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2026.11.04 らしくコラム

稼働監視システムの導入4ステップ|工場設備の稼働率を見える化

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

工場の通路で柱のモニターの表示を指す生産技術の担当と、見上げる情シス担当

この記事の結論

  • 稼働監視システムは、工場の設備が動いているか止まっているかを自動で記録し、稼働率を画面で見せる仕組みです。
  • 状態の取り方はPLC・後付けのセンサー・表示灯の読み取りから、設備ごとに選びます。
  • 導入は1つのラインで試し、止まった理由の分け方を直してから広げるのが進めやすい形です。

※ 本記事は2026年11月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

設備が止まっていたことに、翌日の日報を見るまで気づかない。稼働率を聞かれても、班長の記憶と手書きの記録をつなぎ合わせないと答えられない——。設備の台数が多い工場では、こうした食い違いが起こりがちです。稼働監視システムは、工場の設備が動いているか止まっているかを自動で集め、停止の時間や稼働率を画面で見えるようにする仕組みです。

どの設備が、どの理由で止まっているかが分かれば、改善の順番を数字で決められます。ただし万能ではなく、製品ごとの進み具合や点検の予定は別の仕組みが受け持ちます。本記事では、工場の情報システム担当者や生産技術の担当者に向けて、稼働監視システムの役割、似た仕組みとの違い、設備から状態を取り出す方法と導入の4ステップ、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

稼働監視システムとは

稼働監視システムが集めるのは、設備が「いま動いているか、止まっているか」という状態の記録です。設備の信号から状態の変わり目を自動で記録するため、止まった時刻と長さが正確に残ります。主な役割は次の4つです。

  • 状態の記録:運転中・停止中・異常・段取り替え(品種を切り替える準備)中といった状態を、時刻とあわせて残す
  • 止まった理由の記録:設備が止まったとき、材料待ち・故障・刃物の交換などの理由を現場で選んで登録する
  • 稼働率の集計:動かす予定だった時間のうち、実際に動いていた時間の割合を、設備ごと・日ごとに計算する
  • 知らせる仕組み:異常で止まった設備を、事務所の画面や担当者の端末にすぐ知らせる

成形機の横でタブレットの画面を指で押す作業帽の作業者

製造現場の成績をどんな指標で測るかは、国際規格にもまとめられています。米国の国立標準技術研究所(NIST)の報告書は、ISO 22400を、製造現場の運営で使うKPI(成績を測る指標)を定めた規格として紹介しています。*3 稼働率は、分母に段取り替えや休憩の時間を含めるかどうかで値が変わるため、計算のしかたを社内でそろえておきます。

工程管理や設備保全との違い

工場で使う仕組みには、名前の似たものがいくつかあります。稼働監視システムは「設備の状態」を見る仕組みで、製品がどこまで進んだかを見る工程管理や、点検と修理の記録を管理する設備保全とは、見ている対象が違います。

稼働監視システムと似た仕組みの違い
仕組み 見ている対象 答えられる問い
稼働監視システム 設備が動いているか止まっているか どの設備が、いつ、何の理由で、どれだけ止まったか
工程管理システム 製品(ロット)ごとの工程の進み具合 注文の品がいまどの工程まで進んだか
設備保全管理システム 点検の予定と修理の記録、交換部品 次の点検はいつで、前回はどこを直したか
サーバーの監視ツール サーバーやネットワーク機器の状態 社内のシステムが正常に動いているか

稼働監視が工程管理システムやMES(製造実行システム)の一機能として入っている製品もあります。まず「設備が止まる理由が分からない」のか「注文の進み具合が分からない」のかを見極めると、選ぶ仕組みを絞り込めます。製品ごとの進み具合を記録する仕組みは工程管理システムの選び方で扱っています。

