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2026.07.17 らしくコラム

介護記録システムの要件|介護報酬請求とLIFE連携に対応

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)として業務システムの開発・保守を受託

図1

この記事のポイント

  • 介護記録システムは、日々のケア記録(ケア内容・バイタル・実施記録)を起点に、介護報酬請求(国保連への伝送)・LIFEへのデータ提出・ケアプラン連携までを一つの流れで扱う業務システムです。汎用の記録管理システムとは、扱う対象が介護事業の記録と報酬請求に特化する点が異なります。
  • LIFE(科学的介護情報システム)は、令和3年4月にVISITとCHASEを一体化して運用が始まった仕組みで、事業所が一定様式で情報を提出すると分析結果がフィードバックされます。令和6年度介護報酬改定では、LIFE関連加算が要件として位置づけられています。
  • 開発を外注する前に確認したい核は、(1)ケア記録の入力設計、(2)介護報酬請求(国保連伝送)と加算の算定、(3)LIFEへのデータ提出仕様への追従、(4)ケアプランデータ連携システムとの接続の4点です。

紙とExcelに分散する記録・請求・LIFE提出——介護事業者が抱える課題

図2

介護サービスの現場では、日々のケア内容やバイタル、サービスの実施記録を書き留める作業が欠かせません。この記録は、単なる業務メモにとどまらず、月々の介護報酬請求や、LIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出の土台となる情報です。ところが実務では、記録は手書きの用紙、請求は別の請求ソフト、LIFE提出用のデータは表計算ソフト、といった具合に、担当ごと・工程ごとに仕組みが分かれているケースが少なくありません。

図
図:介護記録システムは現場のケア記録を起点に、介護報酬請求・LIFE提出・ケアプラン連携へデータをつなぐ

仕組みが分かれていると、同じ情報を何度も入力し直す手間が生じます。現場で書いた記録を請求ソフトへ転記し、さらにLIFE提出用に別の様式へ入力し直す、という二重・三重の作業です。転記の過程では、写し間違いや漏れも起こりがちでしょう。介護報酬請求は毎月の締めがあり、期限に追われるなかで転記ミスが返戻(差し戻し)につながると、事業所の資金繰りにも影響が及びます。

こうした分断を一つの流れに束ねる仕組みが、介護記録システムです。本稿では、介護記録システムが扱う範囲と、汎用の記録管理システムとの違い、機能要素、そして自社向けに開発を外部へ委託する際の確認点を、厚生労働省や国民健康保険中央会などの公的情報に基づいて整理します。なお本稿は介護業務の記録・請求を支えるシステムの話であり、介護そのものの効果を論じるものではありません。

介護記録システムとは——ケア記録から報酬請求・LIFE提出まで束ねる仕組み

介護記録システムとは、介護サービス事業所や施設が、利用者ごとのケア記録を軸に、介護報酬の請求やLIFEへのデータ提出といった一連の事務を扱うための業務システムを指します。中心にあるのは、日々のケア内容・バイタル・サービスの実施記録の入力です。この記録を一度きちんと残せば、そこから請求データや提出データを組み立てられる、という発想が土台にあります。

介護報酬は、事業者が提供したサービスに対して支払われる対価で、その基準額は厚生労働大臣が社会保障審議会(介護給付費分科会)の意見を聴いて定めるとされています*1。事業所は利用者の状況やサービス提供体制に応じて、加算・減算を反映した費用を算定します*1。介護保険制度では、費用の一部を利用者が負担し、残りを保険給付でまかなう仕組みが採られています*5。この保険給付分を審査・支払する役割を担うのが、市町村(保険者)から委託を受けた国民健康保険団体連合会(国保連)です*6

つまり事業所は、毎月のサービス実績をもとに介護給付費を国保連へ請求します*6。この請求データの根拠になるのが、現場のケア記録です。介護記録システムは、記録の入力から請求データの生成、LIFEへの提出、ケアプランとの連携までを一つのデータの流れとして扱うことで、工程間の転記をなくすことを狙います。次章では、名前の似た「記録管理システム」との違いを整理しておきましょう。

