LASSIC Media らしくメディア

2026.09.18 採用支援コラム

システム刷新の進め方|機能仕様を変えないのが再開発




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 機能を変えないなら再開発:IPAは「機能仕様を殆ど変更する事無く、作り直す場合」を再開発と定めています。*1
  • 変えるなら割合で分かれる:90%以上で新規開発、10%以上90%未満で拡張、10%未満で改修・保守です。*1
  • 既存システムの有無だけでは決まらない:既存システムがあっても約90%以上なら新規開発として扱う、と但し書きがあります。*1

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。

基幹システムの刷新が決まったので、外部の要員を探し始めた。あるいは、刷新のはずが「せっかくなので」と機能追加の要望が並び、当初の見積もりが合わなくなった——。システム刷新を進めようとすると、多くの現場が「これは作り直しなのか、作り変えなのか」に突き当たります。手がかりになるのが、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公開している「ソフトウェア開発分析データ集」です。案件がどの種別にあたるかを、表で機械的に決められるようになっています。*1

この表を使えば、いま進めようとしているものが再開発なのか拡張なのかを先に決められます。ただし万能ではなく、どちらが望ましいかは書かれていませんし、要員を何人そろえるべきかも載っていません。本記事では、開発の現場を預かるマネージャに向けて、IPAが分けている6つの種別、再開発と拡張の違い、なぜ「刷新」と言うだけでは決まらないのか、どう決めるのか、つまずきやすい点、そして外注の勘所を整理します。

銅板の屋根とコンクリートの壁が組み合わさった建物を、階段の下から見上げた外観

IPAが分けている6つの開発種別

IPAの「ソフトウェア開発分析データ集2022」は、企業から提供された開発案件の実績を集計した資料です。発行は社会基盤センターで、案件ごとに集める項目が1つずつ定義されています。*1 そのなかの103番が「開発プロジェクトの種別」で、スクラッチ開発、パッケージ利用開発、OSS含む流用開発、再開発(リプレース)から選びます。*1

開発プロジェクトの種別の選択基準(出典:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」A5.2.2の103_開発プロジェクトの種別に付された表。規模の列は、スクラッチ開発・パッケージ利用開発・OSS含む流用開発のうち規模が最も大きい開発スタイルを指す。本書の著作権はIPAが保有し無断の改変や公衆送信などは禁じられているため、この表は示された内容をもとに筆者が作成したものであり、資料の表そのものを複製したものではない)
機能仕様の追加・変更があるか 規模が最も大きい開発スタイル 今回の開発部分が全体に占める割合 開発種別
ある スクラッチ開発 90%以上 a:新規開発
ある スクラッチ開発 10%以上90%未満 d:拡張
ある スクラッチ開発 10%未満 b:改修・保守
ある パッケージ利用開発 e:パッケージ利用開発
ある OSS含む流用開発 f:OSS含む流用開発
ない(作り直し) c:再開発

選び方は表で決まっています。入口は「機能仕様の追加・変更があるか」の一問です。*1 ここで「ない(作り直し)」を選ぶと、それだけで c:再開発 に決まります。*1 割合を数える必要もありません。

「ある」を選んだ場合は、規模が最も大きい開発スタイルを見ます。*1 スクラッチ開発なら、今回の開発部分が全体に占める割合で3つに分かれます。90%以上なら a:新規開発、10%以上90%未満なら d:拡張、10%未満なら b:改修・保守です。*1

再開発と拡張の違い

システム刷新を言い当てるのは、6つのうち c:再開発 です。資料の説明はこうなっています。「既存システムが存在し、機能仕様を殆ど変更する事無く、作り直す場合。(いわゆるリプレース、モダナイゼーションを含む)」。*1

一方の d:拡張 は、「ベースとなるシステムが存在し、機能追加など改修を伴う開発を行う。(新規開発部分は約10〜90%である)」と説明されています。*1 同じ既存システムが相手でも、機能を変えるかどうかで別の種別になります。

2つの違いは、割合を数える前の段階にあります。再開発は「機能仕様の追加・変更がない」側に置かれているので、規模の列も割合の列も「—」です。*1 拡張は割合で決まるので、開発部分を見積もらないと種別が決まりません。

