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2026.08.20 らしくコラム

VDIとDaaSの違い|仮想デスクトップの選び方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 仮想デスクトップ:OS・アプリ・データを中央側で動かし、手元の端末には画面だけを映す仕組みです。
  • 実現方式:VDI(自社で基盤を持つ)とDaaS(クラウドのサービスとして使う)の二つで、違いは基盤の保有と運用の担い手にあります。
  • 主なDaaSサービス:データが端末に残らないため、リモートワークや情報漏えい対策と相性がよく、選び方は運用の人手・費用・拡張性で見比べます。

※ 本記事は2026年8月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。

リモートワークの広がりや情報漏えい対策の高まりを背景に、「デスクトップそのものをデータセンターやクラウドで動かす」という考え方が、あらためて注目を集めています。手元の端末には画面だけを映し、OSやアプリ、データは中央側に置く——この仕組みが仮想デスクトップです。実現の方式には、自社で基盤を持つVDIと、クラウドのサービスとして使うDaaSの二つがあり、どちらを選ぶかで運用の負荷もコストの形も変わってきます。

本記事では、働く場所の柔軟さとセキュリティを両立させたい情報システム部門・事業部門の担当者に向けて、仮想デスクトップとは何か、VDIとDaaSはどう違うのか、主なサービスにはどんなものがあるのか、そして導入や受託・委託開発で押さえておきたい点を整理します。なお、各サービスの料金体系や機能は変わることがあるため、実際の検討では最新の公式情報を確かめながら進めてください。

仮想デスクトップでリモートワークとセキュリティを両立するイメージ

仮想デスクトップとは——VDIとDaaSの基本

仮想デスクトップとは、利用者が使うデスクトップ環境を、手元のパソコンではなく、データセンターやクラウド上のサーバーで動かす仕組みです。手元の端末に映るのは画面の表示だけで、キーボードやマウスの操作を中央に送り、その結果の画面を受け取ります。OSもアプリケーションもデータも中央側にあるため、端末が変わっても同じ環境を呼び出せるのが特徴になります。

この仮想デスクトップを実現する方式が、大きく二つあります。ひとつが「VDI(Virtual Desktop Infrastructure)」で、自社やデータセンターに基盤を構築して運用するやり方です。もうひとつが「DaaS(Desktop as a Service)」で、クラウド事業者が用意した基盤を、月額のサービスとして利用する形になります。DaaSは、VDIの考え方をクラウドのサービスに仕立てたもの、と捉えると分かりやすいでしょう。どちらも「デスクトップを中央で動かす」点は同じで、違いは主に「基盤を誰が持ち、誰が運用するか」にあるのです。

仮想デスクトップの全体像。手元の端末には画面だけを映し、OS・アプリ・データはデータセンターやクラウド側の仮想デスクトップで動かす。自社基盤のVDIと、クラウドサービスのDaaS(Azure Virtual Desktop・Windows 365・Amazon WorkSpaces)の違いを示す図

VDIとDaaSの違い——自社運用かクラウドサービスか

VDIとDaaSのいちばんの違いは、基盤を「自社で持つか」「クラウドのサービスとして借りるか」にあります。VDIは、自社やデータセンターにサーバーを用意し、仮想デスクトップの基盤を構築します。自由度が高く、細かい要件にも合わせやすい反面、初期の投資が大きめになり、構築や運用、更新も自社の責任です。動かし続けるための人手や知見が要る点は、あらかじめ見ておきたいところなのです。

いっぽうDaaSは、クラウド事業者が基盤を保有・運用し、利用者は月額を中心とした料金でサービスを使います。ハードウェアの保守から解放され、利用者数の増減にも合わせやすいのが持ち味でしょう。半面、細部の作り込みはサービスの仕様に沿う必要があり、使い方によっては費用がふくらむこともあります。下の表に、両者の違いを大まかに整理しました。

観点別に見たVDI(自社基盤)・DaaS(クラウドサービス)の一覧
観点 VDI(自社基盤) DaaS(クラウドサービス)
基盤の保有・運用 自社・データセンター クラウド事業者
費用の形 初期投資が大きめ 月額中心の利用料
自由度 高い(要件に合わせやすい) サービスの仕様の範囲
拡張・縮小 基盤の増強が要る 増減に合わせやすい
運用の人手 自社で確保が要る 事業者側に任せられる部分が多い

