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2026.10.09 採用支援コラム

面談しても辞める、エンジニア中途採用の早期離職を防ぐ面談の組み方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

窓際に観葉植物と卓上ライトを置いた小さな打ち合わせ室で、木の天板の机を白い椅子6脚が囲んでいる写真。人も読める文字も写っていない

この記事の結論

  • キャリアの相談に乗るしくみを持つ事業所のうち、正社員で50.3%が目的に職場定着を挙げ、効果に定着率の向上を挙げたのは21.5%でした。
  • 働く人がキャリアを相談する相手は「職場の上司・管理者」が正社員で69.5%と多く、面談の多くは上司が担っています。
  • 中途で入ったエンジニアとは入社直後から時期と聞く項目を決めて面談し、上司以外の相談先も用意しておきます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

中途で採ったエンジニアが、入社して半年ほどで辞めてしまった。上司とは定期的に面談していたのに、辞めると聞くまで何も気づけなかった——。エンジニア中途採用では、こうした行き違いが起こりがちです。早期離職を防ぐ面談とは、入社して間もない人と上司や人事が1対1で話し、仕事やこの先のキャリアについての困りごとを早めにつかむための場のことです。

面談の場そのものは、多くの会社がすでに持っています。ところが厚生労働省の能力開発基本調査では、キャリアの相談に乗るしくみを持つ事業所の多くが、効果が見えにくいことや相談の件数が少ないことを問題に挙げています。面談をしているかどうかより、誰が、いつ、何を聞くかで差が出るということです。本記事では、エンジニアを採用する実務担当者に向けて、調査の数値から面談の現状と形だけになる理由を整理し、中途で入った人との面談の組み方をまとめます。

早期離職を防ぐ面談とは

入社後の面談には、いくつかの種類があります。人事評価の結果を伝える面談、日々の仕事の進み具合を確かめる面談、そして本人のこの先の仕事やキャリアについて相談に乗る面談です。評価の面談では本人が困りごとを話しにくく、進み具合の確認では仕事の外にある不安まで話が届きにくいものです。早期離職を防ぐ目的で設けるなら、3つ目の相談の面談を中心に考えると整理しやすくなります。

この相談は、法律では「キャリアコンサルティング」と呼ばれます。職業能力開発促進法は、キャリアコンサルティングを「労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うこと」と定めています。そのうえで事業主は、必要に応じて、能力開発の各段階や労働者の求めに応じてキャリアコンサルティングの機会を確保するなどの援助を行うものとされています。*1

本記事で数値を引く厚生労働省の「令和7年度能力開発基本調査」も、この相談をキャリアコンサルティングと呼び、事業所と働く人の両方に尋ねています。調査の対象は、30人以上の常用労働者を雇う企業と事業所、その事業所で働く人です。*3 中途で採用した人だけを分けた数値ではないので、自社の中途採用に当てはめるときは、傾向をつかむ材料として使います。

上司との面談はどこまで広がったか

上司が部下と定期的に話す面談は、すでに広く行われています。労働者の主体的なキャリア形成に向けて実施した取組を事業所に尋ねると、「上司による定期的な面談の実施(1on1ミーティング等)」が69.8%で最も多く、「職務の遂行に必要なスキル・知識等に関する情報提供」の53.0%、「自己啓発に対する支援」の47.0%が続きました。*2

キャリアの相談に乗るしくみを正社員に対して持つ事業所は、全体で48.4%でした。産業別に見ると情報通信業は71.5%で、全体より20ポイント以上高くなっています。*2 エンジニアを採る会社の多くは、相談の場をすでに持っていると考えてよさそうです。

ただし、相談を受けている人がキャリアコンサルタントかどうかを尋ねると、「そうである」は11.7%、「そうではない」は74.0%でした。*2 多くの事業所では、キャリアコンサルタントではない上司や担当者が、手探りで相談を受けていることになります。

