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2026.10.22 らしくコラム

Samba ADとは?ドメインコントローラーの仕組みと導入を解説

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

サーバー室で上下2段のラックサーバーにLANケーブルを差す手元

この記事の結論

  • Samba ADは、オープンソースのSambaをWindowsのドメインコントローラーとして動かす使い方です。
  • WindowsのPCをドメインに参加させ、グループポリシーで設定を配る管理ができます。
  • 機能レベルの上限とSYSVOLの同期、版の更新の担当を構築の前に決めておくことが大切です。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

Linuxのサーバーが中心なのに、WindowsのPCを管理するためだけにWindows Serverを置いている。PCの設定を1台ずつ変えていて手が回らない——。システムを預かる情報システムの担当者には、こうした悩みがつきものです。Samba AD(サンバ エーディー)は、オープンソースのSambaを、Active Directory(Windowsの利用者とPCをまとめて管理する仕組み)のドメインコントローラーとして動かす使い方です。

LinuxのサーバーでWindowsのドメインを作り、グループポリシー(PCの設定をまとめて配る仕組み)でPCを管理できます。ただし万能ではなく、Windows Serverの新しい機能には対応していない点があります。本記事では、Windowsのドメインを任された担当者に向けて、Samba ADの特徴とWindows Serverとの違い、グループポリシーの扱い、導入の進め方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

Samba ADとは

Sambaは、Windowsのファイル共有に使われるSMBと、Active Directoryの通信の仕組みを、LinuxやUNIXの上で実装したオープンソースのソフトウェアです。ライセンスはGNU GPL(改変して配るときにソースコードの公開を求めるライセンス)の第3版です。*1 2012年に出た4.0から、ドメインコントローラー(利用者とPCの情報を持ち、ログインを確かめるサーバー)として動けるようになりました。*2

  • 利用者とPCの情報は、Sambaに組み込まれたLDAP(利用者の情報を収める台帳の仕組み)のサーバーに収めます*2
  • ログインの確認には、Kerberos(チケットを使う認証の仕組み)を使います
  • グループポリシーを置いて、ドメインに参加したWindowsのPCに配れます
  • 公式wikiは、障害に備えてドメインコントローラーを2台以上置くよう勧めています

WindowsのPCは、Windowsの標準の画面からドメインに参加させます。利用者の情報を集めるだけなら単体のLDAPサーバーでも足ります。Samba ADが向くのは、グループポリシーでPCの設定まで管理したいときです。

Windows ServerのADとの違い

Samba ADとWindows ServerのActive Directoryは、同じドメインの仕組みを別々に実装したものです。主な違いを表にまとめます。

Samba ADとWindows ServerのActive Directoryの違い
項目 Samba AD Windows ServerのAD
動かすOS LinuxやUNIX Windows Server
機能レベル(使える機能の世代) 既定はWindows Server 2008 R2の水準。より高い水準は開発途上 Windows Server 2025の水準まで
SYSVOLの複製 DFS-Rに対応せず、別の手段で同期する DFS-R(Windowsの複製の仕組み)で複製する
ライセンス GPL第3版のオープンソース Microsoftの製品ライセンス

Samba ADは既定でWindows Server 2008 R2の機能レベルで動きます。4.19以降はより高い水準も設定できますが、公式wikiは本番では使わないよう案内しています。*2 一方、Microsoftの資料では、Windows Server 2025は機能レベル2012 R2のドメインでドメインコントローラーとして動かせません。*7 新しいWindows Serverを後から加えるなら、構築の前に版の組み合わせを確かめておきます。Linuxのサーバーの認証が中心ならFreeIPAも候補です。

グループポリシーでのPC管理

グループポリシーは、OSやアプリ、利用者ごとの設定を1か所から配る仕組みです。Samba ADでは、ポリシーの一覧をLDAPに、中身のファイルをSYSVOL(ドメインコントローラーの共有フォルダー)に置きます。WindowsのPCは、ドメインに参加すれば追加の設定なしにポリシーを受け取ります。*3

