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2026.07.17 らしくコラム

校務支援システムの選び方|成績・出欠・時間割を一元化

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)として教育向けシステムの企画・開発・運用を受託

図1

この記事のポイント

  • 校務支援システムは、成績処理・出欠管理・指導要録・時間割・通知表・保護者連絡など、教職員がおこなう校務(学校事務)を一元化する仕組みで、児童生徒の学習を扱うLMSや試験を実施するCBTとは役割が異なります。
  • 文部科学省は「教務系・保健系・学籍系・学校事務系」を統合したものを統合型校務支援システムと位置づけており、その整備率は令和5年度調査で91.4%に達しています。
  • 選定・開発では、成績・出欠、時間割・名簿、通知表・調査書の作成、保護者連絡・情報共有の4要素をどこまで担うかと、次世代校務DXを見据えたクラウド化・情報セキュリティが判断軸になります。

課題:分散した校務が教職員の負担を押し上げる

図2

学校で日々おこなわれる事務作業は、想像以上に幅が広いものです。成績の処理、出欠の集計、指導要録の作成、通知表への記入、時間割や週案の編成、名簿の管理、そして保護者への連絡まで、担任・教科担当・管理職・事務職員がそれぞれの持ち場で膨大な情報を扱っています。これらが紙や表計算ソフト、個別のツールに分散していると、同じ数値を何度も転記したり、二重に入力したりする作業が積み重なりがちです。

文部科学省は令和5年3月8日に「GIGAスクール構想の下での校務DXについて~教職員の働きやすさと教育活動の一層の高度化を目指して~」を取りまとめ、校務のデジタル化を教職員の働き方改革と教育の質の向上の両面から進める方針を示しました*1。校務の情報化は、いまや個々の学校の工夫にとどまらず、国の施策として位置づけられているわけです。

図
図:校務支援システムが一元化する主な校務領域(成績・出欠/指導要録・通知表/時間割・名簿/保護者連絡・情報共有)

もっとも、こうした校務を支える仕組みを検討しようとすると、「学習用に導入したLMSでは役割が合わない」という声を聞くことがあります。校務支援システムは、児童生徒の学習を扱うツールとは別の系統に位置づけられるためです。次章から、校務支援システムが何を担うのか、そしてLMSやCBTと何が違うのかを順に整理します。

校務支援システムとは——成績・出欠・指導要録を一元化する仕組み

校務支援システムとは、学校の教職員がおこなう校務、すなわち成績や出欠、指導要録、時間割といった学校事務を、コンピュータ上で一元的に扱うための仕組みです。とりわけ、複数の校務領域をひとつに束ねたものを、文部科学省は統合型校務支援システムと呼んでいます。

文部科学省の「統合型校務支援システムの導入のための手引き」では、これを教務系(成績処理・出欠管理・時数管理など)、保健系(健康診断票・保健室来室管理など)、学籍系(指導要録など)、学校事務系といった機能を統合したシステムと位置づけています*2。単なる成績処理ソフトではなく、グループウェアによる情報共有も含め、広く校務と呼ばれる業務全般を担う点が特徴です*2

すでに多くの学校が導入している基盤である

校務支援システムは、一部の先進校だけが使う特別な道具ではありません。文部科学省の令和5年度「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」(令和6年3月1日現在の確定値)によると、統合型校務支援システムの整備率は91.4%に達しています*3。多くの学校で、校務のデジタル化を支える基盤として定着しつつあることがうかがえます。

次世代校務DXではクラウド化が前提になりつつある

近年は、この仕組みをさらに一歩進める「次世代校務DX」の議論も進んでいます。文部科学省の「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」は、次世代の校務DXをキーワードに、校務系システムのクラウド化によって場所を選ばずに働ける環境(ロケーションフリー)やデータ連携を実現する方向性を示しました*4。あわせて、自治体と民間事業者が連携してモデルを検証する「次世代の校務デジタル化推進実証事業」も実施されています*5。校務支援システムは、いまも役割と形を広げている領域だといえるでしょう。

LMS・CBTとの違い——児童生徒の学習か、教職員の校務か

ここが検討の出発点で迷いやすい部分です。当サイトでも扱ってきたLMS(学習管理システム)やCBT(コンピュータを用いた試験)と、校務支援システムは名前が似た文脈で語られがちですが、対象とする相手も目的も異なります。まず、この違いを押さえておくと、後の要件整理がぐっと楽になります。

LMSは、教材の配信や学習の進捗管理など、児童生徒の「学び」を支えることを主目的とします。CBTは、問題の配信から採点までを担い、試験の「実施」に特化した仕組みです。これに対して校務支援システムが向き合うのは、成績処理や指導要録の作成、出欠の集計、時間割の編成といった、教職員の「校務(学校事務)」そのものになります。同じ学校で使われるシステムでも、主役が児童生徒なのか教職員なのかで、必要な機能はまったく変わってきます。