なお a:新規開発 の説明には但し書きが付いています。「ベースとなるシステムが存在する場合でも、新規開発部分が本プロジェクトの開発部分の約90%以上の場合は、新規開発として扱う」。*1 既存システムがあるからといって、自動的に刷新の側になるわけではありません。

なぜ「刷新」と言うだけでは決まらないのか

「刷新」という言葉は、この表のどこにも出てきません。出てくるのは再開発、拡張、新規開発、改修・保守という4つと、パッケージ利用開発、OSS含む流用開発です。*1 社内で刷新と呼んでいるものが、表のどれに当たるかは別に決める必要があります。

判断が割れるのは、機能追加が混じったときです。作り直しのつもりで始めても、「せっかくなので」と要望が足されていけば、機能仕様の追加・変更が「ある」側に移ります。そこからは割合で種別が決まり、10%を超えた時点で拡張になります。*1

ここは資料が述べていることではなく、表から読める分け方です。IPAは案件の実績を比べるために種別を決めていますが、同じ表は、どこまでを今回の範囲にするかを社内で確かめるときにも使えます。

どう決めるのか

決め方は、今回の案件で機能仕様を変えるかどうかを先に答えるところから始めます。画面や帳票の項目が増えるのか、業務の流れが変わるのか。変えないと答えられるなら、そこで c:再開発 に決まります。

システム刷新が再開発か拡張かを分ける手順を、左から右へ4つの箱で示した図。1つ目は機能仕様を変えるかどうかを答えること(変えないならc:再開発。いわゆるリプレース)、2つ目は変えるなら開発部分が全体に占める割合で分けること(90%以上は新規開発、10%以上90%未満は拡張、10%未満は改修・保守)、3つ目は種別に応じて求める経験を書くこと(再開発なら現行の読み解きと移行、拡張なら設計の判断)、4つ目は外部の要員に任せたうえで、機能仕様を変えるかどうかの判断は社内に残すこと。区分と基準はIPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」の103_開発プロジェクトの種別と選択基準による。

変えると答えたなら、開発部分が全体に占める割合を見積もります。90%以上なのか、10%以上90%未満なのか、10%未満なのか。この3つのどれかで、新規開発・拡張・改修・保守のどれかに決まります。*1

種別が決まると、求める経験の書き方も決まります。再開発なら、現行の仕様を読み解く経験と移行の経験が要ります。拡張なら、既存の設計に手を入れる判断ができる経験が要ります。同じ「システム刷新の要員」でも、聞くことは別になります。

つまずきやすい難所

一つめは、既存システムがあることを再開発の根拠にすることです。新規開発の説明には、既存システムがあっても新規開発部分が約90%以上なら新規開発として扱う、と但し書きがあります。*1

二つめは、割合を感覚で答えることです。10%と90%という2つの境目で種別が変わるので、開発部分をどう見積もるかで結論が動きます。資料は見積もりの手順までは定めていません。

三つめは、この表に進め方の良し悪しを求めることです。定義されているのは種別の選び方までで、どの種別が望ましいかや、どう進めるべきかは含まれていません。

外注時に確認しておきたい点

種別が決まったら、任せる作業と期間を書き出します。「現行の受注機能の仕様を洗い出して3か月」といった粒度で構いません。外部の要員(フリーランスを含む業務委託)は、作業と期間がはっきりしているほど合わせやすい調達の仕方になります。

再開発だと決めたなら、機能を変えない範囲で進める、という前提も伝えてください。ここが曖昧なまま入ってもらうと、現場で要望を受けるたびに種別が動き、見積もりも作り直しになります。

一方、機能仕様を変えるかどうかの判断は社内に残してください。ここを社外に委ねると、要望を受けるかどうかを決める人がいなくなります。正社員の採用と外部の要員のどちらを選ぶかも、この判断が社内にあるかで変わります。

