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2026.09.28 採用支援コラム

外部人材活用に補助金を使う、費用を入れる3つの経費区分




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 外部人材の費用は、仕事の中身によって機械装置・システム構築費、外注費、専門家経費のいずれかに計上します。
  • 外注費は補助の対象になる経費全体の4分の1、専門家経費は5分の1が上限で、認められるかは交付の審査で決まります。
  • 自社の社員の人件費は対象外で、交付決定日より前に契約した費用も補助の対象になりません。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

フリーランスのエンジニアに開発を手伝ってもらう費用を、補助金でまかなえないか。専門家に助言をもらいたいが、その謝礼も補助の対象になるのか——。新しい製品やサービスの開発を計画する中小企業では、こうした疑問がよく出ます。外部人材活用とは、社員として採用するのではなく、フリーランスや副業の専門家、開発会社などに仕事を依頼して、自社の事業に加わってもらうことです。

補助金を使えば、外部人材に払う費用の一部を国の補助でまかなえる場合があります。ただし万能ではなく、費用の種類ごとに計上できる経費区分と上限が決まっており、自社の社員の人件費は補助の対象になりません。本記事では、開発の体制を考えるマネージャーに向けて、2026年9月30日に申請受付が始まる新事業進出・ものづくり商業サービス補助金を例に、外部人材の費用が入る経費区分、それぞれの条件、対象にならない費用、そして外部人材に頼むときに確認したい点を整理します。

白い台の上に積まれた硬貨の山から、緑の若い芽が伸びている写真。人物も文字も写っていない

外部人材の費用と補助金の関係とは

補助金は、国などが事業にかかった経費の一部を補助する仕組みです。外部人材活用に使えるかを考えるときは、制度の名前より先に、その制度が定める「補助対象経費の区分」を見ます。同じ外部の人に払う費用でも、どの区分に入るかで、上限の金額や、あとで出す書類が変わるためです。手続きは、応募して採択されたあと、交付申請の審査を経て交付決定が出て、そこから発注と作業に入り、終わったら実績報告を出して補助金を受け取る、という順に進みます。

本記事で取り上げるのは、中小企業基盤整備機構(中小機構)の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金です。第1回公募の電子申請は2026年9月30日から10月30日18時までで、採択の発表は2027年1月頃の予定とされています。*1 支援の対象は3つの枠に分かれています。革新的な新製品・新サービスの開発を支援する「革新的新製品・サービス枠」、既存事業と異なる新市場への進出を支援する「新事業進出枠」、輸出に向けた国内の体制強化を支援する「グローバル枠」です。

名前が似ていますが、以前からある「中小企業新事業進出補助金」や「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」とは異なる補助金です。*2 中小企業新事業進出補助金の公募はすでに終わり、*3 ものづくり補助金は23回目の締切(23次締切)の採択結果が2026年8月7日に公表されました。*4過去の公募回の要領に書かれていた条件をそのまま当てはめず、今回の公募要領で確かめます。

外部人材の費用が入る経費区分

公募要領は、補助対象経費を、枠ごとに9〜12の区分に分けて定めています。そのうち、外部の人や会社に払う費用が入り得るのは、機械装置・システム構築費、外注費、専門家経費、技術導入費の4つです。どの区分に入るかは、依頼先が個人か会社かではなく、頼む仕事の中身で決まります。

外部人材に頼む仕事と、計上する経費区分の対応を示した図。システムを作ってもらう仕事は機械装置・システム構築費で、100万円以上は作業の記録などを提出する。検査や設計などの一部を任せる仕事は外注費で、補助対象経費総額の4分の1まで。技術指導や助言をもらう仕事は専門家経費で、補助対象経費総額の5分の1まで、1日1人5万円が上限。出典は中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)」1.3版。

外部人材に払う費用が入る経費区分(公募要領をもとに整理)
経費区分 頼む仕事の例 区分の上限 主な条件
機械装置・システム構築費 補助事業だけに使う専用ソフトウェアや情報システムを作ってもらう 割合の上限は付いていない 100万円(税抜き)以上なら、実績報告で要件定義書か開発費用算出資料を出す
外注費 補助事業に必要な検査や加工、設計などの一部を任せる 補助対象経費総額(税抜き)の4分の1 書面で契約し、外注先の概要と選んだ理由を事業計画書に書く
専門家経費 技術指導や助言をもらう 補助対象経費総額(税抜き)の5分の1 専門家の略歴と、助言が必要不可欠な理由を事業計画書に書く
技術導入費 他者が持つ知的財産権などを導入する 補助対象経費総額(税抜き)の3分の1 権利を持つ相手と書面で契約する

表の上限はいずれも公募要領に書かれた値です。*1 機械装置・システム構築費は、革新的新製品・サービス枠では計上が欠かせない区分で、新事業進出枠とグローバル枠でも建物費かこの区分のどちらかが必要です。外注費や専門家経費だけでは申請できません。