汎用の記録管理システムとの違い——介護事業の記録と報酬請求に特化する

「記録を管理するシステム」という言い方は、文書の保存年限や証拠性を統制する汎用の記録管理システム(レコードマネジメント)と重なって聞こえます。ただし介護記録システムは、これらとは扱う対象と目的の重心が異なる仕組みです。ここを取り違えると、必要な機能をそろえられないまま開発を進めてしまいかねないため、違いを明確にしておきます。

汎用の記録管理システムは、契約書や帳票といった文書について、法令が定める保存年限を守り、内容が改変されていないことを示し、期間満了後は統制のもとで廃棄する、といった文書のライフサイクル統制に主眼を置きます。対象は業種を問わない社内文書全般です。一方の介護記録システムは、対象が介護サービスの記録に絞られ、その記録を介護報酬請求やLIFE提出へつなぐという、介護事業に固有の事務を支えることに重心があります。汎用の記録管理が「文書をどう保存し廃棄するか」を扱うのに対し、介護記録システムは「介護の記録をどう請求と提出につなぐか」を扱う、と整理すると分かりやすいでしょう。

観点 汎用の記録管理システム 介護記録システム
主な対象 契約書・帳票など社内文書全般 介護サービスのケア記録・実施記録
重心となる目的 保存年限の管理と廃棄の統制 記録を報酬請求・LIFE提出につなぐこと*1*3
外部連携の相手 文書管理基盤・基幹システム 国保連(請求)・LIFE・ケアプランデータ連携システム*4*6
制度改定への追従 会社法・税法など保存法令 介護報酬改定・LIFE提出仕様の更新*2*3

もちろん両者は排他的なものではありません。介護記録システムでも、記録の証拠性やアクセス統制は求められます。ただし設計の出発点は、汎用の文書管理の延長ではなく、介護事業の記録と報酬請求という固有の要件に置くことが大切です。この視点の違いが、後の機能要素や外注時の確認点にそのまま表れてきます。

介護記録システムの機能要素——ケア記録・報酬請求・LIFE連携・ケアプラン連携

図3

介護記録システムに求められる機能は、大きく四つの要素に整理できます。すなわち、(1)ケア記録・バイタル・実施記録の入力、(2)介護報酬請求(国保連への伝送)と加算管理、(3)LIFEへのデータ提出とフィードバックの活用、(4)ケアプラン・スケジュールとの連携です。順に見ていきましょう。

ケア記録・バイタル・実施記録の入力

すべての土台になるのが、日々のケア記録の入力です。食事・入浴・排せつといったケアの内容、体温や血圧などのバイタル、そして計画に沿ってサービスを提供した事実を残す実施記録が中心になります。現場ではタブレットやスマートフォンから入力できると、記録のためにその場を離れる負担を抑えやすくなるでしょう。入力の手間が大きいと記録が後回しになり、請求や提出の精度にも響きます。

ここで重要なのは、入力した記録が後工程でそのまま使える形で構造化されていることです。自由記述のメモだけでは、請求やLIFE提出のデータへ機械的に変換できません。誰が・いつ・どの利用者に・どのサービスを提供したかを、項目として整理して残す設計が、後工程の自動化を左右する要点です。記録の入力は地味な機能に見えますが、システム全体の使い勝手を決める要になる部分だといえます。

介護報酬請求(国保連への伝送)と加算管理

ケア記録と実施記録がそろうと、月々の介護報酬請求を組み立てられます。事業所は、サービス提供の実績に基づいて介護給付費請求書や明細書を作成し、国保連へ伝送する流れが一般的です*6。請求は毎月の締めがあるため、実績データから請求データを自動で組み立てられると、締め作業の負担を抑えやすくなります。

請求で難しいのは、加算・減算の算定です。介護報酬は、サービス提供体制や利用者の状況に応じて加算・減算される仕組みになっています*1。どの加算を算定できるかは、体制や記録の内容に左右されます。介護記録システムには、算定できる加算を記録内容から判定し、請求データへ反映する機能が求められるでしょう。あわせて、報酬の基準は介護報酬改定のたびに見直されるため*2、改定への追従を織り込んでおくことが欠かせません。返戻が生じた場合の再請求を管理する機能も、実務では想定しておきたい観点でしょう。

