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LibreNMSとObserviumの違い|機器監視の選び方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- LibreNMSはSNMPでネットワーク機器を自動で見つけて監視する、GPLv3の無料のオープンソースです。
- 元になったObserviumとの違いは、コミュニティ開発か有料版のある製品か、更新とサポートの受け方にあります。
- 導入は機器の一覧とSNMP設定をそろえることから始め、通知の送り先と更新の担当を最初に決めます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
スイッチが止まったことに、社員からの電話で初めて気づいた。どの回線が混んでいるのか、機器の画面を1台ずつ開かないと分からない——。ネットワーク機器を少人数で管理している会社では、こうした困りごとが起こりがちです。LibreNMS(リブレエヌエムエス)は、ネットワーク機器を自動で見つけ、状態や通信量を1つの画面で監視するための無料のオープンソースのソフトウェアです。
範囲を指定すれば機器を見つけてくれるため、機器の多い拠点で使いどころがあります。ただし万能ではなく、更新やサポートの受け方によっては、元になったObserviumの有料版が合う場合もあります。本記事では、社内のネットワークを任された担当者に向けて、LibreNMSでできること、Observiumとの違い、自動検出とアラートの仕組み、導入の進め方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
目次
LibreNMSとは
LibreNMSは、ネットワーク機器を自動で見つけて監視する、無料のオープンソースのソフトウェアです。土台はSNMP(ネットワーク機器の状態を外から問い合わせる標準の仕組み)で、CiscoやJuniperなどの機器に対応しています。*1 スイッチやルーターのように、中にソフトを入れられない機器を見るのが得意です。

- ライセンスはGPLv3(改変して配るときにソースコードの公開を求めるライセンス)です
- 開発は企業ではなく、利用者のコミュニティが進めています*2
- VLANやARP表の収集、通信量の集計、syslogの取り込みにも対応しています
- 社内のLDAPやActive Directoryでのログイン、2段階認証、外部から操作するためのAPIを備えています*9
サーバーの中のアプリまで細かく見たい場合は、監視される側に小さなプログラムを入れる監視ツールが合うこともあります(Checkmkの解説)。LibreNMSは、ネットワークの機器が動いているか、回線がどれだけ使われているかを一覧で押さえたいときの選択肢です。
LibreNMSとObserviumの違い
LibreNMSを調べると、よく似た画面のObservium(オブザーヴィウム)が並んで出てきます。LibreNMSの公式ドキュメントによると、LibreNMSはObserviumの最後のGPL版から分かれて生まれたソフトウェアです。*2 元が同じなので基本の考え方は共通で、違いは開発の進め方と無料版・有料版の分け方に出ます。
| 項目 | LibreNMS | Observium |
|---|---|---|
| 開発の進め方 | 利用者のコミュニティが決める | 開発チームが提供する |
| ライセンス | GPLv3 | 無料のCommunity版はQPL |
| 有料版 | 作る予定はないと公表 | ProfessionalとEnterpriseを年額で提供 |
| 更新の頻度 | 初期設定で毎日1回、自動で更新 | Community版は年2回、有料版は毎日の修正を受け取れる |
| 困ったときの相談先 | コミュニティのフォーラムなど | Enterprise版に10時間のサポートが付く |
Observiumは無料のCommunity版を年2回の配布にとどめ、毎日の修正を受け取れる有料版を用意しています。*3 どちらが上かではなく、「更新とサポートを自社で受け持つか、開発元の有料版に頼るか」で考えると選びやすくなります。Observiumから移るためのスクリプトも、LibreNMSのドキュメントで案内されています。
自動検出とアラートの仕組み
LibreNMSの便利な点は、機器を1台ずつ登録しなくても自動で見つけてくれることです。そのために、SNMPの接続情報と、探してよいネットワークの範囲を最初に設定します。範囲を決めるのは、管理下にない機器を勝手に追加しないためです。*4
- 自動検出は初期設定で6時間ごとに動き、新しく見つかった機器は5分以内に調べます
- 自動検出が動くには、先に1台以上の機器を手で登録しておく必要があります
- 隣の機器を知らせる仕組み(CDPやLLDP)や、ルーター同士の経路情報(OSPF・BGP)から次の機器をたどります
- 状態の収集は初期設定で300秒(5分)ごとです*7
アラートは、何を警告にするかの「ルール」、誰にいつ知らせるかの「オペレーション」、メールやSlackなどの送り先の「トランスポート」を組み合わせて作ります。オペレーションが付いていないルールは、警告を出しても通知を送りません。*5 導入直後に「アラートが届かない」と困る原因になりやすい点です。
導入の進め方
導入は、ソフトを入れる作業より、どの機器をどう見るかを決める作業のほうが大切です。次の4つの段階で進めます。
- ステップ1:監視する機器と範囲を決める(スイッチ・ルーター・無線のアクセスポイントなど)
- ステップ2:機器側でSNMPを有効にし、接続情報をそろえる
- ステップ3:LibreNMSのサーバーを用意し、自動検出で機器を取り込む
- ステップ4:アラートの送り先と、更新・バックアップの担当を決める
つまずきやすいのはステップ2です。SNMPには古い版と新しい版があり、新しいv3では認証と暗号化を設定できます。*4 機器ごとに設定がばらばらだと自動検出で拾えないため、先にそろえておきます。収集を担うサーバー1台でおおむね1,000台以上を扱え、それを超えるときは複数のサーバーに分ける仕組みがあります。*8
外部に頼むときに確認しておきたい点
LibreNMSは無料ですが、サーバーの用意や更新、障害時の対応は自社で受け持ちます。ネットワークとLinuxの両方が分かる人が社内にいれば自社で入れられます。手が足りないときや止められない回線を見るときは、外部に頼む前に次の点を確かめておきます。

