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2026.10.16 らしくコラム

Zammadとは?ヘルプデスクの仕組みと導入の進め方を解説

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

窓口の担当者が問い合わせの一覧を映したモニターの前でキーボードとマウスを操作している後ろ姿

この記事の結論

  • Zammadは複数の窓口からの問い合わせを1つの画面で管理するオープンソースのヘルプデスクです。
  • 自社のサーバーに置けば利用料はかかりませんが、更新とバックアップは自社の責任になります。
  • 導入は置き方とデータ移行の手順を先に決め、運用の担当をはっきりさせることが大切です。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

問い合わせのメールに誰が返信したのか分からない。チャットで受けた相談が、担当者の手元で止まったままになっている——。窓口がメール・電話・チャットに分かれている会社では、こうした対応漏れが起こりがちです。Zammad(ザマド)は、こうした問い合わせを1件ずつ受付票にして、対応の担当と進み具合を1つの画面で追えるようにする、無料で使えるオープンソースのヘルプデスクです。

社外のお客様の窓口にも、社内の情報システム部門の窓口にも使えます。ただし万能ではなく、IT資産の台帳まで1つにまとめたい場合は別の選択肢が合うこともあります。本記事では、問い合わせ窓口の仕組みづくりを任された担当者に向けて、Zammadでできること、GLPIや共有メールとの違い、自社のサーバーでの導入の進め方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

Zammadとは

Zammad(ザマド)は、メール・Webフォーム・チャットなど複数の窓口から届く問い合わせを、1つの画面で受け付けて対応まで管理するためのソフトウェアです。開発元は、Webで動くオープンソースのヘルプデスク・カスタマーサポート基盤と説明しています。*1

  • ライセンスはGNU AGPLv3(ソースコードを公開する条件つきで自由に使えるライセンス)です*1
  • ソースコードはGitHubで公開され、権利は開発会社から独立したZammad Foundationが持っています
  • 開発元のクラウド版を契約するか、自社のサーバーに置いて使うかを選べます*2
  • 画面はWebブラウザで開くので、利用者のPCに専用のソフトを入れる必要はありません
  • 画面の日本語訳は公式の翻訳ファイルとして用意されています

自社のサーバーに置く場合、ソフトウェアの利用料はかかりません。その代わり、開発元は更新・バックアップ・稼働の維持を利用者側の責任としています。*2 誰が運用を受け持つかを先に考えておきます。

問い合わせをまとめる仕組み

Zammadでは、届いた問い合わせを1件ずつ「チケット」(受付票)として登録します。メールで届いても、Webフォームやチャットから届いても、同じ一覧に並び、誰が対応しているか、どこまで進んだかを全員が同じ画面で確かめられます。

夜の机でスマートフォン・固定電話・ノートPCが並び、指がタッチパッドに触れて問い合わせの一覧を見ている

Zammadの主な機能と使いどころ
機能 できること 使いどころ
窓口(チャネル) メール、Webフォーム、チャット、SMS、Telegram、Facebook、WhatsAppから受け付ける 窓口ごとに分かれていた受付を1つにまとめたいとき
グループと権限 担当チームごとにチケットを振り分け、見られる範囲を役割で分ける 部署ごとに担当を分けたいとき
SLA(対応期限の取り決め)とトリガー 対応期限を決めて期限切れのチケットを洗い出し、条件に合えば自動で返信や担当の変更をする 返答の遅れや対応漏れを減らしたいとき
ナレッジベース よくある質問や手順書を、下書き・社内限定・公開に分けて載せる 同じ質問への回答を減らしたいとき

社内のアカウントとまとめたい場合は、LDAPやActive Directory(社内のユーザー情報をまとめた仕組み)と連携できます。ただし同期は一方向で、Zammad側で変えたユーザーの設定が次の同期で上書きされることがあると開発元は注意しています。*4 連携するなら、どちらを正とするかを先に決めておきます。

