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シフト管理システムの開発を外注で進める
LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム開発を受託
この記事のポイント
- シフト管理システムは勤務シフトの作成・調整を担う仕組みで、実績を記録する勤怠管理システムとは役割が異なります。
- 厚生労働省は令和4年1月に「シフト制」労働契約の留意事項を策定し、令和8年6月に年次有給休暇の内容を中心に改正しました*1。
- シフト作成では法定労働時間や36協定の上限、勤務間インターバルなど複数の法令上の観点を確認する必要があります*2*3*4。
目次
シフト管理システムとは、勤務シフトの作成・調整を効率化する仕組み
シフト管理システムとは、小売・飲食・医療・介護・コールセンターなど、スタッフの勤務日や勤務時間帯が日ごとに変動する現場で、勤務シフトの作成・調整・共有を支援するソフトウェアです。スタッフから勤務希望を集める段階、必要人数に合わせてシフト案を組む段階、管理者が内容を確認して確定する段階までを一つの仕組みで扱います。
希望収集の段階では、スタッフごとの勤務可能日・不可日や希望する時間帯をシステム上に集約します。自動作成の段階は、あらかじめ設定した必要人数や人員配置基準に沿って、システムがシフト案を組み立てる工程です。確認調整の段階で管理者が内容をチェックし、過不足があれば手直ししたうえで確定・共有に進みます。
表計算ソフトによる手作業のシフト管理と比べると、専用システムは希望の集約から確定までの手間を軽減しやすい面があります。ただし業種や人員構成によって最適な組み方は異なるため、システム任せにできる範囲と、人の判断が必要な範囲を事前に切り分けておくことが実務上のポイントになります。
小売店やコールセンターでは、時間帯ごとの来客数や入電数に応じて必要人数が変わるため、時間帯単位の細かな人員配置がシフト管理の中心になります。飲食店ではランチ・ディナーなど営業時間帯の波に合わせた組み方が求められ、医療・介護の現場では夜勤や早番・遅番の組み合わせに加え、有資格者の配置基準を満たすかどうかも確認すべき項目です。業種によって重視するポイントは異なりますが、必要人数の設定と法令上の制約を両立させる点は共通しています。
勤怠管理システムとの違い——「事前の計画」と「事後の実績」
シフト管理と勤怠管理は、扱う時点が異なります。シフト管理は勤務が始まる前に「誰が、いつ、どの時間帯に働くか」を計画する仕組みです。一方の勤怠管理は、勤務が終わったあとに「実際に何時に出社し、何時まで働いたか」という実績を記録する仕組みです。
両者は別のシステムとして運用されることも、一体のサービスとして提供されることもあります。多くの現場では、シフト管理で組んだ予定と、勤怠管理で記録した実績を突き合わせ、乖離があれば原因を確認する運用が一般的です。この突き合わせがしやすいかどうかは、両システム間のデータ連携のしやすさに左右されます。
両者の違いを整理すると次の通りです。
| 項目 | シフト管理システム | 勤怠管理システム |
|---|---|---|
| 扱う時点 | 勤務が始まる前の計画 | 勤務が終わったあとの実績 |
| 主な入力 | 勤務希望・必要人数・人員配置基準 | 打刻データ・休憩取得記録 |
| 主な出力 | 確定シフト表・人員配置一覧 | 労働時間集計・残業時間・給与連携データ |
| 法令上の主な確認点 | 法定労働時間・休日・勤務間インターバルの見込み*2*4 | 36協定の上限時間との実績照合*3 |
シフト管理システムに求められる主な機能
シフト希望の収集と自動シフト作成
スタッフがスマートフォンなどから勤務希望日・時間帯を入力し、管理者側で一覧として集約する機能です。集まった希望をもとに、必要人数や資格・スキル条件を踏まえてシフト案を組む自動作成機能を備える製品も増えています。自動作成はあくまで案の生成であり、最終確認は管理者が行う運用が一般的です。
必要人数・人員配置基準の設定
時間帯ごと、業務ラインごとに必要な人数や、有資格者を何名配置するかといった基準をあらかじめ登録しておく機能です。この基準が実態と合っていないと、自動作成の結果も現場の感覚とずれやすくなります。基準の見直しは、システム導入後も定期的に行う項目といえます。
多店舗・複数拠点とヘルプ応援
複数の店舗や拠点を運営する企業では、拠点間で人員を融通するヘルプ応援の仕組みが必要になる場合があります。ある拠点で人員が不足する際に、他拠点のスタッフを一時的に配置できるよう、シフト情報を拠点横断で確認できる機能が求められます。
打刻・勤怠システムとの連携
