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2026.07.08 らしくコラム

Ubuntu 20.04終了、サーバーOS移行を外注で対応

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

Linuxサーバーの運用

この記事のポイント

  • Ubuntu 20.04 LTSの標準サポートは2025年5月31日に終了しており、以降は無償のセキュリティ更新が提供されません。
  • Ubuntu Pro(ESM)を契約すれば2030年5月まで、Legacy Supportを追加すれば2032年5月まで延命できますが、いずれも一時的な対応です。
  • 恒久的な対応には22.04を経由した24.04への段階的アップグレードが必要で、検証・展開の工数を踏まえた内製・外注の判断が欠かせません。

Ubuntu 20.04 LTSサポート終了、2025年5月31日が期限

サーバー基盤の環境

Ubuntu 20.04サポート終了とは、Canonical社が提供する標準的なセキュリティ更新・不具合修正の提供期間が満了する状態を指します。Ubuntu Release Cycleの公式情報によると、Ubuntu 20.04 LTS(Focal Fossa)は標準サポート期間を終えています*1。その終了日は2025年5月31日です*1

標準サポート期間は、UbuntuのLTS(Long Term Support、長期サポート)リリースに共通する5年間です*1。Ubuntu 20.04は2020年4月のリリースから5年が経過した時点で、この期間を終えています*1

標準サポートの終了後は、新たに発見された脆弱性への修正パッチが提供されなくなります*1。CVE(共通脆弱性識別子)が公表されても、対応版パッケージが配布されない状態が続きます*1

サーバー用途でUbuntu 20.04を稼働させている法人にとって、この期限は看過できません。本番環境で稼働するサーバーOSにセキュリティ更新が届かなくなると、外部からの攻撃を受けた際に修正パッチが存在しないまま被害が拡大するおそれがあります。加えて対応バージョンを前提にしたミドルウェアやクラウドサービス側のサポートも順次終了するため、周辺システムとの整合性を保てなくなる懸念も生じます。

移行を先送りした場合の影響は具体的です。標準サポート終了後に重大な脆弱性が公表されても修正版パッケージが提供されないため、脆弱性を突いた侵入を受けた場合はシステムの再構築が必要になる可能性があります。

取引先とAPI連携や専用線接続を行っているサーバーでは、自社の被害にとどまらず取引先システムへの影響も懸念されます。対応の遅れが、取引上の信用問題に発展しかねません。

Ubuntu Pro・ESMで延長できる期間と対象パッケージ

標準サポート終了後も稼働を続ける必要がある場合は、Canonical社が提供する有償サブスクリプション「Ubuntu Pro」の契約が選択肢になります*2。Ubuntu Proを契約すると、ESMによってセキュリティ更新の提供期間を延長できます*2。ESMとはExpanded Security Maintenance(拡張セキュリティメンテナンス)の略称です。

ESMはUbuntu Archive全体の25,000以上のパッケージを対象にしています*2。インフラ関連のesm-infraとアプリケーション関連のesm-appsという2種類で、セキュリティ更新を継続する仕組みです*2

Ubuntu 20.04 LTSの場合、Ubuntu ProのESMによって標準サポート終了から5年間、2030年5月まで延長できます*1。さらにLegacy Supportアドオンを追加すると、2032年5月までの2年分が上乗せされます*2。標準の5年間と合わせると、リリースから12年間のセキュリティ更新を受けられる計算です*2

Ubuntu Proは個人利用であれば無料で、物理マシン5台まで(Ubuntuコミュニティメンバーは50台まで)適用できます*3。法人・商用環境では有償契約となり、30日間の無料トライアルが用意されています*3。サーバー台数が多い企業では、ESMで延命する期間と実際の移行作業に必要な期間を比較したうえで、契約の要否を判断する必要があります。

22.04・24.04への段階的アップグレードが必須な理由

22.04経由でのみ到達できる24.04(Noble Numbat)

Ubuntu 20.04とは、2020年4月にリリースされたUbuntuのLTSバージョンです。Ubuntuのアップグレードは、隣接するLTSバージョンへ順番に進める設計になっています*4。Canonical公式のブログには重要な注意点が示されています*2

Ubuntu 20.04からUbuntu 24.04(Noble Numbat)へ直接アップグレードすることはできません*2。Ubuntu 22.04(Jammy Jellyfish)を経由する必要があります*2

