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車両管理システム|社用車の運行・点検・アルコールチェック
LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)として業務システムの開発・保守を受託
この記事のポイント
- 車両管理システムは、社用車の車両台帳・車検/点検期限・運行日報・アルコールチェック記録を一元管理し、手作業の台帳運用で起きがちな期限漏れや記録の抜けを抑える仕組みです。
- 乗車定員11人以上の自動車を1台以上、またはその他の自動車を5台以上使う事業所には安全運転管理者の選任義務があり、令和5年12月1日からはアルコール検知器を用いた酒気帯び確認が求められています。
- リース・レンタル管理やIT資産管理とは対象が異なり、車両管理は「社用車の運行と法令対応」に特化する点が核になります。
目次
台帳・点検期限・アルコールチェック——手作業の社用車管理が抱える課題
営業車や配送車、役員車など、社用車を業務で使う企業は少なくありません。ところが、その管理は表計算ソフトの台帳や紙の運行記録、担当者の記憶に頼りがちです。車両の台数が増えるほど、更新期限や日々の記録が分散し、抜け漏れが起こりやすくなります。とりわけ、社用車の管理には法令が関わる領域があり、記録の欠落がそのまま法令違反につながりかねない点に注意が必要でしょう。
手作業の管理で起こりやすい課題は、大きく3つに整理できます。1つ目は、車検の満了日や定期点検の期限を台帳で追いきれず、期限が過ぎてしまうことです。2つ目は、運行日報や走行距離が紙や個別ファイルに散らばり、車両ごとの稼働状況をつかみにくいという課題があります。3つ目が、酒気帯びの有無を確認するアルコールチェックの記録です。確認したかどうか、いつ確認したかを台帳へ手で書き写す運用では、記録の抜けや保存漏れが生じやすくなります。
これらは単なる事務作業の煩雑さにとどまりません。車検切れの車両を公道で走らせれば法令違反になりますし、後述するアルコールチェックは安全運転管理者の業務として法令で義務づけられています*1。つまり社用車の管理は、業務効率だけでなく法令対応の観点からも、記録を漏れなく残せる仕組みが問われる領域だといえるでしょう。台数が数台のうちは属人的な運用でしのげても、拠点や車両が増えるほど、組織として一元的に把握する必要性が高まります。
車両管理システムとは——社用車の運行と法令対応を一元化する仕組み
車両管理システムとは、社用車の情報と運行実態、法令対応に必要な記録を一つのデータベースにまとめて管理するソフトウェアを指します。具体的には、(1)車両ごとの車両台帳と車検・点検期限の管理、(2)運行日報や走行距離といった運行・稼働の記録、(3)酒気帯び確認の結果を残すアルコールチェック記録、(4)事故・保険・燃費やコストの管理、といった機能を束ねる考え方です。紙や表計算ソフトに分散していた情報を集約し、期限が近づくと担当者へ通知する、といった運用を支えます。
ここで押さえておきたいのが、社用車を一定台数使う事業所には「安全運転管理者」を選任する義務がある点です。道路交通法は、自動車の使用者に対し、自動車の使用の本拠ごとに安全運転管理者を選任するよう定めています(道路交通法第74条の3)*3。選任が必要になる台数の目安は、乗車定員11人以上の自動車を1台以上使う場合、またはその他の自動車を5台以上使う場合です*2。営業車を数台以上持つ企業であれば、多くがこの基準に該当します。
安全運転管理者の業務には、運転者の酒気帯びの有無を確認し、その内容を記録して1年間保存することが含まれます。この確認は令和4年4月1日から目視等による方法で義務づけられ、令和5年12月1日からはアルコール検知器を用いた確認と、検知器を常時有効に保持することが加わりました*1。いわゆる白ナンバーの社用車を使う事業所にも適用される点が、この改正で広く知られるようになった経緯があります。車両管理システムが注目される背景には、こうした法令対応の記録を漏れなく残したいという実務の要請があるわけです。
リース・レンタル管理やIT資産管理との違い——「運行と法令対応」への特化