GLPIや共有メールとの違い

問い合わせの管理は、共有のメールボックスで始める会社が多い分野です。件数が増えて誰が返信したか分からなくなったとき、Zammadのようなヘルプデスク専用の仕組みや、資産管理とヘルプデスクを1つにまとめたGLPIが候補に挙がります。*5

問い合わせ管理の3つの選択肢の違い
選択肢 中心になる機能 向いている場面
共有のメールボックス メールの送受信 件数が少なく、担当者が1〜2人のとき
Zammad 複数の窓口からの問い合わせ受付、対応の振り分け、ナレッジベース 社外・社内の問い合わせ窓口を1つの画面でまとめたいとき
GLPI ヘルプデスクに加え、IT資産の台帳、構成管理、予算やライセンスの管理 PCやサーバーの台帳と社内の問い合わせを同じ仕組みで追いたいとき

窓口が散らばって対応漏れが起きているならZammad、問い合わせとIT資産の台帳を結び付けたいならGLPI、という分け方です。GLPIの構築はGLPIでIT資産管理基盤を外注構築、製品を問わない問い合わせ管理の考え方は問い合わせ管理システムの開発を外注で扱っています。

自社サーバーでの導入の進め方

自社のサーバーに置く場合、導入はソフトを入れる作業よりも、置き方と運用の決めごとのほうに手間がかかります。次の4つの段階で進めると、後から作り直さずに済みます。

  • ステップ1:置き方を決める(Linuxのパッケージ、Docker、Kubernetesの3つから選べます)*3
  • ステップ2:サーバーを用意する(PostgreSQLのデータベース、Redis、検索を速くするElasticsearchを組み合わせます)
  • ステップ3:窓口と担当を設定する(受け付けるメールアドレス、グループ、権限、社内アカウントとの連携)
  • ステップ4:移行と運用の手順を決める(以前の仕組みからのデータ移行、更新とバックアップの担当)

Zammadを自社のサーバーに導入する流れを4つの段階で左から順に並べた図。STEP1 置き方を決める、STEP2 サーバーを用意する、STEP3 窓口と担当を設定する、STEP4 移行と運用を決める。

Dockerで動かす方法では、必要な部品がまとめて用意されるので、サーバーごとの差に悩まされにくくなります。開発元は、コンテナを動かすには少なくとも4GBのメモリが要るとしています。パッケージで入れる場合の最小構成は、CPU2コア・メモリ6GBで、同じサーバーでElasticsearchも動かすならさらに4GBが要ります。*3

つまずきやすいのはステップ4です。開発元の移行機能は、OTRS・Zendesk・Freshdesk・Kayakoからの移行に対応していますが、新しく立てたZammadにしか移せず、グループやチケットを選んで移すこともできません。更新でも、大きな版を飛ばさずに1つずつ上げるよう案内されています。*3

外部に頼むときに確認しておきたい点

自社のサーバーにZammadを置くと、ライセンス費用はかかりませんが、構築と保守の手間は自社で持つことになります。構築や運用を外部に頼むときは、次の点を見積もりの前に確かめておきます。

会議室で1人がノートPCの画面を向け、もう1人がペン先で確認用の紙を指している

  • どこまで頼むか:サーバーの用意、Zammadの設定、窓口の接続、操作の説明のうち、どれを任せるか
  • データの移行:以前のヘルプデスクやメールの履歴を移すか。移す前と後の件数をどう確かめるか
  • 認証の連携:社内のアカウントやLDAPとつなぐか。退職者のアカウントをどう止めるか
  • 更新とバックアップ:新しい版への更新を誰がいつ行うか。データをどこへ、どの頻度で保存するか
  • 運用後の見直し:振り分けの条件やナレッジベースの記事を、実際の問い合わせを見て直す場を設けるか

特に更新とバックアップは、導入時に決めないまま運用に入りやすい点です。版の更新が止まると、古い版の弱点を放置することになります。運用を自社で抱えるのが難しければ、開発元のクラウド版を選ぶのも一つの方法です。

