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クラウドエンジニアの採用要件と経験の見極め方|面接の聞き方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- クラウドエンジニア/SREは、クラウドの上で開発と運用の環境を整え、サービスの信頼性を高める役割です。
- 求人票は重要度aの4つのスキルを必須の軸にし、使っているクラウドと任せる仕事の中身を書き添えます。
- 面接では本人が担った範囲を聞き、期間の決まった移行は業務委託、日々の運用は社員と分けて確保します。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
「AWSやAzureを扱える人を社員で採りたい」「求人にクラウドエンジニアと書いたら、応募者の経験がばらばらだった」——。クラウドエンジニアの採用を任された情報システムの責任者や開発マネージャが、迷いやすい点です。クラウドエンジニアは、インターネット経由で借りるサーバーなどの基盤(クラウド)の上に、システムを動かす環境を作り、安定して動き続けるよう整える技術者です。
経済産業省とIPAがまとめた「デジタルスキル標準」(デジタル人材に求める力の一覧)は、ソフトウェアエンジニアの役割の1つとして「クラウドエンジニア/SRE」を置き、求める力の水準を示しています。*1 本記事では、この標準とIPAの調査をもとに、クラウドエンジニアの役割、求人票の要件の書き方、面接での経験の見極め方、社員と外部人材の分け方を整理します。
目次
クラウドエンジニアとは
デジタルスキル標準は、クラウドエンジニア/SREの責務を「デジタル技術を活用したサービスを提供するためのソフトウェアの開発・運用環境の最適化と信頼性の向上に責任を持つ」と定めています。*1 SREは、サービスを止めずに安定して動かすための取り組みを指す言葉です。標準が挙げる主な業務は、次の3つです(言い換えています)。*1

- 利用者のニーズを実現するための、開発と運用の環境を作る
- ほかのエンジニアからの意見を受けて、運用の環境を整える
- 運用中のサービスを見張り続け、信頼性を高めるための対応をする
標準は、このロールの名前を、一般的な求人市場などで使われている表現を意識したものと説明しています。*1 また、数十名以上のエンジニアのチームを持つ企業を想定しており、小さな会社では全てのロールを少数または1人が担うこともあるとしています。*1 エンジニアが数名の会社で募集するなら、クラウドの仕事のほかに何を任せるかも決めておきます。
サーバーやネットワークの運用と夜間の対応を含めた採用の考え方は、インフラエンジニアの採用が難しい理由で扱っています。本記事は、クラウドの上で開発チームと組んで環境を整える役割に絞ります。
バックエンドエンジニアとの違い
クラウドを使う力は、クラウドエンジニアだけに求められるものではありません。標準は、サーバー側の機能を作るバックエンドエンジニアにも「クラウドインフラ活用」などを中心とするスキルを求めています。*1 2つの役割に求める水準を並べると、違いが見えてきます。
標準は求める水準を、a「高い実践力と専門性が必要」、b「一定の実践力と専門性が必要」、c「説明可能なレベルで理解が必要」などの段階で示しています。*1 クラウドインフラ活用はどちらもaです。クラウドエンジニア/SREはSREプロセスとセキュリティの運用・監視でaになり、バックエンドエンジニアは機能の開発と設計でaになります。*1
| 任せたい仕事 | 募集する役割 |
|---|---|
| 新しい機能や、画面の裏で動く処理を作る | バックエンドエンジニア |
| 環境の構成、監視、障害のときの対応、リリースの仕組みを整える | クラウドエンジニア/SRE |
| 両方を1人に任せたい | 主に任せる仕事で役割を決め、もう一方は歓迎の要件にする |
求人に「クラウドエンジニア」とだけ書くと、クラウドの上で機能を作ってきた人と、環境を整えてきた人の両方が応募してきます。どちらの仕事を主に任せたいのかを、募集の前に決めておきます。
求人票の要件の書き方
標準でクラウドエンジニア/SREに重要度aが付いているスキルは、次の4つです。*1 必須の要件はこの4つを軸にし、b以下の項目は歓迎の要件や入社後に覚える項目に回すと、要件を絞り込めます。