つまりサーバーOSの移行では「20.04から24.04へ一度に切り替える」という進め方は選べません。20.04から22.04へアップグレードし、動作確認を終えます。そのうえで、あらためて22.04から24.04へアップグレードするという2段階の工程を計画に組み込む必要があります。

do-release-upgradeコマンドによる実行手順

実際のアップグレードにはdo-release-upgrade(Ubuntu公式のリリースアップグレードツール)を使います*4。実行前の事前チェック項目として、公式にはリリースノートの確認とパッケージの最新化(apt update・apt dist-upgrade)が案内されています*4。あわせて、空きディスク容量の確保・サードパーティリポジトリ(PPA)の扱いの整理・データのバックアップも必要です*4

do-release-upgradeの実行時は、システムの準備状況を確認したうえで変更内容の要約が表示されます*4。その後、設定ファイルの差分確認・不要パッケージの削除を経て、最後に再起動が必要になります*4

20.04から22.04、22.04から24.04と、2段階のアップグレードをそれぞれ検証しながら進める必要があります。そのため、1回のアップグレードで完了する移行に比べて工程数が多くなります。

この作業を内製で行うには、稼働中のミドルウェアやアプリケーションが新しいOSバージョンで動作するかを検証するスキルが欠かせません。あわせて、カーネルバージョンアップに伴う設定変更への対応力や、切り戻し手順を準備しておく運用設計の知識も求められます。稼働中の本番サーバーでは、検証環境を用意したうえで段階的にアップグレードを進める体制が必要です。

アップグレード・ESM延長・外注委託、3つの選択肢とコスト構造の違い

Ubuntu 20.04終了への対応は、大きく3つの選択肢に分かれます。「22.04・24.04への段階的アップグレード」「Ubuntu Pro(ESM)による延命」「外部パートナーへの委託」です。それぞれ前提条件とコスト構造が異なるため、稼働中のシステム構成に応じた選定が必要です。

選択肢 前提条件 コスト構造 留意点
段階的アップグレード 22.04を経由して24.04へ進める設計*2 ライセンス費用は不要だが検証・切り戻し体制の人件費が発生 ミドルウェア・アプリの動作検証が必須。
2段階の工程分の検証工数がかかる
Ubuntu Pro(ESM)による延命 Ubuntu Proの契約が前提*3 サブスクリプション費用が発生(個人利用は無料枠あり)*3 2030年5月までの延命であり恒久対応ではない*1
並行して移行計画を進める前提が必要
外部パートナーへの委託 委託先の実績・体制の確認が前提 委託範囲に応じた費用が発生 検証・展開の工数を委託先に移せる。

比較すると分かるとおり、いずれの選択肢も検証を省いて進めると本番環境で障害が発生するリスクが残ります。なぜなら、稼働中のミドルウェアやアプリケーションの互換性を確認しないままアップグレードを実行すると、サービス停止を伴う切り戻し作業が発生しかねないからです。24.04まで2段階で進める場合、22.04時点での検証が不十分だと、次の24.04アップグレードでも同じ問題を繰り返すことになります。

移行を内製で進める場合に必要な工数とリスク

サーバー移行の作業

Ubuntu 20.04サーバーの移行を内製で進める場合、情報システム部門には複数の専門知識が求められます。第一に、稼働中のミドルウェア・データベース・アプリケーションが22.04・24.04で動作するかを洗い出す互換性調査の知識です。第二に、do-release-upgrade実行時の設定ファイル差分に対応する運用知識です。

そして第三に、アップグレードに失敗した場合に旧環境へ戻す切り戻し手順を設計しておく必要があります。

この作業を誤ると発生するリスクも軽視できません。検証を省いたまま本番サーバーで直接アップグレードを実行すると、稼働中のサービスが起動しない、データベースの互換性が崩れるといった障害が発生します。

結果として、業務システムの停止につながるおそれがあります。バックアップを取得しないまま作業を進めた場合、復旧の手段自体が失われる点にも注意が必要です。

サーバー台数が数十台規模になると、検証環境の構築・アプリケーションごとの動作確認・段階的な展開を、通常の運用業務と並行してこなす必要があります。担当者が少人数の企業ほど、負荷が集中しやすくなります。「ひとり情シス」のような体制では、日々の運用を止められない以上、移行作業に割ける時間そのものが制約になるでしょう。

