基準法第15条の労働条件の明示に使う | 契約期間、就業の場所と業務、労働時間と休日、賃金、退職 |
| 入社承諾書 | 候補者 | 示された条件で入社することを承諾したと伝える | 承諾の文言・確かめた書面・入社予定日・署名 |
労働基準法第15条は、労働契約を結ぶ際に、賃金や労働時間などの労働条件を明示するよう使用者に求めています。*2 施行規則第5条は、契約期間、就業の場所と業務、始業と終業の時刻や休日、賃金の決め方と支払い方、退職に関する事項を、書面の交付などで明示するとしています(昇給を除く)。*3 承諾書は会社が条件を示す書面ではないため、通知書を先に渡し、その内容を確かめてから承諾してもらう順番にします。
入社承諾書の項目のテンプレート
入社承諾書の項目は次の9個です。記入の例は、業務システムの開発チームにエンジニアを1人迎える場面を想定しています。〇〇の部分は自社の内容に置き換えてください。

| 項目 | 書く中身 | 記入の例 | よくある抜け |
|---|---|---|---|
| 宛名 | 会社名と、代表者の職と氏名 | 株式会社〇〇 代表取締役 〇〇 〇〇 様 | 採用担当者の個人あてにして、誰への承諾か分からない |
| 承諾の文言 | 内定を承諾し、入社することを1文で | 採用内定を承諾し、〇年〇月〇日付で入社いたします | 入社後の心構えなど、承諾と関係のない誓約を並べる |
| 確かめた書面 | 承諾の前に受け取った書面の名前と日付 | 〇年〇月〇日付の労働条件通知書及び内定通知書 | 書面を特定せず、提示された条件とだけ書く |
| 入社予定日 | 労働条件通知書と同じ日付 | 〇年〇月〇日 | 通知書を直したのに承諾書の日付が古いまま |
| 承諾した日付 | 候補者が記入した日 | 〇年〇月〇日 | 空欄のまま返ってくる |
| 署名と連絡先 | 自署の氏名、住所、入社日まで連絡がつく電話とメール | 氏名(自署)、〒〇〇〇 〇〇県〇〇市、電話 〇〇〇 | 印鑑を必須にして、返送が遅れる |
| 入社日までの窓口 | 辞退や入社日の相談を受ける会社側の窓口 | 人事部 〇〇(電話・メール) | 窓口を書かず、連絡が採用担当者の個人に集まる |
| 提出してもらう書類 | 入社日までに出してもらう書類の名前と期限 | 〇〇の写し(〇月〇日まで) | 業務に関係のない家族の情報などを求める欄を作る |
| 身元保証 | 求める場合だけ、別の書面にすることを書く | 身元保証書(別紙)を〇月〇日までに提出 | 期間と上限額を決めずに保証人の署名だけをもらう |
承諾の文言は短くし、条件の中身は承諾書に書き写さず、確かめた書面の名前と日付で指します。条件を2か所に書くと、通知書を直したときに承諾書との食い違いが残るためです。会社から渡すオファーレターの項目は「オファーレターのテンプレート」で扱っています。
提出してもらう書類の欄は、業務に必要なものに絞ります。職業安定法第5条の5は、求人者などが求職者の個人情報を集めるときは、業務の目的の達成に必要な範囲内で、目的を明らかにして集めるよう定めています。*4
日付・署名・印鑑・保証人の書き方
迷いやすい日付・署名・印鑑・保証人の4つは、ひな形を渡す前に書き方を決めておきます。
- 日付:承諾した日を候補者に書いてもらい、入社予定日は労働条件通知書と同じ日付にする。回答期限より後の日付で返ってきたときの扱いも決めておく
- 署名:氏名を自署してもらうか、メールで承諾の返信をもらうかを先に決める。どちらでも、誰がいつ承諾したかが残る形にする
- 印鑑:内閣府・法務省・経済産業省の押印についてのQ&Aは、契約は当事者の意思の合致で成立し、書面の作成と押印は特段の定めがある場合を除き必要な要件ではないとしている*5
- 保証人:身元保証を求めるなら承諾書とは別の書面にし、期間と上限額(極度額)を書く
同じQ&Aは、本人の押印による効果は限定的で、不要な押印を省くことや、押印以外の手段で代えることが有意義だとしています。*5 印鑑を必須にすると、在職中や遠方に住む候補者は返送までに日数がかかることがあります。署名かメールの返信で足りる形にしておくと、承諾の記録が早くそろいます。
身元保証人については、身元保証に関する法律が、期間を定めない身元保証契約は成立の日から3年間効力を持つとし、期間を定める場合も5年を超えられないとしています。*6 また民法第465条の2は、法人でない保証人の根保証契約は、極度額を定めなければ効力を生じないとしています。*7
承諾後の辞退と法的効力
入社承諾書を受け取ったあとに、候補者から辞退の連絡が来ることがあります。承諾書は合意を書面で残すものですが、辞退を止めるための書面ではありません。辞退にかかわる条文は次の2つです。
- 民法第627条:雇用の期間を定めなかったときは、各当事者はいつでも解約の申入れができ、雇用は申入れの日から2週間を経過すると終了する*7
- 労働基準法第16条:使用者は、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定する契約をしたりしてはならない*2
このため、承諾書に辞退したときの違約金や損害賠償の額を書くことはしません。代わりに、辞退や入社日の相談を早く受けられるよう、連絡の窓口と入社日までの連絡の時期を書いておきます。
| 項目 | 承諾書での扱い |
|---|---|