社用車に関連する管理には、リース・レンタル契約の管理や、パソコンなどを対象とするIT資産管理といった仕組みもあります。名前が似ているため混同されがちですが、車両管理システムはこれらと対象や目的が異なる仕組みです。導入の狙いを取り違えると、期待した法令対応の効果が得られないため、役割の違いを整理しておきましょう。
リース・レンタル管理は、車両を「借りている契約」に着目し、リース料や契約期間、満了・解約のタイミングを管理する領域です。IT資産管理は、パソコンやスマートフォンといったIT機器の保有・利用状況を把握する仕組みで、対象そのものが車両ではありません。いずれも「資産や契約をどう保有・維持するか」に重心を置く仕組みです。これに対して車両管理システムは、保有形態が購入かリースかを問わず、社用車が日々どう運行され、法令で求められる点検やチェックにどう対応しているか、という運行と法令対応の側面に特化します。
| 項目 | リース/レンタル管理・IT資産管理 | 車両管理システム |
|---|---|---|
| 主な対象 | 車両のリース契約・IT機器などの資産 | 社用車そのものの運行と法令対応 |
| 中心となる目的 | 契約・費用や保有状況を管理する | 運行記録と点検・チェックの漏れを防ぐ |
| キーとなる情報 | リース料・契約期間・機器の資産番号 | 車検/点検期限・運行日報・酒気帯び確認記録 |
| 主な利用者 | 総務・調達・情報システム部門 | 安全運転管理者・運行を所管する現場 |
両者は排他的ではなく、組み合わせて使う場面もあります。たとえば車両をリースで調達している企業なら、リース契約はリース管理側で、日々の運行と点検・アルコールチェックは車両管理システム側で扱う、という切り分けが考えられます。すでにリース管理を導入していても、運行と法令対応を見張る機能が手薄であれば、車両管理の観点を別途補う意義は大きいはずです。自社が何を管理したいのかを起点に、どの仕組みが必要かを見極めるとよいでしょう。
車両管理システムの機能要素——台帳・点検期限・運行日報・アルコールチェック
車両管理システムを検討する際は、次の4つの機能要素をどの程度満たすかを見比べると判断しやすくなります。自社の車両台数や拠点数、安全運転管理者の体制に照らして、必要な要素に優先順位を付けていきましょう。
車両台帳——車両ごとの基本情報を一元登録する
基礎になるのは、車両ごとの基本情報を一元的に登録できることです。ナンバー、車種、初度登録、保有形態(購入・リース)、担当部署や使用者、任意保険の内容といった情報を、車両単位でまとめて持ちます。台帳が整っていれば、後述する点検期限の管理やコスト分析も、この台帳を軸に展開できます。紙のファイルや個別の表計算ソフトに散らばった情報を、まず一つの台帳へ集約することが出発点になるでしょう。
点検・車検期限管理——満了日を起点にアラートを出す
社用車の多くは、いわゆる自家用の乗用車として扱われます。自家用乗用車の場合、日常点検は走行距離や運行状態から判断した適切な時期に行い、定期点検は1年ごと(12か月点検)と2年ごと(24か月点検)に実施することとされています*4。バスやトラックなどの事業用自動車では、1日1回運行前の日常点検に加え、3か月ごとと12か月ごとの定期点検が求められます*4。車両管理システムでは、こうした点検区分や車検の満了日を車両ごとに登録し、期限が近づくと担当者へ通知する仕組みが要になります。
あわせて理解しておきたいのが、車検と日常点検の関係です。国土交通省は、自動車の検査(車検)について、検査時点で保安基準に適合しているかを国が確認するものであり、検査証の有効期間内の状態を保証するものではないと説明しています*5。つまり車検を通したから期間中は問題ない、とは言い切れません。日常点検と定期点検を組み合わせて車両の状態を保つ考え方であり、システム側でも車検・定期点検・日常点検をそれぞれ管理できると実務に沿います。
運行日報・走行管理——誰がいつどれだけ走ったかを残す
3つ目は、運行日報や走行距離の記録です。運転者、行き先、出発・帰着の時刻、走行距離などを記録し、車両ごとの稼働状況を把握します。近年はGPSやテレマティクス端末と連携し、走行データを自動で取り込むタイプも一般的です。手書きの日報を後から転記する運用に比べ、記録の抜けや転記ミスを抑えやすくなります。稼働の偏りが見えれば、車両台数の見直しにも役立つでしょう。
