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2026.09.25 採用支援コラム

エンジニア採用の採用要件とミスマッチとは、明示事項と評価基準




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • エンジニア採用でも、任せる仕事の中身と、求める能力・経験を採用要件に示します。
  • 仕事の中身は職業安定法で明示が義務で、求める能力などは施行規則が「できる限り明示」とする事項です。
  • 面接の質問項目と評価基準は面接の前に決め、能力と関係のない事項は尋ねません。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

この記事は、転職者(ほかの会社で働いていた人)の中からエンジニアを採るときに、採用要件を書く人に向けて書いています。この記事でいう採用要件は、募集のときに示す、任せる仕事と、応募者に求める条件です。また、採用した人と任せる仕事が合わないことを、この記事ではミスマッチと呼びます。では、エンジニア採用の採用要件には何を書き、面接の前に何を決めておけばよいのでしょうか。この記事では、法令と厚生労働省の考え方から、採用要件に書くことと、面接の前に決めておくことを考えます。最後に、参考として、転職者を採用した事業所が採用のどこに問題を感じているかを、厚生労働省の調査で見ます。

この記事で参照したのは、労働施策総合推進法(以下、推進法。正式な名前は出典欄)、推進法の施行規則(以下、施行規則)、職業安定法、厚生労働省の「公正な採用選考の基本」のページ、厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」(以下、概況)、同じ調査の厚生労働省の案内ページの6つです。推進法は、募集・採用で年齢にかかわりなく均等な機会を与えることなどを定めた法律で、施行規則は、推進法を実施するために国が定めた細かな決まりです。職業安定法は、この記事では、募集のときに明示する事項を定めた第5条の3を使います。資料の確認日は2026年9月25日です。

チェス盤の上で向かい合う黒と白のナイトの駒のモノクロ写真。人も文字も写っていない

施行規則は、募集・採用で、事業主が職務の内容や求める能力などを「できる限り明示」するものとしている

推進法の第9条は、事業主に、募集・採用で、労働者に年齢にかかわりなく均等な機会を与えるよう求めています。*1 そうしなければならないのは、労働者が能力を有効に発揮するために必要と認められるときとして、厚生労働省令で定めるときです。*1 この厚生労働省令が施行規則で、施行規則の第1条の3第1項は、このときを、同項が番号を付けて挙げたとき(各号)以外のときとしています。*2 つまり、番号付きで挙げられた例外に当たらない限り、事業主は、募集・採用で年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければなりません。各号には、応募者の年齢が自社の定年を下回ることを条件にする募集(期間の定めのない労働契約を結ぶ場合に限る)や、長期間の継続勤務で職務に必要な能力を育てることを目的に、特定の年齢を下回る人を募集する場合(期間の定めのない労働契約を結び、職業経験を求人の条件にしないことなどの条件付き)が挙がっています。*2 この記事では、各号を、年齢制限が認められる例外と呼びます。同じ条の第2項は、募集・採用で事業主が明示する事項について、次のように定めています。*2

「事業主は、法第九条に基づいて行う労働者の募集及び採用に当たつては、事業主が当該募集及び採用に係る職務に適合する労働者を雇い入れ、かつ、労働者がその年齢にかかわりなく、その有する能力を有効に発揮することができる職業を選択することを容易にするため、当該募集及び採用に係る職務の内容、当該職務を遂行するために必要とされる労働者の適性、能力、経験、技能の程度その他の労働者が応募するに当たり求められる事項をできる限り明示するものとする。」*2

引用のうち「当たつて」は、原文のままの表記です。「法第九条に基づいて行う労働者の募集及び採用」は、年齢制限が認められる例外に当たらない、通常の募集・採用を指すと読めます(この記事の読み)。条文は、明示するものとして、職務の内容、職務を遂行するために必要とされる労働者の適性・能力・経験・技能の程度、そのほか労働者が応募するに当たり求められる事項を挙げています。*2 この記事では、これを、①職務の内容、②その職務を遂行するために必要とされる適性・能力・経験・技能の程度、③そのほか応募に当たり求められる事項の3つに分けて扱います。3つに分けるのはこの記事の整理で、条文が自分で3つに分けているわけではありません。③に何が入るかは、施行規則に例がありません。第2項は、明示する目的の1つを、事業主が職務に適合する労働者を雇い入れることを容易にすることとしています。*2 この記事でいうミスマッチを避けることは、この目的に近いと考えます(この記事の考え方)。ただし、明示すればミスマッチが減ることは、今回見た資料では確かめられていません。施行規則の第1条の3は、明示した事項を選考でどう評価するかまでは定めていません。