設備から状態を取り出す方法

稼働監視システムで最初に悩むのは、設備から状態の信号をどう取り出すかです。IPA(情報処理推進機構)の中小製造業向けのガイドは、製造用の機器を、ネットワークにつなぐ口が無いもの、RS232C(古くからある通信の口)でパソコンとつなげるもの、PLC(設備を制御する装置)を通してつなげるもの、直接ネットワークにつなげるものに分け、それぞれに合ったつなぎ方を考える必要があるとしています。*1

  • PLCから取る:設備を動かしているPLCの信号を読み取り、運転・停止・異常を自動で記録する
  • ネットワークから取る:ネットワークにつながる新しい設備から、状態の情報を直接受け取る
  • センサーを後から付ける:設備に必要なセンサーを取り付け、Wi-Fiなどの無線で状態を送る*1
  • 表示灯を読み取る:運転や異常を色で示す設備の表示灯を、カメラで撮って色を判定する*2

IPAの別の資料は、製造装置のデータを外へ持ち出せない場合の工夫として、装置のパイロットランプの画像をカメラで読み取り、色を判定してデジタルデータにする方法を挙げています。*2 表示灯を読む方法なら、古い設備でも中に手を入れずに始められます。

導入の4ステップ

稼働監視システムの導入は、画面を作る作業よりも、何を測るかを決める作業のほうが大切です。次の4つの段階で進めると、集めたデータが使われないまま終わる事態を避けやすくなります。

  • ステップ1:対象の設備と、記録する状態の種類(運転・停止・異常・段取り替え)を決める
  • ステップ2:設備ごとに、PLC・後付けのセンサー・表示灯のどれで状態を取るかを決める
  • ステップ3:1つのラインで試し、記録された停止の時間を紙の日報や現場の感覚と突き合わせる
  • ステップ4:止まった理由の分け方を見直し、朝礼や会議で改善に使う場を決めてから広げる

稼働監視システムの導入を4つの段階で左から順に並べた流れ図。STEP1 対象の設備と状態を決める、STEP2 状態の取り方を決める、STEP3 1ラインで試す、STEP4 理由を見直して広げる。

つまずきやすいのはステップ4です。止まった理由の選択肢が多すぎると、現場では毎回「その他」が選ばれ、何が原因なのか分からなくなります。IPAの資料は、見える化のためのデータを集めた次に、そのデータを分析して活用する段階があるとし、グラフにして課題を探る簡便な方法でも効果があるとしています。*2 理由の選択肢は少なめに始め、「その他」が多いものから分け直していくと、改善に使えるデータになります。

外部に頼むときに確認しておきたい点

稼働監視システムは、ソフトを入れるだけでなく、設備側の配線やネットワークの工事が伴う仕組みです。構築を外部に頼むときは、見積もりの前に次の点を確かめておきます。

工場を望む部屋で線だけの図を指でなぞる委託先の技術者と、あごに手を当てる担当

  • どこまで頼むか:設備との接続、センサーの取り付け、画面の作り込み、生産管理など既存の仕組みとの連携のうち、どれを任せるか
  • 設備側の作業の分担:PLCの設定変更やセンサーの取り付けを、設備のメーカーと委託先のどちらが行うか。設備の保証に影響しないか
  • ネットワークの分け方:工場の設備のネットワークと事務所のネットワークを、直接つながない構成にできるか*4
  • 遠隔での保守:委託先が外から設備のネットワークに入る場合、多要素認証(パスワードに加えて別の確認を求める仕組み)を使うか*4
  • 運用後の見直し:稼働率の計算のしかたや止まった理由の分け方を、試行の結果を見て直す場を設けるか

NISTの制御システム向けのガイドは、工場の制御システムでは、情報を守る目的のうち、データが正しいことと止まらずに使えることを優先するのが一般的だとしています。*4 監視のために設備の制御を止めては本末転倒なので、状態を読み取るだけの接続にするかも確認しておきます。IoTの仕組み全体の費用の考え方はIoTシステム開発を外注する費用と進め方にまとめています。