アルコールチェック記録——酒気帯び確認の結果を漏れなく残す
4つ目が、安全運転管理者の業務として求められるアルコールチェックの記録です。運転しようとする運転者と運転を終えた運転者について、酒気帯びの有無を確認し、その結果を記録して1年間保存することが義務づけられています*1。令和5年12月1日からはアルコール検知器を用いた確認が加わり、検知器を常時有効に保持することも求められています*1。車両管理システムでアルコールチェックの記録項目を持てば、確認日時・確認者・検知器の使用有無を漏れなく残し、保存期間の管理まで一貫して扱えます。手書き台帳に比べ、記録の抜けや保存不備を抑えやすいのが利点です。
事故・保険・コスト管理——リスクと費用を可視化する
これらに加え、事故の記録や任意保険の更新期限、燃料費・修理費などのコストを管理できると、社用車にまつわるリスクと費用を可視化できます。事故の履歴を車両や運転者に紐づけて残せば、再発防止の指導にも活かせます。燃費やコストを車両ごとに把握できれば、入れ替えや台数最適化の判断材料になるでしょう。どこまでを一つのシステムで扱うかは、自社の管理目的しだいで優先順位を付けるとよいはずです。
開発を外注する前に確認したい点——データ移行・法改正追従・システム連携
車両管理システムを自社向けに開発して外部委託する場合、既製のサービスをそのまま使うのとは違い、自社の運用や既存システムに合わせられる利点があります。一方で、要件のすり合わせが甘いと運用は定着しないものです。委託前に確認しておきたい点を挙げます。
第一に、既存の車両台帳や運行記録からのデータ移行です。多くの企業では、車両情報が表計算ソフトの台帳や紙の日報に散在しています。これらを新システムへ取り込む際、車両情報の名寄せや、車検・点検期限の再計算をどこまで担ってもらえるかを確認しましょう。移行の設計は、導入初期の使い勝手を大きく左右する部分です。
第二に、法改正への追従です。アルコールチェックの義務が段階的に強化されてきたように、社用車の管理に関わる制度は変わり得ます。確認方法や記録項目、保存期間の要件が改正されたとき、システム側の設定変更で対応できる設計になっているかを、要件定義の段階で確認しておくことが望ましいでしょう。制度の解釈そのものは自社や専門家の判断によりますが、記録項目を柔軟に変えられる作りかどうかは、開発段階で決まってきます。
第三に、既存システムとの連携です。人事システムの運転者情報、会計システムの費用データ、GPSやアルコール検知器といった外部機器との連携ができれば、二重入力を避けられます。連携の範囲と方式は、開発の工数にも影響する部分です。加えて、拠点ごとの安全運転管理者が自拠点の記録だけを扱えるようにする権限管理や、記録の改ざんを防ぐログの残し方も、あわせて詰めておきたい観点になります。委託範囲を要件定義から設計・構築、運用・保守までのどこまでとするかを明確にし、元請(プライムベンダー)として一貫して担える体制かどうかを見極めることが、選び方の実質的な分かれ目になるでしょう。
まとめ:車両管理システムを検討するときの3つの視点
本稿では、車両管理システムの役割と機能要素を、社用車の運行と法令対応という観点から整理しました。要点は次の3つです。第一に、車両管理システムは車両台帳・車検/点検期限・運行日報・アルコールチェック記録を一元管理し、手作業の台帳運用で起きがちな期限漏れや記録の抜けを抑える仕組みです。第二に、社用車を一定台数使う事業所には安全運転管理者の選任義務があり、酒気帯び確認の記録と1年間の保存、令和5年12月1日からのアルコール検知器を用いた確認が求められています*1*3。第三に、リース・レンタル管理やIT資産管理とは対象が異なり、車両管理は運行と法令対応に特化する点が核になります。自社の車両の保有・運行実態を棚卸ししたうえで、必要な機能に優先順位を付けて検討することをおすすめします。
よくある質問
社用車は何台から安全運転管理者の選任が必要ですか。
