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エンジニアの離職率の比べ方|情報通信業の統計と自社の数字の見方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- 情報通信業の一般労働者の離職率は2025年で10.0%と、全産業の11.4%より低く、他業種より高いとは言えません。
- この数字は職種ではなく産業の値なので、自社の数字は期首の人数を分母にして同じ式で出し、揃えてから並べます。
- 抜けた人の仕事は、期間の決まった穴を外部人材、長く持つ役割を社員採用と分けて埋めます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
「エンジニアは辞めやすい」と言われますが、数字で確かめたことのある人は多くありません。厚生労働省の令和7年雇用動向調査では、情報通信業の一般労働者の離職率は10.0%、全産業の一般労働者は11.4%でした。*2 情報通信業は全産業より1.4ポイント低く、この数字だけでは、エンジニアが他業種より辞めやすいとは言えません。
ただし、この数字はエンジニアという職種の離職率ではなく、情報通信業という産業の離職率です。本記事では、エンジニアを抱える企業の開発責任者や人事の方に向けて、統計の読み方、自社の離職率の出し方、並べるときに揃える点、抜けた人の埋め方を整理します。離職の理由は人によって違うため、ここでは決めつけません。
目次
エンジニアの離職率の統計とは
厚生労働省の「雇用動向調査」は、5人以上の常用労働者を雇う約15,000事業所に、毎年、入職と離職の状況を尋ねる調査です。*1 産業ごとの離職率が公表されていて、エンジニアが多く働く産業として見られるのは情報通信業です。ただし、この概況には、エンジニアという職種だけの離職率は載っていません。*1
- 分かる:産業ごとの離職率(情報通信業の一般労働者は10.0%)
- 分かる:入職率や、前の年との差
- 分からない:エンジニアという職種だけの離職率
- 分からない:自社と同じ人数のチームの離職率
離職率は、1年間の離職者数を、1月1日現在の常用労働者数で割った割合です。離職者は、事業所を退職した人や解雇された人で、他の企業への出向者を含み、同じ企業の別の事業所への転出者は含みません。*1 一般労働者は、常用労働者のうちパートタイム労働者以外の人を指します。*1
他業種と比べた情報通信業の位置
令和7年(2025年)の一般労働者の離職率を高い順に並べると、情報通信業の10.0%は16産業のうち6番目で、学術研究,専門・技術サービス業と同じ値です。*2 全産業の11.4%より1.4ポイント低く、いちばん高い宿泊業,飲食サービス業の21.5%の半分に届きません。*2

- 離職率(2025年):情報通信業10.0%、全産業11.4%*1
- 離職率(2024年):情報通信業9.8%、全産業11.5%*1
- 入職率(2025年):情報通信業13.1%、全産業12.0%*1
情報通信業は、入職率が離職率を3.1ポイント上回りました。*1 辞める人が少ないというより、入る人が辞める人より多い産業です。前の年と比べた離職率の上がり幅は0.2ポイントで、年による動きは大きくありません。*1
自社の離職率を出す手順
自社の数字は、全国の数字と同じ式で出さないと並べられません。次の順に数えます。

- 期間を決める:暦年か年度の1年間
- 分母は期間の初日の人数:途中で入社した人は分母に入れない
- 分子は期間中の離職者:退職した人と解雇した人。出向は含め、社内の別拠点への異動は含めない
- パートタイム労働者は分けて数える:全国の10.0%は一般労働者の値
- 割った値に100を掛ける
| 年初の人数 | 1年間の離職者 | 離職率 |
|---|---|---|
| 10人 | 1人 | 10.0% |
| 10人 | 2人 | 20.0% |
| 40人 | 4人 | 10.0% |
10人のチームでは、離職者が1人増えるだけで離職率が10ポイント動きます。人数の少ないチームの率は、全国の値と並べて良し悪しを決めるものではありません。小さなチームでは、率より、何人がどの時期に抜けたかを見ます。
全国の数字と並べるときに揃える点
式をそろえたあとも、並べる相手の数字の中身が自社と違うことがあります。比べる前に、次の4点を確かめます。
| 揃える点 | 全国の数字 | 自社で確かめること |
|---|---|---|
| 産業 | 情報通信業の事業所で働く人の値 | 製造業や金融業などの会社で働くエンジニアは、別の産業の値に入る |
| 契約の形 | 全産業で、期間の定めなしは10.9%、定めありは22.4%*1 | 期間の定めのある契約の人が多いと、率の水準そのものが違う |
| 年 | 2025年の1年間。情報通信業は前の年が9.8%、この年が10.0%*1 | 1年だけでなく、2〜3年を並べて見る |
| 事業所の規模 | 5人以上の常用労働者を雇う事業所*1 | 小さな会社は人数を見る(前節) |
