LASSIC Media らしくメディア
電気通信工事の主任技術者の3要件|電気通信主任技術者との違い
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 電気通信工事の主任技術者は、指定学科卒業後の実務3年または5年、実務10年、施工管理技士などの資格のどれかで要件を満たします。
- 電気通信主任技術者は電気通信事業法の別の資格で、資格者証の交付後に電気通信工事の実務5年を積めば主任技術者の要件にもなります。
- 主任技術者は自社と直接的かつ恒常的な雇用関係にある人から選ぶため、派遣社員や在籍出向者では満たせません。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
電気通信工事の主任技術者とは、建設業法にもとづき、建設業者が請け負った電気通信工事の現場に置く、施工の技術上の管理を受け持つ技術者のことです。なれるのは、電気工学または電気通信工学の学科を卒業して3年または5年以上の実務経験がある人、10年以上の実務経験がある人、施工管理技士などの国土交通大臣が認める資格を持つ人の3通りです。名前の似た電気通信主任技術者は、電気通信事業法にもとづいて電気通信事業者が選任する別の国家資格です。
本記事では、建設業法と同法の施行規則・施行令、国土交通省の監理技術者制度運用マニュアルから、主任技術者の要件と置き方を整理します。そのうえで電気通信主任技術者との違いと試験の合格率を確かめ、技術者を採用するときに求人の要件をどう書くかをまとめます。
目次
電気通信工事の主任技術者とは
建設業法第26条第1項は、建設業者がその請け負った建設工事を施工するときは、第7条第2号イ、ロまたはハに該当する者で、工事現場における施工の技術上の管理をつかさどるものを置かなければならないと定め、これを「主任技術者」と呼んでいます。*1 ここでいう建設業者は、第3条第1項の許可を受けて建設業を営む者のことです。電気通信工事は、法の別表第一に並ぶ建設工事の1つで、これを請け負う業種が電気通信工事業です。
第26条第1項には、請負代金の額で置く・置かないを分ける区切りがありません。許可を受けた建設業者が電気通信工事を請け負って施工するなら、原則として現場ごとに主任技術者を置く前提で人員を考えることになります。
仕事の中身は第26条の4に書かれています。主任技術者は、施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理と、施工に従事する者の技術上の指導監督を誠実に行わなければならず、現場で施工に従事する者は、その指導に従わなければならないとされています。*1 名前だけ置いておく役割ではなく、工程と品質に責任を持つ現場の技術者です。
工事の規模が大きくなると、主任技術者に代えて監理技術者が必要になります。発注者から直接請け負った特定建設業者が、下請契約の請負代金の総額が政令で定める金額以上となる工事を施工するときです(法第26条第2項)。この金額は施行令第2条で5,000万円、建築工事業は8,000万円とされています。*3 電気通信工事の多くの現場では、まず主任技術者の要件を満たす人がいるかどうかが問題になります。
主任技術者になれる3つの要件
主任技術者の要件は、第7条第2号のイ、ロ、ハをそのまま使います。第7条第2号は、建設業の許可の基準として営業所ごとに置く技術者の要件を定めた号で、第26条第1項がこれを現場の主任技術者にも当てはめています。
イは学歴と実務経験の組み合わせです。高等学校または中等教育学校を卒業した後5年以上、大学または高等専門学校を卒業した後3年以上の実務経験を持ち、在学中に国土交通省令で定める学科を修めた者とされています。*1 その学科は施行規則第1条の表で業種ごとに決まっており、電気通信工事業では「電気工学又は電気通信工学に関する学科」です。*2
ロは実務経験だけで満たす道で、電気通信工事に関し10年以上の実務経験を持つ者です。学歴や学科は問われません。ハは、国土交通大臣がイまたはロと同等以上の知識と技術を持つと認定した者で、その中身が施行規則第7条の3の表に業種ごとに並んでいます。電気通信工事業の欄には、次の資格が並んでいます。
| 区分 | 要件 | 交付・合格後の実務経験 |
|---|---|---|
| 施工管理技士 | 技術検定のうち電気通信工事施工管理に係る1級または2級の第二次検定に合格した者 | 規定なし |
| 技術士 | 第二次試験のうち技術部門を電気電子部門、または総合技術監理部門(選択科目を電気電子部門に係るものとするものに限る)とするものに合格した者 | 規定なし |
| 電気通信主任技術者 | 電気通信事業法による電気通信主任技術者資格者証の交付を受けた者 | 電気通信工事に関し5年以上 |
| 工事担任者 | 第一級アナログ通信及び第一級デジタル通信、または総合通信の工事担任者資格者証の交付を受けた者 | 電気通信工事に関し3年以上 |
資格を持っていても、そのまま要件を満たすのは施工管理技士と技術士だけです。電気通信主任技術者と工事担任者は、資格者証を受け取った後に電気通信工事の実務を積んで、はじめて主任技術者の要件に届きます。どの業務が実務経験に数えられるか、どの書類で証明するかは、許可を出す行政庁の手引きで確かめる必要があります。
電気通信主任技術者との違い
電気通信主任技術者は、建設業法ではなく電気通信事業法の制度です。同法第45条第1項は、電気通信事業者は、事業用電気通信設備の工事、維持及び運用に関し総務省令で定める事項を監督させるため、資格者証の交付を受けている者のうちから電気通信主任技術者を選任しなければならないとし、第2項で選任と解任を総務大臣に届け出ることとしています。*5
