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Zimbraの移行先の選び方|サポート期限とライセンスの確認点
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- Zimbraで修正が出ている版は10.1だけで、その一般サポートも2027年12月31日に終わります。
- 古い版やオープンソース版のままにせず、10.1へ上げるか別のメールの基盤へ移るかを決めます。
- 決める前に、予定表や連絡先、Outlook連携など社内で使っている機能を洗い出しておきます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
社内のメールはZimbraで動いているが、いつ入れた版なのか担当者も覚えていない。サポートが切れていると聞いたものの、上げるべきか、別のサービスへ移るべきか決められない——。何年も前にZimbraを入れた会社では、こうした迷いがよく聞かれます。Zimbra(ジンブラ)は、Synacor社が開発する、メールと予定表を中心にしたグループウェアです。
自社でメールのデータを持てる点は使いどころのある仕組みですが、版ごとのサポート期限が決まっており、放っておけば修正が届かなくなります。ただし万能ではなく、移ればすべて片づくわけでもありません。本記事では、Zimbraでメールを運用している情報システムの担当者に向けて、Zimbraの位置づけ、版ごとのサポート期限、使い続けるか移るかの判断の進め方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
Zimbraとは
Zimbraは、メールを中心に、予定表や連絡先、タスク、ファイルの共有までを1つにまとめたグループウェアです。*2 自社のサーバーに置く形のほか、クラウドや、Zimbraを預かって運用する事業者のサービスとして使う形もあります。社員はWebブラウザのほか、Outlookやスマートフォンの標準のメールアプリからも使えます。
- メール・予定表・連絡先・タスク・ファイル共有を1つの仕組みで扱える*2
- 置き場所は自社のサーバー、クラウド、運用を預かる事業者の3通りから選べる*2
- 中心のサーバーのソースコードはGitHubで公開され、GPLv2(ソースを公開する条件つきで使えるライセンス)で配られている*3*6
- 完成品として配られる実行用のファイル(バイナリ)と、バックアップの道具やモバイル同期などの機能は、有償の契約の側に入っている*2
注意したいのは、無料の「オープンソース版」と有償の「Network Edition」の扱いが分かれている点です。公式のFAQは、オープンソース版を更新もサポートもない版と位置づけ、セキュリティや法令対応の面で危険があると説明しています。*2 無料の版を入れたままの会社は、まずこの点を確かめます。
サポート期限と版の違い
Zimbraは10の版(Daffodil)から、大きな版ごとに3年の「一般サポート」を設けました。一般サポートが終わると、問い合わせには応じる「技術ガイダンス」の期間に入りますが、新しい版や不具合の修正、セキュリティの修正は出なくなります。*1

| 版 | 提供開始 | 一般サポート終了 | 技術ガイダンス終了 |
|---|---|---|---|
| 10.1(今後の10系を含む) | 2024年第3四半期 | 2027年12月31日 | 2028年6月30日 |
| 10.0 | 2023年第1四半期 | 2025年6月30日 | 2025年12月31日 |
| 9.0 | 2020年4月7日 | 2025年3月31日(延長後) | 2025年6月30日 |
表のとおり、10.0と9.0は技術ガイダンスの期間も終えています。修正が出ている版は10.1だけで、その一般サポートも2027年12月31日までです。*1 さらに10.1へ上げるには、10.1用の新しいライセンスキーが必要で、それより前の版のキーは使えません。*4 配布ページでは、Red Hat Enterprise Linux 7など古いOS向けの配布物に「非推奨」の印が付いており、OSの入れ替えも一緒に考えることになります。*4
使い続けるか移るかの違い
サポートが切れた版を使い続けるのは、いちばん避けたい選び方です。米国のサイバーセキュリティ・インフラストラクチャ庁(CISA)が公開する「実際に悪用が確認された脆弱性」の一覧には、2026年10月21日版の時点でZimbraの脆弱性が19件載っています。*5 残る道は、10.1へ上げて使い続けるか、別のメールの基盤へ移るかの2つです。
| 選び方 | 向いている場面 | 確かめること |
|---|---|---|
| 10.1へ上げて使い続ける | 自社でメールのデータを持ち続けたい。Zimbraの画面や予定表の運用に社内が慣れている | 有償の契約とライセンスキー、OSの入れ替え、2027年末以降の次の更新 |
| 別のメールの基盤へ移る | サーバーの保守をやめたい。社内にZimbraを扱える人がいない | メール・予定表・連絡先の移し方、Outlookやスマートフォンの設定のやり直し |
| いまの版のまま使う | 選ばない | 修正が出ないまま、悪用が知られた脆弱性を抱え続けることになる |
移る先としては、Microsoft 365やGoogle Workspaceのようなクラウドのサービスのほか、別のメールサーバーを自社に建てる道もあります。移行先の種類ごとの比べ方や、切り替えの段取りはメールサーバー移行先の選び方で扱っています。この記事では、その前の「Zimbraをどうするか」の判断に絞ります。
判断の進め方
続けるか移るかは、いまの使い方を確かめないと決められません。次の4つのステップで進めると、話が「とりあえず移す」に流れずに済みます。
- ステップ1:いまの版と、有償の契約の有無を確かめる(オープンソース版か、Network Editionか)
- ステップ2:社内で使っている機能を洗い出す(共有の予定表、Outlookとの連携、スマートフォンへの同期、バックアップ)
- ステップ3:10.1へ上げる場合と移る場合の、手間と費用と期限を並べて決める
