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2026.07.07 らしくコラム

Google Playの新API義務、既存アプリ改修を委託

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

Google Playのアプリ更新

この記事のポイント

  • Google Playは対象APIレベル(targetSdkVersion)の要件を毎年引き上げ、既存アプリにも猶予期限つきで適用します。
  • 期限を過ぎると新規ユーザーの端末でストアに表示されなくなり、機会損失につながります。
  • 改修範囲の見極めと検証工数の確保が課題となるため、外注時のチェックポイントを整理します。

対象APIレベル義務化の仕組みと既存アプリへの影響

Androidアプリ開発の作業

Google Playの対象APIレベル(target API level)とは、アプリがどのAndroidバージョンの仕様に対応して開発されているかを示す指定値であり、Google Playが新規ユーザーへの提供可否を判断する基準の1つを指します*1。既存アプリに対しても、Androidの最新メジャーバージョンが公開されてから一定期間内に、そのAPIレベルへの追随を求める仕組みになっています。

Google Play Console ヘルプの公式ポリシーによると、新規アプリとアップデート版は「Androidの最新のメジャーバージョンのリリースから1年以内」にそのAPIレベルを対象にする必要があり、満たさない場合はPlay Consoleへの送信自体がブロックされます*1。一方、アップデートを行っていない既存アプリは「2年」の猶予があり、この期間を過ぎると新しいAndroid OSを搭載した端末の新規ユーザーからアクセスできなくなります*1

つまり既存アプリの改修とは、Googleが定めるAPIレベルの猶予期限に間に合うよう、targetSdkVersionの引き上げと、それに伴う挙動変更への対応を行う開発工程を意味します。開発を長期間止めていたアプリほど、対応すべき変更点が積み上がりやすくなります。

図
既存Androidアプリの対象APIレベル改修における標準的な進め方

2025〜2026年の締切と猶予期間の実際

Google Play Console ヘルプ「Google Playアプリの対象APIレベルに関する要件」では、2025年8月31日を境に新規アプリ・アップデート版はAndroid 15(APIレベル35)以上を対象にすることが必須になりました*2。同日以降、既存アプリ(アップデートを出していないアプリ)についても、Android 14(APIレベル34)以上を対象にしていない場合、対象OSより新しい端末の新規ユーザーからは表示されなくなる措置が適用されています*2

対応が間に合わない開発者向けに、2025年11月1日までの期間延長リクエストがPlay Console上で用意されました*2。延長は無条件ではなく、対応を予定しているアプリを対象にした猶予措置という位置づけです。Wear OS・Android TV・Android AutomotiveといったフォームファクタはAPIレベルの下限が別途定められており、通常のスマートフォン向けアプリと基準が異なります*2

この「1年で新規アプリ、2年で既存アプリ」という周期は固定の年次ルールとしてPlayの対象APIレベルポリシーに明記されており*3、Androidの新しいメジャーバージョンが公開されるたびに基準が繰り返し引き上がる仕組みです。直近では2026年8月31日以降、新規アプリ・アップデート版はAndroid 16(APIレベル36)以上を対象にする流れが案内されており*1、既存アプリも順次同じサイクルで対応を迫られます。年度が変わるごとに要件の数値が動くため、対応時はGoogle Play Console ヘルプの最新記載を確認してから計画を立てる必要があります。

用語補足:targetSdkVersion

アプリのAndroidManifest.xmlに記述する設定値で、そのアプリがどのAndroid APIレベル向けに検証済みかを宣言する項目です。この値を引き上げると、OS側の新しい権限モデルや挙動変更が有効になり、対応していない実装は動作不良を起こす場合があります。

対応を怠った場合に生じるリスク

対象APIレベルの引き上げを放置すると、対象OSより新しいAndroid端末を使う新規ユーザーの検索結果・ストアページからアプリが表示されなくなります*1。既にインストール済みのユーザーは引き続き利用できるものの、新規のダウンロード経路が事実上閉ざされる点が事業インパクトとして大きな要素です。