刷新そのものが止まる話はレガシー刷新を止めるのは理解不足ではなく要員の不足にあります。

既存システムの刷新に予算が向いている話は既存システムの刷新と新規導入の違い、予算増の理由は66.3%で扱っています。

案件で使う技術に経験があるかどうかは中途採用の育成とは|IPAは経験のない技術を新技術と呼ぶで整理しました。同じ資料の別の項目です。

工程のどこを外部に委託しているかはシステム開発の外部委託|設計・実装・テストで63.4%にあります。

まとめ:システム刷新で押さえる3つの視点

システム刷新は、始める前に種別を決めておくと条件が書けます。押さえておきたい視点は3つに整理できます。第一に、IPAは「機能仕様を殆ど変更する事無く、作り直す場合」をc:再開発と定めており、リプレースとモダナイゼーションを含むこと。*1 第二に、機能仕様の追加・変更があると割合で分かれ、90%以上で新規開発、10%以上90%未満で拡張、10%未満で改修・保守になること。*1 第三に、既存システムがあっても新規開発部分が約90%以上なら新規開発として扱うという但し書きがあることです。*1 この3点を踏まえておけば、「刷新のはずが機能追加の要望が並び、当初の見積もりが合わなくなった」という事態を避けやすくなります。機能仕様を変えるかどうかを答え、変えるなら割合を見積もるところまでは社内でできます。その先、現行を読み解ける人が社内にいなければ、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

種別が決まったあとは、担い手を探す段階です。現行の受注機能の仕様を洗い出して3か月、データ移行の設計を2か月——このくらいまで書けていれば、求める経験の条件も決まります。再開発なら現行の読み解きと移行の経験、拡張なら既存の設計に手を入れる判断の経験と、聞くことが変わるためです。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材ニーズの発生から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で稼働まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

IPAは再開発をどう定義していますか

「ソフトウェア開発分析データ集2022」は、「既存システムが存在し、機能仕様を殆ど変更する事無く、作り直す場合。(いわゆるリプレース、モダナイゼーションを含む)」と定めています。*1 確認日は2026年9月18日です。

再開発と拡張はどこで分かれますか

機能仕様の追加・変更があるかどうかで分かれます。*1 ないなら再開発、あるならスクラッチ開発の割合で、10%以上90%未満が拡張になります。*1 確認日は2026年9月18日です。

既存システムがあれば再開発ですか

違います。新規開発の説明に「ベースとなるシステムが存在する場合でも、新規開発部分が本プロジェクトの開発部分の約90%以上の場合は、新規開発として扱う」という但し書きがあります。*1 確認日は2026年9月18日です。

開発種別はいくつありますか

新規開発、改修・保守、再開発、拡張、パッケージ利用開発、OSS含む流用開発の6つです。*1 確認日は2026年9月18日です。

どの種別が望ましいと書かれていますか

今回参照した資料に記載はありません。定義されているのは種別の選び方までで、良し悪しは含まれていないためです。確認日は2026年9月18日です。

種別が決まったら相談

「現行の受注機能の仕様を洗い出して3か月」といった形で作業と期間が書けていれば、そのままご相談いただけます。まだ再開発か拡張か決めきれていない段階でも構いません。

Remoguとリラシクなら、現行を読み解いて移行まで担う要員も、既存の設計に手を入れる要員も、作業と期間を決めたうえでお探しいただけます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

無料相談はこちら

出典

  1. *1 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」(PDF)(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/hjuojm000000c6it-att/000102171.pdf)。出典:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」。独立行政法人情報処理推進機構 社会基盤センター発行。A5.2.2「開発プロジェクト全般」のデータ項目103_開発プロジェクトの種別(定義・6区分の説明・補足説明)および「開発プロジェクトの種別の選択基準」の表の一次情報として。本書の著作権はIPAが保有し無断の改変や公衆送信などは禁じられているため、この記事は示された定義を引用し、図と表は内容をもとに筆者が作成した。資料の図表そのものは複製していない(2026年9月確認)
  2. *2 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」(公開ページ)(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/metrics2022.html)。本編と業種編・サマリー版という構成と、収録されている指標の範囲の確認として(2026年9月確認)
  3. *3 参考:IPA「ソフトウェア開発分析データ集」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/metrics/index.html)。年度ごとに公開されていることの確認として(2026年9月確認)




View