外注に委託する場合の進め方と委託先選定のポイント

専門パートナーに委託した場合、内製との違いは主に「検証の型化」と「複数台への並行展開力」にあります。委託先はミドルウェアの互換性確認やdo-release-upgrade実行後の動作検証を、チェックリスト化して横展開する仕組みです。そのため情シス担当者は、例外対応や利用部門からの問い合わせに専念できます。

委託先を選定する際は、次の点を確認することが欠かせません。まず、Ubuntu LTSのバージョンアップグレード実績があるかどうかです。次に、検証環境を用意したうえで段階的に展開するロールアウト計画を提示できるかどうかも判断材料になります。

さらに、アップグレード後の障害対応や監視体制を保守契約として引き継げるかどうかも、移行後の運用を見据えると重要な確認事項です。

委託範囲の決め方も検討事項の一つです。棚卸しから22.04・24.04への展開まで一括で委託する方式があります。検証設計だけを委託し、実際のアップグレード作業は自社で行う方式もあり、費用感と社内の関与度合いが変わります。

自社の情シス担当者がどこまで関わりたいか、通常業務にどれだけ余力があるかを踏まえて委託範囲を決めると、費用対効果を見極めやすくなるでしょう。

外注のメリットは、業務を止められない状況で頼るという消極的な理由だけではありません。標準サポート終了後の脆弱性リスクを抱えたまま稼働を続ける期間を短くし、計画どおりに22.04・24.04へ移行を終わらせる点にこそ意味があります。ESMによる延命期間を待たずに着手するほど選べる方式の幅は広く残るため、早い段階での相談が有効です。

まとめ:Ubuntu 20.04終了対応で押さえる3つの判断軸

本稿ではUbuntu 20.04 LTSのサポート終了と、サーバーOSの移行について、期限・延長手段・アップグレード経路を整理しました。要点を3つに集約すると次の通りです。第一に、標準サポートは2025年5月31日にすでに終了しており、以降はセキュリティ更新が提供されない状態が続いています*1。第二に、Ubuntu Pro(ESM)を契約すれば2030年5月まで延命できます*2。Legacy Supportアドオンを追加すれば2032年5月まで延びますが、いずれも恒久的な対応策ではありません*2。第三に、22.04を経由した24.04への段階的アップグレードには複数工程の検証が必要なため、内製か外注かの判断は早期に行う必要があります。

LASSICに相談するメリット

LASSICはシステム保守・運用を元請として受託しています。ミドルウェア・アプリケーションの互換性検証からdo-release-upgradeの実行、切替後の監視体制構築まで、一貫した支援を提供します。稼働中の本番サーバーでも、検証環境を用いた段階的な移行計画により、サービスを止めずにアップグレードを進める体制づくりが可能です。

よくある質問

Ubuntu 20.04の標準サポートはすでに終了していますか?

はい、Ubuntu 20.04 LTS(Focal Fossa)の標準セキュリティメンテナンスは2025年5月31日に終了しています*1。この日以降、Canonical社から無償の脆弱性修正パッチは提供されません*1。すでに期限を過ぎているため、対応方針の検討を急ぐ必要があります。

Ubuntu Proを契約すればアップグレードは不要になりますか?

いいえ、Ubuntu Pro(ESM)は標準サポート終了後もセキュリティ更新を延長する仕組みであり、OSバージョン自体を新しくするものではありません*2。延長できるのは2030年5月まで(Legacy Supportを追加すれば2032年5月まで)で、期限が来れば改めて22.04・24.04への移行が必要です*2

Ubuntu 20.04から24.04へ直接アップグレードできますか?

できません。Canonical公式のブログでは、20.04から24.04へは直接アップグレードできず、22.04を経由する必要があると明記されています*2。do-release-upgradeコマンドも隣接するLTSバージョンへの移行を前提に設計されています*4

移行作業は自社の情シス担当者だけで対応できますか?

台数が少なければ対応できる場合もあります。複数台・複数アプリケーションが稼働する環境では、互換性検証・段階的なアップグレード・切り戻し準備が同時並行になり、通常業務と両立しにくくなります。体制が限られる企業では、検証の一部を外部委託する選択肢が有効です。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:Canonical「Ubuntu Release Cycle」(ubuntu.com
  2. *2 出典:Canonical「Ubuntu 20.04 LTS Standard Support has ended. Here’s how to prepare.」(ubuntu.com)(2025年)
  3. *3 出典:Canonical「Ubuntu Pro」(ubuntu.com
  4. *4 出典:Canonical「How to upgrade your Ubuntu release – Ubuntu Server documentation」(ubuntu.com

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