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WildFlyとJBoss EAPの違い|サポート期限と選び方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- WildFlyは無料のオープンソースで、JBoss EAPはWildFlyをもとにRed Hatが長期サポートを付けた商用製品です。
- WildFlyは最新の系列だけが保守され、JBoss EAPは1つの版を最長7年、追加契約でさらに延ばせます。
- どちらを選ぶかは、版の更新を社内で回せるかと、システムを何年使うかで決めます。
※ 本記事は2026年11月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
WildFlyで動いている社内システムを、このまま使い続けてよいのか分からない。JBoss EAPという似た名前の製品もあり、保守の面でどちらを選べばよいのか判断できない——。Javaで作った業務システムを長く運用している会社では、こうした迷いが起こりがちです。WildFly(ワイルドフライ)は、Javaの業務用Webシステムを動かすアプリケーションサーバー(アプリを載せて動かす土台のソフト)で、無料で使えるオープンソースです。
同じ系統の商用製品がRed HatのJBoss EAPで、長い期間のサポートを受けられます。ただし万能ではなく、どちらが向くかはシステムを何年使うか、社内で版の更新を回せるかで変わります。本記事では、Javaのシステムを保守する情報システムの担当者に向けて、WildFlyとJBoss EAPの関係、Tomcatとの違い、サポート期限の考え方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
WildFlyとは
WildFlyは、Jakarta EE(Javaで業務用のWebシステムを作るための標準仕様)に沿って作られたアプリケーションサーバーです。以前はJBoss AS(JBoss Application Server)という名前で開発されていました。*3 データベースとのやり取りや認証など、業務システムに要る機能をまとめて備えています。
- 最新版のWildFly 42は2026年10月22日に公開され、Jakarta EE 11に対応しています*2
- ライセンスはApache License 2.0(商用でも無料で使えるライセンス)です*5
- 開発はオープンソースのコミュニティで進み、Commonhaus Foundation(オープンソースを支える団体)が支援しています*1
- 新しい版は、おおむね3〜4か月ごとに出ます*1
無料で入手して使える一方、不具合や脆弱性の修正を受け取るには、新しい版へ上げ続ける必要があります。この点がJBoss EAPとの大きな違いです。
JBoss EAPとの関係
JBoss EAP(JBoss Enterprise Application Platform)は、Red Hatが販売とサポートを行う商用のアプリケーションサーバーです。WildFlyはJBoss EAPのアップストリーム(製品のもとになる開発元のプロジェクト)にあたり、EAPの新機能や修正はまずWildFlyの開発の本流に入ると、WildFlyのプロジェクトリーダーが説明しています。*3
- WildFly:コミュニティが作る版。新しい機能が早く入り、版が短い間隔で入れ替わります
- JBoss EAP:WildFlyをもとにRed Hatが製品として仕上げた版。サブスクリプション契約で、長い期間のサポートと修正を受け取ります
- 開発チームは2025年5月にIBMへ移りましたが、EAPの販売とサポートはRed Hatが続けると公表されています*3
中身の系統は同じで、違うのは「誰が、どれだけの期間、面倒を見るか」です。新しい機能を早く使うならWildFly、同じ版を長く使うならJBoss EAP、という分け方が基本です。
Tomcatとの違い
Javaのシステムの土台にはTomcatもよく使われます。Tomcatは、Jakarta EEのうちServlet(Webからの要求を受けて処理する仕組み)など一部の仕様を実装したソフトウェアです。*6 WildFlyとJBoss EAPは、Jakarta EEの仕様をまとめて備えている点が違います。

| 項目 | WildFly | JBoss EAP | Tomcat |
|---|---|---|---|
| 提供元 | オープンソースのコミュニティ | Red Hat(商用製品) | Apache Software Foundation |
| 備える仕様 | Jakarta EEの全体 | Jakarta EEの全体 | Servletなど一部 |
| 費用 | 無料(Apache License 2.0) | サブスクリプション契約が必要 | 無料(Apache License 2.0) |
| 保守される版 | 最新の系列だけ | 1つの系列を最長7年、追加契約で延長 | 系列ごとに期限が公表される |
| 向いている場面 | 版の更新を社内で回せる | 同じ版を長く使い、問い合わせ先が要る | Jakarta EEの多くの機能を使わない |
Tomcatから乗り換えるかどうかは、アプリケーションが使っている仕様で決まります。Servletだけで動いているならTomcatのままで足り、データベースの取引管理などをサーバー側に任せたいならWildFlyかJBoss EAPが候補です。Tomcatの版の上げ方とサポート期限はTomcatバージョンアップの進め方で扱っています。
サポート期限の違い
保守の面でいちばん差が出るのは、1つの版を何年使えるかです。WildFlyは、新しい版を出したあとは前の系列に不具合修正の版を出さない方針をとっています。*1 公式サイトでは、WildFly 42の公開をもって41の系列の保守を終えると案内しています。

JBoss EAPは、1つの大きな版に7年のサポート期間を設けています。最初の4年が全面的なサポート、続く3年が保守のサポートで、その後は追加の契約(ELS:延長サポート)で期間を延ばせます。*4
| 版 | 全面サポートの終了 | 保守サポートの終了 | 延長サポートの終了 |
|---|---|---|---|
| 8.x | 2028年2月5日 | 2031年2月5日 | 2034年2月5日 |
| 7.x | 2023年12月31日(終了) | 2025年6月30日(終了) | 2031年12月31日 |