もう一つ押さえておきたいのが、同じ相手を複数の区分に分けられないことです。公募要領は、技術導入費、外注費、専門家経費の支払先に、同じ事業者を重ねて入れることを認めていません。*1 同じフリーランスのエンジニアに助言と設計の一部の両方を頼む計画なら、どちらか一方の区分にまとめるか、別の相手に分けて頼むことになります。

専門家経費とは

専門家経費は、補助事業を進めるうえで専門家の技術指導や助言が必要不可欠なときに、その専門家に払う費用です。公募要領は依頼先として「学識経験者、兼業・副業、フリーランス等の専門家」を挙げ、依頼したコンサルティング業務や旅費などを補助の対象にできるとしています。*1 コンサルティング業務には、製品やサービスを設計するときのセキュリティ設計への助言も含まれます。手を動かして作ってもらう仕事ではなく、判断の材料をもらう仕事がこの区分に入ります。

金額には、1日あたりの目安があります。大学教授・弁護士・弁理士・公認会計士・医師は1日5万円以下、准教授・技術士・中小企業診断士・ITコーディネータは1日4万円以下、それ以外の専門家は1日2万円以下です。*1 目安を超える額を払う場合は、依頼内容に応じた価格の妥当性を示す複数の見積書が要り、その場合も1日1人5万円が上限です。資格を持たないフリーランスのエンジニアに1日2万円を超える額で助言を頼むなら、複数の見積書を取っておくことになります。

事業計画書には、専門家の略歴などと、その技術指導や助言が必要不可欠な理由を具体的に書きます。交付審査で必要性が認められなければ、補助の対象から外れることがあります。

外注費とシステム構築費の違い

開発会社やフリーランスのエンジニアにシステムを作ってもらう費用は、外注費ではなく機械装置・システム構築費に入ります。公募要領は、機械装置やシステムなどの製作を外注する場合は機械装置・システム構築費に計上するよう求めています。対象になるのは、補助事業のためだけに使う専用ソフトウェアや情報システムの購入、構築、借用にかかる費用です。

このとき気をつけたいのが、実績報告で出す書類です。100万円(税抜き)以上のシステム構築費を計上する場合は、要件定義書(費用見積書を含む)か、開発費用算出資料を出す必要があります。開発費用算出資料には、作業単価、作業工数と作業時間、固定費用、作業担当者、作業担当者の勤務記録などを含めます。*1 外部のエンジニアに開発を頼むなら、誰が何時間作業したかを記録して渡してもらう取り決めを、契約の段階で入れておくと報告を進めやすくなります。

システムを作って納めてもらうならシステム構築費、検査や設計といった作業の一部だけを任せるなら外注費です。外注費は、補助事業に必要な検査や加工、設計などの一部を、契約を結んで外部に任せる費用です。外注先と書面で契約を結び、事業計画書に外注先の概要と選んだ理由を具体的に書きます。ペネトレーションテスト(侵入を試みる検査)や脆弱性診断(弱点を探す診断)を外部に頼む費用も、外注費の対象として挙げられています。一方で、専門家経費や技術導入費に当たる費用を外注費として計上することはできず、外注先が機械装置やシステムを購入する費用も対象外です。

応募の時点では、頼む仕事の中身と、その仕事を外部に任せる理由を、区分に合わせて書き分けておくことが大切です。

補助の対象にならない費用

外部人材活用と社員の採用を比べるときに押さえておきたいのは、社員にかかる費用の扱いです。公募要領は、補助の対象にならない経費として「事業に係る自社の人件費、旅費」を挙げています。*1 同じ開発を、社員を採用して進めた場合、その給与は補助の対象になりません。同じ会社の部署どうしの支払いも対象外で、社内の別の部署にシステムを作ってもらう形にしても計上できません。

支払先にも決まりがあります。申請者と同じ代表者や役員がいる事業者、資本関係がある事業者への支払いは対象外です。事業計画の作成を支援した人や会社には、発注も見積もりの依頼もできません。事業計画書の作成を支援した人への費用は、専門家経費にも計上できません。計画づくりを手伝ってくれた会社に、そのまま開発も頼むつもりでいる場合は、別の依頼先を探すことになります。

時期の決まりもあります。交付決定日より前に補助事業に関する契約(発注を含む)をした費用は、補助の対象になりません。契約から納入、検収(納品物を確かめて受け取ること)、支払いまでを補助事業実施期間のうちに終える必要があり、その期間は、革新的新製品・サービス枠が交付決定日から10か月以内、新事業進出枠とグローバル枠が14か月以内です。*1 交付決定から発注、実績報告までの流れは「補助金を活用してシステム開発を外注する進め方」で扱っています。