三者の位置づけを整理すると、次の通りです。

観点 LMS(学習管理) CBT(試験) 校務支援システム
主な対象 児童生徒の学習 受験者の試験 教職員の校務(学校事務)
主目的 教材配信と学習の進捗管理 問題配信・実施・採点 成績・出欠・指導要録などの一元管理
中心となるデータ 受講履歴・学習コンテンツ 問題バンク・解答・得点 成績・出欠・名簿・指導要録
主な利用者 児童生徒・受講者 受験者・試験実施者 教員・事務職員・管理職
代表的な成果物 学習ログ・修了記録 合否・成績証明 通知表・指導要録・調査書

もちろん、三者は排他的なものではありません。学習はLMSで、認定試験はCBTで、日々の校務は校務支援システムで、と役割を分けたうえで、成績などのデータを連携させる構成も考えられます。大切なのは、「学び」を支える仕組みと「校務」を支える仕組みを、同じ要件で扱わないことです。自校が解決したいのが児童生徒の学習なのか、教職員の事務負担なのかを見極めると、選定の方向性が定まりやすくなります。

校務支援システムを構成する4つの機能要素

図3

校務支援システムを検討するときは、機能をひとかたまりで捉えるよりも、役割ごとに分解して考えると要件が整理しやすくなります。ここでは、文部科学省の手引きが挙げる領域*2を踏まえ、核となる4つの要素を取り上げます。

1. 成績処理・出欠管理(教務系)

教務系は、校務支援システムの中心にあたる領域です。定期テストや平常点からの成績処理、評定の算出、出欠の記録と集計、授業時数の管理などを担います*2。これまで担任が手作業で集計していた出欠や成績を、入力の時点でデータとして蓄積できれば、後工程の通知表や指導要録づくりにそのまま引き継げます。転記の手間が減るぶん、確認や指導により時間を割ける余地が生まれるわけです。

2. 時間割・週案・名簿

時間割や週案、児童生徒の名簿を扱う領域も、校務支援システムの土台になります。名簿は成績や出欠、保健記録など多くのデータの基点となるため、ここを一元管理できるかどうかが全体の使い勝手を左右します。時間割の編成や週案の作成をシステム上でおこなえれば、変更が生じたときの反映も追いかけやすくなるでしょう。基本情報を一箇所にまとめる設計が、他機能の精度を支えます。

3. 通知表・指導要録・調査書の作成

通知表や指導要録、進学時に用いる調査書の作成は、校務のなかでも神経を使う帳票業務です。成績処理や出欠管理で蓄積したデータをもとに帳票を自動で生成できれば、記入や点検にかかる負担を抑えられます。指導要録は学籍系として法定の記録に関わる領域であり*2、様式や記載事項を正しく反映できることが要件になります。帳票のレイアウトが自治体や学校ごとの様式にどこまで対応できるかも、確認しておきたい点です。

4. 保護者連絡・教職員の情報共有

4つ目は、保護者への連絡や教職員間の情報共有を担う領域です。欠席連絡の受付やお知らせの配信、行事予定の共有などをデジタルでおこなえば、電話や紙のプリントに頼る場面を減らせます。校内では、グループウェアの機能を通じて教職員が予定や連絡事項を共有し、情報の行き違いを防ぎます*2。児童生徒や保護者にまつわる情報を扱うため、この領域は後述する情報セキュリティの設計とも密接に関わってきます。

開発・導入を外注する前に確認したい点

校務支援システムを外部のパートナーに開発・導入委託する場合、機能一覧を並べるだけでは要件がすれ違いがちです。前章の4要素に沿いながら、次の観点を事前にすり合わせておくと、見積もりや設計の精度が上がります。

1つ目は、対象範囲と既存の運用との整合です。成績・出欠から通知表・指導要録、保護者連絡まで、どの校務をどこまでシステムに載せるのかを具体化します。自治体や学校ごとに帳票の様式や運用ルールが異なるため、既存の様式にどこまで合わせるのかを早い段階で確認しておくと、後戻りを減らせます。

2つ目は、クラウド化と次世代校務DXへの対応です。文部科学省は次世代の校務DXとして、校務系システムのクラウド化による場所を選ばない働き方やデータ連携を打ち出しています*4。将来的にクラウド環境へ移行する前提で設計するのか、当面は既存の構成を踏襲するのかによって、要件は変わります。自治体単位の実証事業も進んでいるため*5、地域の動向を踏まえた検討が現実的です。

3つ目は、情報セキュリティの設計です。校務支援システムは、成績や指導要録といった保護すべき児童生徒の情報を扱います。文部科学省の「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」は、ネットワーク統合やクラウド活用を前提としたアクセス制御などの対策を示しています*4。委託先がこのガイドラインを踏まえた設計をおこなえるかは、重要な確認事項です。なお、教育分野でも「セキュリティ」の語は制度名として用いられますが、対策に絶対はないという前提で、多層的な備えを検討することが大切です。