面談の目的と定着への手応え

キャリアの相談に乗るしくみを持つ事業所に目的を尋ねると、正社員では「労働者の仕事に対する意識を高め、職場の活性化を図るため」が69.2%、「労働者の自己啓発を促すため」が67.3%と多く、「新入社員・若年労働者の職場定着促進のため」は50.3%でした(複数回答)。半数の事業所が、定着を目的の一つに置いています。

一方、行った効果として「新入社員・若年労働者の定着率が向上した」を挙げた事業所は、正社員で21.5%でした。多かったのは「労働者の仕事への意欲が高まった」の44.9%と、「自己啓発する労働者が増えた」の36.7%です。*2

キャリアの相談に乗るしくみを持つ事業所の、目的と効果(正社員・複数回答。厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査」から作成。単位は%)
項目 目的に挙げた 効果に挙げた
仕事への意識・意欲 69.2 44.9
自己啓発 67.3 36.7
新入社員・若年労働者の定着 50.3 21.5

効果として定着を挙げた割合は、目的に挙げた割合の半分に届きません。この21.5%は事業所の回答の割合で、定着率そのものではない点に注意が要ります。選択肢も新入社員・若年労働者を対象にしたもので、中途で入った人の定着は直接には尋ねていません。それでも、面談を続けていれば自然に辞める人が減る、とまでは期待しにくい結果です。

面談が形だけになる理由

しくみを持つ事業所のうち、キャリアの相談を行ううえで問題があるとした事業所は、正社員で68.9%でした。*2 問題の内訳は次のとおりです。

キャリアの相談を行ううえでの問題点(問題があるとした事業所・複数回答。厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査」から作成。単位は%)
問題点 正社員 正社員以外
相談を行っても、その効果が見えにくい 42.2 36.7
労働者からの相談件数が少ない 41.6 46.3
相談を受けられる人材を内部で育成することが難しい 37.1 30.6
労働者が相談する時間を確保することが難しい 36.8 35.2
相談を受けられる者の他の業務が多忙で時間がない 23.4 20.7
外部から調達するのにコストがかかる 19.2 19.3

上位の2つは、面談が形だけになっている状態をよく表しています。相談の件数が少ないのは、相談したいことが無いからだけではありません。上司との面談が評価の場と重なっていると、不満や迷いは口にしにくくなります。効果が見えにくいのは、何を確かめるのかを決めないまま面談を始めると、話した内容を次の面談と比べられないためです。

時期の偏りもあります。正社員の相談の実施時期は、「1年に1回、3年に1回など、定期的に実施する」が55.2%、「労働者から求めがあった時に実施する」が49.6%、「人事評価のタイミングに合わせて実施する」が47.4%で、「入社3年目、5年目など、入社から一定の年数が経過した時に実施する」は21.3%でした。*2 年に1回の面談や評価に合わせた面談だけでは、入社して数か月の人と相談の場で話す機会が、最初の評価の時期まで来ないことがあります。本人から求めるのを待つ形も、入社したばかりの人には使いにくいものです。

働く側は誰に相談しているか

働く人の側の答えも見ておきます。令和6年度にキャリアコンサルティングを受けた人は、正社員で14.8%でした。キャリアに関する主な相談先は「職場の上司・管理者」が正社員で69.5%と突出し、「企業内の人事部」は18.2%、「企業外の機関等(再就職支援会社、キャリアコンサルティングサービス機関等)」は13.1%です(3つまでの複数回答)。*2

働く人がキャリアに関する主な相談先として挙げた相手を、正社員と正社員以外で比べた横棒グラフ(3つまでの複数回答)。職場の上司・管理者が正社員69.5%(正社員以外58.1%)、企業内の人事部18.2%(14.1%)、企業外の機関等(再就職支援会社、キャリアコンサルティングサービス機関等)13.1%(12.5%)、企業外の独立したキャリアコンサルタント8.1%(4.5%)、企業内の人事部以外の組織またはキャリアに関する専門家7.8%(5.1%)。出典は厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査」個人調査 図97。