まとめ:Zammadで確かめておきたい3つの点

Zammadで問い合わせ窓口をまとめるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、いま困っているのが窓口の散らばりなのか、IT資産の管理なのかを見極めて、ZammadとGLPIのどちらが合うかを決めること。第二に、自社のサーバーに置くなら、パッケージかDockerかの置き方と、以前の仕組みからの移行の手順を先に決めること。第三に、更新とバックアップを誰が受け持つかを導入の前に決めることです。この3点を踏まえておけば、「入れてはみたが、結局メールでのやり取りに戻ってしまった」という事態を避けやすくなります。構築や移行の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。Rubyアソシエーション認定システムインテグレータ、日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Zammadの構築では、Docker ComposeかLinuxのパッケージかを、お客様のサーバー環境と運用の体制を見て選びます。PostgreSQL・Redis・Elasticsearchの版を公式の要件に合わせ、NginxなどのリバースプロキシでHTTPSに限って公開します。設計の段階では、受け付けるメールアドレスと窓口、グループと権限の分け方、SLAとトリガーの条件、LDAPやActive Directoryとの連携で正とする側を決めます。移行では、移す前と後でチケットと利用者の件数を照らし合わせます。運用では、版を飛ばさない更新の手順とバックアップからの戻し方を文書にして、振り分けの条件の見直しを提案します。

よくある質問

Zammadは日本語の画面で使えますか

公式の翻訳ファイルに日本語が含まれています。*4 翻訳は開発元の翻訳サイトで有志が進めており、新しい訳はZammad本体を更新したときに反映されます。自社で追加した項目や状態の名前は、管理画面で個別に訳を付けられます。

クラウド版と自社のサーバーに置く版はどう選べばよいですか

クラウド版は担当者1人あたりの月額制で、更新やバックアップは開発元が受け持ちます。*2 自社のサーバーに置く版は利用料がかからない代わりに、運用を自社で持ちます。社内にサーバーの運用担当がいるか、データを自社の環境に置く必要があるかで選ぶとよいでしょう。

社内の監視ツールからの通知もチケットにできますか

管理者向けの公式ドキュメントに、監視ツールのZabbixからの通知をチケットとして作る手順が載っています。*4 障害の通知と利用者からの問い合わせを同じ画面で追いたい場合に使える方法です。

問い合わせ窓口の仕組みづくりのご相談

Zammadなどのヘルプデスクの構築から、以前の仕組みからの移行、更新とバックアップの運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:zammad/zammad(GitHub)README・LICENSE(https://github.com/zammad/zammad)。出典:Webで動くオープンソースのヘルプデスク・カスタマーサポート基盤という説明、GNU AGPLv3のライセンス、ソースコードの権利をZammad Foundationが持つことの記述を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:Zammad GmbH「Pricing」(https://zammad.com/en/pricing)。出典:クラウド版(担当者1人あたりの月額制・更新とバックアップを開発元が担う)と、自社のサーバーに置く版では更新・バックアップ・稼働の維持が利用者の責任になることの記述を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Zammad System Documentation(Software・Hardware・Install with Docker・Updating Zammad・Migrating to Zammad)(https://docs.zammad.org/en/latest/)。出典:対応ブラウザ、PostgreSQL・Redis・Elasticsearchの要件、パッケージ・Docker・Kubernetesの導入方法、最小構成とDockerのメモリ、大きな版を飛ばさない更新、移行元と移行の制約の記述を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Zammad Admin Documentation(Channels・Knowledge Base・LDAP / Active Directory・Translations)(https://admin-docs.zammad.org/en/latest/)。出典:受付の窓口の種類、SLAとトリガー、ナレッジベースの公開範囲、LDAP連携の制約、翻訳の仕組み、Zabbixからのチケット作成の記述を参照。日本語の翻訳ファイルは同リポジトリのi18n/zammad.ja.poを確認(2026年10月確認)
  5. *5 参考:Teclib’「GLPI」公式サイト、glpi-project/glpi(GitHub)(https://glpi-project.org/)。出典:ヘルプデスク、資産管理、CMDB、予算やライセンスの管理を1つの仕組みで扱う製品説明を参照(2026年10月確認)




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