B2B向けの業務アプリであっても、取引先の担当者交代や端末更新のタイミングで新規インストールが発生します。その時点でストアに表示されなければ、既存の業務プロセスに支障が出かねません。加えて、targetSdkVersionを長期間据え置いたまま放置すると、対応すべきAPI変更が複数バージョン分累積し、1回あたりの改修工数と検証範囲が膨らむ傾向があります。

改修を内製で行うには、Android SDKの権限モデル・バックグラウンド処理・ストレージアクセスなど、バージョンごとの仕様変更を把握したエンジニアが必要です。加えて、対象デバイス・OSバージョンごとの回帰テスト工数も見込む必要があり、既存の開発リソースだけで賄うのが難しい体制も少なくありません。

既存アプリの改修で発生する主な作業

対象APIレベルの引き上げ対応では、単にマニフェストの数値を書き換えるだけでは完了しません。Android Developersの公式ガイドでは、targetSdkVersionを引き上げた際に有効になる新しい制約・挙動変更への追随が前提とされています*4。具体的には次のような作業が発生します。

権限モデル・バックグラウンド処理の見直し

位置情報・通知・ストレージアクセスなど、Androidバージョンごとに権限リクエストの仕組みが変わる場合があります。バックグラウンドでの処理実行やフォアグラウンドサービスの扱いも、対象APIレベルの引き上げに伴って制約が強化されることがあります。

UIコンポーネント・端末互換性の検証

新しいAPIレベルでは、通知の表示形式やジェスチャー操作の挙動が変わることがあります。改修後は主要な端末・OSバージョンの組み合わせで表示崩れや操作不良が起きていないか、実機検証が欠かせません。

ストア審査・申請対応

改修版のアップロード後、Google Playの審査プロセスを通過する必要があります。ポリシー違反や権限宣言の不備が見つかると差し戻しが発生し、対応スケジュールに影響します。

内製と外注、それぞれの向き不向き

アプリの改修対応

対象APIレベル改修を内製で完結できるかどうかは、社内に稼働可能なAndroidエンジニアがいるか、対象アプリの設計ドキュメントが最新化されているかによって左右されます。開発から時間が経過したアプリほど、当時の実装意図が分からず調査工数が膨らみやすい傾向があります。

観点 内製で対応する場合 外注で対応する場合
必要なリソース Android開発の専任エンジニアを確保する必要があります。
他プロジェクトと兼務だと期限管理が難しくなります。
委託先が体制を組むため、社内では進捗管理と受け入れ確認が中心になります。
既存コードの把握 開発時の担当者が残っていれば早いですが、退職・異動済みだと調査から始まります。 委託先による現状調査(アセスメント)を初期工程に含める形が一般的です。
スケジュール管理 他業務との兼ね合いで後回しになりやすく、期限直前に着手するリスクがあります。 委託契約で納期を明確化でき、期限管理を切り離せます。
毎年の再対応 翌年以降も同様の対応が発生し、都度リソースを確保する必要があります。 保守契約に組み込めば、翌年以降の対応も継続的に依頼できます。

改修委託を進める4つのステップ

外部パートナーに対象APIレベル改修を委託する場合、次の順序で進めると認識のずれを防ぎやすくなります。

ステップ1:現行アプリの対象APIレベルと期限を確認する

Play Console上で現在のtargetSdkVersionと、Googleが提示する猶予期限を確認します。委託先に依頼する際は、この現状情報を最初に共有することで、見積もり精度が高まります。

ステップ2:影響範囲の調査(アセスメント)を依頼する

改修範囲を確定する前に、委託先による現状調査を挟むケースが一般的です。使用しているライブラリのバージョンや、対象APIレベル引き上げで影響を受ける機能を洗い出します。この工程を省くと、着手後に想定外の修正が発生し、スケジュールが崩れる要因になります。

ステップ3:改修・検証範囲と工数を握る

アセスメント結果をもとに、改修対象の機能一覧と検証端末の組み合わせを合意します。検証範囲を曖昧にしたまま契約すると、リリース直前に「想定していなかった端末で不具合が出た」という事態につながりかねません。

