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外部人材活用をフルリモートで進める手順、作業と環境で人を選ぶ
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- フルリモートで任せる作業は、使うシステムと機器を直接操作する作業を書き出して決めます。
- 候補者の端末・ネットワーク・作業場所・連絡手段は、技術面接と同じ段階で確かめます。
- 端末を貸し出すかどうかと、守ってもらうルールは、候補者を探す前に決めておきます。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
業務委託で加わってもらう人をフルリモートで探したいが、何を条件にすればよいのか分からない。面談では技術の話ばかりで、どこでどんな端末を使って作業するのかまでは聞いていなかった——。外部人材を受け入れる開発の現場では、こうした確認漏れが起こりがちです。フルリモートの外部人材活用とは、業務委託などで加わる人に、出社や対面の打ち合わせを前提とせず、自宅などの離れた場所から作業を任せることを指します。
フルリモートなら、通える距離に住んでいるかを問わずに候補者を探せます。ただし万能ではなく、機器を直接操作する作業は残りますし、相手の作業環境を社内の担当者が直接見ることもできません。本記事では、開発の現場を取りまとめるマネージャーに向けて、フルリモートで任せられる作業の見分け方、候補者の作業環境で確かめる点、個人所有の端末を使う場合の決め方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
目次
フルリモートの外部人材とは
総務省の「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」は、テレワークを働く場所で3つに分けています。自宅で働く在宅勤務、シェアオフィスやコワーキングスペース(複数の会社や個人が共用する仕事場)を含むサテライトオフィス勤務、ノートPCなどを使って場所を選ばずに働くモバイル勤務です。*1 フルリモートで加わる人は、このどれか、あるいは複数を組み合わせて作業します。
ここでいう外部人材は、業務委託などの契約で開発に加わる人です。個人で仕事を請けるフリーランスのほか、別の会社に所属したまま参画する技術者も含みます。どちらの場合も、作業場所と端末を、発注する会社ではなく本人や所属先の会社が用意することがあります。
そのため、フルリモートの外部人材活用では、技術の経験に加えて2つの条件を見ることになります。1つは、任せる作業がフルリモートで進められるかどうか。もう1つは、候補者の作業環境が、自社の求めるセキュリティ対策を満たせるかどうかです。前者は社内で決め、後者は面談で確かめます。
候補者はどれくらいいるのか
国土交通省の「令和7年度 テレワーク人口実態調査」は、2025年10月から11月にかけて、全国の就業者40,000人に行ったWEB調査です。自営型就業者とは自営業・自由業と家庭での内職を本業とする人で、回答者のうち3,609人でした。*2 フリーランスを本業とするエンジニアは、この自営型に入ります。
自営型のテレワーカー(これまでにテレワークをしたことがある人)の割合を業種別に見ると、ソフトウェア開発を含む「情報通信業」が73.5%で最も高く、次いで「学術研究、専門・技術サービス業」が56.3%でした。最も低いのは「農林水産・鉱業」の6.6%です。*2
自営型では、自宅で仕事をしているだけでテレワーカーに数えられます。*2 この割合は経験の有無を数えたもので、フルリモートで働いている人の割合は公表されていません。面談では、経験があるかどうかより、直近の案件をどこでどのように進めたかを聞くほうが、仕事の進め方が分かります。
フルリモートで任せられる作業
ガイドラインは、テレワークの方式を選ぶ手順の最初に「テレワークによってどのような業務の実現を目指すか」という問いを置き、3つの答えを挙げています。移動中などの空き時間にメールや資料を確かめる業務、オフィスで使うすべてのシステムを使う業務、特定の業務やシステムだけを使う業務です。*1 外部人材に任せる作業も、まずこのどれに当たるかを決めます。
開発の作業に当てはめると、要件のすり合わせ、設計書の作成とレビュー、プログラムの作成、テストの設計と実施、リリース後の問い合わせ対応などに分けられます。作業ごとに、使うシステムと、そのシステムに社外から接続できるかを書き出します。社内のネットワークからしか開けない管理画面や、社内に置いた検証用のサーバーを使う作業は、接続の方法を用意しない限りフルリモートでは進められません。
もう1つ見ておきたいのが、機器を直接操作する作業です。ガイドラインにあるテレワーク方式の比較表は、紙の書類や押印のような物理的な業務を考えに入れていないと注記しています。*1 開発で言えば、スマートフォンアプリの検証に使う実機や、店舗に置く端末の動作確認がこれに当たります。こうした作業が含まれるなら、機器を送って本人の手元で確かめてもらうのか、その作業だけは社内の担当者が受け持つのかを先に決めておきます。
