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2026.07.13 らしくコラム

会員管理システムの開発を外注する進め方

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム開発・保守運用を受託

会員サービスのイメージ

この記事のポイント

  • 会員管理システムは、入会から更新・退会までの継続した関係を管理する仕組みで、見込み客との接点全般を扱うCRMとは役割が異なります。
  • 会費・サブスク課金を扱う場合は、2022年6月1日施行の改正特定商取引法が定める定期購入の表示義務への対応が欠かせません。
  • 会員情報は個人情報保護法上の安全管理措置の対象であり、決済情報を扱う場合はカード情報の非保持化も論点になります。

会員管理システムとは——入会から退会までの関係を継続して管理する仕組み

ロイヤルティのイメージ

会員管理システムとは、会員制サービスやEC会員、スクール、ファンクラブ、BtoB顧客ポータルなどで、会員一人ひとりの情報と会員資格の状態を一元管理するシステムを指します。入会の受付、本人確認・認証、会員ランクやステータスの管理、会費やサブスクリプションの課金、ポイントや特典の付与、メール配信・セグメント、マイページや問い合わせ対応まで、会員との関係が続く間ずっと使われ続ける点が特徴です。

図
図:会員管理システムが管理する会員ライフサイクル(登録→認証→状態管理→課金・更新→退会対応)

紙の会員台帳や表計算ソフトでの管理では、会員数が増えるにつれて更新漏れや二重登録が発生しやすくなります。会員管理システムを導入する狙いは、こうした会員情報の散在を防ぎ、入退会・課金・問い合わせといった一連の運用を一つの基盤に集約することにあります。

会員管理システムに必要な機能——登録・認証からポイント・問い合わせまで

会員登録・本人確認と認証

入会申込フォームからの情報登録、メールアドレスやSMSによる本人確認、ログインID・パスワードの設定は基盤となる機能です。会員数が多いサービスでは、不正ログインへの備えとして多要素認証を選べるようにしておくことが対策の一つになります。IPAは、パスワードを使い回さず長く複雑にすることに加え、ID・パスワードが漏れても不正ログインを防ぎやすい多要素認証の活用を呼びかけています*4

会員ランク・ステータス管理

入会中・休会中・退会済みといったステータスや、利用実績に応じた会員ランクを管理する機能です。ランクによって提供するサービス内容や特典を出し分ける設計が一般的で、条件を満たした会員を自動でランク変更する仕組みを組み込むケースもあります。

入退会・更新の管理

入会日、更新日、退会申請日を記録し、更新時期が近づいた会員へ通知を送る機能です。年会費制のサービスでは、更新月に合わせた案内メールの自動配信が運用負荷の軽減につながります。

会費・サブスク課金の管理

月額・年額の会費徴収や、決済代行会社との連携によるクレジットカード課金を扱う機能です。定期的な課金を伴うサービスでは、2022年6月1日に施行された改正特定商取引法により、申込みの最終確認画面で契約が定期購入である旨や支払総額、解約条件を明確に表示することが求められています*2。会員サイトの申込・課金画面を設計する際は、この表示義務を満たせる画面構成にしておく必要があります。

ポイント・特典管理

購入額や利用実績に応じたポイントの付与・失効管理、クーポンや特典の配布機能です。ポイントの有効期限や失効ルールをシステム側で自動処理できると、手作業での管理コストを抑えられます。

メール配信・セグメント配信

会員属性やステータス、購買履歴に応じてメールを配信先ごとに出し分ける機能です。休眠会員へのフォローメールや、更新前の案内メールなど、会員の状態に合わせた配信シナリオを組めることが実務上の価値になります。

マイページ・問い合わせ対応

会員が自身の登録情報や利用状況を確認・変更できるマイページ、退会手続きや問い合わせを受け付ける窓口機能です。会員自身が住所変更や支払方法の変更を完結できると、事務局側への問い合わせ件数を抑えられます。

CRMとの違い——会員管理システムは「継続する会員関係」の管理に特化

CRM(顧客関係管理システム)は、見込み客の段階から商談、既存顧客のフォローまで、営業やマーケティングの活動履歴を広く扱う仕組みです。一方の会員管理システムは、すでに会員資格を持つ人を対象に、入会から更新、退会までの継続した関係そのものを管理対象とします。

