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2026.10.16 らしくコラム

Salesforce導入支援の範囲と支援会社の選び方のポイント

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

窓際の机で社内の担当者と外部の支援担当者が1台のノートPCの表を一緒に確かめている

この記事の結論

  • Salesforce導入支援は要件整理・設定・データ移行・定着の4つで、ライセンス契約だけでは手当てされないのが要件整理と定着です。
  • Success Planは相談と学習の契約で、設定や移行の作業ごと頼むならProfessional Servicesかパートナーになります。
  • 支援会社は知名度より、任せたい範囲と移行の確かめ方、稼働後の見直しまで受け持てるかで選びます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

Salesforceを契約したものの、何から設定すればよいか分からない。営業がExcelの顧客台帳を手放さず、入力が進まない——。Salesforceを入れたばかりの会社では、こうした行き詰まりが起こりがちです。Salesforce導入支援は、要件の整理から設定、データの取り込み、社内への定着までを、外部の専門家と一緒に進めるサービスです。

社内にSalesforceに詳しい担当者がいなくても、導入を前に進められるのが利点です。ただし万能ではなく、業務の決めごとや現場への働きかけは社内に残ります。本記事では、Salesforceの導入を任された情報システムの担当者に向けて、導入支援の範囲、支援の受け方の違い、進め方、そして支援会社を選ぶときに確認したい点を整理します。

Salesforce導入支援とは

導入支援を担うのは、主にSalesforceのパートナー企業です。Salesforceは公式サイトで、パートナーを2つの種類に分けて説明しています。アプリや連携機能を作る独立系ソフトウェアベンダーと、Salesforceの製品を自社固有の業務の流れに組み込むための助言と技術サービスを提供する「コンサルティングおよび導入パートナー」です。*1 導入支援と呼ばれるのは後者の仕事で、中身は次の4つに分けて考えると整理しやすくなります。

夜の机で無地のカードを4列に並べ、業務の流れを整理している手元

  • 要件整理:いまの業務の流れを書き出し、Salesforceで何を管理するかを決める
  • 設定:項目・画面の並び・入力規則・権限など、ノーコードで変えられる部分を業務に合わせる
  • データ移行:Excelや旧システムの顧客情報を整えて取り込む
  • 定着:利用者への説明会や手引きを用意し、使われているかを測って直す

4つのうち、ライセンスの契約だけでは手当てされないのが要件整理と定着です。設定とデータ移行は作業の量で見積もりやすい一方、要件整理と定着は社内の人がどれだけ時間を割けるかで結果が変わります。依頼する範囲を決めるときは、作業の量よりも、この2つを誰が担うかを先に話し合っておくと進めやすくなります。

支援の受け方の違い

Salesforceの導入で外部の手を借りる方法は、パートナーへの依頼だけではありません。Salesforce自身も、サポートの契約(Success Plan)と、専門家が導入を手伝うProfessional Servicesを用意しています。*2*3 どこまでを誰に頼めるかは、それぞれで違います。

Salesforce導入で外部の手を借りる主な方法
方法 提供されるもの 向いている場面
Standard Success Plan ナレッジ記事・ドキュメント・Trailhead(無料の学習サイト)。すべてのライセンスに含まれる 社内に設定を覚えられる担当者がいるとき
Premier Success Plan 専門家の助言、製品のトレーニング、状態チェック。費用は該当するライセンス料の30% 自社で設定しながら、要所で助言がほしいとき
Salesforce Professional Services Salesforceの専門家による設計・構築・最適化の支援 複雑で影響の大きいプロジェクト
コンサルティングパートナー 導入・カスタマイズ・拡張の支援。業種ごとの業務に合わせた作業 要件整理から設定・移行・定着まで手を動かしてほしいとき

Success Planは「使い方を教わる・相談する」契約で、設定やデータの取り込みを代わりに行うものではありません。*3 自社に手を動かす担当者がいなければ、Professional Servicesかパートナーに作業ごと頼むことになります。

