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2026.06.25 らしくコラム

プロダクトマネージャー(PdM)不足を外部支援で補完する進め方

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

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この記事のポイント

  • PdM(プロダクトマネージャー)はPMOやエンジニアリングマネージャーとは異なる役割を担い、採用難が続いています
  • 業務委託・フリーランスPdMを活用すれば、採用完了を待たずに製品開発の立ち上げと伴走を進められます
  • 委託先を選ぶ際は、プロダクト戦略・要件定義・ユーザーリサーチ・開発協働・KPI設計の5軸で評価することが大切です

PdM(プロダクトマネージャー)とは何か — PMO・EMとの役割の違い

プロダクトマネージャー(PdM)とは、プロダクトの「What(何を作るか)」と「Why(なぜ作るか)」に責任を持ち、ビジネス・ユーザー・技術の三者を橋渡しする役割です。ロードマップ策定・要件の優先順位付け・ユーザーリサーチを主な職務とし、プロダクトの方向性そのものをリードします。

PdM プロダクト戦略・Why/What ロードマップ・優先順位 ユーザーリサーチ ビジネスKPI設計 PMO プロジェクト管理・How スケジュール・コスト管理 リスク管理・進捗報告 ガバナンス整備 EM(エンジニアリングMgr) 組織・ピープルマネジメント 採用・育成・評価 技術組織の生産性向上 エンジニアのキャリア支援
PdM・PMO・EMの役割比較(責任領域の違い)

PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)は「How(どう進めるか)」を担い、スケジュール・コスト・リスク管理が中心です。一方、EM(エンジニアリングマネージャー)は「People(誰が作るか)」に責任を持ち、採用・育成・評価といった組織面をリードします。

PdMはこれら3役割のうち、最も「事業判断」に近い位置に立ちます。PMOが「決まった要件を期限どおりに届ける」ことに集中するのに対し、PdMは「そもそも何を作れば事業目標を達成できるか」を問い続ける役割です。両者は補完関係にあり、どちらかで代替できるものではありません。

PdMが採用しにくい3つの理由 — 職種の浸透途上と需要急増

DX推進・新規事業立ち上げ・既存製品リニューアルを推進する企業が増え、PdM需要は急速に高まっています。しかし供給が追いつかず、「2人目以降のPdMが採用できない・間に合わない」という状況が幅広い業種で発生しています。

採用が困難な背景には、主に3つの要因があります。

  • 職種の定義が曖昧で求める人材像を言語化しにくい:PdMはビジネス・技術・デザインの三領域にまたがるため、採用要件の設計自体が難しく、ミスマッチが起きやすい状況があります。
  • 経験者の絶対数が少ない:PdMという職種は日本企業への浸透がまだ途上にあり、実務経験を積んだ人材のプールがエンジニアや営業職と比べて薄い状態です。
  • 一人目PdMが多忙で採用・育成にリソースを割けない:既存の社内PdMが開発チームの伴走に手いっぱいで、採用面接や候補者の見極め、内製候補の育成指導まで手が回らないケースが目立ちます。

フリーランス・業務委託PdMの市場は拡大傾向にあり、月額単価が90万円以上の高単価案件も報告されています(定性・業界メディア調査ベース)。採用に固執するよりも、外部リソースとの組み合わせを早期に検討することが現実的な対応策になってきています。

補完の選択肢比較 — 社内育成・業務委託PdM・顧問の使い分け

PdM不足を補う手段は1つではありません。自社の状況に応じて選択肢を組み合わせることが重要です。以下に主要な3つの選択肢を整理します。

選択肢 向いている状況 主なメリット 主な留意点
社内候補の育成 3〜6か月以上の育成リードタイムを確保できる場合。
将来の内製化を見据えている場合。
事業理解が深い人材を育てられる。
長期的なコスト安定につながる。
即戦力化まで時間がかかる。
育成担当(PdM or 外部メンター)が別途必要になる。
業務委託・フリーランスPdM 新規プロダクト立ち上げ・リニューアルを急ぐ場合。
採用完了を待てない場合。
即戦力として早期参画できる。
週2〜3日など柔軟な契約形態を組みやすい。
業務の全権を委ねると依存が生まれる。
引き継ぎ設計を最初から組み込む必要がある。
顧問・アドバイザリーPdM 戦略レビューや意思決定の壁打ちが主な用途の場合。
月数回の関与で十分な場合。
費用を抑えながら上位レイヤーの助言を得られる。
採用候補の見極めにも活用できる。
現場の実行支援には向かない。
週次・月次の稼働が限られるため緊急対応には不向き。

