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2026.10.21 らしくコラム

Webシステム開発の費用相場|見積もりを読み解く5つの内訳

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

夕方の席で2台のモニターに並べた見積もりの表をペンで見比べる担当者

この記事の結論

  • Webシステム開発の費用は、工数(何人が何か月かかるか)と単価の掛け算で決まります。
  • 見積もりは要件定義・設計、開発、テスト、環境構築・移行、運用・保守の5つの内訳で比べます。
  • 合計額ではなく内訳と前提条件をそろえ、公開後の運用費まで含めた総額で判断します。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

見積もりを2社から取ったら、金額が大きく違った。「一式」とだけ書かれていて、何にいくらかかるのか分からない——。Webシステムの開発を初めて外部に頼む会社では、こうした戸惑いが起こりがちです。Webシステムとは、社員や顧客がWebブラウザから使う業務の仕組みのことで、受発注の画面や会員向けのマイページ、社内の申請システムなどがこれにあたります。

費用は作るものの量と、それを作る人の単価で決まるため、規模が変われば金額も大きく変わります。ただし、見積書の内訳を見れば、金額の差がどこから来ているのかはおおむね読み取れます。本記事では、Webシステムの開発を検討している情報システムの担当者に向けて、費用の5つの内訳、規模を左右する要素、見積もりの確かめ方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

Webシステム開発の費用とは

Webシステムの開発費用は、その大半が人の作業にかかる費用です。デジタル庁の実践ガイドブックは、作業を委託するときの見積もりに、作業内容・作業工数・作業者の種別とレベル・人件費単価を明らかにするよう求めています。工数の根拠としては、画面数や帳票数、ファンクションポイント(機能の量を数える尺度)などを挙げています。*3

  • 開発費用は「工数(何人が何か月かかるか)×単価」が基本の形です
  • 工数は、画面や機能の数など、作るものの量に応じて増えます
  • 単価は、担当する人の役割(SE・プログラマなど)やレベルで変わります
  • 開発が終わった後も、運用や保守の費用が毎年かかり続けます*2

Webの形をとるシステムは、いまの開発の中心です。IPA(情報処理推進機構)が企業から集めた開発プロジェクトのデータでは、アーキテクチャ(システムの基本の構成)の回答のうち「イントラネット/インターネット」が48.6%で最も多くなっています。*1 本記事では、この形のシステムを新しく作るときの費用を扱います。

費用の5つの内訳

見積書の項目は会社によって呼び方が違います。デジタル庁の標準ガイドラインが示す経費の区分に当てはめると、Webシステムの費用は次の5つにまとめられます。*2 区分の名前をそろえておくと、2社の見積もりを並べて比べやすくなります。

スマートフォンとノートPCで同じWeb画面の表示を確かめる手元

Webシステム開発の費用の5つの内訳(経費の区分をもとに整理)
内訳 含まれる作業 費用が増えやすい場面
1. 要件定義・設計 現状の調査、要件の取りまとめ、設計書の作成 業務の決まりごとが部署ごとに違い、整理に時間がかかるとき
2. 開発 画面や機能のプログラミング、単体テスト 画面が多い、入力のチェックや権限の分け方が細かいとき
3. テスト 結合テスト、総合テスト、受入テスト 外部のサービスとの連携が多く、確かめる組み合わせが増えるとき
4. 環境構築・移行 サーバーやクラウドの準備、旧システムからのデータ移行 古いデータの形式がそろっていないとき
5. 運用・保守 稼働の監視、不具合の修正、クラウドの利用料、脆弱性診断 止められない時間帯が長く、監視や対応の体制を厚くするとき

新しく作る開発では、5つのうち開発の作業がいちばん重くなります。IPAのデータで、基本設計から総合テストまでそろった新規開発270件を見ると、製作工程(プログラムを作る工程)が工数に占める割合は中央値で31.6%でした。次いで結合テストが20.1%、基本設計が16.5%です。*1 見積もりの中で開発の割合が大きく外れている場合は、前提の違いを確かめるきっかけになります。

Webシステム開発の費用の5つの内訳を左から並べた図。要件定義・設計、開発、テスト、環境構築・移行は開発のときに一度かかる初期費用、運用・保守は公開後に毎年かかる運用費。

規模を左右する要素

同じWebシステムでも、費用の大きさは作るものの量と求める水準で決まります。IPAのデータでも、機能の量(FP規模)が大きくなるほど工数が増える関係が示されています。*1 見積もりを頼む前に、次の要素を自社で書き出しておくと、各社の見積もりの前提がそろいます。

Webシステムの規模を左右する要素
要素 小さく収まりやすい例 大きくなりやすい例
画面と機能の数 社内の申請と承認だけで、画面が少ない 顧客向けの会員登録・検索・注文と、それを扱う管理画面まで
使う人 社内の決まった部署の人だけ 社外の顧客が使い、利用者の数が読みにくい
外部との連携 連携なし。データはCSVファイルで出し入れする 決済・基幹システム・外部のサービスと自動でつなぐ
止められない時間 平日の業務時間だけ動けばよい 24時間止められず、障害のときにすぐ戻す必要がある
セキュリティ 社内のネットワークの中だけで使う 個人情報や決済の情報を扱い、脆弱性診断が欠かせない

社内向けの小さなシステムと、顧客が使う会員サイトでは、画面の数が近くても費用が大きく変わります。社外の人が使うシステムには、アクセスの集中への備えやセキュリティの検査が加わるためです。生産管理や会計のような社内の業務システムの費用の考え方は業務システム開発の費用相場で扱っています。