導入支援の進め方

導入支援は、設定の作業から始めると手戻りが増えます。Trailheadの導入定着のモジュールは、新しい組織を作る前に役員の賛同を得て、いまの業務の流れを文書にすることを勧めています。*5 次の4つのステップで考えると、どこを支援会社に頼むかを決めやすくなります。

Salesforce導入支援の進め方を4つの段階で左から順に並べた流れ図。STEP1 業務の流れを書き出す、STEP2 設定して一部で試す、STEP3 データを整えて取り込む、STEP4 稼働後も直し続ける。

  • ステップ1:いまの業務の流れを書き出し、うまく回っている点と回っていない点、自動化できる手作業を洗い出す
  • ステップ2:設定を作り、一部の利用者で試す(パイロット)。試す人には、ITに詳しい人だけでなく導入に前向きでない人も入れる
  • ステップ3:データを整えて取り込む。最初に小さなテストファイルで確かめる*4
  • ステップ4:稼働を知らせ、全員にトレーニングをして、利用状況とフィードバックで直し続ける

ステップ2のパイロットでは、測れる目標を決めておくことが勧められています。たとえば、ログインやレポートの実行をした人数、利用者アンケートの回答、寄せられた不具合や要望の件数です。*5 試してから全員に広げる流れにしておくと、稼働後に「使いにくい」という声が一度に集まる事態を避けやすくなります。

データ移行と定着でつまずきやすい点

導入支援のなかで作業が読みにくいのが、データ移行と定着です。データの取り込みには主に2つの道具があり、件数と自動化の要否で使い分けます。

  • データインポートウィザード:設定画面から使う道具。一度に取り込めるのは5万件まで*4
  • データローダー:パソコンに入れて使う道具。一度に1億5,000万件まで扱え、夜間の定期的な取り込みも設定できる*4
  • 取り込む前に:重複を除き、表記をそろえ、旧システムの項目とSalesforceの項目の対応を決める
  • 入力規則:Salesforceは取り込む前に入力規則(入力内容のチェック)を当てるため、違反する行は取り込まれない*4

定着でつまずくのは、稼働した時点で手を離してしまう場合です。Salesforceは年に3回、新機能や機能強化をリリースしています。*5 利用者からの声を集める仕組みと、リリースの内容を読んで自社に入れる機能を選ぶ役割を、稼働前に決めておきます。データ移行全般の考え方はシステム移行・データ移行を外注する進め方にまとめています。

支援会社を選ぶときに確認しておきたい点

支援会社を比べるときは、会社の大きさや知名度よりも、自社が任せたい範囲を最後まで受け持てるかを見ます。見積もりを取る前に、次の点を確かめておきます。

会議室の机に3部の提案書を並べ、ペンで印を付けて比べている

  • 範囲:要件整理・設定・データ移行・定着のうち、どこまでを作業として受け持つか。説明会や手引きの作成は含まれるか
  • 要件の決め方:現場の担当者への聞き取りや業務の観察をどのくらい行い、決めたことをどの文書に残すか
  • 移行の確かめ方:テスト用の小さなファイルで試すか。取り込む前と後の件数を誰がどう照らし合わせるか
  • パイロット:試す利用者と測る目標を一緒に決めるか。結果をもとに設定を直す回数が見積もりに入っているか
  • 稼働後:年3回のリリースへの対応や、設定の見直しを続けて頼めるか。社内の担当者へ引き継ぐ形にできるか

開発や運用の担い手が社内にいないことが課題なら、導入支援とは別に体制の組み方を考える必要があります。その場合の進め方はSalesforceエンジニア不足を外注・委託で補完する進め方で扱っています。いずれ自社で運用したい場合は、内製化支援の考え方も参考になります。

