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2026.10.20 採用支援コラム

業務委託の単価の決め方|月額固定と時間単価の違いと精算の仕組み

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

責任者が自席で稼働記録の紙を押さえ電卓のキーを押す手元

この記事の結論

  • 業務委託の単価は、任せる範囲と稼働の量に合わせて、月額固定・精算幅つきの月額・時間単価・成果物ごとの固定額から払い方を選びます。
  • 精算幅を付けるなら、下限と上限の時間、超過と控除の単価、締め日を、発注の時点で計算の仕方として書面に入れます。
  • 支払期日は作業の提供を受けた日から60日以内で定め、税込みか税別かと費用の精算の有無も単価と一緒に示します。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

業務委託で加わってもらうエンジニアに、月いくらで頼むのか、時間でいくらにするのか。稼働が増えた月や減った月にどう払うのかまで決めきれず、相手の提示額をそのまま受けている——。初めて個人に頼む企業でよく聞く迷いです。業務委託の単価の決め方とは、任せる範囲と稼働の量から報酬の計算の仕方を選び、上限と精算、支払の時期までを発注の時点で書面にそろえることを指します。

単価の金額そのものは職種や経験で変わりますが、払い方の仕組みは先に決めておけます。本記事では、払う側の企業に向けて、払い方の4つの型の違い、精算幅の決め方、支払期日と消費税の取り決めを、フリーランス・事業者間取引適正化等法(以下、フリーランス法)と公正取引委員会・厚生労働省の「考え方」をもとに整理します。

業務委託の単価の決め方とは

個人の業務委託エンジニアに出す単価は、次の3つを決めると形が定まります。

  • 任せる範囲:成果物を納めてもらうのか、一定の期間に作業(役務)をしてもらうのか
  • 稼働の量:月に何時間、週に何日ほど作業してもらうか
  • 求める技術水準:担当する工程と、そこで要る経験

従業員を使わずに一人で働くエンジニアに業務委託をした企業は、給付の内容、報酬の額、支払期日などを「直ちに」書面か電子メールなどで示す必要があります。*1 金額を最初から確定できないときは、計算の仕方(算定方法)を示すことも認められています。「考え方」はその例として、プログラムの作成で、技術者の技術水準ごとに決めた時間単価と実際の作業時間に応じて払う場合を挙げています。*2

金額の決め方で避けたいことも、同じ「考え方」に例があります。買いたたき(同じような仕事に通常払われる対価より著しく低い報酬を不当に定めること)に当たるおそれがある方法として、次のようなものが挙がっています。*2

  • 自社の予算の単価だけを基準に、一方的に低い単価を決める
  • 見積りの後に作業が増えたのに、当初の見積額のまま据え置く
  • 長く大量に頼む前提で見積もらせ、その単価を短く少ない発注に当てはめる

月額固定と時間単価の違い

払い方の型は大きく4つに分けられます。いちばんの違いは、稼働が増えたり減ったりしたときに報酬がどう動くかです。

夜の開発フロアでホワイトボードの月ごとの枠にマーカーで帯を引く後ろ姿

業務委託の単価の払い方の比べ方(フリーランス・事業者間取引適正化等法の考え方と民法の規定をもとに作成)
払い方 金額の決まり方 稼働が増減したとき 向いている場面 社内で見る記録
月額固定 1か月の金額を決める 報酬は変わらない 作業の量が毎月ほぼ同じ保守や運用 月ごとの作業報告
精算幅つきの月額 1か月の金額と、下限・上限の時間を決める 幅を外れた時間の分だけ加算か控除 量の見込みはあるが月ごとに波がある開発 稼働時間の記録と承認
時間単価 1時間の単価と実際の作業時間で決まる 作業時間に比例して変わる 量が読めない調査や立ち上げの支援 作業時間の記録と承認
成果物ごとの固定額 成果物1つの金額を決める 時間がかかっても変わらない 仕様が固まった画面や機能の作成 成果物の受け取りと確認