作業室に一列に並んだノートPCの手前の1台でキーを押す指

  • ポリシーの作成と編集は、WindowsのPCに入れる管理ツール(RSAT)のグループポリシー管理コンソールで行います
  • Samba用の管理テンプレート(設定項目を定義したファイル)を入れるなら、Microsoftのテンプレートも入れないとWindowsのPCを管理できなくなります*3
  • ドメインを構築しただけではグループポリシーの機能は有効にならず、構築の後に設定を変える必要があります*2
  • Linuxのサーバーもドメインに参加させれば、同じ仕組みでポリシーを当てられます

ドメインコントローラーが2台以上あるときは注意が要ります。SambaはSYSVOLの複製に対応していないため、ポリシーのファイルをrsyncなどの別の手段で各台に同期し、利用者やグループのIDの対応表もそろえます。*4 同期が抜けると、台ごとに配る設定が食い違うおそれがあります。

導入の進め方

Samba ADの導入で後から直しにくいのは、ドメインの名前と台数の決め方です。次の4つの段階で進めると、途中で作り直さずに済みます。

  • ステップ1:ドメインの名前と台数を決める(名前は後から変えられないため、会社のWebサイトとは分けたサブドメインにします)
  • ステップ2:1台目のドメインコントローラーを構築し、グループポリシーの機能を有効にする
  • ステップ3:WindowsのPCを参加させ、DNSと時刻の設定を確かめる
  • ステップ4:2台目を加え、SYSVOLの同期とバックアップの方法を決める

Samba ADの導入を4つの段階で左から順に並べた流れ図。STEP1 ドメイン名と台数を決める、STEP2 1台目を構築しポリシーを有効にする、STEP3 PCを参加させDNSと時刻を確認する、STEP4 2台目を加え同期とバックアップを決める。

つまずきやすいのはステップ3です。Kerberosは時刻のずれに厳しく、PCとドメインコントローラーの時刻の差が既定の5分を超えると、PCはドメインの資源を使えません。*5 PCが問い合わせるDNSサーバーも、ドメインの名前を引ける先に向けておきます。

外部に頼むときに確認しておきたい点

Samba ADにはライセンス費用がかかりませんが、構築と保守の手間は自社で持つことになります。構築や運用を外部に頼むときは、次の点を見積もりの前に確かめておきます。

サーバー室前の作業台で委託先が外付けディスクを担当者に手渡す瞬間

  • 移行元:いまのWindows Serverのドメインや古いSambaから移すのか、新しく作るのか
  • 機能レベル:今後、Windows Serverのドメインコントローラーを混ぜる予定があるか
  • SYSVOLの同期:2台目以降への同期の方法と、IDの対応表をそろえる手順を誰が受け持つか
  • バックアップ:ドメインのバックアップをどこへ取り、復元を試したことがあるか
  • 更新:新しい版への切り替えを誰がいつ判断するか

特に更新は、決めないまま運用に入りやすい点です。Sambaの各系列は、通常の保守、保守モード、セキュリティ修正のみの期間を6か月ずつ経て、約18か月で更新が止まります。*6 Windows以外のシステムも含めてログインをまとめる考え方はKeycloakによるSSO認証基盤の解説にまとめています。

まとめ:Samba ADで確かめておきたい3つの点

Samba ADでWindowsのドメインを作るうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、既定の機能レベルで足りるかを、今後加えるWindows Serverの版と合わせて確かめること。第二に、ドメインの名前と台数を最初に決め、SYSVOLの同期の方法を用意すること。第三に、バックアップと版の更新の担当を決めることです。この3点を踏まえておけば、「入れてはみたが、ポリシーが配られずWindows Serverに戻した」という事態を避けやすくなります。移行の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Samba ADの構築では、ドメイン名をWebサイトと分けたサブドメインで決め、DNSをSamba内蔵のDNSとBIND9のDLZ連携のどちらにするかを既存の運用に合わせて選びます。認証はHeimdalのKerberosを使い、NTPで全台の時刻をそろえます。グループポリシーはRSATで管理し、Samba用とMicrosoftのADMXテンプレートを両方入れます。2台目以降はSYSVOLをrsyncで同期し、idmap.ldbをそろえる手順を文書にします。運用では、復元試験と版の更新計画を用意します。