募集のときに示す事項は、職業安定法にも定めがあります。職業安定法の第5条の3第1項は、労働者の募集を行う者は、募集に当たり、募集に応じて労働者になろうとする者に対し、従事すべき業務の内容と、賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないとしています。*3 同じ条の第2項は、求人者は、公共職業安定所(ハローワーク)や職業紹介事業者(転職エージェントなど)に求人を申し込むときに、それらに対して、業務の内容と、賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないとしています。*3 自社で直接募集するときは第1項が、ハローワークや転職エージェントに求人を出すときは第2項がかかります。職業安定法の「業務の内容」と施行規則の「職務の内容」の関係は条文に書かれていませんが、どちらも任せる仕事の中身を指すと読めます(この記事の読み)。そのため、任せる仕事の中身は、施行規則の「できる限り」とは別に、職業安定法で明示しなければならない事項になります。賃金、労働時間などの労働条件は、採用要件とは別に募集のときに明示しなければならない事項で、この記事では立ち入りません。この記事では、施行規則の第1条の3第2項が挙げる事項を中心に扱います。

厚生労働省は、面接の前に質問項目と評価基準を決めておくよう勧めている

厚生労働省の「公正な採用選考の基本」のページは、採用選考の基本的な考え方として、応募者の基本的人権を尊重することと、応募者の適性・能力に基づいた基準により行うことの2点を挙げています。*4 同じページは、公正な採用選考を行うことは、家族や生活環境に関することなど、応募者の適性・能力とは関係のない事項で採否を決定しないということだとしています。*4 そして、公正な採用選考を行う基本の1つに「応募者の適性・能力に基づいた採用基準とすること」を挙げ、それを「応募者のもつ適性・能力が求人職種の職務を遂行できるかどうかを基準として採用選考を行うこと」と説明しています。*4 同じページは、応募用紙の項目に適性と能力に関係のない事項を含めないよう留意することに続けて、面接について「『面接』を行う場合についても、職務遂行のために必要となる適性・能力を評価する観点から、あらかじめ質問項目や評価基準を決めておき、適性と能力に関係のない事項を尋ねないよう留意しましょう。」と勧めています。*4 面接についての同じ記述の中で、できるだけ客観的かつ公平な評価を行うようにしましょう、とも勧めています。*4 施行規則も厚生労働省のページも職種を限っておらず、エンジニアの採用に固有の定めや勧めではありません。

エンジニア採用でも、採用要件に職務の内容や求める能力などを示し、面接の質問項目と評価基準を面接の前に決める

施行規則と厚生労働省の考え方は職種を限っていないので、エンジニア採用にも当てはまります。施行規則の第1条の3第2項が及ぶのは、年齢制限が認められる例外に当たらない通常の募集と読めます。例外に当たる募集で何が変わるかは、この記事では確かめていませんが、職業安定法の第5条の3と厚生労働省の面接の勧めは、例外に当たるかどうかで分けていません。そこで、エンジニア採用でも、次の2つを行うことを勧めます(この記事の考え方)。

  • 採用要件に、職務の内容と、職務を遂行するために必要とされる適性・能力・経験・技能の程度を示し、そのほか応募に当たり求められる事項があれば示す
  • 面接を行うなら、職務の遂行に必要な適性・能力を評価する観点から、質問項目と評価基準を面接の前に決めておき、適性・能力に関係のない事項(家族や生活環境に関することなど)は尋ねない

1つめは施行規則の第1条の3第2項が明示するものとしている事項を、2つめは厚生労働省の「公正な採用選考の基本」が面接について勧めていることを、エンジニア採用に当てはめたものです。施行規則の第1条の3は評価の仕方を定めていません。この記事では、厚生労働省のページが基本に挙げるとおり、応募者がその適性・能力で職務を遂行できるかどうかを、評価の中身にします。厚生労働省のページで評価基準という語が出てくるのは面接の記述の1か所で、評価基準をどんな形で書くかは示していません。そこで、面接する人が複数いても判定がそろうよう、応募者が何を言えれば条件を満たしたとするかまで書いておくと使いやすいと考えます。判定をそろえることは、厚生労働省のページが面接について勧める「客観的かつ公平な評価」にも沿うと考えます。この記事では、評価基準は求人には載せず、面接する人の手元の資料に書いておくことを想定しています。評価基準を求人に載せるかどうかは、今回見た施行規則の条と厚生労働省のページには書かれていません。勧めるのは要件をはっきり示すことで、要件を厳しくすることではありません。はっきり示すと応募者が減るかどうかは、この記事で参照した資料からは分かりません。応募者が何を言えれば満たしたとするかまで書いた例を、次の表に示します。表の評価基準は、経験の裏付けと、職務に近い場面での扱い方を確かめる例です。