どちらが優れているという話ではありません。運用できる人手、初期に割ける予算、拡張の見通し、すでにクラウドを使っているかどうか——こうした条件で、見合うほうが変わります。既存のサーバー環境の更改とあわせて考える場合は、サーバーリプレイスの外注の観点もあわせて見ておくと、全体の判断がしやすくなるでしょう。

主なDaaSサービス——AVD・Windows 365・Amazon WorkSpaces

DaaSには、いくつか代表的なサービスがあります。マイクロソフトの「Azure Virtual Desktop(AVD)」は、Azure上で動くDaaSで、Microsoft 365やActive Directoryとの連携がしやすく、利用状況に応じた自動的な増減にも向いています。同じくマイクロソフトの「Windows 365」は、一人ひとりに割り当てる“クラウドPC”という考え方で、設定をよりシンプルにしたものです。すでにMicrosoftの環境を使う組織には、なじませやすい選択肢になります。

アマゾンの「Amazon WorkSpaces」は、WindowsやLinuxのデスクトップを提供する、フルマネージドのDaaSです。提供の実績が長く、規模の拡大にも対応しやすいとされています。いずれのサービスも、料金体系や使える機能、対応するOSに差があります。自社の利用人数や使い方、すでに契約しているクラウドとの相性を踏まえて選ぶのがよく、正確な条件は各サービスの公式情報で確かめてください。

導入のメリットと、向く場面

仮想デスクトップの大きな持ち味は、データが手元の端末に残らない点にあります。OSもファイルも中央側にあるため、端末を紛失しても情報がそのまま漏れるわけではありません。リモートワークや、社外からのアクセスが増える環境で、情報漏えいのリスクを抑えたい場合に向くでしょう。端末を選ばず同じ環境を呼び出せるので、働く場所の柔軟さと守りを両立させたいときに力を発揮するのです。この考え方は、社内外の境界を前提にしないゼロトラストの実装とも重なります。端末に情報を残さない仕組みは、DLP(情報漏えい対策)の取り組みを補う一手にもなるでしょう。

向く場面はほかにもあります。たとえば、繁忙期だけ利用者が増える業務や、短期のプロジェクト、外部の委託先に統制のとれた作業環境を渡したい場合など。必要なときに必要な数だけ用意し、終われば片づけられる柔軟さは、仮想デスクトップならではです。反対に、高い描画性能が要る作業や、常時オフラインで使いたい用途では、向かないこともあります。自社の使い方に照らして、持ち味が活きるかを見きわめる姿勢が大切になります。

導入・運用で押さえる点

導入を検討する際に、まず押さえておきたいのがネットワークです。仮想デスクトップは、画面と操作を常にやり取りするため、回線の品質が使い勝手を大きく左右します。遅延が大きいと、操作のもたつきとして体感に響くのです。拠点や在宅からのアクセス経路、回線の帯域、同時に使う人数を見積もり、余裕を持った設計にしておくと危なげがありません。あわせて、認証やアクセス制御をどう組むかも、早い段階で決めておきたいところでしょう。

費用の見立ても欠かせません。VDIなら基盤の構築と運用、DaaSなら月額の利用料に加えて、Windowsなどのライセンスの扱いも確かめておく必要があるのです。持ち込みのライセンスでクラウド費用をやりくりするBYOLでのライセンスコスト最適化の考え方も、あわせて検討すると選択肢が広がります。運用面では、DaaSであっても“任せきり”にはできません。利用者の追加や削除、アクセス権の見直し、障害時の窓口など、自社で担う部分は残るのです。どこまでを事業者やパートナーに任せ、どこを自社で握るのかを整理しておくと、運用が回りやすくなるものです。

受託・委託開発で押さえる実務ポイント

仮想デスクトップの構築や運用を外部と進める場合は、いくつかの点を早めにすり合わせておくと見通しが立ちます。出発点になるのが、「何のために導入するのか」の言語化です。リモートワークの土台にしたいのか、情報漏えい対策を厚くしたいのか、繁忙期のスケールに備えたいのか。目的によって、VDIとDaaSのどちらが見合うかも、必要な作り込みの深さも変わってきます。ここを一緒に整理できる相手だと、後戻りが起きにくくなります。

そのうえで、ネットワーク設計、認証・アクセス制御、ライセンスの扱い、運用の分担といった論点を、設計の早い段階で共有します。導入して終わりではなく、日々の運用まで見据えると、クラウド運用代行(マネージドサービス)のように運用を任せる選び方も視野に入ります。要件の言語化から、方式の選定、設計、構築、運用と見直しまでを見通して伴走できるかどうかを、委託先選びの視点にするとよいでしょう。目的から逆算して提案できる相手であれば、仮想デスクトップも現場に無理なく根づかせやすくなるものです。