相談が役に立ったとした人の内訳では、正社員で「仕事に対する意識が高まった」が45.9%、「上司・部下との意思疎通が円滑になった」が31.9%、「現在の会社で働き続ける意欲が湧いた」が23.5%でした。*2 面談の手応えは、辞める人が減るかどうかより先に、上司との話しやすさに表れています。

キャリアコンサルタントによる相談を利用したいかを尋ねると、正社員では「費用を負担することなく、社内で利用できるのであれば、利用したい」が33.4%、「費用を負担することなく、社外で利用できるのであれば、利用したい」が22.6%でした。*2 相談の相手は上司に集まっていますが、上司以外にも話せる場を求める人は少なくありません。上司との関係そのものが悩みのとき、本人はそれを上司との面談では話せないからです。

中途採用者との面談の組み方

中途で入ったエンジニアは、研修期間をはさまずに配属され、入社した日から仕事を任されることがよくあります。年に1回の面談や評価の面談を待たず、入社した時点で面談の予定を先に決めておくと、困りごとを早めに拾えます。時期ごとに聞くことの例を挙げます。

中途で入ったエンジニアとの面談の時期と聞くこと(例)
時期 主に聞くこと 担う人
入社した週 開発環境や権限、資料がそろっているか。質問できる相手がいるか 配属先の上司
入社1か月 任された作業が入社前の説明と合っているか。チームの進め方で戸惑っていることはないか 配属先の上司
入社3か月 技術の面で伸ばしたいこと。評価の基準で分かりにくいところ 上司と人事
試用期間の終わる前 この先半年の担当と、本人の希望とのずれ 上司と人事

時期と聞くことは例なので、自社の試用期間の長さや評価の時期に合わせて決めます。肝心なのは、聞く項目を毎回そろえて記録し、前回の答えと比べられるようにしておくことです。前の勤め先を辞めた理由を面接で聞いているなら、その理由に当たる状態が自社でも起きていないかを項目に入れます。面接での聞き方は「エンジニア中途採用の早期離職、前職の離職理由を面接で確かめる」で扱っています。

上司との面談とは別に、上司以外の相談先を1つ決めて、入社した時点で本人に伝えておきます。人事の担当者、別のチームの先輩エンジニア、社外のキャリアコンサルタントなどです。職業能力開発促進法も、キャリアコンサルティングの機会を確保する場合には、キャリアコンサルタントを有効に活用するよう配慮するものとしています。*1

面談で聞いたことの扱い

面談で聞いた内容を、誰がどこまで見られるのかは、最初に決めて本人に伝えます。上司以外の相談先で話した内容が、本人の了解なく上司や評価に回ると、次からは誰にも本音を話さなくなります。人事に上げるのは本人が了解した内容と、職場全体の傾向に限るのが一つの方法です。

記録は本人の個人情報として扱い、見られる人を限ります。保存する期間や消すときの手順は社内の決まりに沿って決めます。健康や家族の事情のように配慮の要る話が出たときの扱いは、社内の規程を確かめ、迷う場合は専門家に相談します。

面談で分かった困りごとは、本人に結果を返します。すぐに直せることは直し、すぐには直せないことは、いつ頃までに何をするのかを伝えます。話しても何も変わらない状態が続けば、本人は相談しなくなり、調査で多かった「相談件数が少ない」という問題に近づきます。入社後の満足度を項目ごとに聞く方法は「エンジニア中途採用の早期離職の予兆、入社後の面談で満足度を聞く」にまとめています。

つまずきやすい点

一つ目は、面談の回数を増やせば早期離職が減ると考えてしまうことです。調査でも、目的に定着を挙げた事業所に比べて、効果に定着率の向上を挙げた事業所はずっと少ない結果でした。回数を決める前に、聞く項目と、聞いた後に何を変えるのかを決めておきます。