民法では、委任で期間を単位に報酬を決めた場合はその期間が過ぎてから請求でき、成果に対して払うと決めた場合は成果の引渡しと同時に払うとされています。*3 月額の型は月末に締めて後から払い、成果物の型は受け取りに合わせて払う、という流れになります。

どの型がよいかは場面で分かれます。毎月の作業が読める保守なら月額固定、量に波がある開発なら精算幅つきの月額、立ち上げ直後で量が読めないうちは時間単価、仕様が決まった機能なら成果物ごとの固定額が、一つの目安です。

稼働の上限と精算幅の決め方

精算幅つきの月額は、1か月の金額に加えて、下限と上限の時間を決めておく方法です。稼働が幅の中に収まれば月額のまま払い、上限を超えた時間は加算し、下限に届かなかった時間は控除します。

精算幅つきの月額で報酬が決まる流れを示した図。横軸は1か月の稼働時間で、下限の時間と上限の時間の2本の線で3つに分けている。左は下限に届かない月で、届かなかった時間に控除の単価を掛けた額を月額から差し引く。中央は幅の中に収まった月で、月額のまま払う。右は上限を超えた月で、超えた時間に超過の単価を掛けた額を月額に加える。下の帯には、下限と上限の時間、超過と控除の単価、時間の数え方、締め日を、発注の時点で計算の仕方として書面に示すことが書かれている。フリーランス・事業者間取引適正化等法の考え方をもとに作成。

発注の前に決めておく項目は次のとおりです。

  • 下限と上限の時間:作業量の見込みと、相手が受けられる時間から決める
  • 超過と控除の単価:月額を基準の時間で割るなど、計算の仕方を一つに決める
  • 時間の数え方:何分単位で数えるか、打ち合わせを含めるか
  • 記録の出し方:作業時間の記録を誰が承認し、何日に締めるか
  • 上限を超えそうなときの連絡:超える前に相談してもらう

これらは報酬の算定方法として発注の書面に入れます。「考え方」は、算定方法は根拠となる事項が確定すれば金額が自動的に決まるものでなければならない、としています。*2

払うときの細部にも注意が要ります。1か月以上続く業務委託では、相手に落ち度がないのに報酬を減らすことが禁じられています。*1 「考え方」はその例として、端数を1円以上切り捨てて払うこと、振込手数料を報酬から差し引くこと、単価を下げる合意より前の発注に新しい単価をさかのぼって当てはめることを挙げています。*2 下限に届かない月が続くときの話し合い方は外部人材の稼働不足を作業の記録から確かめる方法で扱っています。

支払期日と消費税の取り決め

支払期日は、作業の提供を受けた日から60日以内で、できる限り短く定めます。*1 毎月続けて作業してもらう場合は、月単位の締め日を設け、その末日から60日以内に払う形も認められています。ただし、次の3つをすべて満たすことが条件です。*2

経理担当が請求書に日付印を押す直前の手元と朱肉

  • 月単位の締め日までの作業に対して払うことを相手と協議して合意し、発注の書面に明記している
  • その期間の報酬の額か、単価を決めた計算の仕方を書面に明記している
  • 続けて提供される作業が同じ種類のものである

消費税の扱いも単価の一部です。フリーランス法の報酬には消費税が含まれ、「考え方」は本体価格と消費税の額を分けて示すのが望ましく、税込みで示すならその旨をはっきり書く必要があるとしています。*2 相手がインボイス(適格請求書)を発行できない場合、払う側が仕入税額控除で差し引ける額は、2026年10月1日から2028年9月30日までは仕入税額相当額の70%です。*4 税込みか税別か、登録番号があるかを、単価を決める前に確かめておきます。個別の税務の判断は税理士に確認してください。

