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欠員補充の方法|中途採用以外で退職者の穴を埋める手段
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 欠員補充とは、退職や異動で担当者がいなくなった仕事に代わりの人を充てることで、仕事が増えて人を増やす増員とは出発点が違います。
- 2025年6月末日現在、専門的・技術的職業従事者の欠員率は2.6%で、前年同期の3.4%から下がりました。
- 補充の手段は中途採用だけでなく、JUASの調査では育成・異動・外部サービスの利用など9つが並びます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
欠員補充とは、退職や異動で担当者がいなくなった仕事に、代わりの人を充てることです。仕事の量が増えたために人を増やす「増員」とは違い、すでにある仕事を担当する人がいない状態を元に戻すための補充を指します。厚生労働省の雇用動向調査も、仕事があるのに従事する人がいない状態を補充するための求人を「未充足求人」として数えています。*1
欠員補充というと中途採用が思い浮かびますが、手段はそれだけではありません。JUAS(一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会)の「企業IT動向調査2026」は、人材不足への対策として、育成や異動、外部サービスの利用を含む9つの選択肢を並べています。*2 本記事では、開発の現場を預かるマネージャーに向けて、欠員補充の意味と増員との違い、統計で見た欠員の状況、補充の手段とその選び方を整理します。
欠員補充とは
欠員補充とは、退職や異動、休職などで担当者がいなくなった仕事に、代わりの人を充てることです。補充する人は、新しく採用した人のこともあれば、社内の別の部署から移ってきた人や、社外から加わってもらう人のこともあります。どの手段をとっても、担当者のいない仕事を元の体制に戻すことが目的です。
公的統計にも、欠員を数える考え方があります。厚生労働省の雇用動向調査は、未充足求人を「事業所における欠員であり、仕事があるにもかかわらず、その仕事に従事する者がいない状態を補充するために行っている求人」と定めています。*1 統計の上で欠員として数えられるのは、会社がすでに募集を出していて、まだ埋まっていない求人です。
この未充足求人数を、6月末日現在の常用労働者数で割った値が欠員率です。*1 働いている人100人に対して、何人分の求人が埋まっていないかを示します。欠員率は、欠員補充がどれだけ追いついていないかを測る目安として使えます。
| 区分 | 未充足求人数 | 欠員率 | 前年同期の欠員率 |
|---|---|---|---|
| 全体 | 1,359.5千人 | 2.6% | 2.9% |
| 専門的・技術的職業従事者 | 323.2千人 | 2.6% | 3.4% |
2025年6月末日現在、未充足求人数は全体で1,359.5千人、欠員率は2.6%です。専門的・技術的職業従事者の未充足求人数は323.2千人で、職業別では「サービス職業従事者」の331.6千人に次いで多くなっています。この職業の欠員率は2.6%で、前年同期の3.4%から下がりました。*1
増員との違い
欠員補充と並べて使われる言葉に増員があります。増員は、事業の拡大や新しいシステムの開発で仕事そのものが増えたために、人の数を増やすことです。欠員補充は、すでにある仕事の担当者がいなくなった状態を元に戻すことです。どちらも人を迎える点は同じですが、出発点が違います。
出発点が違うと、求める人の書き方も変わります。欠員補充では、辞めた人が担当していた作業が手元にあるので、そこから条件を書けます。増員では、まだ誰もやっていない仕事を想定して条件を書くことになります。欠員補充のほうが条件を具体的にしやすい反面、辞めた人と同じ経験を持つ人を求めてしまい、条件が狭くなりがちです。
なお、先に挙げた雇用動向調査の定義は、仕事があるのに従事する人がいない状態を見ています。*1 その状態が退職で生じたのか、仕事が増えて生じたのかまでは、定義の文言には書かれていません。統計の欠員率を読むときは、増員のための求人と分けた値ではない可能性を頭に置いて読んでください。
欠員補充の9つの手段
補充の手段を一覧で見られる資料として、JUASの「企業IT動向調査2026」があります。東証上場企業とそれに準じる企業の計4500社を対象にした調査で、調査期間は2025年9月5日から10月24日、25年度の回収数は957社、有効回答率は21.3%です。*2
ここで見る設問は、全社に聞いたものではありません。情報セキュリティ人材が不足していると答えた企業だけに、その対策を聞いています。*2 回答数は25年度891社、24年度898社、23年度921社です。あくまでセキュリティ人材の話であって、開発要員全般の集計ではありません。