まとめ:仮想デスクトップで押さえる3つの視点

仮想デスクトップは、働く場所の柔軟さとセキュリティを両立させる土台になりうる仕組みです。押さえておきたい視点は、三つに整理できます。第一に、OS・アプリ・データを中央側で動かし手元には画面だけを映す仕組みで、実現方式にはVDI(自社で基盤を持つ)とDaaS(クラウドのサービスとして使う)があること。第二に、両者の違いは基盤の保有と運用の担い手にあり、運用の人手・初期費用・拡張性・既存のクラウド利用状況で見合うほうを選ぶこと。第三に、データが端末に残らないためリモートワークや情報漏えい対策と相性がよく、いっぽうでネットワークやライセンス、運用の分担を早めに設計しておくのが肝になること。まずは導入の目的を言葉にするところから始めるとよいでしょう。判断に迷う部分は、公式情報の確認とあわせて、外部の知見を頼るのも手堅い進め方といえます。

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、元請(プライムベンダー)として、仮想デスクトップの導入を、目的の言語化から方式選定・設計・構築・運用まで一貫して受託しています。VDIとDaaSの見きわめ、ネットワークや認証の設計、ライセンスの整理、運用の分担まで、目的から逆算してご提案できるのが強みです。何から手を付けるべきか、現状把握の段階からご相談いただけます。

よくある質問

VDIとDaaSは何が違いますか。

いちばんの違いは、仮想デスクトップの基盤を「自社で持つか」「クラウドのサービスとして借りるか」です。VDIは自社やデータセンターに基盤を構築して運用します。DaaSはクラウド事業者が基盤を保有・運用し、月額中心の料金で使います。DaaSはVDIの考え方をサービスに仕立てたもの、と捉えると分かりやすいでしょう。運用の人手や費用の形、拡張性で見合うほうが変わります。

代表的なDaaSにはどんなものがありますか。

マイクロソフトのAzure Virtual Desktop(AVD)やWindows 365、アマゾンのAmazon WorkSpacesなどが代表的です。AVDはMicrosoft 365との連携や自動的な増減に向き、Windows 365は一人ひとりに割り当てるクラウドPCとして設定をシンプルにしています。Amazon WorkSpacesは実績が長く規模の拡大に対応しやすいとされます。料金や機能に差があるため、公式情報でご確認ください。

仮想デスクトップはセキュリティの面で有利ですか。

データが手元の端末に残らない点は、情報漏えい対策の観点で利点になるのです。OSもファイルも中央側にあるため、端末を紛失しても情報がそのまま漏れるわけではありません。リモートワークや社外アクセスが多い環境と相性がよく、ゼロトラストやDLPの取り組みを補う一手にもなります。ただし万能ではないため、ネットワークや認証の設計とあわせて考えることが大切です。

導入で失敗しやすい点はどこですか。

見落としやすいのがネットワークです。画面と操作を常にやり取りするため、回線の遅延や帯域不足が操作のもたつきに直結します。同時利用者数やアクセス経路を見積もり、余裕を持った設計にしておくと危なげがありません。また、DaaSでも運用がゼロになるわけではなく、利用者管理やアクセス権の見直しなど自社で担う部分が残る点も、あらかじめ整理しておきたいところです。

導入はどこから着手すればよいですか。

導入の目的を言葉にするところから始めるとよいでしょう。リモートワークの土台か、情報漏えい対策か、繁忙期のスケール対応かによって、VDIとDaaSのどちらが見合うかも、作り込みの深さも変わります。そのうえでネットワーク・認証・ライセンス・運用の分担を設計するのです。社内の知見が十分でない場合は、目的の整理の段階から専門家に伴走してもらう進め方が手堅いといえます。

仮想デスクトップ(VDI/DaaS)の導入はLASSICへ

元請(プライムベンダー)として、目的の言語化から方式選定・設計・構築・運用まで、貴社のリモートワーク基盤づくりに合わせてご提案します。まずはお気軽にご相談ください。

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出典

  1. *1 参考:Microsoft「Azure Virtual Desktop のドキュメント」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-desktop/)。DaaSの機能・料金は公式を確認。(2026年8月確認)
  2. *2 参考:Amazon Web Services「Amazon WorkSpaces」(https://aws.amazon.com/jp/workspaces/)。提供内容の参照先として。(2026年8月確認)


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