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業務委託の契約更新の判断ポイント|更新しない場合の予告と伝え方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- 業務委託の契約更新は満了日から逆算して判断の日を決め、続けるか・条件を見直すか・終えるかを選びます。
- 個人との契約は更新で期間を通算し、6か月以上続いていれば更新しないときに満了の30日前までの予告が要ります。
- 予告は書面かメールなどで送り、理由を求められたら遅滞なく示せるよう、判断の理由を社内で言葉にしておきます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
個人のエンジニアに業務委託で開発を頼んでいると、契約の満了が近づくたびに更新するかを決めることになります。続けるなら条件をそのままにするのか見直すのか、続けないならいつまでにどう伝えるのか。期間を重ねるほど、発注する側が守る決まりも増えていきます。
本記事では、エンジニアに業務委託で仕事を頼んでいる企業の担当者に向けて、業務委託の契約更新で押さえたい判断のポイントを、判断の時期、更新・見直し・終了の違い、更新しないときの予告と伝え方の順に整理します。
目次
業務委託の契約更新とは
業務委託の契約は、決めた期間が満了すれば終わります。続けるときは、次の期間の契約を当事者どうしで結びます。これが業務委託でいう契約の更新です。契約書に「申し出がなければ同じ条件で続ける」と書いておく形もありますが、その場合も満了の前に続けるかを決める点は変わりません。

個人のエンジニアと契約している場合は、更新を重ねた期間の長さで、発注する側が守る決まりが変わります。従業員を使う会社が、従業員を使わずに一人で仕事を受ける個人(一人で営む法人を含む)に頼む取引には、フリーランス・事業者間取引適正化等法(以下、フリーランス法)が当てはまります。*1
- 通算1か月以上:受け取りの拒否や報酬の減額などの禁止が当てはまる*2
- 通算6か月以上:継続的業務委託となり、解除や更新しないときに30日前までの予告が要る*2
期間は契約1本ごとではなく通算で数えます。国の解釈では、相手と仕事の中身に一定程度の同じさがあり、前の契約の終わりから次の契約までの空きが1か月未満なら、更新で続けているものとして扱います。*4
更新するかを決める時期
更新の判断は、満了日から逆算して日を決めておきます。6か月以上続いている契約を発注する側から更新しないなら、満了日の少なくとも30日前までに予告が要ります。*1 判断がその日を過ぎると、更新しないという道を予定どおりに選べなくなります。
判断までの段取りは、次のように組むと迷いにくくなります。
- 予告の期限より前:任せた仕事の進み具合と、次の期間に頼みたい仕事を社内で書き出す
- そのあと相手と話す:続けたいか、条件を変えたいかを双方で確かめる
- 満了の30日前まで:更新しないと決めたら、書面かメールなどで予告する
- 満了日まで:更新するなら、次の期間の条件を書面などで示す
相手の側も、満了日を見て次の仕事を探すかを決めています。続けてほしい場合も早めに伝えておくと、予定を押さえてもらいやすくなります。なお、更新は相手にとっても義務ではありません。更新を断られたときに、合意していない違約金を報酬から差し引くことは、国の解釈で報酬の減額の例に挙げられています。*4
更新・見直し・終了の違い
満了の前に選べる道は、大きく3つです。どれを選ぶかは、次の期間に頼みたい仕事の量と中身で決めます。
| 選ぶ道 | 決めること | 相手への伝え方 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 同じ条件で更新 | 次の期間の長さ | 満了の前に続ける意向を伝え、次の期間の条件を書面などで示す | 任せる仕事の量と中身が変わらないとき |
| 条件を見直して更新 | 仕事の範囲、稼働の目安、報酬、期間の単位 | 話し合って合意してから、変わった条件を書面などで示す | 仕事が増える・減る、役割が変わるとき |
| 更新しない | 終える日と、引き継ぎで残してもらうもの | 6か月以上続いていれば、満了の30日前までに書面かメールなどで予告する | 仕事が終わるとき。社内や別の頼み方に切り替えるとき |
どの道でも、次の期間を頼むときは条件を示し直します。フリーランス法は、業務委託をしたら直ちに、給付の内容、報酬の額、支払期日などを書面かメールなどで示すよう求めています。*1 条件を見直したときは、前の期間からどこが変わったかが分かる形で残します。
同じ条件の更新を続けると、仕事の中身が変わっても範囲や報酬が古いままになりがちです。見直す時期は最初の契約で決めておきます。
更新しないときの予告と伝え方
フリーランス法は、継続的業務委託の契約の解除に「契約期間の満了後に更新しない場合」も含め、少なくとも30日前までに予告するよう定めています。*1 予告の方法と、更新しないことに当たるかどうかは次のとおりです。

- 方法:書面、ファクシミリ、電子メールなどのいずれか。メールで送るなら、相手が全文を紙に出せる形にする*3*4
- 当たる例:切れ目なく更新してきた契約を更新しない場合や、断続的な取引で次の申し込みをしない場合*4
- 当たらない例:一回限りと明らかな仕事や、次を頼めるかがまだ分からない断続的な取引。頼まないと決まった時点で伝えることが望ましいとされる*4