よくある質問

いまのWindows Serverのドメインに、Sambaのドメインコントローラーを加えられますか

加えられます。公式wikiには、Sambaを既存のActive Directoryに追加のドメインコントローラーとして参加させる手順があります。*8 ただし、機能レベルがいまの構成と合うかを先に確かめておきます。

OpenLDAPを利用者の情報の保存先に使えますか

使えません。Samba ADが保存先にできるのは、Sambaに組み込まれたLDAPのサーバーだけです。公式のFAQは、Active Directoryに必要なアクセス権の情報や項目の定義に、一般的なLDAPサーバーが対応していないことを理由に挙げています。*10

バックアップはドメインコントローラーごとに取る必要がありますか

1台分で足ります。Sambaのバックアップはドメイン全体の情報を保存するもので、1台から取れば復元に使えます。*9 復元すると新しいドメインコントローラーが1台でき、残りの台はそこへ参加させ直します。

Samba ADによるドメイン構築のご相談

Samba ADのドメインコントローラーの設計と構築から、グループポリシーの整備、SYSVOLの同期とバックアップの運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:Samba「What is Samba?」・「GNU General Public License」(https://www.samba.org/samba/what_is_samba.html)。出典:SMBとActive Directoryの通信の仕組みのオープンソース実装であること、ドメインコントローラーとして動けること、GNU GPL(第3版)で配布されていることの記述を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:Samba Wiki「Setting up Samba as an Active Directory Domain Controller」「Raising the Functional Levels」(https://wiki.samba.org/index.php/Setting_up_Samba_as_an_Active_Directory_Domain_Controller)。出典:4.0(2012年)からの対応、既定の機能レベル(Windows Server 2008 R2)、4.19以降の高い機能レベルが開発途上で本番向けでない旨、組み込みLDAPのみ対応、グループポリシーの有効化、2台以上の推奨、ドメイン名を変えられない旨、設定できる機能レベルの表を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Samba Wiki「Group Policy」(https://wiki.samba.org/index.php/Group_Policy)。出典:グループポリシーの仕組み(LDAPとSYSVOL)、Windowsのドメインメンバーでの自動適用、RSATの管理コンソールでの編集、ADMXテンプレートの注意、Linuxのドメインメンバーへの適用を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Samba Wiki「SysVol replication (DFS-R)」(https://wiki.samba.org/index.php/SysVol_replication_(DFS-R))。出典:DFS-RとFRSによるSYSVOLの複製に対応していないこと、rsyncなどの回避策、IDの対応表(idmap.ldb)をそろえる注意を参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:Samba Wiki「Joining a Windows Client or Server to a Domain」(https://wiki.samba.org/index.php/Joining_a_Windows_Client_or_Server_to_a_Domain)。出典:WindowsのPCをドメインに参加させる手順、DNSの設定、時刻の差(既定5分)の記述を参照(2026年10月確認)
  6. *6 参考:Samba Wiki「Samba Release Planning」(https://wiki.samba.org/index.php/Samba_Release_Planning)。出典:各系列の保守期間(6か月ずつ、合計約18か月)の記述を参照(2026年10月確認)
  7. *7 参考:Microsoft Learn「Active Directory Domain Services functional levels」(https://learn.microsoft.com/en-us/windows-server/identity/ad-ds/active-directory-functional-levels)。出典:機能レベルの説明と、Windows Serverの版ごとにドメインコントローラーとして動かせる機能レベルの表を参照(2026年10月確認)
  8. *8 参考:Samba Wiki「Joining a Samba DC to an Existing Active Directory」(https://wiki.samba.org/index.php/Joining_a_Samba_DC_to_an_Existing_Active_Directory)。出典:既存のActive Directoryに追加のドメインコントローラーとして参加させる手順の記述を参照(2026年10月確認)
  9. *9 参考:Samba Wiki「Back up and Restoring a Samba AD DC」(https://wiki.samba.org/index.php/Back_up_and_Restoring_a_Samba_AD_DC)。出典:バックアップがドメイン全体を対象とすること、1台分で足りること、復元後に他の台を参加させ直すことを参照(2026年10月確認)
  10. *10 参考:Samba Wiki「FAQ」(https://wiki.samba.org/index.php/FAQ)。出典:Samba ADがOpenLDAPなどのLDAPサーバーを保存先にできない理由の記述を参照(2026年10月確認)




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