作業名と使うシステム、期間まで書けたら、それがそのまま募集の条件になります。「設計書をもとに、複数の機能をつないで確かめる結合テストの設計と実施を2か月、使うのは社内のテスト管理ツールと試験用のサーバー」のように書けば、候補者は自分の経験と作業環境の両方を見比べて、応募するかどうかを判断できます。
作業環境で確かめる点
任せる作業が決まったら、次は候補者の作業環境です。ガイドラインの第4章は、セキュリティ対策を「経営者」「システム・セキュリティ管理者」「テレワーク勤務者」の立場ごとに一覧にしています。テレワーク勤務者の対策は29項目あり、このうち28項目が基本的に取り組むことを求める「基本対策」、1項目が実施できれば一段とセキュリティを高められる「発展対策」です。*1
対策は13の分類に分けて整理されていて、テレワーク勤務者の対策はそのうち11の分類にあります。項目が最も多いのは、誰がどのデータやシステムを使えるかを決める「アクセス制御・認可」の4項目です。
29項目を面談ですべて聞くと、技術の話をする時間がなくなります。選定の段階では、本人の端末、ネットワーク、作業場所、連絡手段で決まるものに絞って聞くと、候補者どうしを比べやすくなります。たとえば次のような聞き方です。
| 確かめること | ガイドラインの対策(勤務者) | 面談での聞き方の例 |
|---|---|---|
| 端末の更新 | C-1 OSなどのソフトウェアを適切にアップデートする(サポートが終了した製品を使わない) | 作業に使う端末のOSと、更新をどのように適用しているか |
| ウイルス対策 | F-2 セキュリティ対策ソフトを入れ、ウイルスの情報の自動更新と常時の監視が行われるようにする | 端末に入れているセキュリティ対策ソフトと、その設定 |
| 端末の暗号化 | E-3 端末にデータを保存する場合は、記憶装置を暗号化する | 端末の記憶装置を暗号化しているか |
| 自宅の無線LAN | G-2 セキュリティ方式に「WPA2」か「WPA3」を使う/C-2 ルーター本体のソフト(ファームウェア)を最新版にする | 無線LANのセキュリティ方式と、ルーターの更新 |
| 作業場所 | K-1 画面の自動ロックやプライバシーフィルターの貼付を行い、周囲の組織外の人の挙動に注意する | 作業する場所と、周りに家族やほかの利用者がいるか |
| オンライン会議 | K-2 音漏れや画面を介した情報漏えいに注意する | 会議に出る場所で、声がほかの人に聞こえないか |
| 緊急時の連絡 | J-1 連絡先と対応手順を確かめ、電話番号も控えておく | 端末が使えなくなったときに、どの手段で連絡できるか |
表の番号はガイドラインの対策の記号で、プライバシーフィルターは横から画面を見えにくくするシートです。答えが条件を満たしているかは、自社の規程と照らして判断します。たとえば「自宅の無線LANは買ったときの設定のまま」という答えなら、参画の前にセキュリティ方式をWPA2かWPA3に設定し直してもらえば条件を満たせます。
作業場所がカフェやホテルになる人には、別の確認が要ります。ガイドラインは、公衆無線LANの多くは利用者の側から正規のものかどうかを確かめにくいと指摘し、使う場合は暗号化された通信だけにとどめるよう注意を促しています。*1 作業場所を決めていない人を選ぶなら、外出先でどのように通信を暗号化しているかまで聞いておきます。
個人所有の端末を使うとき
作業環境の条件は、端末を誰が用意するかで大きく変わります。ガイドラインは、会社が貸し出す支給端末と、本人が持っている個人所有端末の両方を想定しています。ただし、VPN方式(暗号化した通信で社内のネットワークにつなぐ方式)、クラウドサービス方式、スタンドアロン方式の3つは、メリットが大きいとして支給端末を前提にしています。*1
VPN方式で個人所有端末を使う場合について、ガイドラインは、端末にデータを保存できることや、セキュリティ対策ソフトのインストールを強制できないことから、「十分なセキュリティ統制が取れません」と書いています。そのうえで、リスクを受け入れられるかを評価してから、個人所有端末を使うかどうかを決めるよう求めています。*1
社内のPCを離れた場所から操作するリモートデスクトップ方式で個人所有端末を使う場合も、ガイドラインは、端末へのデータ保存を制限・禁止すること、使うときのルールを先に決めること、端末に必要な対策が施されていることを確かめることを求めています。*1 どの方式でも、本人の端末で作業してもらうなら、前の節の表で挙げた確認がそのまま選定の条件になります。
反対に、端末を貸し出すなら、OSの更新やセキュリティ対策ソフトの設定は自社で管理できます。その場合に候補者に確かめるのは、作業場所、ネットワーク、連絡手段に絞られます。どちらにするかは、候補者を探し始める前に決めておきます。貸し出すかどうかで、募集に書く条件が変わるからです。
渡すルールを先に決める
ガイドラインは、テレワーク勤務者の基本的な役割を、システム・セキュリティ管理者が作ったルールを理解し、守ることだとしています。外部人材にこの役割を担ってもらうには、守ってもらうルールが先に決まっていなければなりません。社員向けの規程をそのまま渡すと、人事の手続きのように外部人材には関係のない内容まで含まれてしまいます。
勤務者の対策のうち発展対策の1項目は、ルールに書かれていない使い方を、技術的にできるからといって許されていると解釈せず、管理者に確かめるというものです。*1 ルールにないことは、外部人材が問い合わせてこない限り、本人の判断で進められます。確かめる先の担当者と連絡の手段も、ルールと一緒に伝えておきます。
