LASSIC Media らしくメディア
運行管理システムの選び方|点呼と運行記録で確かめたい要点
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- 運行管理システムは、運送事業者の点呼・業務の記録・運行記録計の記録を1か所にまとめる仕組みです。
- 社用車向けの車両管理システムとは、従う規則と中心になる担当者が違います。
- 選ぶときは点呼のやり方、デジタコとのつながり、記録の項目、1年間の保存と取り出しを確かめます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
点呼の記録簿は紙のまま、デジタコのデータは別のソフト、荷待ちの時間は運転者の手書き——。トラックの運送事業者の営業所では、こうした状態が起こりがちです。運行管理システムは、運送事業者が法令で求められる点呼や運行の記録を、画面とデータで残し、確かめるための仕組みです。
記録をまとめれば、記録を探して確かめる手間を減らせます。ただし万能ではなく、点呼のやり方や付けている運行記録計によって、合う製品は変わります。本記事では、トラックの運送事業者で運行管理やシステムを担当する人に向けて、運行管理システムの役割、車両管理システムとの違い、記録が求められる業務、選び方の4つのポイント、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
目次
運行管理システムとは
トラックで荷物を運ぶ運送事業者は、営業所ごとに運行管理者(運転者の乗務を管理する国家資格者)を置かなければなりません。人数は、営業所が受け持つ車両の数を30で割り、端数を切り捨てて1を足した数以上です。*1 運行管理者の仕事は、乗務の割り振りから点呼、記録の保存まで多岐にわたります。運行管理システムは、このうち記録に関わる仕事をまとめて受け持つ道具です。
- 点呼:乗務の前と後に運転者の状態を確かめ、その結果を残す
- 業務の記録:運転者ごとに、運行の開始と終了の地点・日時、休憩、荷待ちなどを残す(いわゆる乗務記録)
- 運行記録計:走行中の速度・距離・時間を自動で記録する装置。デジタル式のものはデジタコと呼ばれます
- 台帳と指示書:運転者の台帳や運行指示書を作り、営業所に備える
どの記録も、輸送安全規則(国土交通省が定める、運送事業者が守る運行のルール)で残し方と保存期間が決まっています。*1 なお、ここではトラックの運送事業を例にします。バスやタクシーは別の規則で定められています。*4
車両管理システムとの違い
名前が似ているため、運行管理システムと車両管理システムは混同されがちです。違いは、誰のための、どの決まりに沿った仕組みかにあります。営業車などの社用車を管理する仕組みについては車両管理システムで扱っています。
| 項目 | 運行管理システム | 車両管理システム |
|---|---|---|
| 主な利用者 | トラック・バス・タクシーの運送事業者 | 営業車などの社用車を持つ一般の会社 |
| 中心になる人 | 営業所の運行管理者 | 総務や車両の担当者 |
| 扱う記録 | 点呼、業務の記録、運行記録計のデータ | 車両の台帳、車検や点検の期限、運転日報 |
| 沿う決まり | 運送事業の輸送安全規則 | 会社ごとの社用車の運用ルールなど |
運送事業者が車両管理の仕組みだけを入れても、点呼の記録の項目や運行記録計のデータの扱いが足りないことがあります。まず自社がどちらの決まりに沿う必要があるのかを確かめてから、候補を絞り込みます。
記録が求められる3つの業務
運行管理システムが受け持つ記録の中心は、点呼・業務の記録・運行記録計の3つです。どれも記録を1年間保存することが決まっています。*1 選ぶ前に、それぞれ何を残す必要があるのかを押さえておきます。

| 業務 | 残すもの | 対象 |
|---|---|---|
| 点呼 | 点呼をした人と受けた人の氏名、車両の番号、日時、方法、確認と指示の内容 | 乗務の前と後のすべての運転者 |
| 業務の記録 | 運行の開始と終了の地点と日時、休憩、荷待ちや荷役の時間など | 運転者ごと |
| 運行記録計 | 瞬間速度・運行距離・運行時間 | 車両総重量7トン以上、または積める荷物の重さの上限が4トン以上の車両など |
点呼では、酒気帯びの有無を目で見るほか、営業所に備えたアルコール検知器で確かめることが求められます。*1 業務の記録では、荷主の都合による荷待ちや荷役の時間を書く対象が、2025年4月1日から全車両に広がりました。*5 運行記録計は、アナログ式とデジタル式のどちらを付けてもよいとされています。*3
1日の流れで見ると、乗務前の点呼から乗務後の点呼までの間に、3つの記録が順につながっていきます。運行管理システムを入れる意味は、この3つを運転者ごと・日ごとに1か所で見られるようにする点にあります。
選び方の4つのポイント
機能の一覧を見比べる前に、次の4つの点で自社の運行に合うかを確かめると選びやすくなります。
- ポイント1:点呼のやり方に合うか。対面だけか、離れた場所から行う遠隔点呼や、機器が行う自動点呼まで使うか
- ポイント2:運行記録計のデータを取り込めるか。いま付けているデジタコの種類と、データの受け取り方に合うか
- ポイント3:業務の記録の項目がそろっているか。荷待ちや荷役の時間まで、運転者が入力しやすい形で残せるか
- ポイント4:記録を1年間残し、必要なときに取り出せるか。直した記録の前の内容も残るか
ポイント1は、運行管理者の働き方に関わります。国土交通省は、対面と同じ効果を持つ点呼の方法として遠隔点呼と自動点呼を認めています。自動点呼に使う機器は、国土交通省の認定を受けたものでなければなりません。*2
| やり方 | 行い方 | 機器の条件 |
|---|---|---|
| 対面点呼 | 運行管理者と運転者が同じ場所で行う | アルコール検知器を営業所に備える |
| 遠隔点呼 | 離れた場所からビデオ通話のような形で行う | 国の定める要件を満たす機器・システム |
| 自動点呼 | 運行管理者が事前に入れた予定に沿い、立ち会いなしで行う | 国土交通省の認定を受けた機器・システム |