3つに分けて書いた採用要件と、面接の質問項目・評価基準の例(この記事で作った例)
この記事の分け方 採用要件の例 面接の質問項目の例 評価基準の例
①職務の内容 他のシステムから届いた受注データを自動で読み込む機能(プログラム)を、社内の販売管理システムに追加する 置かない(任せる仕事の説明で、応募者に求める条件ではない) 置かない(任せる仕事の説明で、応募者に求める条件ではない)
②適性・能力・経験・技能の程度 他のシステムからデータを取り込む処理を、設計書をもとに作った経験が1件以上あること 応募者が挙げた取り込み処理の案件1件について、受け取ったデータ、取り込んだ結果、設計書の記述と作った処理の対応、形式に合わないデータが来たときの扱いを尋ねる(守秘義務に触れない範囲で答えてよいと伝える) 応募者が、その案件について(1)受け取ったデータの項目名(受注データの場合は、受注番号や商品コードなど)を3つ以上挙げ、データの形式(値をカンマで区切って並べたCSVファイルなど)も言える、(2)取り込んだ結果、追加または更新されたデータ(受注の一覧に加わる行など)を1つ以上挙げられる、(3)設計書の記述1か所と、それをもとに作った処理を対応させて説明できる、(4)形式に合わない行や重複したデータが来たときにどう扱ったかを説明できる。4点すべてに当てはまれば、この要件を満たしたとする
③そのほか応募に当たり求められる事項 例を置かない(施行規則に例がない) 置かない 置かない

エンジニアの経験がない人事担当者が技術面接で使える質問は、別の記事「技術面接で人事が見極める5つの質問」で、職種ごとの採りにくさから採用要件の優先順位を決める手順は「職種ごとの採りにくさと採用要件の優先順位」で扱っています。

参考:転職者の採用で挙がった問題は、全産業と情報通信業のどちらも、必要な職種に応募してくる人の少なさが1番目、能力評価の客観的な基準がないことが2番目だった

この節の調査は、この記事の勧めの根拠ではなく、転職者を採用した事業所が採用のどこに問題を感じているかを、参考として示すものです。概況によれば、厚生労働省の転職者実態調査は、転職者の就業の実態と意識を、受け入れた事業所の側と転職者の側の両面からつかむもので、その結果を、円滑な労働移動の促進と、労働力需給(労働力の需要と供給)のミスマッチの解消を図る雇用対策に役立てることを目的としています。*5 労働移動は、人が職場を移ることと読めます。調査の目的の「労働力需給のミスマッチ」がどんな状態を指すかは、概況に説明がなく、この記事でいうミスマッチと同じ意味かは分かりません。常用労働者は、期間を定めずに雇われている人と、1か月以上の期間を定めて雇われている人です。*5 事業所調査は、16の産業に属する5人以上の常用労働者を雇う事業所から、産業別・事業所規模別に無作為に選んだ17,218事業所に尋ね、有効回答は9,149事業所(有効回答率53.1%)でした。*5 調べたのは、令和2年(2020年)10月1日現在の状況です。*5 事業所は、会社全体ではなく、本社・支店・営業所など1か所ごとの単位と読めます(この記事の読み)。一般労働者は、常用労働者のうち短時間労働者を除いた、いわゆるフルタイムの労働者です。*5 この調査の転職者は、一般労働者のうち、期間を定めずに、または1年以上の期間を定めて雇われ、雇われる前の1年間に他の企業に雇われた経験があり、令和元年(2019年)10月1日から令和2年9月30日までに雇われた人です。*5 この記事でいう転職者より狭い範囲です。

転職者を採用する際の問題(複数回答、単位は%)(出典:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」事業所調査 表7*5。問題があるとした事業所に占める割合。行は情報通信業の割合の高い順(その他は最後)。選択肢の文言は資料のままで、それぞれの問題の中身の説明は資料にない。2026年9月25日確認)
問題 全産業 情報通信業
必要な職種に応募してくる人が少ないこと 67.2 60.4
応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと 38.8 45.6
採用後の処遇やキャリア形成の仕方 17.8 38.0
採用時の賃金水準や処遇の決め方 32.3 37.4
転職市場に関する情報が少ないこと 4.7 8.2
その他 4.1 3.7

