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欠員補充はエンジニア中途採用だけ?選択肢は9つ
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 経験者採用は9つのうち3番目:「要員の育成」51.5%、「外部サービスの利用」51.0%に次いで44.4%です。*1
- 社内の人だけで対応するやり方も並ぶ:「他部門からの異動」14.5%や「運用の自動化・効率化」23.9%も同じ設問の選択肢です。*1
- 24年度より増えたのは異動だけ:筆者が9項目を引き算すると、増えたのは「他部門からの異動」と「その他」でした。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
担当していたメンバーが1人抜けて、当番も改修も止まった。あるいは、同じ経験を持つ人をエンジニア中途採用で探し始めたが、半年たっても決まらない——。欠員補充を考えるとき、多くの現場が「採用以外の手が思いつかない」ところで止まります。手がかりになるのが、JUAS(一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会)の「企業IT動向調査2026」です。*1 人材が不足していると答えた企業に、どんな対策をとっているかを聞いています。*1
この設問を見ると、欠員補充のやり方が9つ並んでいて、エンジニア中途採用にあたる「経験者採用」が何番目に来るのかが分かります。ただし万能ではなく、これは情報セキュリティ人材に限った集計ですし、どの対策がうまくいったかも書かれていません。本記事では、開発の現場を預かるマネージャに向けて、調査が並べている対策、採用と育成と外部サービスの違い、なぜ対策をとる企業が減っているのか、どう選ぶのか、つまずきやすい点、そして外部に頼むときに確認しておきたい点を整理します。
目次
JUASが並べている人材不足への対策
JUASの「企業IT動向調査2026」は、東証上場企業とそれに準じる企業の計4500社を対象にした調査です。調査期間は2025年9月5日から10月24日、25年度の回収数は957社で、有効回答率は21.3%です。*1
ここで見る設問は、全社に聞いたものではありません。情報セキュリティ人材が不足していると答えた企業だけに、その対策を聞いています。*1 回答数は25年度891社、24年度898社、23年度921社です。*1 あくまでセキュリティ人材の話であって、開発要員全般の集計ではありません。
| 対策 | 25年度 | 24年度 | 23年度 | 24年度比 |
|---|---|---|---|---|
| 要員の育成 | 51.5% | 58.9% | 53.4% | −7.4 |
| 新卒採用 | 11.6% | 12.5% | 9.2% | −0.9 |
| 経験者採用 | 44.4% | 48.7% | 46.6% | −4.3 |
| 他部門からの異動 | 14.5% | 13.6% | 11.3% | +0.9 |
| 全社教育の拡充 | 32.9% | 33.5% | 31.3% | −0.6 |
| 外部委託の増員・強化 | 29.6% | 35.4% | 29.2% | −5.8 |
| セキュリティにおける外部サービスの利用 | 51.0% | 53.8% | 50.7% | −2.8 |
| 運用の自動化・効率化(省力化) | 23.9% | 24.4% | 22.8% | −0.5 |
| その他 | 3.5% | 1.4% | 1.5% | +2.1 |
25年度で最も高いのは「要員の育成」51.5%、次いで「セキュリティにおける外部サービスの利用」51.0%、そして「経験者採用」44.4%と続きます。*1 エンジニア中途採用にあたる経験者採用は、9つのうち3番目です。
採用と育成と外部サービスの違い
上位3つは、性質がそれぞれ違います。「要員の育成」と「他部門からの異動」14.5%は、いま社内にいる人に担当を引き継ぐやり方です。*1 新しく人を迎え入れずに、担当者を入れ替えて対応することになります。
「経験者採用」44.4%と「新卒採用」11.6%は、人を迎え入れる手です。*1 エンジニア中途採用はこちら側で、社内で働く人の数そのものを増やすことになります。
「セキュリティにおける外部サービスの利用」51.0%と「外部委託の増員・強化」29.6%は、社外に任せる手です。*1 調査ではこの2つが別の選択肢として置かれており、サービスとして買うのか、要員に加わってもらうのかが分けられています。
もう1つ、「運用の自動化・効率化(省力化)」23.9%があります。*1 担当者を補充するのではなく、その作業自体を減らすやり方です。欠員補充を人の話だけで考えないための選択肢が、同じ設問のなかに置かれていることになります。
なぜ対策をとる企業が減っているのか
3年並べると、25年度は24年度より下がっている項目が目立ちます。「要員の育成」は7.4ポイント減、「経験者採用」は4.3ポイント減、「セキュリティにおける外部サービスの利用」は2.8ポイント減です。*1
筆者が9項目すべてで引き算すると、24年度より増えたのは「他部門からの異動」0.9ポイントと「その他」2.1ポイントの2つだけでした。対策として挙げられた8つのうち、増えたのは異動の1つということになります。
報告書は、人材不足は解消されていないのに対策に取り組む企業の割合が減っている、と述べています。*1 そのうえで、対策として実効性を感じることができていない、または対策の推進にリソースが割かれ、そもそも人材確保に手が回っていないなどが可能性として想定される、と書いています。*1 「可能性として想定される」とあるとおり、これは調査で確かめた因果ではありません。
どう選ぶのか
選び方は、辞めた人が担当していた作業のうち、いま誰も手をつけていないものを書き出すところから始まります。当番なのか、月次の改修なのか、設計のレビューなのか。作業の名前で書けると、9つのどれが当てはまるかも決まります。
次に、間に合うかどうかで絞ります。育成も異動も社内の人手を使う手なので、その人が抜けた分の作業が別のところで止まります。エンジニア中途採用は社内の人数を増やせますが、決まるまでにどれだけかかるかは読めません。
そのうえで、期限に間に合わない分を書き出します。「問い合わせの一次受けを平日日中で6か月」「月次の改修の設計を3か月」——ここまで書ければ、社内で動かす分と、外部に委託する分が分かれます。