遠隔点呼と自動点呼では、生体認証(顔や指紋などで本人を確かめる仕組み)で運転者が本人かどうかを見分けることが求められます。点呼の結果は電子的に1年間残し、画像や音声以外の記録をCSV形式で取り出せることも要件です。*2 ポイント2では、デジタコの種類を確かめます。デジタコには、データをカードで取り出す型と、通信で送る型があります。*4 2024年1月5日の基準の見直しで、クラウドに記録を残せば車内に1年分の記録を持たなくてよくなりました。*3
外部に頼むときに確認しておきたい点
運行管理システムは、既存の配車システムや勤怠の仕組みとつなぐ作業が必要になる場合があります。導入や連携の開発を外部に頼むときは、見積もりの前に次の点を確かめておきます。

- どこまで頼むか:製品の選定、既存システムとのデータ連携、運転者と車両の台帳の移行、操作の説明のうち、どれを任せるか
- 機器とのつなぎ方:いまのデジタコやアルコール検知器のデータを、どの形式で受け取れるか。製品を変えたときに過去の記録を読めるか
- 点呼の手続き:遠隔点呼や自動点呼を始める営業所は、原則として実施予定日の10日前までに運輸支局へ届け出る必要があります*2
- 社内の決まりの見直し:遠隔点呼や自動点呼のやり方は、あらかじめ運行管理規程に書き、関係者に知らせておく必要があります*2
- 運用後の見直し:規則や告示の改正に、誰がどう追いつくか。記録の項目を変えるときの手順を決めておくか
自動点呼に使う機器は認定が必要なので、点呼の部分は認定を受けた製品を使い、記録の集約や他のシステムとの連携を作り込む、という分け方が現実的です。車両の運行に関わる記録の設計の考え方は特定自動運行で問われる遠隔監視と記録の設計でも触れています。
まとめ:運行管理システムで確かめておきたい3つの点
運行管理システムを選ぶうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、自社が運送事業の輸送安全規則に沿う必要があり、社用車向けの車両管理システムでは足りないかどうかを見極めること。第二に、対面・遠隔・自動のどの点呼で運用するかと、いまのデジタコからデータを受け取れるかを先に決めること。第三に、点呼・業務の記録・運行記録計の記録を1年間残し、直した前の内容も含めて取り出せるかを確かめることです。この3点を踏まえておけば、「入れてはみたが、点呼の記録だけは結局紙に戻ってしまった」という事態を避けやすくなります。連携や移行の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
運行記録計はデジタル式でないといけませんか
現在は、アナログ式とデジタル式のどちらを付けてもよいとされています。*3 ただし国は、デジタル式の普及を強く進める方針を示しています。運行管理システムでデータを集めたいなら、デジタル式を前提に考えると連携しやすくなります。
運行管理システムを入れれば、運行管理者を減らせますか
運行管理者の人数は、営業所が受け持つ車両の数で決まり、システムの有無では変わりません。*1 システムで減らせるのは、記録を作り、探し、確かめる手間です。遠隔点呼や自動点呼を使えば、点呼の時間帯に運行管理者が営業所にいなければならない負担を軽くできます。
小さな営業所でも導入する意味はありますか
車両が少なくても、点呼と業務の記録を1年間残す決まりは同じです。紙の記録簿を探す手間や記入漏れが気になっているなら、点呼の記録と業務の記録だけを扱う小さな構成から始める方法もあります。将来、遠隔点呼で他の営業所とつなぐ予定があるかも合わせて考えておくと、選び直しを避けられます。
運行管理システムの導入と連携のご相談
運行管理システムの選定から、デジタコや点呼の記録と既存システムとの連携、運用の見直しまで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業輸送安全規則」(平成二年運輸省令第二十二号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/402M50000800022)。出典:第7条(点呼等)、第8条(業務の記録)、第9条(運行記録計による記録)、第18条(運行管理者等の選任)、第20条(運行管理者の業務)を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:国土交通省「遠隔点呼・自動点呼 解説パンフレット」(令和7年11月)(https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001970917.pdf)。出典:対面点呼・遠隔点呼・自動点呼の違い、機器の要件(生体認証、記録の1年間保存、CSV出力)、運行管理規程への明記、届出の時期の記述を参照(2026年10月確認)
- *3 参考:国土交通省「物流革新に向けたデジタル式運行記録計の普及促進に関する検討会について」(https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001725990.pdf)。出典:運行記録計の装備義務の対象、法定三要素、アナログ式とデジタル式のどちらでもよいこと、令和6年1月5日の技術基準の改正の記述を参照(2026年10月確認)
- *4 参考:国土交通省 運行管理高度化ワーキンググループ「次世代運行管理システムに係る標準化の方向性について」(令和7年度第1回 資料4)(https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001898138.pdf)。出典:デジタコの通信型とカード型、旅客自動車運送事業運輸規則の記述を参照(2026年10月確認)
- *5 参考:国土交通省「令和7年4月1日から、全車両が記載対象になります」(業務記録のチラシ)(https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001865382.pdf)。出典:荷待時間や荷役作業等の業務記録への記録義務の対象が全車両に広がったことの記述を参照(2026年10月確認)