まとめ:導入支援で確かめておきたい3つの点

Salesforce導入支援を頼むうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、要件整理と定着を社内の誰が担い、支援会社にどこまで頼むかを決めること。第二に、データ移行はテスト用の小さなファイルから始め、件数の照らし合わせ方を事前に決めること。第三に、年3回のリリースと利用者の声をもとに、稼働後も設定を直し続ける役割を決めておくことです。この3点を踏まえておけば、「設定は終わったのに、営業は結局Excelに戻ってしまった」という事態を避けやすくなります。進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。Rubyアソシエーション認定システムインテグレータ、日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Salesforceの導入では、オブジェクトと項目の設計、ページレイアウト、入力規則、プロファイルと権限セットによる見える範囲の分け方を、現場への聞き取りをもとに決めます。設計の段階では、標準オブジェクトで足りるかカスタムオブジェクトを作るか、入力規則を移行時にどう扱うかが判断点になります。データ移行では、件数に応じてデータインポートウィザードとデータローダーを使い分け、テスト用の小さなファイルで項目の対応を確かめてから本番の取り込みに進み、取り込む前と後の件数を照らし合わせます。稼働後は、利用状況のレポートとダッシュボードで定着を測り、年3回のリリースノートを読んで取り入れる機能を提案します。

よくある質問

Success Planを契約していれば導入支援は要りませんか

作業を自社で行えるなら、Success Planの学習資料や助言で足りる場合があります。ただしSuccess Planはリソース・ガイダンス・サポートを組み合わせた契約で、設定やデータの取り込みを代わりに行うものではありません。*3 手を動かす担当者がいなければ、作業を受け持つ支援を別に考えます。

導入支援を頼んでも社内で用意しておくものはありますか

あります。いまの業務の流れを知る現場の担当者、決めごとに責任を持つ役員、移行するデータの持ち主の3者は社内から出す必要があります。支援会社が聞き取りや資料づくりを手伝えても、どの業務をどう変えるかを決めるのは自社です。

導入後にSalesforceの機能が変わったらどうすればよいですか

Salesforceは年に3回リリースを行い、変更内容をリリースノートにまとめています。*5 内容を読んで自社に入れる機能を選ぶ担当を決めておき、社内で難しければ稼働後の支援として頼めるかを契約前に確かめておきます。

Salesforce導入の進め方のご相談

要件整理から設定、データ移行、稼働後の定着まで、Salesforce導入支援の進め方を元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:株式会社セールスフォース・ジャパン「Salesforceのパートナー」(https://www.salesforce.com/jp/partners/)。出典:よくある質問の「Salesforceパートナーとは?」(独立系ソフトウェアベンダーとコンサルティングおよび導入パートナーの2分類)の記述を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:株式会社セールスフォース・ジャパン「Salesforce Professional Services」(https://www.salesforce.com/jp/services/professional-services/)。出典:設計・構築・最適化・変革の支援内容と、よくある質問の「認定パートナーとどのように違うのですか?」の記述を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:株式会社セールスフォース・ジャパン「Salesforce Success Plan」(https://www.salesforce.com/jp/services/success-plans/)。出典:Standard・Premier・Signatureの3つのプランの内容、Premierの費用(該当するライセンス料の30%)、Success Planの定義を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Trailhead「データ管理」モジュール 単元「データのインポート」(https://trailhead.salesforce.com/ja/content/learn/modules/lex_implementation_data_management/lex_implementation_data_import)。出典:データインポートウィザード(5万件)とデータローダー(1億5,000万件)の使い分け、インポートの準備、テストファイル、入力規則の扱いの記述を参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:Trailhead「Salesforce 採用戦略」モジュール(https://trailhead.salesforce.com/ja/content/learn/modules/salesforce-adoption-strategies)。出典:単元「Salesforce ジャーニー作成の準備」「会社に最適な Salesforce 組織の作成」「Salesforce テクノロジーのリリース」「長期的な採用の促進」(役員の賛同、業務の文書化、パイロット、トレーニング、年3回のリリース)の記述を参照(2026年10月確認)




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