調査の定義に当たる転職者がいる事業所のうち「問題がある」とした事業所は、全産業で84.1%、情報通信業で87.0%でした。*5 情報通信業では、「必要な職種に応募してくる人が少ないこと」がいちばん多く、「応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」が2番目です。*5 16の産業の中で、情報通信業の45.6%は3番目に高く、情報通信業より高いのは「宿泊業,飲食サービス業」の51.9%と「学術研究,専門・技術サービス業」の49.2%です。*5 全産業では38.8%で、差は6.8ポイント(割合どうしの差)です。ただし、この差だけで、情報通信業で能力評価の客観的な基準がないことが特に問題になっているとは言えません。情報通信業は、6つの問題のうち4つで全産業より割合が高くなっています。複数回答なので、6つの割合を足すと、問題があるとした1事業所が平均していくつの問題を挙げたかの目安になります。この記事で足すと、情報通信業は193.3%(平均約1.9個)、全産業は164.9%(平均約1.6個)です。この記事で計算すると、挙げられた問題の延べ数(1事業所が複数挙げた分もそれぞれ数えた合計)のうち「応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」が占める割合は、情報通信業で23.6%、全産業で23.5%です。そのため、情報通信業で、能力評価の客観的な基準がないことだけが目立って多く挙がっているわけではありません。同じ計算を「採用後の処遇やキャリア形成の仕方」に当てると、情報通信業で19.7%、全産業で10.8%で、情報通信業で目立つのはこちらの問題です。6.8ポイントの差も、合計の差も、偶然のぶれの範囲かどうかは、産業ごとの回答事業所数が概況の表と図表データに載っていないので判断できません。情報通信業に含まれる業種の内訳は、概況に書かれていません。

表7で、情報通信業と全産業の差がいちばん大きいのは「採用後の処遇やキャリア形成の仕方」で、情報通信業が38.0%、全産業が17.8%です。*5 表7は職種では分けていないので、エンジニアの採用に限った値は分かりません。同じ事業所調査の表10によれば、調査時点から3年間に転職者を採用する予定がある事業所のうち、採用予定の職種に「専門的・技術的な仕事」を挙げた事業所は、情報通信業で80.4%、全産業で45.2%です(複数回答)。*5 概況の職種分類表は、「専門的・技術的な仕事」の例に、プログラマーやシステムエンジニアのほか、記者、編集者、デザイナーなども挙げています。*5 そのため、表10の80.4%も表7の情報通信業の値も、エンジニアを採る事業所だけの値ではありません。情報通信業は、専門的・技術的な仕事を採る予定の事業所の割合が高い産業なので、この記事では、表7の情報通信業の値を参考に示しています(この記事の考え方)。ただし、表10は調査時点から3年間の予定で、表7は職種を分けていません。また、表7は問題があるとした事業所、表10は今後3年間に転職者を採る予定がある事業所を集計したもので、集計の対象が違います。

厚生労働省の、この調査の案内ページは、令和7年(2025年)の調査への協力を呼びかけていて、結果が出ている最新の調査は令和2年の調査だとしています。*6 同じページのお知らせによれば、図表データのファイルは令和4年(2022年)3月24日に差し替えられています。*6 この記事の数値は、差し替えのあとのファイルから取りました。調査は令和2年(2020年)のもので、今の採用の状況と同じとは限りません。この記事の勧めは、施行規則と厚生労働省の考え方によるもので、この調査の結果から導いたものではありません。勧めた評価基準が調査のいう「客観的な基準」に当たるかと、評価基準を決めればミスマッチが減るかは、この調査からは分かりません。いちばん多い「必要な職種に応募してくる人が少ないこと」への対策と、処遇やキャリアの見通しの示し方は、この記事では扱いません。

情報通信業で転職者を採用する際の問題を、問題があるとした事業所を100とした割合で並べた横棒グラフ。必要な職種に応募してくる人が少ないこと60.4%、応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと45.6%、採用後の処遇やキャリア形成の仕方38.0%、採用時の賃金水準や処遇の決め方37.4%、転職市場に関する情報が少ないこと8.2%、その他3.7%。全産業では客観的な基準がないことは38.8%。出典は厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」。

まとめ:エンジニア採用でも、採用要件に職務の内容や求める能力などを示し、面接の質問項目と評価基準を面接の前に決める

推進法の施行規則は、推進法の第9条に基づいて行う募集・採用では、事業主が、職務の内容、職務を遂行するために必要とされる適性・能力・経験・技能の程度その他の応募に当たり求められる事項を、できる限り明示するものとしています。*2 職業安定法は、労働者の募集を行う者に、募集に当たり、従事すべき業務の内容と、賃金、労働時間その他の労働条件の明示を求めています。*3 厚生労働省の「公正な採用選考の基本」は、面接を行う場合は、あらかじめ質問項目や評価基準を決めておき、適性と能力に関係のない事項を尋ねないよう勧めています。*4 この記事では、エンジニア採用でも、採用要件に職務の内容や求める能力・経験などを示し、面接の質問項目と評価基準を面接の前に決め、適性・能力に関係のない事項は尋ねないことを勧めます。施行規則も厚生労働省の考え方も職種を限っておらず、エンジニアの採用に固有の定めや勧めではありません。参考に見た令和2年転職者実態調査は、この記事の勧めの根拠ではなく、勧めた評価基準でミスマッチが減るかも、この調査からは分かりません。