二つ目は、評価の面談と相談の面談を一緒にしてしまうことです。同じ場で評価を伝えると、本人は困りごとを話すより、評価への受け答えに時間を使います。時間が限られるときは、評価の話を先に終え、後半を相談に充てるように区切ります。

三つ目は、面談を上司ひとりに任せきりにすることです。開発の締め切りが重なる時期には、上司の面談が真っ先に削られます。面談の予定を人事の側でも把握し、飛んだ回があれば人事から声をかけるようにしておくと、入社直後の大事な時期に空白ができにくくなります。上司の手が足りずに面談の時間を取れない状態が続くなら、開発の一部を外部の専門人材に任せて、上司の時間をつくることも考えられます。

まとめ:中途採用者との面談で決めておきたい3つの点

エンジニア中途採用の早期離職を防ぐ面談について、決めておきたい点は3つに整理できます。第一に、評価の面談とは分けて相談の面談を設け、入社した時点で時期の予定を決めること。第二に、聞く項目を毎回そろえて記録し、前回と比べられるようにすること。第三に、上司以外の相談先を用意し、聞いた内容を誰が見られるかを本人に伝えることです。調査では、面談の目的に定着を挙げる事業所は多い一方、効果として定着を挙げる事業所は少なく、効果が見えにくいという問題も多く挙がっていました。面談の場を持つだけで終わらせず、聞いた後の手当てまでつなげておけば、「面談はしていたのに気づけなかった」という事態を避けやすくなります。受け入れの体制づくりに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

面談で上司の時間が足りないと分かっても、すぐには採用で埋められないことがあります。開発の一部を外部の専門人材に任せ、上司が面談に使う時間をつくる方法も選択肢に入れておけます。

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よくある質問

入社後の面談は、どのくらいの間隔で行えばよいですか

調査は面談の間隔を尋ねていないので、目安となる回数は示せません。入社した直後は間隔を短くし、仕事に慣れてきたら月に1回ほどに広げるなど、本人の状況に合わせて決めます。間隔より、毎回同じ項目を聞いて前回と比べられることを優先します。

キャリアコンサルタントの資格がない上司が面談をしてもよいですか

差し支えありません。調査でも、相談を受けている人がキャリアコンサルタントである事業所は11.7%で、多くは資格を持たない人が担っています。上司との関係が悩みの場合に備えて、上司以外の相談先を用意し、必要に応じて社外のキャリアコンサルタントを使える形にしておきます。

面談で「辞めたい」と言われたら、どうすればよいですか

その場で引き止めや説得をせず、まず理由と、何が変われば続けられそうかを聞いて記録します。すぐに直せることがあれば、いつまでに何をするかを伝えます。退職の申し出として扱うかどうかや手続きは、就業規則を確かめ、迷う場合は専門家に相談します。

エンジニアの中途採用を相談したいとき

入社後の面談の組み方や、受け入れの体制の整理からご相談いただけます。

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出典

  1. *1 参考:e-Gov法令検索「職業能力開発促進法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/344AC0000000064)。出典:職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第2条第5項(キャリアコンサルティングの定義)、第10条の3(事業主が講ずる措置)を参照(確認日2026年10月8日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査」結果の概要(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/104-07b.pdf)。出典:厚生労働省「令和7年度能力開発基本調査」(2026年7月31日公表)。事業所調査の図37・図38(キャリアコンサルティングを行うしくみ)、図39(産業別)、図40(実施時期)、図41(目的)、図42(効果)、図43・図44(問題点)、図45(キャリアコンサルタントの導入状況)、図48(主体的なキャリア形成に向けた取組)と、個人調査の図96〜図99を参照。表と図は資料の数値をもとに作成した(確認日2026年10月8日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:厚生労働省「能力開発基本調査:調査の概要」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/104-1a.html)。出典:調査の対象(30人以上の常用労働者を雇用する企業・事業所と、その事業所に属する労働者)を参照(確認日2026年10月8日)(2026年10月確認)




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