急ぎの立ち上げ局面では業務委託・フリーランスPdMの活用が現実的な選択肢になります。その後、内製候補への伴走・育成も外部PdMに担ってもらうことで、採用とキャリア構築を並行して進められます。

外部支援PdMで進める4ステップ — 課題定義から内製移行まで

外部PdMを活用する際は、目的と役割範囲をあいまいにしたまま参画させると、期待値ギャップが生じるリスクがあります。以下の4ステップを参考に、関与のフェーズを設計してください。

  1. ステップ1:課題定義と役割範囲の合意
    「プロダクトの現状課題は何か」「外部PdMに任せる範囲(戦略/実行/育成)はどこまでか」を文書化します。PMOやEMと権限がバッティングする領域を事前に整理することが大切です。
  2. ステップ2:体制設計と社内スポンサーの確保
    外部PdMが意思決定を動かすには、経営層または事業部長レベルのスポンサーが不可欠です。週次の意思決定会議への参加権限とエスカレーション先を明確にしておきます。
  3. ステップ3:立ち上げ・伴走フェーズ(3〜6か月目安)
    ロードマップ策定・ユーザーインタビュー設計・バックログ整理・開発チームとのアジャイル(スクラム等)運用を通じて、プロダクト基盤を整えます。この期間に社内候補との知識移転を意識的に進めます。
  4. ステップ4:引き継ぎ設計と内製移行
    外部PdMへの依存を残さないよう、ドキュメント整備・社内候補への段階的な権限委譲・採用候補の最終評価サポートをセットで実行します。依存が長期化すると撤退時の混乱リスクが高まるため、最初から「出口」を設計することが大切です。

内製化が完了するまでの期間は事業規模や製品の複雑さによって異なります。ただし、出口の設計を最初の契約段階に盛り込まない場合、依存が続いた結果として外部リソースのコストが長期化する傾向があります。

委託先の評価5軸 — 戦略・要件定義・リサーチ・開発協働・KPI設計

外部PdMや支援会社を選定する際、「PM経験がある」という肩書だけで判断することにはリスクがあります。実務でどの領域をカバーできるかを5つの軸で確認することを推奨します。

戦略・ロードマップ策定能力

ビジネス目標からプロダクトビジョンを逆算し、四半期・年次ロードマップを構築できるかを確認します。過去の戦略立案事例(非公開でも可)や、意思決定のフレームワーク(OKR・Jobs-to-be-Done等)への精通度が判断材料になります。

要件定義と優先順位付けの実績

ユーザーストーリー・受け入れ条件の書き方、バックログ管理の実務経験を確認します。「全部重要」とならずにトレードオフを判断できるかが、PdMとしての実力を見極める重要なポイントです。

ユーザーリサーチ・データ分析の手法

定性調査(インタビュー・ユーザービリティテスト)と定量分析(ファネル分析・コホート分析)の両面に対応できるかを確認します。データに基づいた意思決定ができるかどうかは、仮説検証のサイクル速度に直結します。

開発チームとの協働・アジャイル運用

スクラム(Scrum)やカンバン等のアジャイル手法を実際に現場で回した経験があるかを確認します。エンジニアと技術的な議論ができるレベルの理解度も、スムーズな協働に欠かせません。

事業・KPI設計への関与経験

収益モデル・MAU/LTV・チャーン率などのビジネスKPIをプロダクトの意思決定に結びつけた経験があるかを確認します。「エンジニアの代弁者」ではなく「事業の代弁者」として動けるかが、PdM外部支援の価値を決定します。

これらの5軸すべてに高い水準を求める必要はありません。自社のフェーズと課題に応じて、どの軸を優先するかを先に決めてから評価基準を設定することが、ミスマッチを防ぐうえで大切です。