両者を分ける実務上のポイントは、扱う情報の中心が「商談・案件」なのか「会員資格の状態」なのかにあります。営業活動の進捗を追いたい場合はCRMが適しており、会費徴収やランク管理、退会防止といった会員固有の業務を扱いたい場合は会員管理システムが必要になります。両方の機能が必要な事業者では、CRMと会員管理システムを連携させ、商談情報と会員情報を役割分担して管理する構成も一つの方法です。

個人情報保護と決済連携で押さえておきたい安全管理

会員管理システムが扱う氏名・連絡先・生年月日・購買履歴などは個人情報にあたります。個人情報保護委員会のガイドラインでは、個人データの漏えいや滅失、毀損の防止その他の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じることが事業者に求められています*1。あわせて利用目的をできる限り具体的に特定すること、第三者提供には原則として本人の同意を得ることも定められています*1。会員管理システムの開発では、こうした要件を満たす権限設計やログ管理をあらかじめ組み込んでおく必要があります。

決済機能を備える会員管理システムでは、クレジットカード情報の取扱いも論点になります。割賦販売法の改正により、クレジットカードを取り扱う加盟店にはカード情報の適切な管理と不正利用防止の措置が義務づけられ、加盟店側の機器・ネットワークでカード情報を保存・処理・通過しない「非保持化」が原則とされています*3。自社の会員システムでカード情報を持たず、決済代行会社の決済画面や決済用APIを経由させる構成にするのが実務上の対応です。

会員向けのログイン機能についても、不正ログインの被害はSNSやショッピングサイトへの相談として少なくない件数が寄せられています*4。会員数の多いシステムほど、パスワードの使い回しを前提にせず、多要素認証やパスキーといった選択肢を用意しておくことが対策になります*4

会員管理システムの開発や運用を外部に委託する場合は、委託先に対する必要かつ適切な監督を行うことも個人情報保護法上のガイドラインで求められています*1。委託契約の中で、会員情報の取扱い範囲やアクセス権限、再委託の可否をあらかじめ取り決めておくことが実務上の対応になります。

パッケージ・SaaSとスクラッチ開発——実装方式の選び方

会員ポータルのイメージ

会員管理システムの実装方式は、大きく既存のパッケージ・SaaSを利用するケースと、要件に合わせて一から開発するスクラッチ開発に分かれます。どちらを選ぶかは、標準機能でどこまで業務をまかなえるか、既存の決済基盤やメール配信基盤との連携をどこまで作り込む必要があるかで判断が分かれます。

項目 パッケージ・SaaS スクラッチ開発
導入までの期間 比較的短い期間で稼働できる場合が多い 要件定義から設計・実装を要し長くなりやすい
カスタマイズ性 標準機能の範囲内での対応が中心 個別の会員ランクや課金ルールにも対応できる
既存基盤との連携 対応済みの決済・メール連携があれば設定のみで済む 既存の決済・メール基盤に合わせて個別に構築する
費用の構造 初期費用を抑えつつ月額利用料が継続する 初期の開発費用がかかり以後の保守費用は個別見積り
保守・運用体制 提供元のアップデートに追従する形になる 自社または委託先の保守体制の構築が前提になる

会員数の規模や成長速度、既存の決済・メール配信基盤をどこまで引き継ぐかによって、適した実装方式は変わってきます。将来的な会員数の増加やランク体系の見直しを想定するなら、拡張しやすい構成をあらかじめ検討しておくことが実務的です。

導入の進め方と外注時に確認すべきポイント

会員管理システムの導入は、まず現状の会員データと運用フローの棚卸しから始めます。会員情報をどの媒体でどのように管理しているか、入退会や課金の処理をどの部署が担当しているかを整理したうえで、必要な機能要件と既存基盤との連携範囲を定義します。要件が固まった段階で、パッケージ・SaaSの選定またはスクラッチ開発の設計に進み、開発・テストを経て本稼働に移行するという流れが一般的です。

あわせて、既存の会員データを新システムへ移行する計画も早い段階で立てておく必要があります。表計算ソフトや旧システムに残る会員番号、入会日、ステータス履歴などの項目を洗い出し、移行後に重複や欠落が生じないよう突合ルールをあらかじめ決めておくことが実務上のポイントになります。