| 辞退の連絡先 | 入社日までの窓口と連絡方法を書く |
| 入社日の変更 | 相談できる窓口を書き、変える場合は通知書を直して渡し直す |
| 入社前の連絡 | 書類の案内などで、入社日までに連絡を取る時期を書く |
| 違約金・損害賠償の予定 | 書かない(労働基準法第16条) |
辞退と民法の定めは「エンジニア中途採用の内定辞退と民法」、辞退が出たあとの動き方は「内定辞退が出たときの再募集の進め方」で扱っています。
返送後の確認と外部に頼める範囲
承諾書が返ってきたら、次の点を確かめてから入社の準備に入ります。

- 入社予定日:承諾書と労働条件通知書で同じ日になっているか
- 確かめた書面:承諾書に書かれた通知書の日付が、最後に渡した版と同じか
- 条件の変更:承諾のあとに条件を変えるなら、通知書を直して渡し直し、承諾をもう一度もらう
- 保管:承諾書と通知書を一緒に保管し、入社後に条件を確かめられるようにする
承諾書を整えても、条件に合う候補者が見つからなければ承諾までたどり着きません。外部に相談するときは、労働条件通知書の業務と就業の場所の欄をそのまま渡すと話が早く進みます。
- 候補者探し:在宅勤務を前提にした社員の候補者を探す
- つなぎの体制:社員の入社日まで、業務委託の専門人材に作業の一部を頼む
- 書き方の確認:辞退や身元保証の扱いで判断に迷う点は、労働基準監督署や弁護士・社会保険労務士に確かめる
まとめ:入社承諾書のテンプレートの使い方
入社承諾書は、内定を受けた候補者が示された条件で入社することを承諾したと伝える書面で、労働契約の合意を書面で残す役目を持ちます。労働条件の明示は労働条件通知書で先に行い、承諾書では確かめた書面の名前と日付で条件を指します。ひな形は宛名、承諾の文言、確かめた書面、入社予定日、承諾した日付、署名と連絡先、入社日までの窓口、提出してもらう書類、身元保証の9項目です。印鑑は必須にせず、辞退に備えて違約金ではなく連絡の窓口を書いておきます。
よくある質問
入社承諾書に法的効力はありますか
労働基準法や労働契約法に、入社承諾書という書面の定めはありません。労働契約法は、労働契約は働くことと賃金を払うことに双方が合意して成立するとしており、承諾書はその合意を書面で残す役目を持ちます。
入社承諾書に印鑑は必要ですか
内閣府・法務省・経済産業省の押印についてのQ&Aは、契約は当事者の意思の合致で成立し、押印は特段の定めがある場合を除き必要な要件ではないとしています。自署の署名やメールでの承諾の返信で足りる形にできます。
承諾後の辞退に備えて違約金を定めてもよいですか
労働基準法第16条は、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定する契約をしたりすることを禁じています。承諾書には違約金を書かず、辞退や入社日の相談を受ける窓口を書いておきます。
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出典
- *1 参考:労働契約法 第4条・第6条(https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128)。出典:e-Gov法令検索(法令API)。労働契約の内容の理解の促進、労働契約の成立を参照(確認日2026年11月2日)(2026年11月確認)
- *2 参考:労働基準法 第15条・第16条(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049)。出典:e-Gov法令検索(法令API)。労働条件の明示、賠償予定の禁止を参照(確認日2026年11月2日)(2026年11月確認)
- *3 参考:労働基準法施行規則 第5条(https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000100023)。出典:e-Gov法令検索(法令API)。明示すべき労働条件と書面で明示する事項を参照(確認日2026年11月2日)(2026年11月確認)
- *4 参考:職業安定法 第5条の5(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141)。出典:e-Gov法令検索(法令API)。求職者等の個人情報の取扱いを参照(確認日2026年11月2日)(2026年11月確認)
- *5 参考:内閣府・法務省・経済産業省「押印についてのQ&A」(令和2年6月19日)(https://www.moj.go.jp/content/001322410.pdf)。出典:法務省。問1と問3を参照(確認日2026年11月2日)(2026年11月確認)
- *6 参考:身元保証ニ関スル法律 第1条・第2条(https://laws.e-gov.go.jp/law/308AC1000000042)。出典:e-Gov法令検索(法令API)。身元保証契約の期間を参照(確認日2026年11月2日)(2026年11月確認)
- *7 参考:民法 第465条の2・第627条(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)。出典:e-Gov法令検索(法令API)。個人根保証契約の極度額、期間の定めのない雇用の解約の申入れを参照(確認日2026年11月2日)(2026年11月確認)