確定したシフトを打刻・勤怠管理システムへ引き渡し、予定と実績の差異を確認できるようにする連携機能です。連携がない場合、シフト表と勤怠記録をそれぞれ別々に確認する手間が発生し、突き合わせ作業が属人化しやすくなります。
シフト作成で見落とせない法令上のチェックポイント
シフト制で働く従業員との労働契約について、厚生労働省は「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を促す留意事項を公表しています。この留意事項は令和4年1月に策定され、令和8年6月に年次有給休暇に関する内容を中心に改正されました*1。労働契約の締結時点ですでに始業・終業時刻が確定している日については、単に「シフトによる」とだけ記載するのではなく、日ごとの時刻を明記するか、一定期間分のシフト表をあわせて交付する必要があるとされています*1。シフトの作成・変更に関するルールを労使であらかじめ話し合っておくことも、トラブル防止の観点から挙げられています*1。令和8年6月の改正では、所定労働日数が定まりにくいシフト制労働者への年次有給休暇の比例付与に関する内容も追加されました*1。シフトの組み方によって年間の所定労働日数が変わる場合、有給休暇の付与日数の算定にも影響するため、シフト管理システム側でも所定労働日数の実績を追いやすくしておくことが望まれます。
労働基準法では、法定労働時間が原則として1日8時間・週40時間と定められています*2。休憩時間は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上を、労働時間の途中に与える必要があります*2。休日は原則として毎週1回以上、または4週間に4日以上の付与が求められています*2。シフトを組む際は、これらの基準を満たしているかをあらかじめ確認する必要があります。
法定労働時間を超えて働かせる場合は、いわゆる36協定の締結と労働基準監督署長への届出が必要です*3。時間外労働は原則として月45時間・年360時間の上限内で協定する必要があり、臨時的な特別条項を設ける場合でも、休日労働を含めた実労働時間が単月100時間未満、複数月平均80時間以内という制限があります*3。シフト作成の段階でこれらの上限に近づいていないかを見込んでおくと、実績確認の段階でのやり直しを減らせます。
勤務間インターバル制度も、シフトを組むうえで意識したい観点です。1日の勤務終了から翌日の出社までの間に一定時間以上の休息を確保する制度で、労働時間等設定改善法の改正により事業主の努力義務として位置づけられています*4。義務ではないものの、連続勤務や早番・遅番の組み合わせ方によっては、休息時間が短くなりやすい点に留意が必要です*4。
これだけの基準を人手だけで確認しようとすると、確認漏れが起きやすくなります。週の労働時間や連続勤務日数があらかじめ設定した基準に近づいた場合に、シフト作成の画面上で表示や警告を出す機能を備えるシフト管理システムもあり、作成段階で気づく助けになります。もっとも、こうした機能は基準への近さを知らせるものであって、法令適合そのものを保証するものではない点には注意が必要です。
自動シフト作成の考え方とパッケージ・スクラッチの選び方
自動シフト作成は、必要人数・資格条件・労働時間の上限・本人の希望といった複数の制約条件を入力に、条件を満たす組み合わせをシステムが探索する考え方が土台です。制約が多いほど組み合わせの候補は絞られますが、現場の暗黙の事情まですべてを条件化するのは難しく、生成されたシフト案を管理者が確認・修正する工程は残ります。自動作成によってゼロから手作業で組む手間は軽減できますが、確認作業そのものをなくせるわけではない点は認識しておく必要があります。
導入方式には、既製のパッケージ製品を利用する形と、自社の運用に合わせてスクラッチで開発する形があります。パッケージは導入までの期間が短く、初期費用を抑えやすい一方、自社固有の人員配置基準やヘルプ応援の運用にどこまで対応できるかは製品によって差が生じるのが実情です。スクラッチ開発は自社の業務フローに合わせ込みやすい反面、要件定義や開発に一定の期間と費用がかかります。既存の勤怠・給与システムとの連携範囲や、将来の拠点数増加への対応しやすさも、選定時に確認しておきたい観点です。
導入を進める手順と外注時の勘所
シフト管理システムの導入は、現状の課題整理から始めます。誰がどのようにシフトを組んでいるか、調整にどれだけの時間がかかっているか、法令チェックを誰がどの段階で行っているかの洗い出しが最初の作業です。次に、必要人数の基準や連携すべき既存システムの範囲を要件として定義し、パッケージ導入かスクラッチ開発かの方式を決めます。要件が固まったあとは、一部の店舗や部署で試験運用を行い、現場の運用に合わせて調整したうえで全社展開に進む流れが一般的です。