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よくある質問

エンジニア採用の採用要件には、何を書けばよいですか

職務の内容と、職務を遂行するために必要とされる適性・能力・経験・技能の程度を示し、そのほか応募に当たり求められる事項があれば示すことを勧めます(この記事の考え方)。推進法の施行規則は、推進法の第9条に基づいて行う募集・採用では、事業主がこれらの事項をできる限り明示するものとしています。*2 職業安定法は、募集に当たり、業務の内容と、賃金、労働時間その他の労働条件の明示を求めています。*3 施行規則は「できる限り」、職業安定法は「しなければならない」と定めていて、強さが違います。賃金、労働時間などの労働条件は、採用要件とは別に、募集のときに明示しなければならない事項です。明示した事項を選考でどう評価するかは、施行規則の第1条の3には定められていません。

面接の質問項目と評価基準は、いつ決めればよいですか

面接の質問項目と評価基準は、面接の前に決めておくことを勧めます(この記事の考え方)。厚生労働省の「公正な採用選考の基本」は、面接を行う場合は、職務遂行のために必要となる適性・能力を評価する観点から、あらかじめ質問項目や評価基準を決めておくよう勧めています。*4

転職者を採用するとき、事業所はどんなことを問題にしていますか

令和2年の転職者実態調査では、全産業で、調査の定義に当たる転職者がいる事業所の84.1%が、転職者を採用する際に問題があるとしています。*5 問題があるとした事業所が挙げた問題(複数回答)の多い順に上位3つは、「必要な職種に応募してくる人が少ないこと」が67.2%、「応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」が38.8%、「採用時の賃金水準や処遇の決め方」が32.3%でした。*5 情報通信業では、87.0%が「問題がある」とし、そのうち60.4%が「必要な職種に応募してくる人が少ないこと」を、45.6%が「応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」を、38.0%が「採用後の処遇やキャリア形成の仕方」を挙げています。*5 表7は職種を分けていないので、エンジニアに限った値ではありません。この記事で計算すると、挙げられた問題の延べ数(1事業所が複数挙げた分もそれぞれ数えた合計)のうち「応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」が占める割合は、情報通信業と全産業でほぼ同じで、情報通信業で能力評価の問題だけが目立つわけではありません。

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出典

  1. *1 参考:e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132)。出典:労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号、以下「推進法」)第9条(募集及び採用における年齢にかかわりない均等な機会の確保)を参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/341M50002000023)。出典:労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則(昭和41年労働省令第23号)第1条の3第1項・第2項(募集及び採用における年齢にかかわりない均等な機会の確保)を参照(2026年9月確認)
  3. *3 参考:e-Gov法令検索「職業安定法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141)。出典:職業安定法(昭和22年法律第141号)第5条の3第1項・第2項(労働条件等の明示)を参照(2026年9月確認)
  4. *4 参考:厚生労働省「公正な採用選考の基本」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_56780.html)。出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」。採用選考の基本的な考え方(応募者の適性・能力に基づいた採用基準)と、公正な採用選考を行うための応募用紙と面接での留意点(あらかじめ質問項目や評価基準を決めておくこと、客観的かつ公平な評価)と、公正な採用選考の意味(適性・能力と関係のない事項で採否を決定しないこと)を参照(2026年9月確認)
  5. *5 参考:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/6-18c-r02.html)。出典:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」。調査の概要(目的、範囲、調査客体数と有効回答、対象期間、常用労働者・転職者・一般労働者の用語、職種分類表)、図表データのダウンロード版の事業所調査 表7(転職者を採用する際の問題の有無、問題別)と表10(今後3年間に採用予定の転職者の職種)を参照(2026年9月確認)
  6. *6 参考:厚生労働省「雇用の構造に関する実態調査(転職者実態調査)」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/6-18.html)。出典:厚生労働省「雇用の構造に関する実態調査(転職者実態調査)」のページ。令和7年の調査への協力の呼びかけ、公表予定(令和2年調査が最新結果)、図表データのファイルの差し替え(令和4年3月24日)のお知らせを参照(2026年9月確認)




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