つまずきやすい難所
一つめは、この割合を開発要員全体の数字として読むことです。これは情報セキュリティ人材が不足していると答えた企業の対策で、*1 開発要員全般を聞いたものではありません。
二つめは、複数回答であることを忘れることです。1社が複数の対策を選べるので、割合を足しても100%にはなりませんし、順位は重なりの上に出ています。
三つめは、順位を効果の順だと思うことです。調査が聞いているのはどの対策をとっているかまでで、どれがうまくいったかは今回参照した資料に記載はありません。
外注時に確認しておきたい点
欠員補充の期限に社内の手が間に合わないなら、任せる作業と期間を書き出してから声をかけてください。「問い合わせの一次受けを平日日中で6か月」といった粒度で構いません。外部の要員(自社で雇わず、作業ごとに契約して働いてもらう人。フリーランスや請負の会社を含みます)に頼む場合、任せる作業と期間がはっきりしているほど、引き受けてくれる人を早く見つけられます。
調査が「外部サービスの利用」と「外部委託の増員・強化」を分けている点は、声をかけるときにも使えます。*1 サービスとして買って運用ごと預けるのか、自社のチームに加わってもらうのかで、頼む相手も条件も変わります。
何を社内に残すかの判断は社内に残してください。ここを社外に委ねると、次に人が抜けたときに同じところから考え直すことになります。正社員のエンジニア中途採用と外部の要員のどちらを選ぶかも、この判断が社内にあるかで変わります。
人を採れないことが開発のどこに出るかはエンジニア採用できない要因とは?工期・品質・予算で確かめるで扱っています。
職種ごとに採用と育成のどちらが難しいかはエンジニア採用の採用要件を絞る手順と育成の課題49.9%にまとめました。
入ってもらう人のスキルの確かめ方は外部エンジニアのスキル確認、4つの軸で評価するで整理しています。
抜けるときに何を残してもらうかはSES契約終了で決める6項目|アクセス権と知財の帰属にあります。
まとめ:欠員補充で押さえる3つの視点
欠員補充では、辞めた人が担当していた作業のうち、いま誰も手をつけていないものを書き出します。それができると、育成・異動・採用・外部委託のどれで対応するかを決められます。押さえておきたい視点は3つに整理できます。第一に、対策として最も多いのは「要員の育成」51.5%で、エンジニア中途採用にあたる「経験者採用」は44.4%と9つのうち3番目であること。*1 第二に、同じ設問に「他部門からの異動」14.5%や「運用の自動化・効率化(省力化)」23.9%も置かれており、人を補充する以外のやり方も数えられていること。*1 第三に、9項目を引き算すると24年度より増えたのは「他部門からの異動」と「その他」の2つだけだったことです。この3点を踏まえておけば、「同じ経験を持つ人を探し始めたが、半年たっても決まらない」という事態を避けやすくなります。止まっている作業を書き出し、社内で動かせる分を決めるところまでは社内でできます。その先、期限に間に合わないなら、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
人材不足の対策で最も多いのは何ですか
JUAS「企業IT動向調査2026」では、25年度は「要員の育成」51.5%です。*1 次いで「セキュリティにおける外部サービスの利用」51.0%、「経験者採用」44.4%と続きます。*1 確認日は2026年9月18日です。
これは開発要員全般の集計ですか
違います。情報セキュリティ人材が不足していると答えた企業に、その対策を聞いた集計です。*1 回答数は25年度891社、24年度898社、23年度921社です。*1 確認日は2026年9月18日です。
24年度より増えた対策はありますか
資料の9項目を筆者が引き算すると、増えたのは「他部門からの異動」0.9ポイントと「その他」2.1ポイントの2つです。資料自身が本文で挙げているのは、要員の育成が7.4ポイント減、経験者採用が4.3ポイント減、外部サービスの利用が2.8ポイント減という3項目です。*1 確認日は2026年9月18日です。
どの対策が効果があったと書かれていますか
今回参照した資料に記載はありません。聞いているのはどの対策をとっているかまでで、結果は扱っていないためです。確認日は2026年9月18日です。
対策をとる企業が減った理由は何ですか
報告書は、実効性を感じることができていない、または対策の推進にリソースが割かれ人材確保に手が回っていないなどが可能性として想定される、と書いています。*1 「可能性として想定される」とあるとおり、調査で確かめた因果ではありません。確認日は2026年9月18日です。
止まっている作業が決まったら相談
「問い合わせの一次受けを平日日中で6か月」といった形で作業と期間が書けていれば、そのままご相談いただけます。まだ社内で動かすか外部に委託するか決めきれていない段階でも構いません。
Remoguとリラシクなら、当番に入る要員も、改修の設計から担う要員も、作業と期間を決めたうえでお探しいただけます。
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出典
- *1 参考:JUAS「企業IT動向調査2026」(PDF)(https://juas.or.jp/cms/media/2026/04/JUAS_IT2026.pdf)。出典:JUAS「企業IT動向調査2026」(2025年度調査)。一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会発行。アンケート調査は2025年9月5日から10月24日、調査対象は東証上場企業とそれに準じる企業の計4500社、25年度の回収数957社・有効回答率21.3%。図表5-4-4(情報セキュリティ人材不足の対策・23〜25年度)の一次情報として。この記事は資料に示された数値をもとに表と図を筆者が作成した。資料の図表そのものは複製していない(2026年9月確認)
- *2 参考:JUAS「企業IT動向調査」(調査報告書の一覧)(https://juas.or.jp/library/research_rpt/it_trend/)。調査が毎年実施され報告書が公開されていることの確認として(2026年9月確認)
- *3 参考:一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(https://juas.or.jp/)。発行元の確認として(2026年9月確認)