自社の率が10.0%を上回っても、すぐに問題とは言えません。上回ったときに調べるのは、どの職種のどの年次の人が抜けたか、抜けた人の仕事が引き継げているか、の2点です。離職の理由は人によって違うため、数字から決めつけず、面談などで本人の話を聞いて確かめます。
入社後の面談のしかたは「エンジニア中途採用の早期離職を防ぐ面談、効果が見えにくい理由」で、新卒の3年以内離職率の読み方は「自社の離職率と比べたくなる、新卒3年以内離職率の正しい読み方」で扱っています。
抜けた人を埋める手段の選び方
離職率が平常の幅に収まっていても、1人抜ければ、その人の役割に空きはできます。埋め方は、仕事の長さと中身で分けて考えます。
| 手段 | 向く仕事 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 残るメンバーの分担 | 数週間で終わる穴 | 長引くと負荷が偏る。1人ずつの仕事量を数えてから決める |
| 外部人材(業務委託・フリーランス) | 期間の決まった開発や保守、手順を書き出せる仕事 | 契約の期間と範囲、渡す権限の範囲を決める |
| 社員採用(リモート勤務の社員を含む) | 設計の判断など、長く持つ役割 | 入社の時期は応募次第で、約束できない |
外部人材に頼むときは、依頼の前に次の点を決めておきます。
- 任せる作業の範囲と、終わったと言える基準
- 渡すアカウントと権限の範囲、使わなくなったときの削除の手順
- 資料の無い部分を読み込む期間と、質問できる社内の窓口
権限の渡し方は「業務委託エンジニアの受け入れ時の権限管理、付与から削除までの手順」に、採用以外の手段は「エンジニア中途採用だけに頼らない欠員補充、9つの選択肢」にまとめています。1人が抜けた直後の動きは「開発要員の欠員発生の初動」で扱っています。
複数人が同じ時期に辞めて、平常の補充では追いつかないときは、「エンジニアが大量退職したときの立て直し方|止める仕事と補充の順番」を先にご覧ください。
まとめ:エンジニアの離職率を比べる3つの点
エンジニアの離職率を比べるときに確かめたい点は3つです。第一に、情報通信業の一般労働者の離職率は2025年で10.0%と、全産業の11.4%より低いこと。第二に、この数字は職種ではなく産業の値なので、自社の数字は期首の人数を分母にして同じ式で出し、産業や契約の形を揃えて並べること。第三に、抜けた人の仕事は、期間の決まった穴を外部人材、長く持つ役割を社員採用と分けて埋めることです。
よくある質問
エンジニアの離職率が高いと言われるのはなぜですか
この概況には、エンジニアという職種の離職率も、産業ごとの辞めた理由も載っていないため、理由は分かりません。数字の上では、情報通信業の一般労働者の離職率は全産業より低くなっています。
自社の離職率が全国の数字より高いときは、まず何を見ますか
まず、年初の人数が少なく、1人の離職で率が大きく動いていないかを確かめます。そのうえで、どの職種のどの年次の人が抜けたか、抜けた人の仕事が引き継げているかを見ます。理由は本人の話を聞いて確かめます。
期間の定めのある契約の人やパートタイム労働者も含めて数えてよいですか
全国の数字は区分ごとに出ているため、自社も分けて数えると並べやすくなります。全産業では、期間の定めなしの離職率が10.9%、定めありが22.4%と、契約の形で水準が違います。
離職率を確かめたあとの人の確保を相談したいとき
抜けた役割と期間が分かっていれば、そのままご相談いただけます。外部人材で埋めるか、社員で探すかを決めきれていない段階でも構いません。
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出典
- *1 参考:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-2/dl/gaikyou.pdf)。出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」。調査の概要(5人以上の常用労働者を雇用する事業所から抽出した約15,000事業所)、主な用語の定義(離職者・一般労働者・離職率)、付属統計表1-2(雇用期間の定めなし10.9%・定めあり22.4%)と付属統計表2-2(産業別の入職率・離職率、令和6・7年)を参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)
- *2 参考:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要」2 産業別の入職と離職(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-2/dl/kekka_gaiyo-02.pdf)。出典:同調査の結果の概要「2 産業別の入職と離職」。表4-2(産業、就業形態別入職率・離職率・入職超過率、令和7(2025)年)の一般労働者の離職率(情報通信業10.0%、産業計11.4%、宿泊業,飲食サービス業21.5%)を参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)