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ChatGPTの情報漏洩対策チェックリスト|段階別の16項目
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- ChatGPTの情報漏洩対策は、設定・社内ルール・運用の3段階に分けて点検すると抜けを見つけやすくなります。
- 法人向けのプランは既定で学習に使われませんが、共有リンク・アプリ連携・回答の評価は別に確かめます。
- 個人データの入力は利用目的の範囲に限り、記録の保存と設定の見直しを定期的な作業に組み込みます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
社員がChatGPTを業務で使い始めたが、どこから手を付ければ情報漏洩を防げるのか分からない——。導入を任された情シスの担当者に起こりがちな迷いです。ChatGPTの情報漏洩対策は、禁止の通知だけでは足りず、設定・社内ルール・運用の3つがそろって働きます。
本記事では、その3段階ごとに16項目のチェックリストを示します。データの扱いはOpenAIの公式ページ、社内ルールは個人情報保護委員会と総務省・経済産業省の資料で確かめた内容だけを書きます。
目次
ChatGPTの情報漏洩対策とは
ChatGPTの情報漏洩対策とは、入力した情報や会話の記録が意図しない相手やモデルの学習に渡らないよう、会社として設定とルールを整えることです。漏れる入口は主に次の5つです。
| 経路 | 起きやすいこと | 点検する段階 |
|---|---|---|
| 個人のアカウントでの業務利用 | 学習に使うかどうかの設定が社員任せになる | 設定 |
| 共有リンク | 個人のアカウントで作ったリンクは、受け取った人なら誰でも見られる | 設定・社内ルール |
| アプリ連携 | 社内のシステムや外部のサービスの情報がChatGPTとやり取りされる | 設定・運用 |
| 個人情報・機密情報の入力 | 利用目的の範囲を超えた入力になる | 社内ルール |
| 回答の評価 | 評価を送った会話が学習に使われることがある | 社内ルール |
個人向けのプランでは、会話を学習に使うかどうかを利用者が設定で選びます。*1 また、個人のアカウントで作った共有リンクは、リンクを持つ人なら誰でも開けます。*2
会社として契約するBusinessやEnterpriseについて、OpenAIは「デフォルトでは、お客様のビジネスデータをモデルの学習に使用することはありません」としています。*3 ただし、これは対策の一部です。点検の項目を3つの段階に分けて16項目を並べます。
項目は2026年10月23日に公式ページで確かめた内容です。プランや画面は変わることがあるため、点検の前に確かめ直してください。
設定で確かめる6項目
最初に、ワークスペース(会社用の利用環境)の設定を管理者が確かめます。

| No | 確かめること | 確かめる中身 |
|---|---|---|
| 1 | 業務の利用を会社のワークスペースに寄せる | 個人のアカウントで業務の情報を扱っている社員がいないか |
| 2 | データの保持期間を決める | 会話をどれだけ残すか。削除した会話が消えるまでの期間 |
| 3 | 共有リンクの範囲を確かめる | ワークスペースの外から開けないか。リンクの機能を止める必要があるか |
| 4 | アプリ連携を必要なものに絞る | どのアプリが有効になっているか。業務で使わないものが残っていないか |
| 5 | 社内の利用方針を画面に出す | 社員が使い始める前に、会社の方針を目にする形になっているか |
| 6 | 接続元の制限が要るか決める | 社外の回線からの利用を認めるか。Webの閲覧などを制限する部署があるか |
1はほかの項目の前提です。会社のワークスペースに寄せれば、学習に使うかどうかを社員任せにせずに済みます。
2について、BusinessとEnterpriseでは管理者が保持期間を決められ、削除された会話は法令で求められる場合などを除き30日以内に削除されます。*3 短くすると履歴が使いにくくなる点も考えて決めます。
3と4は、プランで初めの状態が違います。Businessの共有リンクは同じワークスペースのメンバーしか開けませんが、リンクの機能を止める設定はEnterpriseにしかありません。*4 アプリ連携はBusinessでは初めから有効、Enterpriseでは新しいアプリが初めは無効で、管理者の画面(Admin Console)の「Plugins」で確かめます。*5
5と6はEnterpriseの機能で、「Workspace Policy」で利用方針を社員に示せるほか、IPアドレスでの接続元の制限や、Webの閲覧などを絞る「Lockdown Mode」があります。*6
社内ルールで確かめる6項目
設定で防げない入力と共有は、社内ルールで決めて社員に伝えます。
| No | 確かめること | 確かめる中身 |
|---|---|---|
| 7 | 個人情報を入力してよい業務を決める | 入力が個人情報の利用目的の範囲に収まっているか |
| 8 | 個人データを入れる前の確認を記録する | 学習に使われないことを、契約しているプランと設定で確かめたか |
| 9 | 機密情報の区分ごとに入力の可否を決める | 社外秘・取引先から預かった情報・未公表の情報をどう扱うか |
| 10 | 回答の評価の扱いを決める | 高評価・低評価のボタンを業務の会話で使ってよいか |
| 11 | 共有リンクに載せない情報を決める | 共有する前に、会話に載せてはいけない情報が無いか |