LIFEへのデータ提出とフィードバックの活用

LIFE(科学的介護情報システム。英語表記 Long-term care Information system For Evidence)は、令和3年4月に、通所・訪問リハビリテーションのデータ収集システム(VISIT)と、高齢者の状態やケアの内容等のデータ収集システム(CHASE)を一体化して運用が始まった情報システムです*3。事業所が利用者の状態やケアの計画・内容などの情報を一定の様式で提出すると、そのデータが分析され、結果が事業所へフィードバックされる仕組みとされています*3

介護記録システムの側では、日々の記録からLIFEの提出様式に沿ったデータを組み立て、提出できることが求められます*3。令和6年度介護報酬改定では、LIFEへの情報提出とフィードバックの活用を評価する加算(科学的介護推進体制加算などのLIFE関連加算)が要件として位置づけられました*2。加算を算定する事業所にとって、記録からLIFE提出データを無理なく生成できるかどうかは、実務上の関心事になります。提出仕様は改定や様式更新に伴って変わり得るため*2*3、仕様の更新に追従できる設計にしておくことが望まれます。

ケアプラン・スケジュールとの連携

介護サービスは、居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)が作成するケアプランに沿って提供されます。このケアプランのうち、サービス提供票の予定・実績については、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所の間でやりとりする「ケアプランデータ連携システム」が、国民健康保険中央会によって運営されています*4。同システムは、従来ファクスや郵送で交換していた書類をデータで送受信できるようにする仕組みで、令和5年4月に本稼働しました*4

介護記録システムがケアプランデータ連携システムと接続できると、受け取った予定をもとにスケジュールを組み、提供した実績を記録として残し、それを請求やLIFE提出へつなげられます*4。ケアプラン・スケジュール・記録・請求が同じデータの流れの上に載ることで、工程間の転記を減らせます。連携の対象や様式は運営側の仕様に沿う必要があるため、接続の可否と対応範囲を早めに確認しておくとよいでしょう。

介護記録システムの開発を外注する前に確認したい点

介護記録システムを自社向けに開発して外部へ委託する場合、既製の介護ソフトをそのまま使うのとは違い、自社のサービス種別や記録の運用、既存システムに合わせて設計できる利点があります。一方で、介護報酬請求やLIFE提出のように制度に沿って動く部分を外していては、システムとしての意味が薄れてしまうでしょう。委託前に確認しておきたい点を挙げます。

第一に、記録項目の設計です。現場が無理なく入力でき、かつ後工程で請求・提出データへ変換できる構造になっているかを確認します。自由記述に偏ると、後段の自動化が難しくなります。第二に、介護報酬請求への対応です。国保連への伝送データの生成、加算・減算の算定ロジック、返戻時の再請求、そして介護報酬改定への追従を、どこまで委託先が担うのかを要件定義の段階で具体化しておきましょう*1*2*6

第三に、LIFEへのデータ提出です。記録からLIFEの提出様式に沿ったデータを生成できるか、様式や仕様の更新にどう追従するのかを整理します*2*3。第四に、ケアプランデータ連携システムとの接続です。連携の対象データと様式が運営側の仕様に沿っているか、接続の対応範囲を委託先とすり合わせておくことが大切です*4。あわせて、利用者の心身に関する情報を扱う以上、アクセス統制や操作履歴といった証拠性の担保も、設計の初期から織り込んでおきたい観点です。

加えて、委託の範囲を要件定義から設計・構築、運用・保守までのどこまでとするかを明確にし、元請(プライムベンダー)として一貫して担える体制かどうかを見極めることが、外注先を選ぶ際の実質的な分かれ目になります。制度が求める要件と自社の運用を突き合わせたうえで、内製と外注の切り分けを検討することが実務的だといえるでしょう。