道路交通法は自動車の使用の本拠ごとに安全運転管理者を選任するよう定めており(道路交通法第74条の3)、選任が必要になる目安は、乗車定員11人以上の自動車を1台以上、またはその他の自動車を5台以上使う場合です*2*3。営業車を数台以上持つ事業所の多くが該当します。詳しい基準は所轄の警察や公安委員会の案内でご確認ください。
アルコールチェックの義務はいつから、どのように変わりましたか。
安全運転管理者による酒気帯びの有無の確認は、令和4年4月1日から目視等による方法で義務づけられ、確認結果を記録して1年間保存することとされました。令和5年12月1日からは、アルコール検知器を用いた確認と、検知器を常時有効に保持することが加わっています*1。いわゆる白ナンバーの社用車を使う事業所にも適用されます。
車検を通していれば、点検は不要ですか。
車検(自動車の検査)は、検査時点で保安基準に適合しているかを国が確認するもので、検査証の有効期間内の状態を保証するものではないと国土交通省は説明しています*5。自家用乗用車では日常点検と、1年ごと・2年ごとの定期点検を組み合わせて車両の状態を保つ考え方です*4。車検とは別に点検の期限を管理することが求められます。
リース管理システムを使っていれば、車両管理システムは不要ですか。
リース管理はリース料や契約期間など「契約」の管理が中心で、車両管理システムは運行日報・点検期限・アルコールチェック記録など「運行と法令対応」に特化します。リース管理側に運行と法令対応を見張る機能が手薄であれば、車両管理の観点を補う意義は大きいはずです。契約はリース管理、運行と点検・チェックは車両管理、という切り分けも考えられます。
車両管理システムの開発を外部に委託する場合、何を確認すればよいですか。
既存台帳・運行記録からのデータ移行の範囲、アルコールチェックの記録項目など法改正への追従のしやすさ、人事・会計や外部機器との連携範囲をまず確認します。加えて拠点ごとの権限管理や記録のログ、委託範囲を要件定義から運用・保守までどこまでとするかを明確にすると、導入後の定着につながります。
著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑
ご不明な点はお問い合わせフォームからもご連絡いただけます。
- *1 出典:警察庁「安全運転管理者の業務の拡充等」(アルコールチェックの義務/令和4年4月1日・令和5年12月1日施行)( https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/index-2.html )
- *2 出典:警察庁「安全運転管理者の選任」(安全運転管理者制度の概要・選任基準)( https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzenuntenkanrisya/pdf/seido.pdf )
- *3 出典:e-Gov法令検索「道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)」第74条の3(安全運転管理者等)( https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105 )
- *4 出典:国土交通省「点検整備の種類」(日常点検・定期点検の頻度)( https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha/tenkenseibi/tenken/t1/t1-2/ )
- *5 出典:国土交通省「点検整備の必要性」(車検と点検整備の関係)( https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha/tenkenseibi/tenken/t1/t1-1/ )
- *6 出典:e-Gov法令検索「道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)」第47条の2・第48条(日常点検整備・定期点検整備)( https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185 )