| 12 | 規約の確認を受け持つ人を決める | 利用規約やプライバシーポリシーが変わったときに誰が読むか |
7と8の根拠は、個人情報保護委員会が2023年6月2日に公表した注意喚起です。個人情報を入力するときは利用目的の範囲内かを確かめるよう求め、個人データについては「当該生成AIサービスを提供する事業者が、当該個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること」としています。*7 12も、利用規約やプライバシーポリシーの確認を求めるこの注意喚起に沿った項目です。
9について、総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」は、AIの利用者に「AIシステム・サービスに機密情報等を不適切に入力することがないよう注意を払う」ことを求めています。*8 区分は社内の情報の分類に合わせると迷いません。
10は見落としやすい点です。回答に評価を付けると、その会話全体が学習に使われることがあります。*1 法人向けでも、評価の機能などで共有に同意したデータは学習に使われることがあります。*3 11では、健康や金融の情報、パスワードを共有に含めないようOpenAIも案内しています。*2 規程全体の項目は生成AI利用規程の策定で扱っています。
運用で確かめる4項目
設定と社内ルールを決めたあとは、守られているかを確かめ続けます。
| No | 確かめること | 確かめる中身 |
|---|---|---|
| 13 | 利用の記録を残す仕組みを決める | 誰がいつ何をしたかを、後から調べられる形で残しているか |
| 14 | 退職・異動のときの手順を決める | アカウントを外す前に、会話の記録を書き出すかどうか |
| 15 | 有効なアプリとGPTを定期的に見直す | 使われていない連携や、接続先が変わったものが無いか |
| 16 | 製品の変更後に設定を確かめ直す | 新しい機能が加わったとき、初めの状態が会社の方針に合っているか |
13は、Enterpriseで使える「Compliance Platform」が中心になります。記録をDLP(情報の持ち出しを見つけて止める仕組み)やSIEM(ログをまとめて分析する仕組み)につなげられます。記録の保持は30日間なので、長く残すには継続して取り出す仕組みが要ります。*9 DLPの考え方はDLP(情報漏洩防止)システムで説明しています。
14について、Businessでは社員が自分で記録を書き出せず、所有者が書き出します。*4 退職の手続きに組み込んでおきます。
15と16は、機能が増えると設定が古くなるためです。OpenAIも、有効なアプリやGPTの接続先の定期的な見直しと、製品の変更後の設定の再確認を勧めています。*6
外部に頼むときに確認しておきたい点
点検で人手や仕組みが足りないと分かったら、作業を外部に頼む方法もあります。頼む前に次の点を決めておきます。

- 範囲:16項目のうち、どれを頼み、どれを社内で持つか。社内ルールの決定と、違反があったときの判断は社内に残す
- 期間:最初の点検と設定の見直しと、その後も続く作業(記録の確認、アプリの見直し)を分けて伝える
- 体制:社内の所有者と外部の担当者がそれぞれ誰か。外部の担当者にどの権限を渡すか
- 費用の決まり方:点検を一式で頼むのか、記録の確認や見直しを月ごとに頼むのか
- 引き継ぎ:設定の一覧、点検の結果、記録の取り込みの手順を、社内で更新できる形で残すか
気をつけたいのは外部の担当者に渡す権限です。記録に触れる作業を頼むなら、担当者も社内ルールの対象に含め、見てよい範囲を契約で決めます。情シスの仕事を外部と分ける考え方はひとり情シスの課題を外注(情シス代行)で解決する進め方にまとめています。
まとめ:ChatGPTの情報漏洩対策の要点
ChatGPTの情報漏洩対策で押さえておきたい点は3つです。第一に、業務の利用を会社のワークスペースに寄せ、共有リンクとアプリ連携の初めの状態を確かめること。第二に、入力してよい情報と、評価や共有の扱いを社内ルールで決めること。第三に、記録を残し、製品の変更のたびに設定を見直すことです。点検の手が足りなければ、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
個人向けのプランで学習の設定をオフにすれば業務に使ってよいですか
オフにすると新しい会話は学習に使われませんが、共有リンクや記録の扱いを会社が管理できない点は変わりません。業務の情報は会社のワークスペースで扱うほうが点検しやすくなります。
一時チャットを使えば入力した情報は残りませんか
一時チャットは履歴に表示されず、モデルの改善にも使われませんが、最長30日間保持されることがあります。入力してよい情報のルールは通常の会話と同じにします。
Businessで共有リンクを使わせない設定はありますか
Businessにはありません(Enterpriseの機能です)。共有してよい場面を社内ルールで決め、作ったリンクは本人が設定の「Data controls」から削除できると伝えておきます。
ChatGPTの情報漏洩対策と運用のご相談
ワークスペースの設定の点検から、利用の記録の取り込み、社内ルールの運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:OpenAI Help Center「Data controls in ChatGPT」(https://help.openai.com/en/articles/7730893-data-controls-in-chatgpt)。出典:個人向けのプランで学習への利用を「Improve the model for everyone」で選ぶこと、評価を送った会話全体が学習に使われ得ること、一時チャットが学習に使われず最長30日保持され得ること、法人向けのワークスペースは既定で学習に使わないことの記述を参照(2026年10月23日確認)(2026年10月確認)