まとめ:介護記録システムで押さえる3つの視点

本稿では、介護記録システムが扱う範囲と、汎用の記録管理システムとの違い、機能要素、開発を外注する際の確認点を、厚生労働省や国民健康保険中央会などの公的情報に基づいて整理しました。要点は次の3つに集約できます。第一に、介護記録システムは日々のケア記録を起点に、介護報酬請求・LIFE提出・ケアプラン連携までを一つの流れで扱う業務システムであり、文書の保存と廃棄を統制する汎用の記録管理とは対象と目的が異なります*1*3。第二に、機能の核は、ケア記録の入力・国保連への請求と加算管理・LIFEへのデータ提出・ケアプランデータ連携システムとの接続の4要素にあります*2*4*6。第三に、介護報酬改定やLIFEの提出仕様は更新され得るため、制度改定への追従を織り込んだ設計と委託範囲の見極めが問われます*2*3。自社のサービス種別と記録の運用を棚卸ししたうえで、必要な要件に優先順位を付けて検討することをおすすめします。

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、業務システムの開発・保守を元請(プライムベンダー)として受託しています。介護記録システムについても、現場のケア記録の入力設計から、介護報酬請求(国保連への伝送)と加算算定、LIFEへのデータ提出仕様への追従、ケアプランデータ連携システムとの接続、アクセス統制による証拠性の担保までを一貫して支援できる体制を整えています。制度改定への追従を見据えて内製と外注の切り分けを検討したい企業様は、現状の整理からご相談いただけます。

よくある質問

介護記録システムと汎用の記録管理システムはどう違いますか。

汎用の記録管理システムは、契約書や帳票など社内文書全般を対象に、保存年限の管理と廃棄の統制に主眼を置きます。一方、介護記録システムは対象が介護サービスの記録に絞られ、その記録を介護報酬請求やLIFE提出、ケアプラン連携へつなぐという介護事業固有の事務を支える点が異なります*1*3。文書の保存の延長ではなく、介護の記録を請求と提出につなぐ仕組みだととらえると分かりやすいでしょう。

介護報酬請求(国保連への請求)はどのような流れですか。

介護報酬は、事業者が提供したサービスに対する対価で、基準額は厚生労働大臣が介護給付費分科会の意見を聴いて定めます*1。費用の一部を利用者が負担し、残りの保険給付分を、市町村から委託を受けた国保連が審査・支払します*5*6。事業所は毎月のサービス実績をもとに介護給付費請求書や明細書を作成し、国保連へ伝送する流れが一般的です*6

LIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出には何が必要ですか。

LIFEは、令和3年4月にVISITとCHASEを一体化して運用が始まった仕組みで、事業所が利用者の状態やケアの内容などを一定様式で提出すると、分析結果がフィードバックされます*3。介護記録システムの側では、日々の記録から提出様式に沿ったデータを生成できることが求められます。令和6年度改定ではLIFE関連加算が要件として位置づけられており、提出仕様の更新への追従も見据えておく必要があります*2*3

ケアプランデータ連携システムとの連携は必要ですか。

ケアプランデータ連携システムは、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所の間で、サービス提供票の予定・実績をデータで交換する仕組みで、国民健康保険中央会が運営し令和5年4月に本稼働しました*4。連携できると、受け取った予定からスケジュールを組み、実績を記録として残し、請求やLIFE提出へつなげられます。接続の対応範囲は運営側の仕様に沿う必要があるため、早めに確認しておくとよいでしょう*4

介護記録システムの開発を外部に委託する場合、何を確認すればよいですか。

記録項目が後工程で請求・提出データへ変換できる構造か、国保連への伝送や加算算定・介護報酬改定への追従に対応できるか、記録からLIFE提出データを生成し仕様更新に追従できるか、ケアプランデータ連携システムと接続できるかをまず確認します*2*3*4*6。加えて、アクセス統制や操作履歴による証拠性の担保、委託範囲を要件定義から運用・保守までどこまでとするかを明確にすると、導入後の運用が定着しやすくなります。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:厚生労働省「介護報酬」( https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/housyu/index.html )
  2. *2 出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」( https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38790.html )
  3. *3 出典:厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)について」( https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198094_00037.html )
  4. *4 出典:国民健康保険中央会「ケアプランデータ連携システム」(https://www.kokuho.or.jp/system/care/careplan/
  5. *5 出典:厚生労働省「介護保険制度の概要」( https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/index.html )
  6. *6 出典:国民健康保険中央会( https://www.kokuho.or.jp/


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