見積もりの確かめ方

見積もりの金額が妥当かどうかは、合計額ではなく内訳で判断します。デジタル庁の実践ガイドブックは、見積もりの内訳を「一式 ○○円」といった書き方にせず、妥当性を確かめられる細かさで書かせることを求めています。*3 民間の会社が外部に頼む場合も、次の4つの段階で進めると比べやすくなります。

  • ステップ1:作りたい業務と機能、使う人の数、止められない時間、完成の時期を文書にまとめて各社に渡す
  • ステップ2:見積もりの様式をこちらで決め、同じ項目で出してもらう
  • ステップ3:工数・単価・前提条件を内訳ごとに並べて比べる
  • ステップ4:開発後の運用・保守の費用まで含めた総額で比べる*3

ステップ3で合計額だけを見ると、作業の範囲が狭い見積もりが安く見えてしまいます。ガイドブックも、複数の見積もりの合計額を単純に平均せず、内訳の項目ごとに前提をそろえて比べるよう求めています。*3 片方の見積もりにだけテストや移行が入っていない、という差はこの段階で見つかります。

外部に頼むときに確認しておきたい点

Webシステムの開発を外部に頼むときは、金額の比較に加えて、次の点を契約の前に確かめておきます。公開後にかかる費用もこの段階で見通しておくと、予算の組み直しを防げます。

会議室で開発会社がノートPCの画面を発注側へ向けて説明する場面

  • 見積もりの根拠:画面数や機能数など、工数を出した根拠が示されているか
  • 作業の範囲:要件定義・テスト・移行・操作の説明のうち、どこまでが金額に入っているか
  • 変更の扱い:開発の途中で機能を追加・変更したとき、費用をどう決めるか
  • 運用・保守:公開後の監視、不具合の修正、クラウドの利用料を誰が持ち、毎月いくらかかるか
  • 体制:設計から運用までを同じ会社が受け持つか、途中で担当の会社が替わるか

運用・保守の費用は、開発費とは別に毎年かかります。ガイドブックは、ライフサイクルコスト(作ってから使い終えるまでの費用の合計)の見積もりに漏れがあると、運用の段階で追加の経費が発生し、費用対効果を損なうと指摘しています。*3 運用保守の費用の内訳はシステム運用保守の費用相場と内訳で整理しています。

まとめ:Webシステムの費用で確かめたい3つの点

Webシステム開発の費用を見積もるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、費用は工数と単価の掛け算で決まるため、工数の根拠(画面数や機能数)が示されているかを見ること。第二に、要件定義・設計、開発、テスト、環境構築・移行、運用・保守の5つの内訳がそろっているかを見ること。第三に、開発費だけでなく、公開後の運用・保守まで含めた総額で比べることです。この3点を踏まえておけば、「安い見積もりを選んだら、テストや移行が別料金だった」という事態を避けやすくなります。見積もりの読み方や比べ方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Webシステムの見積もりでは、画面と機能の一覧をもとにIFPUG法などのファンクションポイントで規模を数え、要件定義からテストまでの工程ごとに工数を割り振ります。インフラはAWSやMicrosoft Azureの料金計算ツールを使い、利用者の数とデータ量から月々の利用料を試算します。設計の段階では、Ruby on RailsやLaravelなどのフレームワークで作るか、SaaSを組み合わせるかを、運用まで含めた総額で比べて決めます。公開の前にはOWASP ASVS(Webアプリのセキュリティ確認の基準)に沿って脆弱性を確かめ、公開後は監視と障害対応の手順を文書にして、運用にかかる費用を内訳ごとに示します。

よくある質問

見積もりはいつ頼めばよいですか

作りたい業務と機能の概要がまとまった段階で頼むと、各社の前提がそろいます。要件が固まっていない段階の見積もりは金額の幅が大きくなります。要件定義だけを先に頼み、その結果をもとに開発の見積もりを取り直す進め方もあります。

パッケージやSaaSを使うと費用は安くなりますか

自社で作る機能が少なくなる分、開発の費用は下がりやすくなります。一方で、利用料が毎月・毎年かかるため、使い続ける期間の総額で比べることが大切です。デジタル庁の標準ガイドラインも、SaaSなどのサービス利用料を経費の区分の1つにしています。*2

社内に詳しい人がいなくても見積もりを比べられますか

比べられます。内訳ごとに工数と単価、前提条件を並べた表を作れば、金額の差がどの項目から出ているかが分かります。判断が難しい項目は、見積もりを出した会社に根拠を説明してもらうか、中立の立場の専門家に見てもらう方法があります。

Webシステム開発の見積もりのご相談

Webシステムの要件整理から見積もりの内訳の確認、開発と運用・保守まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「ソフトウェア開発分析データ集2022」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/metrics2022.html)。出典:2016年度〜2021年度の開発データを主な対象とした集計のうち、表1-2-3「アーキテクチャ」、A2.1「FP規模と工数」、表A3-3-8「工程別の実績工数の比率(新規開発)」を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:デジタル庁「デジタル社会推進標準ガイドライン DS-100 デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」(https://www.digital.go.jp/resources/standard_guidelines)。出典:別紙2「情報システムの経費区分」(整備経費と運用等経費の区分、サービス利用料など)を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:デジタル庁「デジタル社会推進実践ガイドブック DS-110 デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン解説書」(https://www.digital.go.jp/resources/standard_guidelines)。出典:第3章4「経費の見積り」(積算内訳の明確化、ライフサイクルコスト、複数事業者の見積りの比較)を参照(2026年10月確認)




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