面談の前に用意しておきたいのは、次の3つです。クラウドサービス(インターネット経由で使うソフトやデータの保存先)を使うときの利用ルール、扱う情報ごとの取扱方法(誰が使い、どこに保存し、どのシステムで扱うか)、社内のネットワークやクラウドサービスへの接続方法です。ガイドラインはそれぞれについて、勤務者が定められたルールや取扱方法、指定された接続方法に従うよう求めています。*1
この3つを面談で見せれば、候補者は自分の作業環境でそのルールを守れるかどうかを答えられます。参画が決まった後のアカウントの発行や秘密保持契約の手順は「業務委託エンジニアの受け入れ準備とは?アカウントと秘密保持契約」で、自営型と雇用型のテレワークの割合の違いは「外部人材活用とリモート」で扱っています。
つまずきやすい点
一つ目は、技術の経験だけで選んでしまうことです。フルリモートでは、発注する会社の担当者が相手の作業環境を直接見られません。参画した後で端末やネットワークの問題が分かると、作業を止めて環境を整え直すことになります。
二つ目は、確認の項目を増やしすぎることです。ガイドラインの29項目をすべて面談で聞こうとすると、時間が足りなくなり、確かめたい項目ほど聞き方が浅くなります。聞く項目を選び、残りは参画の初日にルールと一緒に説明します。
三つ目は、「リモートで働いた経験がある」という答えを、作業環境が条件を満たしている証拠とみなすことです。経験があっても、いまの作業環境が整っているとは決まっていないため、2つは分けて確かめます。
まとめ:フルリモートで確かめておきたい3つの点
フルリモートで外部人材を選ぶうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、任せる作業ごとに使うシステムと機器を直接操作する作業を書き出し、フルリモートで進められるかを決めること。第二に、端末を貸し出すか本人の端末を使うかを決め、端末・ネットワーク・作業場所・連絡手段を面談で確かめること。第三に、守ってもらうルールを面談の前に用意しておくことです。この3点を踏まえておけば、「技術は申し分なかったのに、参画してから作業環境が条件を満たしていないと分かった」という事態を避けやすくなります。作業の切り分けや候補者探しに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
作業場所がコワーキングスペースでもよいですか
ガイドラインはサテライトオフィス勤務やモバイル勤務も対象にしており、場所そのものを禁じてはいません。そのうえで、周りにいる組織外の人の挙動に注意を払うことや、オンライン会議での音漏れに注意することを勤務者に求めています。どの場所でどの作業をするかを面談で聞いておくと、判断しやすくなります。
オンライン会議のURLは、外部人材にどう扱ってもらえばよいですか
正規の参加者以外に公開しないよう伝えます。ガイドラインは勤務者の対策として、出席者を確かめて第三者が会議に参加しないようにすることと、会議のパスワードや、主催者が許可するまで参加者を待たせる待機室の機能を使えるなら設定することを挙げています。*1 接続先のURLが偽のサイトでないことを確かめてから使うことも、あわせて求めています。
画面共有で見せる資料は、録画を禁止すれば漏れませんか
録画の禁止だけでは足りません。ガイドラインは、機能でスクリーンショットや録画を制限しても、スマートフォンのカメラなどで撮影されることまでは制限できないと指摘しています。*1 共有しても問題のない情報にとどめることも検討するよう求めています。
フルリモートで外部人材を探したいとき
任せる作業と、作業環境の条件の整理からご相談いただけます。
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出典
- *1 参考:総務省「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」(PDF)(https://www.soumu.go.jp/main_content/000752925.pdf)。出典:総務省「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」(令和3年5月)。第1章2 テレワークの形態、第2章2(3) テレワーク勤務者の役割、第3章1 フローチャートとテレワーク方式の特性比較(注14・注17)、第3章2 各方式のBYOD利用について、第4章3 テレワーク勤務者が実施すべき対策、第6章9 無線LAN利用通信の窃取・10 第三者による画面閲覧を参照(2026年9月確認)
- *2 参考:国土交通省「令和7年度 テレワーク人口実態調査 -調査結果-」(PDF)(https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001989216.pdf)。出典:国土交通省「令和7年度 テレワーク人口実態調査 -調査結果-」(令和8年3月)。1-(2) 用語の定義、1-(3) 調査の概要(2025年10月24日〜11月4日、有効サンプル40,000人、うち自営型就業者3,609人)、2-2 業種別テレワーカーの割合(自営型・R7)を参照(2026年9月確認)