外部のパートナーに開発を委託する場合、確認しておきたい点はいくつかあります。第一に、会員情報の安全管理措置や決済情報の取扱いについて、個人情報保護法や割賦販売法の要件を踏まえた設計ができるかどうかです*1*3。第二に、既存の決済代行会社やメール配信基盤との連携実績があるかどうかです。ゼロから連携方式を検討するのと、実装経験のあるパートナーに依頼するのとでは、必要な工数が変わってきます。

第三に、要件定義から設計、開発、テスト、リリース後の保守運用までを元請(プライムベンダー)として一括で対応できるか、それとも工程ごとに担当が分かれるのかも確認材料になります。会員管理システムは稼働後も会員数の増加や機能追加への対応が続くため、開発後の保守体制まで見据えて委託先を選ぶことが実務上の判断軸になります。

まとめ:会員管理システム開発の外注で押さえる3つの判断軸

本稿では会員管理システムの開発を外注する際に押さえておきたい観点を整理しました。要点は3つです。第一に、会員管理システムは入会から更新、退会までの継続した関係を管理する仕組みであり、見込み客からの活動履歴を広く扱うCRMとは対象範囲が異なります。第二に、会費・サブスク課金や決済連携を扱う場合は、改正特定商取引法の表示義務や割賦販売法のカード情報非保持化への対応が欠かせません*2*3。第三に、パッケージ・SaaSとスクラッチ開発のどちらを選ぶかは、既存基盤との連携範囲やカスタマイズの必要度によって判断が分かれます。

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、元請(プライムベンダー)としてシステム開発・保守運用を受託しています。会員登録・認証からステータス管理、会費・サブスク課金、決済代行会社との連携、個人情報保護法や割賦販売法を踏まえた安全管理の設計まで、要件整理の段階から一貫して伴走できる体制を整えています。既存の決済・メール配信基盤を活かしながら会員管理システムを構築したい企業様は、現状の会員データと運用フローの棚卸しからご相談いただけます。

よくある質問

会員管理システムとCRMは何が違うのですか。

CRMは見込み客の段階から商談、既存顧客のフォローまで営業・マーケティング活動を広く扱う仕組みです。会員管理システムは、すでに会員資格を持つ人を対象に、入会から更新、退会までの継続した関係の状態を管理する点で対象範囲が異なります。両方が必要な場合は連携させて役割分担する構成も選べます。

会費やサブスク課金を扱う際に注意すべき法令はありますか。

2022年6月1日に施行された改正特定商取引法により、定期購入契約の最終確認画面で契約内容や支払総額、解約条件を明確に表示することが求められています*2。会員サイトの申込・課金画面を設計する段階でこの表示義務を満たせる構成にしておく必要があります。

会員情報を扱う上で個人情報保護の観点から気をつけることは何ですか。

個人情報保護委員会のガイドラインでは、個人データの漏えい等を防ぐための安全管理措置、利用目的の具体的な特定、第三者提供時の本人同意の取得が求められています*1。会員管理システムの権限設計やアクセスログの管理は、こうした要件を踏まえて検討する必要があります。

会員システムでクレジットカード情報を保持してもよいのですか。

割賦販売法の改正により、加盟店の機器・ネットワークでカード情報を保存・処理・通過しない「非保持化」が原則とされています*3。自社の会員システムでカード情報を直接保持せず、決済代行会社の決済画面やAPIを経由させる構成が実務上の対応になります。

パッケージ・SaaSとスクラッチ開発はどちらを選べばよいですか。

標準機能で業務をまかなえるか、既存の決済・メール配信基盤との連携をどこまで作り込む必要があるかで判断が分かれます。個別の会員ランクや課金ルールへの対応度が高い場合はスクラッチ開発、導入までの期間を優先する場合はパッケージ・SaaSが選択肢になります。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/
  2. *2 出典:消費者庁「インターネット通販の定期購入トラブルには御注意を!」(2022年6月1日施行の改正特定商取引法に関する案内)(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/amendment/2021/notice03/
  3. *3 出典:JCBカード「割賦販売法の改正に関するお知らせ」(割賦販売法改正・クレジットカード情報の非保持化に関する解説)(https://www.jcb.co.jp/merchant/release/kappu_security.html
  4. *4 出典:IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「不正ログイン対策特集ページ」(https://www.ipa.go.jp/security/anshin/measures/account_security.html


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