対象となる拠点数やシフトパターンの複雑さによって、必要な検討期間は変わります。単一拠点でシフトパターンが少ない場合は、パッケージ製品の標準機能で足りることが多く、比較的短い期間で導入まで進めやすいのが特徴です。一方、複数拠点にまたがるヘルプ応援や、資格要件を組み合わせた複雑な配置基準がある場合は、要件定義に相応の時間をかけ、パッケージのカスタマイズかスクラッチ開発かを見極める必要が出てきます。
外部のパートナーに委託する場合は、委託先が元請(プライムベンダー)として要件定義から試験運用まで一貫して対応できるか、それとも工程ごとに担当が分かれるかを確認しておくとよいでしょう。加えて、既存の勤怠・給与システムとの連携実績、複数店舗・複数拠点運用への対応経験、法令チェックのロジックをどのように検証しているかも確認しておきたい項目です。自社の課題整理から要件定義までを含めて相談できるかどうかも、委託先選定の判断材料になります。
本稼働後も、必要人数の基準や配置ルールは現場の状況に応じて見直しが必要になる場合があります。運用開始後の改善要望にどこまで対応してもらえるか、追加費用の目安はどの程度かを、契約前にあわせて確認しておくと、稼働後のやり取りがスムーズになりやすいでしょう。
まとめ:シフト管理システム導入で押さえる3つの視点
本稿ではシフト管理システムの位置づけと機能、外注時の勘所を整理しました。要点は次の3つです。第一に、シフト管理システムは勤務前の計画を担う仕組みであり、勤務後の実績を記録する勤怠管理システムとは役割が異なります。第二に、シフト作成では法定労働時間・休憩・休日・36協定の上限・勤務間インターバルなど複数の法令上の観点をあらかじめ見込んでおく必要があります*1*2*3*4。第三に、自動シフト作成は組み合わせの探索を助ける仕組みであって最終確認をなくすものではなく、パッケージとスクラッチのどちらを選ぶかは自社の運用への合わせ込みやすさと導入期間のバランスで判断することになります。
よくある質問
シフト管理システムと勤怠管理システムは、どちらか一方だけ導入すればよいですか。
シフト管理は勤務前の計画、勤怠管理は勤務後の実績記録という異なる役割を担います。予定と実績を突き合わせる運用を行う企業では、両者を連携させて使うケースが一般的です。どちらか一方に統合された製品もあるため、自社の運用に必要な範囲を整理したうえで検討するとよいでしょう。
自動シフト作成機能を使えば、シフト作成の手作業はなくなりますか。
自動作成は必要人数や希望条件をもとにシフト案を組む機能であり、生成された案を管理者が確認・修正する工程は残ります。現場の暗黙の事情をすべて条件化するのは難しいため、確認作業自体をなくす目的の機能ではないと捉えておく必要があります。
勤務間インターバル制度への対応は、シフト作成上の義務になりますか。
勤務間インターバル制度は、労働時間等設定改善法の改正により事業主の努力義務として位置づけられています*4。義務ではありませんが、連続勤務や早番・遅番の組み合わせによっては休息時間が短くなりやすいため、シフト作成時に考慮しておくことが望ましいとされています。
複数店舗・複数拠点でシフト管理システムを使う際、何が難しくなりますか。
拠点ごとの必要人数基準が異なる場合の設定管理や、拠点間でスタッフを融通するヘルプ応援の運用が難しくなりやすい点が挙げられます。拠点をまたいだシフト情報をどこまで一元的に確認できるかが、システム選定時の確認点になります。
シフト管理システムの開発を外部に委託する場合、何を確認すればよいですか。
委託先が要件定義から試験運用まで一貫して対応できるか、既存の勤怠・給与システムとの連携実績があるか、法令チェックのロジックをどのように検証しているかを確認します。複数店舗運用がある場合は、その運用経験も合わせて確認しておくと判断材料になります。
著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑
ご不明な点はお問い合わせフォームからもご連絡いただけます。
- *1 出典:厚生労働省「いわゆる『シフト制』について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22954.html)
- *2 出典:厚生労働省「労働時間・休憩・休日関係」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken02/jikan.html)
- *3 出典:厚生労働省 スタートアップ労働条件「時間外労働の上限について」(https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/36_pact.html)
- *4 出典:厚生労働省 東京労働局「勤務間インターバル制度をご活用ください」(https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/interval01.html)