まとめ — PdM不足を外部支援で乗り越える3つの判断軸

本稿では、プロダクトマネージャー(PdM)不足の背景・補完の選択肢・外部支援の進め方・委託先の評価軸を整理しました。要点を3つに集約すると次のとおりです。

第一に、PdMはPMOやEMとは役割が異なり、プロダクトの方向性(What/Why)に責任を持つ職種です。代替が利かないため、採用が間に合わない局面では業務委託・フリーランスPdMの活用が現実的な選択肢になります。

第二に、外部支援を導入する際は、課題定義・社内スポンサー確保・引き継ぎ設計を最初から組み込んだ4ステップの進め方が、長期依存のリスクを低減します。

第三に、委託先の選定は「PM経験」という括りではなく、戦略・要件定義・リサーチ・開発協働・KPI設計の5軸で確認することで、自社のフェーズに合ったパートナーを見つけやすくなります。

よくある質問

業務委託PdMと正社員PdMでは、任せられる範囲に違いがありますか?

法的な制約はありませんが、実務上の違いはあります。業務委託の場合、指揮命令関係が生じないため、日常的な業務指示よりも「成果物の定義」で契約します。プロダクトビジョン策定・ロードマップレビュー・ユーザーリサーチ設計のような成果物ベースの業務と相性がよいです。一方、社内調整・採用面接への参加・機密情報へのアクセスなど、継続的な組織関与が必要な領域は正社員向きです。どちらが適するかは、業務の性質と自社の体制によって変わります。

フリーランスPdMを探す際、どのような経路が一般的ですか?

主な経路は3つです。①ITフリーランス向けエージェント(PdM案件を専門に扱う会社もあります)、②コミュニティ・SNSからの紹介(ProductZine・ProductBoard系コミュニティ等)、③ITアウトソーシング会社への委託(会社としてPdM支援を提供しているケース)です。単価水準・稼働可否・業種経験を複数候補と比較したうえで、試験的な短期プロジェクト(3か月等)から始めると、本格参画前のミスマッチを減らせます。

PdMが社内に1人もいない状態から外部支援を始めることはできますか?

できます。ただし、経営層または事業部長がスポンサーとして意思決定に関与できる体制が前提条件になります。外部PdMが戦略を描いても、社内で承認・優先順位付けを行う意思決定者がいなければ実行フェーズに進めません。まず「外部PdMの提案を受け取り、社内で判断できる役割者を決める」ことを最初のステップとして設計してください。社内候補の育成を並行して進めることで、内製移行の見通しも立てやすくなります。

外部PdMへの依存が長引いた場合、どのようなリスクがありますか?

主なリスクは2つです。①コントラクト継続コストの長期化:業務委託単価は採用後の人件費と比較すると割高になりやすく、短期集中で活用する設計でなければコストが膨らみます。②プロダクト知識の社外流出:ロードマップ・ユーザーリサーチ結果・意思決定の文脈が外部人材の頭の中にとどまった状態で契約終了になると、引き継ぎに多大な工数が発生します。契約当初から「ドキュメント化」と「社内候補への知識移転」を成果物として明記しておくことで、リスクを低減できます。

PdMとプロジェクトマネージャー(PM)は同じ職種ですか?

異なります。PdM(プロダクトマネージャー)は「何を作るべきか」という製品の方向性に責任を持ちます。プロジェクトマネージャー(PM)は「決まった要件をいつまでにどう届けるか」という実行管理に責任を持ちます。PdMが「Why/What」のオーナーであるのに対し、PMは「How/When」のオーナーです。規模の大きい組織では両者が分業し、小規模チームでは兼務するケースもありますが、役割の本質は異なるため、外部支援を検討する際は混同しないよう注意が必要です。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑

LASSICに相談するメリット

LASSICは元請(プライムベンダー)としてシステム開発・運用を一貫して受託してきた実績を持ちます。プロダクト開発支援においても、要件定義から開発チーム体制の構築・KPI設計の伴走まで一貫して対応できる体制を整えています。PdM不足や外部支援の活用方法にお悩みの場合は、をもとにご提案しますので、まずはお気軽にご相談ください。


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  1. *1 出典:定性情報・業界メディア調査ベース(フリーランスPdM市場単価の目安、公表年・調査機関の特定なし)。本記事では断定的な数値引用は行わず定性表現としています。


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