置く単位も違います。電気通信主任技術者規則第3条は、事業用電気通信設備を直接に管理する事業場ごとに、その事業場に常に勤務する者から選任するとしています。*6 資格者証は伝送交換技術と線路技術の2種類で(法第46条第1項)、試験の合格、総務大臣が認定した養成課程の修了、同等以上の能力があるとの認定のいずれかで交付されます。
| 項目 | 電気通信工事の主任技術者 | 電気通信主任技術者 |
|---|---|---|
| 根拠の法律 | 建設業法第26条 | 電気通信事業法第45条 |
| 置く義務を負う者 | 建設業者 | 電気通信事業者 |
| 置く単位 | 工事現場 | 設備を直接に管理する事業場 |
| 受け持つこと | 請け負った建設工事の施工の技術上の管理 | 事業用電気通信設備の工事、維持及び運用の監督 |
| なり方 | 学科卒業と実務経験、実務経験10年、大臣認定のいずれか | 資格者証の交付(試験、養成課程、認定) |
まとめると、電気通信工事の主任技術者は試験で取る資格の名前ではなく、要件を満たす人を建設業者が現場に置く役割の名前です。電気通信主任技術者は、通信サービスを提供する側が設備の監督のために選任する資格者です。工事会社が求めているのか、通信事業者が求めているのかで、確かめる法律が変わります。
電気通信主任技術者の合格率
試験は指定試験機関の一般財団法人日本データ通信協会が実施し、回ごとの結果を公表しています。直近の令和8年度第1回(2026年7月12日実施)は、申請者2,898人、受験者2,377人、合格者494人で、合格率は20.8%でした。*7 種別では、伝送交換が受験者1,642人のうち合格者342人(20.8%)、線路が受験者735人のうち合格者152人(20.7%)です。
合格率は回によって動きます。令和6年度は第1回24.4%、第2回32.7%、令和7年度は第1回33.4%、第2回25.3%で、20%台から30%台の間を行き来しています。昭和60年度第1回から令和8年度第1回までの累計では、合格者86,117人、合格率22.0%です。なお、この統計の合格者数には全科目免除者が含まれています。
受験者の所属も公表されています。令和8年度第1回の申請者2,898人を業種別に見ると、電気通信業1,021人に次いで電気通信工事業が664人で、電気工事・電力業265人、情報サービス業142人が続きます。*7 この業種は申請時に選んだ業種コードによる区分です。電気通信工事の会社にも、この資格を目指す技術者が一定数いることが分かります。
専任が必要になる工事
主任技術者は、工事によっては1つの現場に専任で置く必要があります。法第26条第3項は、公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについて、主任技術者は工事現場ごとに専任の者でなければならないとしています。*1
政令で定める工事は、施行令第27条で、工事1件の請負代金の額が4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上で、国や地方公共団体が注文者である施設、学校、病院などに関する工事とされています。*3 電気通信回線設備を設置する電気通信事業者が電気通信事業の用に供する施設も、この一覧に入っています。通信事業者の設備工事を請け負う会社は、この金額を超える案件で専任の主任技術者を求められることになります。
専任とは、他の工事現場に係る職務を兼務せず、勤務中は常時継続的に当該工事現場に係る職務にのみ従事していることだと、国土交通省の運用マニュアルは説明しています。*4 専任の案件が同時に動けば、その数だけ主任技術者が必要になります。
例外として、第26条第3項ただし書第1号は、請負代金の額が政令で定める金額未満で、現場間の移動時間や連絡方法、情報通信技術を使った現場確認の措置などの要件を満たす場合に、専任でなくてもよいとしています。この金額は施行令第28条で1億円(建築一式工事は2億円)です。*3 使えるかどうかは、省令の要件を1つずつ確かめて判断します。
採用で確かめる雇用関係
主任技術者に充てる人は、自社で雇っていることが前提です。運用マニュアルは、監理技術者等は所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあることが必要だとし、在籍出向者や派遣社員については直接的な雇用関係にあるとはいえないとしています。*4 監理技術者等には主任技術者も含まれます。
公共工事では期間の条件も加わります。元請の専任の主任技術者は、入札の申込みのあった日以前に3か月以上の雇用関係にあることが必要とされています。入社した直後の技術者は、公共工事の専任の主任技術者にすぐには充てられないということです。
雇用関係は書類で確かめられます。マニュアルは、資格者証の写し、住民税特別徴収税額通知書の写し、健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書の写し、所属会社の雇用証明書の写しなどで確認できることが必要だとしています。採用の段階で、入社後にこれらの書類がそろう雇い方になっているかを見ておきます。
人が足りない場合は、主任技術者に充てる人と、図面の作成や工程の取りまとめを手伝ってもらう人を分けて計画します。後者を業務委託で頼むときも、現場での指示の出し方や契約の形は、契約書と専門家の確認を通して決めてください。
求人の要件をどう書くか
求人票の応募要件は、イ、ロ、ハのどれで満たすかに分けて書くと、応募者が自分で当てはまるかを判断できます。たとえば「電気工学または電気通信工学の学科を卒業し、電気通信工事の実務経験3年以上(高校卒業の場合は5年以上)」「電気通信工事の実務経験10年以上」「1級または2級電気通信工事施工管理技士」のように並べる書き方です。