| 対策 | 25年度 | 24年度 | 23年度 | 24年度比 |
|---|---|---|---|---|
| 要員の育成 | 51.5% | 58.9% | 53.4% | −7.4 |
| 新卒採用 | 11.6% | 12.5% | 9.2% | −0.9 |
| 経験者採用 | 44.4% | 48.7% | 46.6% | −4.3 |
| 他部門からの異動 | 14.5% | 13.6% | 11.3% | +0.9 |
| 全社教育の拡充 | 32.9% | 33.5% | 31.3% | −0.6 |
| 外部委託の増員・強化 | 29.6% | 35.4% | 29.2% | −5.8 |
| セキュリティにおける外部サービスの利用 | 51.0% | 53.8% | 50.7% | −2.8 |
| 運用の自動化・効率化(省力化) | 23.9% | 24.4% | 22.8% | −0.5 |
| その他 | 3.5% | 1.4% | 1.5% | +2.1 |
25年度で最も高いのは「要員の育成」51.5%、次いで「セキュリティにおける外部サービスの利用」51.0%、そして「経験者採用」44.4%と続きます。*2 中途採用にあたる経験者採用は、9つのうち3番目です。複数回答なので、割合を足しても100%にはなりません。
24年度と比べると、「要員の育成」は7.4ポイント減、「経験者採用」は4.3ポイント減、「セキュリティにおける外部サービスの利用」は2.8ポイント減です。*2 筆者が9項目すべてで引き算すると、増えたのは「他部門からの異動」0.9ポイントと「その他」2.1ポイントの2つだけでした。
報告書は、人材不足は解消されていないのに対策に取り組む企業の割合が減っているとし、対策として実効性を感じることができていない、または対策の推進にリソースが割かれ、そもそも人材確保に手が回っていないなどが可能性として想定される、と書いています。*2 「可能性として想定される」とあるとおり、これは調査で確かめた因果ではありません。
手段ごとの違い
9つの手段は、大きく4つに分けられます。1つ目は、いま社内にいる人に担当を引き継ぐ手です。「要員の育成」51.5%と「他部門からの異動」14.5%がこれにあたります。新しく人を迎えずに済みますが、引き継いだ人がそれまで担っていた作業は、別のところで止まります。
2つ目は、人を迎え入れる手です。「経験者採用」44.4%と「新卒採用」11.6%がこれにあたり、社内で働く人の数そのものを増やします。欠員補充で中途採用を選ぶ場合は、辞めた人の作業から条件を書けるのが強みです。ただし、決まるまでにどれだけかかるかは読めません。
3つ目は、社外の手を借りる手です。「セキュリティにおける外部サービスの利用」51.0%と「外部委託の増員・強化」29.6%は、調査では別の選択肢として置かれています。サービスとして買うのか、要員に加わってもらうのかが分けられているわけです。
4つ目は、作業そのものを減らす手です。「運用の自動化・効率化(省力化)」23.9%は、担当者を補充するのではなく、担当者がいなくても回るように作業を変えるやり方です。欠員補充を人の話だけで考えないための選択肢が、同じ設問の中に置かれています。
どの手段がうまくいったかは、今回参照した資料に記載はありません。調査が聞いているのはどの対策をとっているかまでで、順位を効果の順として読むことはできません。
どう選ぶのか
選び方は、辞めた人が担当していた作業のうち、いま誰も手をつけていないものを書き出すところから始まります。当番なのか、月次の改修なのか、設計のレビューなのか。作業の名前で書けると、9つのどれが当てはまるかも決まります。
次に、間に合うかどうかで絞ります。育成も異動も社内の人手を使う手なので、その人が抜けた分の作業が別のところで止まります。中途採用は社内の人数を増やせますが、後任が退職日までに入社できるとは限りません。後任の採用日程を退職日から逆算して組む方法は「欠員の後任採用、退職日から逆算する日程の組み方」で扱っています。
そのうえで、期限に間に合わない分を書き出します。「問い合わせの一次受けを平日日中で6か月」「月次の改修の設計を3か月」——ここまで書ければ、社内で動かす分と、社外に頼む分が分かれます。
社外に頼むときに確認しておきたい点
欠員補充の期限に社内の手が間に合わないなら、任せる作業と期間を書き出してから声をかけてください。外部の要員(自社で雇わず、作業ごとに契約して働いてもらう人。フリーランスや請負の会社を含みます)に頼む場合、任せる作業と期間がはっきりしているほど、引き受けてくれる人を探しやすくなります。