- どこまで頼むか:サーバーの構築、機器側のSNMP設定、アラートの作り込み、操作の説明のうち、どれを任せるか
- 機器の棚卸し:監視する機器の一覧を誰が作るか。取り込んだ後に台数をどう照らし合わせるか
- 通知の設計:夜間や休日に誰へ知らせるか。知らせすぎて見なくなる事態をどう防ぐか
- 更新の扱い:毎日の自動更新をそのまま使うか、曜日を決めて更新するか
- 運用後の見直し:誤報や見逃しを振り返り、ルールを直す場を設けるか
特に更新は、決めないまま運用に入りやすい点です。初期設定では毎日自動で更新されるため、*6 本番の回線を見ているなら、更新の曜日と事前の確認の手順を最初に決めておきます。サーバーまで含めた監視基盤の考え方はZabbixでインフラ監視基盤を外注構築にまとめています。
まとめ:LibreNMSで確かめておきたい3つの点
LibreNMSでネットワーク機器の監視を始めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、監視する機器と範囲を決め、機器側のSNMPの設定をそろえてから自動検出を動かすこと。第二に、アラートのルールに通知の送り先を結び付け、届くことを確かめること。第三に、毎日の自動更新とバックアップを誰がどう受け持つかを、導入の前に決めておくことです。この3点を踏まえておけば、「入れてはみたが、障害の知らせが届かなかった」という事態を避けやすくなります。構築や運用の分担に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
LibreNMSは本当に無料で使えますか
ソフトウェア自体はGPLv3のオープンソースで、利用料はかかりません。*1 ただし、動かすサーバーの費用や、構築・更新・障害対応の手間は自社で持つことになります。開発元の有料サポートは無いため、困ったときはコミュニティのフォーラムか、構築を頼んだ会社に相談する形になります。
機器の設定のバックアップも取れますか
LibreNMS単体ではなく、Oxidizedという別のオープンソースと組み合わせる形で対応しています。*9 組み合わせると、機器の設定の現在の内容や過去との差分を、LibreNMSの画面から確かめられるようになります。Oxidizedは別に用意するため、導入の範囲に含めるかを最初に決めておきます。
5分より細かい間隔で監視できますか
収集の間隔を1分に縮める設定があります。*7 ただし、ディスクへの書き込みが増えるため、サーバーの性能を見直す必要があります。止まったことを早く知りたいだけなら、公式ドキュメントは、死活確認だけを細かく行う別の機能のほうが簡単だと案内しています。
ネットワーク監視の仕組みづくりのご相談
LibreNMSなどのネットワーク監視ツールの構築から、機器の取り込み、通知の設計、更新とバックアップの運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:librenms/librenms(GitHub)README・LICENSE(https://github.com/librenms/librenms)。出典:PHP/MySQL/SNMPを土台にした自動検出型のネットワーク監視であること、対応する機器とOSの例、GPLv3のライセンスの記述を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:LibreNMS Docs「Welcome to Observium users」(https://docs.librenms.org/General/Welcome-to-Observium-users/)。出典:Observiumの最後のGPL版から分かれたこと、コミュニティが開発を決めること、有料版・有料サポートの予定、Observiumからの移行スクリプトの記述を参照(2026年10月確認)
- *3 参考:Observium 公式サイト(https://www.observium.org/)。出典:Community版(QPL・年2回の配布)、Professional版とEnterprise版(年額・毎日の修正)、Enterprise版の10時間のサポートの記述を参照(2026年10月確認)
- *4 参考:LibreNMS Docs「Auto Discovery Support」(https://docs.librenms.org/Extensions/Auto-Discovery/)。出典:SNMP v1/v2c/v3の接続情報、ネットワーク範囲の指定とその理由、6時間ごとの実行と新しい機器の5分以内の調査、1台以上の登録が必要なこと、XDP・OSPF・BGPによる検出の記述を参照(2026年10月確認)
- *5 参考:LibreNMS Docs「Alerting」(https://docs.librenms.org/Alerting/)。出典:ルール・オペレーション・トランスポート・テンプレートの役割と、オペレーションの無いルールは通知を送らないことの記述を参照(2026年10月確認)
- *6 参考:LibreNMS Docs「Updating an Install」(https://docs.librenms.org/General/Updating/)。出典:初期設定で毎日1回自動で更新されること、自動更新の停止と曜日指定の記述を参照(2026年10月確認)
- *7 参考:LibreNMS Docs「1-Minute Polling」(https://docs.librenms.org/Support/1-Minute-Polling/)。出典:既定の収集間隔300秒、1分間隔にする場合の条件、死活確認にはFast Pingが簡単であることの記述を参照(2026年10月確認)
- *8 参考:LibreNMS Docs「Distributed Polling」(https://docs.librenms.org/Extensions/Distributed-Poller/)。出典:収集用サーバー1台でおおむね1,000台以上を扱えること、複数のサーバーへの分散の記述を参照(2026年10月確認)
- *9 参考:LibreNMS Docs「Features」「Oxidized」(https://docs.librenms.org/Support/Features/)。出典:VLAN・ARP表の収集、NetFlow、syslog、LDAP・Active Directory認証、2段階認証、API、Oxidizedとの連携による設定の閲覧と差分の記述を参照(2026年10月確認)