電気通信主任技術者を要件に入れる場合は、「資格者証の交付後、電気通信工事の実務経験5年以上」まで書きます。資格者証だけを条件にすると、主任技術者の要件に届かない人も応募の対象に入ってしまいます。工事担任者も同じで、種類と交付後3年の実務を書き添えます。
求人票全体の項目の立て方はエンジニア求人票の書き方と必須14項目で整理しました。似た名前の電気主任技術者は、電気事業法にもとづいて受電設備などの保安を監督させるための制度で、選任の要件や外部委託の考え方は電気主任技術者の外部委託と承認の要件で扱っています。
まとめ:電気通信工事の主任技術者で確かめたい3点
1つ目は要件です。建設業法第26条第1項により、建設業者は請け負った電気通信工事の現場に主任技術者を置きます。要件は第7条第2号のイ、ロ、ハで、電気工学または電気通信工学の学科を修めて大学・高専卒業後3年以上か高校卒業後5年以上の実務、10年以上の実務、施工管理技士などの大臣認定のいずれかです。2つ目は電気通信主任技術者との違いです。電気通信事業法第45条により電気通信事業者が事業場ごとに選任する別の資格で、令和8年度第1回の合格率は20.8%でした。資格者証の交付後に電気通信工事の実務を5年以上積めば、主任技術者の要件にもなります。3つ目は置き方です。請負代金4,500万円以上の公共性のある工事では現場ごとの専任が必要で、主任技術者は自社と直接的かつ恒常的な雇用関係にある人から選びます。
よくある質問
電気通信工事の主任技術者になる要件は何ですか。
建設業法第7条第2号のイ、ロ、ハのいずれかに当たることです。イは電気工学または電気通信工学の学科を修めて大学・高等専門学校を卒業した後3年以上、高等学校を卒業した後5年以上の実務経験がある者、ロは電気通信工事に関し10年以上の実務経験がある者、ハは1級または2級の電気通信工事施工管理の第二次検定の合格者など、施行規則第7条の3で国土交通大臣が認定する者です。
電気通信主任技術者の合格率はどのくらいですか。
日本データ通信協会の統計では、令和8年度第1回(2026年7月12日実施)は受験者2,377人のうち合格者494人で、合格率20.8%でした。令和7年度は第1回33.4%、第2回25.3%で、昭和60年度からの累計は22.0%です。合格者数には全科目免除者が含まれます。
電気通信主任技術者の資格だけで主任技術者になれますか。
資格者証だけでは足りません。建設業法施行規則第7条の3は、電気通信主任技術者資格者証の交付を受けた後、電気通信工事に関し5年以上の実務経験がある者を認定の対象としています。工事担任者は、第一級アナログ通信及び第一級デジタル通信または総合通信の資格者証の交付後、3年以上の実務経験が必要です。
派遣社員を主任技術者にできますか。
国土交通省の監理技術者制度運用マニュアルは、主任技術者を含む監理技術者等は所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあることが必要とし、在籍出向者や派遣社員は直接的な雇用関係にあるとはいえないとしています。個別の判断は、許可を出す行政庁や専門家に確かめてください。
要員計画と体制づくりのご相談を
どの職責をどの体制で任せるか。その整理から担当が一緒に検討します。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:e-Gov法令検索「建設業法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100)。第3条、第7条第2号、第26条、第26条の4、別表第一の条文として(2026年10月確認)
- *2 参考:e-Gov法令検索「建設業法施行規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/324M50004000014)。第1条の学科、第7条の3の国土交通大臣が認定する者の条文として(2026年10月確認)
- *3 参考:e-Gov法令検索「建設業法施行令」(https://laws.e-gov.go.jp/law/331CO0000000273)。第2条、第27条、第28条の金額と専任が必要な工事の条文として(2026年10月確認)
- *4 参考:国土交通省「監理技術者制度運用マニュアル」(最終改正 令和7年1月28日)(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001859191.pdf)。専任の意味、直接的かつ恒常的な雇用関係と確認書類の説明として(2026年10月確認)
- *5 参考:e-Gov法令検索「電気通信事業法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/359AC0000000086)。第45条の選任と届出、第46条の資格者証の条文として(2026年10月確認)
- *6 参考:e-Gov法令検索「電気通信主任技術者規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/360M50001000027)。第3条の選任の単位の条文として(2026年10月確認)
- *7 参考:一般財団法人日本データ通信協会「電気通信主任技術者 統計情報」(https://www.dekyo.or.jp/shiken/chief/statistics)。令和8年度第1回までの推移表、試験種別毎推移表、業種別申請者数推移表の掲載元として(2026年10月確認)