調査が「外部サービスの利用」と「外部委託の増員・強化」を分けている点は、声をかけるときにも使えます。サービスとして買って運用ごと預けるのか、自社のチームに加わってもらうのかで、頼む相手も条件も変わります。
何を社内に残すかの判断は社内に残してください。ここを社外に委ねると、次に人が抜けたときに同じところから考え直すことになります。入ってもらう人のスキルの確かめ方は外部エンジニアのスキル確認、4つの軸で評価するで整理しています。
まとめ:欠員補充で押さえる3つの点
欠員補充とは、退職や異動で担当者がいなくなった仕事に、代わりの人を充てることです。押さえておきたい点は3つに整理できます。第一に、仕事が増えて人を増やす増員とは出発点が違い、辞めた人が担当していた作業から条件を書けること。第二に、2025年6月末日現在、専門的・技術的職業従事者の欠員率は2.6%で、前年同期の3.4%から下がったこと。*1 第三に、補充の手段は中途採用だけではなく、JUASの調査では「要員の育成」51.5%、「セキュリティにおける外部サービスの利用」51.0%、「経験者採用」44.4%の順に9つが並ぶことです。*2 この3点を踏まえておけば、「同じ経験を持つ人を探し始めたが、半年たっても決まらない」という事態を避けやすくなります。社内で動かせる分を決めたうえで、期限に間に合わないなら、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
欠員補充とは何ですか
退職や異動、休職などで担当者がいなくなった仕事に、代わりの人を充てることです。厚生労働省の雇用動向調査は、仕事があるのに従事する者がいない状態を補充するための求人を「未充足求人」と定めています。*1
欠員補充と増員の違いは何ですか
増員は仕事そのものが増えたために人の数を増やすこと、欠員補充はすでにある仕事の担当者がいなくなった状態を元に戻すことです。欠員補充では、辞めた人が担当していた作業から求める人の条件を書けます。
欠員補充の手段で最も多いのは何ですか
JUAS「企業IT動向調査2026」では、情報セキュリティ人材が不足している企業の対策として、25年度は「要員の育成」51.5%が最も多く、「セキュリティにおける外部サービスの利用」51.0%、「経験者採用」44.4%と続きます。*2 開発要員全般の集計ではない点に注意が要ります。
どの手段が効果があったと書かれていますか
今回参照した資料に記載はありません。聞いているのはどの対策をとっているかまでで、結果は扱っていないためです。
欠員率はどこで確かめられますか
厚生労働省の雇用動向調査が、毎年6月末日現在の未充足求人数と欠員率を公表しています。*1 2025年6月末日現在の欠員率は、全体で2.6%です。*1
止まっている作業が決まったら相談
「問い合わせの一次受けを平日日中で6か月」といった形で作業と期間が書けていれば、そのままご相談いただけます。まだ社内で動かすか外部に委託するか決めきれていない段階でも構いません。
Remoguとリラシクなら、当番に入る要員も、改修の設計から担う要員も、作業と期間を決めたうえでお探しいただけます。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:厚生労働省「令和7(2025)年上半期雇用動向調査結果の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-1/dl/gaikyou.pdf)。出典:厚生労働省「令和7(2025)年上半期雇用動向調査結果の概況」(令和7年12月23日公表)。主な用語の定義(未充足求人・欠員率)、4(1)未充足求人の状況、表8(職業別未充足求人の状況・各年6月末日現在)を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:JUAS「企業IT動向調査2026」(PDF)(https://juas.or.jp/cms/media/2026/04/JUAS_IT2026.pdf)。出典:JUAS「企業IT動向調査2026」(2025年度調査)。一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会発行。アンケート調査は2025年9月5日から10月24日、調査対象は東証上場企業とそれに準じる企業の計4500社、25年度の回収数957社・有効回答率21.3%。図表5-4-4(情報セキュリティ人材不足の対策・23〜25年度)の一次情報として。この記事は資料に示された数値をもとに表と図を筆者が作成した。資料の図表そのものは複製していない(2026年10月確認)
- *3 参考:JUAS「企業IT動向調査」(調査報告書の一覧)(https://juas.or.jp/library/research_rpt/it_trend/)。調査が毎年実施され報告書が公開されていることの確認として(2026年10月確認)