- *2 参考:OpenAI Help Center「Sharing conversations and scheduled tasks in ChatGPT」(https://help.openai.com/en/articles/7925741-sharing-conversations-and-scheduled-tasks-in-chatgpt)。出典:個人のアカウントで作ったリンクは持つ人なら誰でも見られること、法人向けのワークスペースのリンクは同じワークスペースのメンバーだけが開けること、共有する内容に含めない情報の記述を参照(2026年10月23日確認)(2026年10月確認)
- *3 参考:OpenAI「OpenAI におけるエンタープライズプライバシー」(https://openai.com/ja-JP/enterprise-privacy/)。出典:ビジネスデータを既定で学習に使わないこと、明示的な共有の例外、Business・Enterpriseで管理者が保持期間を決められること、削除された会話の30日以内の削除の記述を参照(2026年10月23日確認)(2026年10月確認)
- *4 参考:OpenAI Help Center「Managing data, sharing, and privacy in ChatGPT Business」(https://help.openai.com/en/articles/8798634-managing-data-sharing-and-privacy-in-chatgpt-business)。出典:Businessの共有リンクがワークスペースの外から見られないこと、共有リンクを止める設定はEnterpriseの機能であること、社員が自分で書き出せず所有者が書き出すことの記述を参照(2026年10月23日確認)(2026年10月確認)
- *5 参考:OpenAI Help Center「Admin controls, security, and compliance for plugins and apps」(https://help.openai.com/en/articles/11509118-admin-controls-security-and-compliance-for-plugins-and-apps)。出典:Admin Consoleの「Plugins」での管理、Businessではアプリが既定で有効、Enterpriseでは新しいアプリが既定で無効であることの記述を参照(2026年10月23日確認)(2026年10月確認)
- *6 参考:OpenAI Help Center「ChatGPT Enterprise admin quickstart」(https://help.openai.com/en/articles/20001264-chatgpt-enterprise-admin-quickstart)。出典:Workspace Policy、IP allowlisting、Lockdown Mode、有効なアプリ・プラグイン・GPTの接続先の定期的な見直し、方針や製品の変更後の設定の再確認の記述を参照(2026年10月23日確認)(2026年10月確認)
- *7 参考:個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023年6月2日)(https://www.ppc.go.jp/files/pdf/230602_alert_generative_AI_service.pdf)。出典:個人情報取扱事業者における注意点①②、一般の利用者における留意点③(利用規約・プライバシーポリシーの確認)を参照(2026年10月23日確認)。掲載ページは https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/(2026年10月確認)
- *8 参考:総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」本編(2026年3月31日)(https://www.soumu.go.jp/main_content/001064279.pdf)。出典:第5部 AI利用者に関する事項「U-5)i. セキュリティ対策の実施」の記述を参照(2026年10月23日確認)。掲載ページは https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ai_network/02ryutsu20_04000019.html(2026年10月確認)
- *9 参考:OpenAI Help Center「OpenAI Compliance Platform for Enterprise and Edu customers」(https://help.openai.com/en/articles/9261474-openai-compliance-platform-for-enterprise-and-edu-customers)。出典:Enterprise・Eduで使えること、eDiscovery・DLP・SIEMとの接続、記録の保持が30日間で長く残すには継続して取り出す必要があることの記述を参照(2026年10月23日確認)(2026年10月確認)