依頼先の選び方にも条件があります。1つの発注先に頼む分の見積額が合計で50万円(税抜き)以上になる場合は、3者以上から同じ条件で見積もりを取り、最も低い価格を示した相手を選ぶのが原則です。*1 外部人材に頼む仕事を決めたら、申請の準備の段階で複数の依頼先に同じ条件で見積もりを頼んでおくと、交付決定のあとに作業を始めやすくなります。

外部人材に頼むときに確認しておきたい点

書面審査(提出した事業計画書による審査)の項目には、「補助事業を適切に遂行し得る体制(人材、事務処理能力等)を確保出来ているか」「第三者に過度に依存している事業ではないか」が並んでいます。*1 外部人材活用そのものが認められないわけではありません。ただ、事業の中心になる開発をすべて社外の人に任せる計画は、第三者に過度に依存していると見られるおそれがあります。社内で担う作業と、外部人材に頼む作業を分けて書いておくのがおすすめです。

申請の準備では、次の点を確かめておきます。

  • 頼む仕事が、システムの構築、検査や設計などの一部、技術指導や助言のどれに当たるか
  • 同じ相手を、外注費と専門家経費のように2つの区分に分けて計上していないか
  • 依頼先が、事業計画の作成を支援した相手や、資本関係のある会社ではないか
  • 作業担当者と作業時間の記録を、依頼先に残してもらえるか
  • 契約を結ぶ日が、交付決定日よりあとになる予定か

補助金の申請は、事業計画の作成を含めて申請者自身が行います。外部の支援者から助言を受けることは差し支えありませんが、作成そのものを申請者以外が行うことは認められていません。外部人材には、事業計画に書いた開発や助言の仕事を任せ、計画を立てて申請する役割は社内に残します。副業やフリーランスで働く人がどれくらいいるかは「外部人材活用で兼務の人はどれくらい?副業の割合を確かめる」で扱っています。

まとめ:外部人材活用で確かめておきたい3つの点

外部人材活用の費用に補助金を使ううえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、頼む仕事の中身から経費区分を決め、区分ごとの上限と書類を確かめること。第二に、社員の人件費や、事業計画の作成を支援した相手への支払いのように、補助の対象にならない費用を先に外しておくこと。第三に、交付決定のあとに契約を結び、作業の記録を残してもらう取り決めを入れることです。この3点を踏まえておけば、「採択されたのに、外部のエンジニアに払った費用が補助されなかった」という事態を避けやすくなります。外部人材に頼む仕事の切り分けに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

補助金を使うかどうかにかかわらず、外部人材に頼む作業と社内に残す作業を先に分けておくと、依頼先を探すときの条件が決まります。作業の中身と期間が決まっていれば、それに合う経験を持つ人を探せます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

採択されれば、計上した経費はすべて補助されますか

すべて補助されるとは限りません。採択のあとの交付申請で、事務局が経費の内容を補助対象として適切かを確かめ、その結果、申請額から減額されたり全額が対象外になったりすることがあります。

応募のときに計上しなかった外部人材の費用を、あとから加えられますか

加えられません。公募要領は、応募申請の時点で計上していない経費を、交付申請のときに新たに計上することを認めていません。*1 外部人材に頼む予定の仕事は、応募の前に洗い出しておきます。

補助率はどれくらいですか

補助率(かかった経費のうち補助される割合)は枠で変わります。革新的新製品・サービス枠と新事業進出枠は、中小企業者で2分の1が基本で、地域別最低賃金引上げ特例の適用を受けると3分の2になります。グローバル枠は3分の2です。*1

外部人材の活用を相談したいとき

新しい製品やサービスの開発で、社外の専門人材に任せる作業の整理からご相談いただけます。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)」1.3版(https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/assets/documents/shinmono_application_guidelines_01.pdf)。出典:同公募要領(令和8年9月、1.3版)。【重要:注意事項】、1-2 補助対象事業枠、1-6-1 補助対象経費の区分、1-6-2 補助対象外となる経費、2-2 申請の方法(公募期間)、3-1 書面審査、4-1 補助事業者の義務・注意事項(価格の妥当性の確認、事前着手の禁止、補助事業実施期間)を参照(2026年9月28日確認)(2026年9月確認)
  2. *2 参考:中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」(https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/)。出典:同補助金の事務局ページ。第1回公募の応募期間と、中小企業新事業進出補助金・ものづくり補助金とは異なる補助金であることを参照(2026年9月28日確認)(2026年9月確認)
  3. *3 参考:中小企業基盤整備機構「中小企業新事業進出補助金」(https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/)。出典:同補助金の事務局ページ。公募が終了していることを参照(2026年9月28日確認)(2026年9月確認)
  4. *4 参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 総合サイト(https://portal.monodukuri-hojo.jp/)。出典:同補助金の事務局ページ。23次締切の採択結果の公表(令和8年8月7日)を参照(2026年9月28日確認)(2026年9月確認)




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