| 6.x | 2016年6月30日(終了) | 2019年6月30日(終了) | 2028年12月30日 |
延長サポートは2段階に分かれ、後半の段階では不具合や脆弱性の修正は提供されず、移行の助言などに限られます。*4 7.xや6.xを使っている場合は、延長サポートの間に8.xへ移る計画を立てておきます。
外部に頼むときに確認しておきたい点
WildFlyを自社で使い続けるか、JBoss EAPに切り替えるかは、版の更新を誰が回すかで決まります。3〜4か月ごとの更新を社内で検証しきれないなら、EAPの契約や更新作業の委託が候補です。構築や移行を外部に頼むときは、次の点を見積もりの前に確かめておきます。
- いまの版と期限:動いているWildFlyやEAPの版を調べ、公式の期限と照らし合わせるか
- 製品の選び方:WildFlyで続けるか、JBoss EAPに切り替えるか、Tomcatで足りるかを、使っている仕様から判断できるか
- Javaの版:WildFly 42はJava SE 17と21でJakarta EE 11との互換性を確かめており*2、Javaの版も合わせて上げる計画があるか
- 検証の方法:版を上げたあと、業務の主要な画面と処理をどの手順で確かめるか
- 運用後の更新:次の版への更新を、誰がどの頻度で行うか
商用製品からの移行先を比べる場合は、WebLogic/WebSphere移行でコスト最適化も参考になります。
まとめ:WildFlyで確かめておきたい3つの点
WildFlyで動くシステムを保守するうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、いま動いている版が、公式に保守されている系列かどうかを調べること。第二に、版の更新を社内で回し続けられるかを見極め、難しければJBoss EAPへの切り替えも比べること。第三に、アプリケーションが使っている仕様を洗い出し、Tomcatで足りるのか、Jakarta EEの全体が要るのかを判断することです。この3点を踏まえておけば、「気づいたら誰も保守していない版で本番が動いていた」という事態を避けやすくなります。製品の選び方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
WildFlyで作ったアプリはJBoss EAPでも動きますか
JBoss EAPはWildFlyをもとに作られているため、仕組みの多くは共通しています。*3 ただし、EAPとWildFlyは版の番号が対応していないため、移す前に検証用の環境で業務の主要な処理を動かして確かめます。
サポートが終わった版を使い続けるとどうなりますか
新しい脆弱性が見つかっても、修正の版は提供されません。Red Hatも、保守のサポートが終わった版で新しく環境を作ることは勧めていません。*4 使い続ける場合は、移行の時期を決めたうえで、期間を区切って運用します。
JBoss EAPの延長サポートはいつまでに申し込めばよいですか
Red Hatは、延長サポートの期間が始まる前に追加の契約を購入するよう案内しています。*4 始まったあとに申し込む場合は、開始日にさかのぼって契約する扱いになります。保守サポートの終了日を早めに確かめておきます。
WildFly・JBoss EAPの保守と移行のご相談
WildFlyの版の更新から、JBoss EAPやTomcatへの移行の判断、移行後の保守まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:WildFly「About WildFly」(https://www.wildfly.org/about/)。出典:Commonhaus Foundationの支援、3〜4か月ごとの公開、前の系列に修正版を出さない方針、41の系列の保守期間の記述を参照(2026年11月確認)
- *2 参考:WildFly「WildFly 42 is released!」(2026年10月22日)(https://www.wildfly.org/news/2026/10/22/WildFly-42-is-released/)。出典:WildFly 42の公開、Jakarta EE 11への対応、Java SE 17・21での互換性の記述を参照(2026年11月確認)
- *3 参考:WildFly「WildFly and Red Hat’s middleware strategy」(2025年3月5日)(https://www.wildfly.org/news/2025/03/05/WildFly-and-Red-Hat-s-middleware-strategy/)。出典:WildFlyがJBoss EAPのアップストリームであること、旧称JBoss AS、開発チームのIBMへの移管とEAPの販売・サポートの継続の記述を参照(2026年11月確認)
- *4 参考:Red Hat「Red Hat Application Services Product Update and Support Policy」(https://access.redhat.com/support/policy/updates/jboss_notes)。出典:7年のライフサイクル(全面サポート4年・保守サポート3年)、延長サポート(ELS-1・ELS-2)の内容と購入時期、JBoss EAPの版ごとの期限(同ページが読み込む製品ライフサイクルのデータ)を参照(2026年11月確認)
- *5 参考:wildfly/wildfly(GitHub)(https://github.com/wildfly/wildfly)。出典:ライセンス(Apache-2.0)を参照(2026年11月確認)
- *6 参考:The Apache Software Foundation「Apache Tomcat」(https://tomcat.apache.org/)。出典:TomcatがJakarta Servletなど一部の仕様を実装していること、Apache License version 2の記述を参照(2026年11月確認)
- *7 参考:Red Hat「Red Hat JBoss Enterprise Application Platform」製品ページ(https://www.redhat.com/en/technologies/jboss-middleware/application-platform)。出典:JBoss EAP 8の製品説明とサブスクリプションの記述を参照(2026年11月確認)