ステップ4:申請・審査対応まで含めた納品条件を確認する

改修コードの納品だけでなく、Google Playへの申請・審査で差し戻しが発生した場合の対応範囲を契約時に確認します。審査対応まで含めるかどうかで、委託費用の内訳が変わります。

委託先を選ぶ際に確認したいポイント

対象APIレベル改修を依頼する委託先を選定する際は、以下の観点を確認すると判断しやすくなります。

  • 既存アプリの改修・保守案件を継続的に受託している体制か
  • 複数のAndroidバージョン・端末での実機検証環境を持っているか
  • 翌年以降の対象APIレベル引き上げにも対応できる保守契約を用意しているか
  • 改修範囲・検証範囲・審査対応の分担が見積書に明記されているか

対象APIレベル対応は一度きりの作業ではなく、Androidの年次バージョンアップに合わせて繰り返し発生します。単発の改修依頼として捉えるのではなく、継続的な保守契約の一部として委託先を選ぶ視点が実務上重要になります

まとめ:対象APIレベル対応を計画的に進める3つの視点

本稿ではGoogle Playの対象APIレベル義務化の仕組みと、既存アプリを改修委託で対応する進め方を整理しました。要点を3つに集約すると、第一に対象APIレベルの引き上げは新規アプリで1年、既存アプリで2年という周期で繰り返し発生する制度であること、第二に対応を怠るとストアの新規表示から除外され事業機会を損なうこと、第三に改修は権限モデル・UI・審査対応まで含む複合的な作業のため、計画的な委託先選定が有効な選択肢になることです。期限直前の駆け込み対応を避けるためにも、早めの現状確認から着手することが望まれます。

LASSICに相談するメリット

LASSICはIT事業部として、既存システムの保守・運用を元請(プライムベンダー)として受託する体制を整えています。Androidアプリの現状調査から改修・検証・ストア申請対応まで一貫して相談でき、翌年以降の対象APIレベル引き上げにも継続的に対応できる保守契約の形でご提案します

よくある質問

対象APIレベルの改修費用はどのくらいかかりますか。

改修範囲はアプリの規模・使用ライブラリ・対応が滞っていた期間によって変わるため、一律の相場は示せません。まずは委託先に現状調査(アセスメント)を依頼し、影響範囲を洗い出したうえで見積もりを取る進め方が実務的です

App Storeにも同様の対象APIレベル義務はありますか。

Appleも新しいiOS SDKへの追随を求めるガイドラインを設けており、毎年のOSリリースに合わせて対応が必要になる点はGoogle Playと共通しています。ただし審査基準・猶予期間の運用は各ストアで異なるため、それぞれの公式ヘルプを個別に確認する必要があります。

拡張リクエストはどのアプリでも申請できますか。

Google Play Console ヘルプでは、対応を予定しているアプリ向けの猶予措置として期間延長リクエストが案内されています*2。無条件で認められるものではないため、申請条件はPlay Console上の最新の案内を確認することが必要です。

改修後にストア審査で差し戻された場合はどうなりますか。

権限宣言の不備やポリシー違反が指摘されると再申請が必要になり、対応スケジュールが延びます。委託時は審査対応まで契約範囲に含めるかどうかを事前に確認しておくと、差し戻し発生時の対応がスムーズになります。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:Google Play Console ヘルプ「Google Playの対象APIレベルポリシー」(https://support.google.com/googleplay/android-developer/answer/16561298?hl=ja
  2. *2 出典:Google Play Console ヘルプ「Google Playアプリの対象APIレベルに関する要件」(https://support.google.com/googleplay/android-developer/answer/11926878?hl=ja
  3. *3 出典:Google Play Console ヘルプ「Google Playの対象APIレベルに関するポリシー」(https://support.google.com/googleplay/android-developer/answer/11917020?hl=ja
  4. *4 出典:Android Developers「Meet Google Play’s target API level requirement」(https://developer.android.com/google/play/requirements/target-sdk

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