交通費や通信費などの費用を自社が負担するなら、その分も含めた総額が分かるように示します。*2 精算するかどうかと範囲は、発注の前に相手と決めておきます。経理の処理は外部人材活用の経理処理と源泉徴収の確認で整理しています。

外部に頼むときに確認しておきたい点

業務委託エンジニアを探す前に、次の5つを書き出しておくと、候補者から出てくる単価の提示を同じ条件で比べられます。

  • 範囲:成果物を納めてもらうのか、一定の期間に作業をしてもらうのか
  • 期間:開始の月と、最初の契約の長さ、更新の区切り
  • 体制:社内の窓口、作業時間の記録を承認する人、連絡の頻度
  • 費用の決まり方:払い方の型、下限と上限の時間、締め日と支払日、税込みか税別か
  • 引き継ぎ:契約の終わりに渡してもらう資料と、その作業の時間を報酬に含めるか

提示を受けたら、金額だけでなく、計算の仕方と稼働の想定が自社の書き出しと合っているかを見ます。同じ月額でも、上限の時間や含まれる作業が違えば比べられないからです。月の稼働日数の決め方は業務委託エンジニアの稼働日数の決め方で扱っています。

まとめ:単価の決め方で確かめておきたい3つの点

業務委託の単価の決め方で確かめておきたい点は3つです。第一に、任せる範囲と稼働の量に合わせて払い方の型を選ぶこと。第二に、精算幅を付けるなら、下限と上限の時間、超過と控除の単価、締め日を計算の仕方として書面に入れること。第三に、支払期日と消費税、費用の精算の有無を単価と一緒に示すことです。

LASSICに相談するメリット

払い方の型と月の稼働の見込みが書き出せたら、その条件で加わってくれる人を探す段階です。月額か時間単価か、月に何時間ほどかが決まっていれば、条件に合う業務委託の専門人材を探しやすくなります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

月額固定で頼んだ後に作業が減ったら、報酬を下げてよいですか

1か月以上続く業務委託では、一度決めた報酬を、相手に落ち度がないのに後から減らすことは禁じられています。*1 作業の量に合わせて変えたいときは、次の期間の発注から、相手と協議して新しい額か計算の仕方を書面で示します。個別の判断に迷うときは、契約の内容を確かめ、専門家に相談してください。

時間単価で頼むとき、作業時間はどう確かめればよいですか

記録の出し方(日ごとか作業ごとか)、承認する人、締め日を発注の時点で決めておき、締め日に記録と進み具合を照らし合わせます。

提示された単価が妥当かどうかは、どう判断すればよいですか

まず比べる条件をそろえます。任せる範囲、月の稼働の量、期間、払い方の型が同じ提示どうしでなければ、金額を並べても判断できません。そのうえで複数の候補から提示を受けます。

払い方が決まったら相談

任せる範囲と月の稼働の見込みが分かっていれば、そのままご相談いただけます。月額にするか時間単価にするか決めきれていない段階でも構いません。

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出典

  1. *1 参考:e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000025)。出典:第2条(定義)、第3条(給付の内容その他の事項の明示等)、第4条(報酬の支払期日等)、第5条(特定業務委託事業者の遵守事項)を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:公正取引委員会・厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」(令和8年10月1日改正)(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001572556.pdf)。出典:報酬(消費税を含む)、報酬の額の明示(算定方法・費用等・消費税)、役務の提供委託の支払期日の起算日(月単位の締切対象期間)、報酬の減額の例、買いたたきの例を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:e-Gov法令検索「民法」(明治29年法律第89号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)。出典:第624条第2項(期間によって定めた報酬)、第648条(受任者の報酬)、第648条の2(成果等に対する報酬)、第656条(準委任)を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
  4. *4 参考:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問113(PDF)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-15.pdf)。出典:免税事業者等からの仕入れに係る経過措置の期間と割合(令和8年10月1日から令和10年9月30日まで仕入税額相当額の70%)を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)




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