- ステップ4:決めた道の段取りを組み、サポートが切れる前に終える
つまずきやすいのはステップ2です。メールだけを見て移る先を決めると、共有の予定表や部署ごとの共有の連絡先が移せないと後で分かることがあります。Zimbraは予定表と連絡先を標準の方式(CalDAV・CardDAV)でもやり取りできるので、*2 移る先が同じ方式を受け付けるかも、この段階で確かめておきます。
外部に頼むときに確認しておきたい点
Zimbraの更新も移行も、メールを止めずに進める必要があります。外部に頼むときは、見積もりの前に次の点を確かめておきます。

- どこまで頼むか:版の確認と機能の洗い出し、更新か移行かの判断の材料づくり、作業そのもの、切り替え後の問い合わせ対応のうち、どれを任せるか
- データの移し方:メールに加えて予定表・連絡先・共有の設定を移すか。移す前と後の件数をどう確かめるか
- 止める時間:切り替えの日にメールが届かない時間をどこまで許すか。戻す手順を用意するか
- 認証の連携:社内のアカウントやActive Directoryとつないでいる場合、その設定をどう引き継ぐか
- 運用後の見直し:10.1を使い続けるなら、2027年末の一般サポート終了に向けて次の更新を誰が計画するか
特に最後の点は見落とされがちです。10.1へ上げても、3年ほどで同じ判断がまた来ます。サポート終了をきっかけにメールの基盤を移すときの考え方は、別の製品の例ですがExchange Server 2016サポート終了と移行にまとめています。
まとめ:Zimbraで確かめておきたい3つの点
Zimbraをこの先どうするかを決めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、いま動いている版と、有償の契約の有無を確かめること。第二に、メールだけでなく予定表や連絡先、Outlookやスマートフォンとの連携まで、社内で使っている機能を洗い出すこと。第三に、10.1へ上げるにしても移るにしても、サポートが切れる前に終える段取りを組むことです。この3点を踏まえておけば、「移したあとで共有の予定表が使えないと分かった」という事態を避けやすくなります。更新か移行かの判断に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
オープンソース版のZimbraを使い続けても問題ありませんか
おすすめできません。公式のFAQは、オープンソース版を更新もサポートもない版と位置づけています。*2 ソースコードは公開されていますが、修正を取り込んで組み立て直す作業を自社で続ける必要があり、その体制がなければ10.1か別の基盤へ移る判断になります。
9.0から10.1へ直接上げられますか
上げる経路や手順は版の組み合わせで変わるため、開発元のリリースノートとサポート窓口で確かめるのが確実です。いずれの場合も、10.1用の新しいライセンスキーを事前に取り寄せておく必要があります。*4
移行を決めてから終えるまで、どのくらいかかりますか
利用者の数、移すデータの量、予定表や共有の設定まで移すかで大きく変わります。サポートの期限から逆算し、機能の洗い出しと試しの移行に十分な時間を取って計画するのがよいでしょう。
Zimbraの更新と移行のご相談
Zimbraの版の確認と更新から、別のメールの基盤への移行、切り替え後の運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:Synacor, Inc.「Zimbra Product Lifecycle」(https://www.zimbra.com/product/product-lifecycle/)。出典:10系からの3年の一般サポート、技術ガイダンス期間の内容、版ごとの提供開始・一般サポート終了・技術ガイダンス終了の日付を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:Synacor, Inc.「Zimbra FAQs」(https://www.zimbra.com/faqs/)。出典:Zimbraの機能(メール・予定表・連絡先・タスク・ファイル共有)、置き場所、CalDAV・CardDAV対応、GPLv2とGitHubでのソース公開、有償の契約に含まれる機能、オープンソース版の位置づけの記述を参照(2026年10月確認)
- *3 参考:Synacor, Inc.「Licenses and Terms of Use」(https://www.zimbra.com/product/licenses-and-terms-of-use/)。出典:オープンソース版のサーバーのコードがGPL v2、Web画面のコードがCPAL v1.0であることを参照(2026年10月確認)
- *4 参考:Synacor, Inc.「Zimbra Collaboration Downloads」(https://www.zimbra.com/product/download/zimbra-collaboration-network-edition/)。出典:10.1用の新しいライセンスキーが必要で前の版のキーは使えないこと、OSごとの配布物と非推奨の表示を参照(2026年10月確認)
- *5 参考:Cybersecurity and Infrastructure Security Agency(CISA)「Known Exploited Vulnerabilities Catalog」(https://www.cisa.gov/sites/default/files/feeds/known_exploited_vulnerabilities.json)。出典:2026年10月21日版のカタログでベンダー名Synacor(Zimbra Collaboration Suite)の登録が19件であることを参照(2026年10月確認)
- *6 参考:Zimbra(GitHub)(https://github.com/Zimbra)。出典:zm-mailbox・zm-web-clientなど、Zimbra Collaboration Suiteのソースコードの公開を参照(2026年10月確認)