4つ目は、既存システムとの連携です。学齢簿や学籍情報を管理する自治体側の仕組み、あるいはLMSや学習eポータルとのデータ連携が必要になる場合があります。前述のとおり校務支援システムは教職員の校務を担う系統であり、学習側の仕組みとは切り分けたうえで、必要な項目だけを連携でつなぐ構成が検討されます。

5つ目は、運用・保守と内製・外注の切り分けです。導入後の問い合わせ対応、年度更新(進級・進学に伴うデータ処理)、様式改訂への追随など、稼働後の運用まで含めて委託範囲を確認します。校務は年度の節目に負荷が集中するため、その時期の支援体制も見ておきたいところです。これらを踏まえると、要件定義から運用までを一貫して相談できる元請(プライムベンダー)に委託する形が、現実的な選択肢になります。

まとめ:校務支援システム選びで押さえる観点

本稿では、校務支援システムの役割と選定の観点を、文部科学省の公式情報をもとに整理しました。要点は次の3つに集約できます。第一に、校務支援システムは成績・出欠・指導要録・時間割・通知表・保護者連絡といった教職員の校務を一元化する仕組みであり、児童生徒の学習を扱うLMSや試験を実施するCBTとは役割が異なります*2。第二に、機能は成績・出欠、時間割・名簿、通知表・調査書の作成、保護者連絡・情報共有の4要素に分けて捉えると、要件が整理しやすくなります。第三に、外注時は対象範囲・クラウド化への対応・情報セキュリティ・既存システム連携・運用体制の観点をすり合わせることが、認識のずれを防ぐ近道です。整備率が91.4%に達し*3、次世代校務DXへの移行も各地で進むいま*4*5、自校の校務がどの機能に重きを置くのかを見極めることが、システム選びの出発点になります。

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、教育向けシステムの企画・開発・運用を元請(プライムベンダー)として受託しています。校務支援システムでは、成績・出欠や指導要録・通知表の帳票設計から、時間割・名簿の一元管理、保護者連絡・情報共有、そして次世代校務DXを見据えたクラウド化や教育情報セキュリティポリシーを踏まえた設計まで、校務全体の像を踏まえた要件定義からご一緒できるのが強みです。自治体ごとの様式対応や既存システムとの連携、年度更新を含む運用・保守もあわせてご相談いただけます。現状の校務の棚卸しから、内製・外注の切り分けの検討までお手伝いします。

よくある質問

校務支援システムとLMSは何が違うのですか。

LMS(学習管理システム)は教材配信や学習の進捗管理など児童生徒の学びを支えることを主目的とします。一方で校務支援システムは、成績処理・出欠管理・指導要録の作成といった教職員の校務(学校事務)を一元化する仕組みです*2。主役が児童生徒か教職員かで、必要な機能が変わります。

統合型校務支援システムとは、通常の校務支援システムと違うのですか。

文部科学省は、教務系(成績処理・出欠管理・時数管理など)、保健系、学籍系(指導要録など)、学校事務系といった機能を統合したものを統合型校務支援システムと位置づけています*2。個別の機能を単体で使う形と対比して、複数の校務領域をひとつにまとめて扱える点が特徴です。

校務支援システムはどのくらい導入されていますか。

文部科学省の令和5年度「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」(令和6年3月1日現在の確定値)によると、統合型校務支援システムの整備率は91.4%です*3。多くの学校で校務のデジタル化を支える基盤として広がっていることがうかがえます。

次世代校務DXやクラウド化には対応が必要ですか。

文部科学省は次世代の校務DXとして、校務系システムのクラウド化による場所を選ばない働き方やデータ連携の方向性を示し、教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインでも対応を求めています*4。自治体単位の実証事業も進んでいるため*5、将来の移行を見据えて設計するかどうかを検討しておくとよいでしょう。

開発を外注する際は、まず何を決めておくべきですか。

対象とする校務の範囲、クラウド化への対応、情報セキュリティの設計、既存システムとの連携、年度更新を含む運用・保守の観点を事前にすり合わせておくと、見積もりや設計の精度が上がります。自治体や学校ごとの帳票の様式差にどこまで合わせるかも、早めに確認しておくことが大切です。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:文部科学省「GIGAスクール構想の下での校務DXについて~教職員の働きやすさと教育活動の一層の高度化を目指して~」(令和5年3月8日)( https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/175/mext_01385.html )
  2. *2 出典:文部科学省「統合型校務支援システムの導入のための手引き(校務におけるICT活用促進事業)」( https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1408684.htm )
  3. *3 出典:文部科学省「令和5年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(確定値・令和6年3月1日現在)」( https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00062.html )
  4. *4 出典:文部科学省「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」( https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1397369.htm )
  5. *5 出典:文部科学省「次世代の校務デジタル化推進実証事業」( https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_02604.html )


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