まとめ:稼働監視システムで確かめておきたい3つの点

稼働監視システムを入れるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、困っているのが設備の止まり方なのか、製品の進み具合なのかを見極め、記録する状態の種類と稼働率の計算のしかたを決めること。第二に、設備ごとに、PLC・後付けのセンサー・表示灯の読み取りのどれで状態を取るかを決めること。第三に、1つのラインで試し、止まった理由の分け方を現場と一緒に直してから広げることです。この3点を踏まえておけば、「画面はできたが、誰も見ないまま停止の理由は『その他』ばかり」という事態を避けやすくなります。設備との接続やネットワークの分け方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

稼働監視システムの構築では、設備のPLCから運転・停止・異常の信号をOPC UAなどの通信規格で読み取り、PLCの無い設備には電流センサーや表示灯の光センサーを後付けし、MQTTで状態を送る構成を組みます。集めた状態は時系列データベースに記録し、Grafanaなどの画面で設備ごとの停止時間と稼働率を示します。設計の段階では、状態の種類、稼働率の分母に含める時間、止まった理由の選択肢を、現場の作業の流れを見ながらお客様と決めます。ネットワークは設備側と事務所側を分け、データは設備側から一方向に送る形を基本にします。運用では、試行のラインで日報との差を確かめ、止まった理由の分け方の見直しを提案します。

よくある質問

稼働率はどのくらいを目標にすればよいですか

設備の種類や作る製品、段取り替えの回数によって変わるため、一律の目安を当てはめるのはおすすめしません。まず数か月分の記録を取り、設備ごとの現状と止まった理由の内訳を確かめてから、改善できそうな理由に絞って目標を決めると、現場の納得も得やすくなります。

社内にあるサーバーの監視ツールで設備も監視できますか

設備の信号を取り込めば、状態を記録すること自体はできる場合があります。ただし、サーバーの監視ツールは止まった理由を現場で選んで登録する画面や、段取り替えを分けた稼働率の集計を前提に作られていません。設備の台数が増える前に、専用の仕組みと作り足す手間を比べておくとよいでしょう。

導入にはどのくらいの期間がかかりますか

対象の設備の台数と、状態の取り方によって大きく変わります。表示灯の読み取りで数台から始める場合と、多くの設備のPLCの設定を変える場合とでは、工事の量が違います。1つのラインで試してから全体の計画を立てると、期間も見積もりやすくなります。

設備の稼働監視と見える化のご相談

稼働監視システムの設計から、設備との接続、ネットワークの分け方、稼働率を改善に使う運用づくりまで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「中小規模製造業者の製造分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進のためのガイド 製造分野DXの理解」(https://www.ipa.go.jp/digital/dx/mfg-dx/ug65p90000001kqv-att/000093470.pdf)。出典:製造用機器のネットワーク接続のタイプと、センサーを取り付けて無線でデータを取得する方法の記述を参照(2026年11月確認)
  2. *2 参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「マンガでわかる製造分野DX FAQ編」(https://www.ipa.go.jp/digital/dx/mfg-dx/ps6vr70000009jrr-att/000093474.pdf)。出典:パイロットランプの画像をカメラで読み取ってデジタルデータにする例、見える化の次の段階としてのデータ分析の記述を参照(2026年11月確認)
  3. *3 参考:National Institute of Standards and Technology(NIST)「Current Standards Landscape for Smart Manufacturing Systems」(NISTIR 8107)(https://nvlpubs.nist.gov/nistpubs/ir/2016/NIST.IR.8107.pdf)。出典:ISO 22400が製造オペレーション管理で使うKPIを定めるという記述を参照(2026年11月確認)
  4. *4 参考:National Institute of Standards and Technology(NIST)「Guide to Operational Technology (OT) Security」(NIST SP 800-82 Rev. 3)(https://nvlpubs.nist.gov/nistpubs/SpecialPublications/NIST.SP.800-82r3.pdf)。出典:OTのセキュリティ目標で完全性と可用性を優先すること、社内ネットワークとOTネットワークの直接通信を防ぐDMZ構成、遠隔アクセスでの多要素認証の記述を参照(2026年11月確認)




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