予告のあと満了日までに相手から理由を求められたら、遅滞なく書面かメールなどで示します。*1*3 すぐに答えられるよう、仕事が終わる、範囲が変わるといった判断の理由を社内で言葉にしておきます。予告が要らない場合も定められています。災害などで予告が難しい場合、相手の重大な落ち度ですぐに解除が要る場合、1回の契約期間が30日以下の契約を解除する場合などです。*3 当たるかどうかの判断は、契約に詳しい専門家に確かめてください。
伝え方は、書面を送るだけで済ませないほうが受け止めてもらいやすくなります。先に話して事情を伝え、そのうえで予告を書面かメールで送ります。予告の日から満了日までは、引き継ぎに使える期間です。残してもらう資料と、最後の受け渡しの日もこのときに決めます。
外部に頼むときに確認しておきたい点
仲介のサービスを通して個人に頼む場合も、自社で直接契約する場合も、更新の扱いは始める前に決めておくと満了のたびに迷わずに済みます。相談の前に、次の点を書き出しておきます。
- 範囲:最初の期間で任せる仕事と、続けた場合に任せたい仕事
- 期間:最初の契約の長さ、更新の単位、見直しの日と予告の期限
- 体制:社内で更新を判断する人と、相手との連絡の窓口
- 費用の決まり方:報酬を見直す時期と、見直すときに見る点
- 引き継ぎ:更新しない場合に残してもらう資料と、終えるときの連絡の流れ
仲介会社を通すときは、個人と契約している当事者がどこかを確かめ、更新や終了の連絡を誰がいつまでに伝えるかを決めておきます。契約書に入れる項目は業務委託エンジニアの契約書に入れる7つの項目で、短い契約で始めて延ばすかを決める流れは業務委託で試用期間を設ける方法で扱っています。会社どうしの契約の更新の単位はSESの長期参画で見直す契約期間が参考になります。
まとめ:業務委託の契約更新で押さえたい3つの点
業務委託の契約更新で押さえておきたい点は3つに整理できます。第一に、更新の判断は満了日から逆算して日を決め、同じ条件で続けるか、条件を見直すか、終えるかを選ぶこと。第二に、個人との契約は更新で期間を通算し、6か月以上続いていれば、発注する側から更新しないときに満了の30日前までの予告が要ること。第三に、予告は書面かメールなどで送り、理由を求められたら遅滞なく示せるよう、判断の理由を社内で言葉にしておくことです。この3点を押さえておけば、満了の直前に慌てて決める事態を避けやすくなります。更新しないと決めたあとに任せる人を探すなら、予告から満了までの期間を使って早めに動き出せます。
よくある質問
業務委託の契約を自動更新にしてもよいですか
契約書で、申し出がなければ同じ条件で続けると定める形はあります。その場合も、満了の前に続けるかを確かめる日を決めておきます。通算6か月以上続く契約を発注する側の判断で更新しないなら、30日前までの予告が要る点は変わりません。条項の書き方は専門家に確かめてください。
相手から更新しないと言われた場合も予告は要りますか
国の解釈では、予告の対象は発注する側からの一方的な解除や不更新で、相手からの申し出による終了は含まれないとされています。双方の合意で終える場合も対象外ですが、相手の自由な意思による合意かどうかは慎重に判断する必要があるとされています。
更新しない理由も相手に伝える必要がありますか
予告をしてから満了日までの間に相手から理由を求められたら、遅滞なく書面かメールなどで示します。第三者の利益を害するおそれがある場合や、ほかの法令に違反することになる場合は例外とされています。
更新しない判断のあとの人材を相談
次の期間に任せたい仕事や、入れ替わりの時期が決まっていれば、そのままご相談いただけます。更新するかを迷っている段階でも構いません。
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出典
- *1 参考:e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000025)。出典:デジタル庁 e-Gov。第2条(定義)、第3条(取引条件の明示)、第5条(遵守事項)、第16条(解除等の予告・理由の開示)を参照(確認日2026年10月21日)(2026年10月確認)
- *2 参考:e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令」(https://laws.e-gov.go.jp/law/506CO0000000200)。出典:デジタル庁 e-Gov。第1条(法第5条の期間は1月)、第3条(法第13条の期間は6月)を参照(確認日2026年10月21日)(2026年10月確認)
- *3 参考:e-Gov法令検索「厚生労働省関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/506M60000100094)。出典:デジタル庁 e-Gov。第3条(予告の方法)、第4条(予告が要らない場合)、第5条(理由の開示の方法)、第6条(開示が要らない場合)を参照(確認日2026年10月21日)(2026年10月確認)
- *4 参考:公正取引委員会・厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001572556.pdf)。出典:厚生労働省(令和6年5月31日、令和8年10月1日改正)。第2部第2の2(期間の数え方と報酬の減額の例)、第3部2(継続的業務委託)、第3部4(解除等の予告)を参照(確認日2026年10月21日)(2026年10月確認)