| スキル項目 | 標準の説明 | 求人票での書き方の例 |
|---|---|---|
| クラウドインフラ活用 | クラウドを利用してシステムの基盤を作り、動かす力 | 自社で使っているクラウドで、本番の環境を作ったか動かした経験 |
| SREプロセス | 開発と運用が協力し、リリースの速さとサービスの安定を目指す力 | 監視の仕組みを整え、障害を振り返って再発を防いだ経験 |
| セキュリティ運用・保守・監視 | サービスを安全に運用する保守と対策、監視と原因の究明を行う力 | 権限の管理や、不審な操作の監視を担当した経験 |
| コンピュータサイエンス | データ構造やアルゴリズムなど、ソフトウェア開発の土台の知識 | 処理が遅いときに原因を調べて直した経験 |
スキルの名前だけでは、候補者は仕事の中身を思い描けません。求人票には次の点も書き添えます。
- 使っているクラウドの種類(AWS、Azureなど)と、その上で動いている主なシステム
- 環境をこれから作るのか、動いている環境を引き継いで手を入れていくのか
- 一緒に働く開発者の人数と、相談できる社内の担当者
- 障害のときの呼び出しがあるか、あるならその頻度
経験の見極め方と面接の聞き方
クラウドの経験は、職務経歴書に並んだサービスの名前の数では測れません。同じ「構築の経験」でも、設計から任されたのか、決められた手順で作業したのかで、任せられる仕事が変わります。面接では、本人が担った範囲を具体的に聞きます。
| 聞くこと | 確かめる点 |
|---|---|
| 担当した環境の規模と、自分で決めたこと | 構成を自分で選んだのか、決まった構成を作ったのか |
| 障害に何で気づき、どう直したか | 監視の仕組みで気づけたか。再発を防ぐ手を打ったか |
| 環境の設定をどう残していたか | 手作業か、設定をファイルで管理するやり方か。後の人が引き継げる形だったか |
| 権限や操作の記録をどう扱っていたか | 権限を必要な範囲に絞り、操作の記録を見る運用をしていたか |
| 費用が急に増えたときの対応 | 使っていない資源を見つけて止めるなど、費用にも目を配っていたか |
答えを「私たちは」と「私は」に分けて話してもらうと、チームの成果と本人の担当が見分けやすくなります。障害の話では、そのとき何を見て、誰に何を伝えたかまで聞くと、運用の深さが見えます。
資格は学んだ範囲の目安になりますが、実務の深さは上の質問で確かめます。AWS認定の真偽や有効期間の確かめ方はAWS認定の確認方法に、面接でのスキルの見方の全体はエンジニア採用の技術面接にまとめています。
社員と外部人材の分け方
IPAの調査「DX動向2025」では、DXを進める人材の量が「やや不足している」「大幅に不足している」と答えた日本企業は合わせて85.1%でした。*2 同じ調査で、米国とドイツは「特定技術を有する企業や個人との契約」を使う割合が日本より高いと報告されています。*2 クラウドの仕事も、社員の採用だけで埋めようとせず、仕事の性質で確保の方法を選べます。

| 場面 | 向いている方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 社内のサーバーからクラウドへの移行など、期間の決まった仕事 | 業務委託の専門人材 | 範囲と期間を決めて進められる |
| 移行した後の日々の運用と、開発チームと組んだ改善 | 社員採用 | 自社のシステムの知識を社内に残せる |
| 近くで経験者が見つからない | リモートワークの社員採用 | 住む場所を問わずに候補者を探せる |
業務委託の専門人材にクラウドの作業を頼むときは、契約の前に次の点を決めておきます。
- クラウドのアカウントの持ち主と、利用料の支払いは自社にする
- 権限は作業に要る範囲だけ渡し、契約が終わったら外す
- 環境の構成図と、作業や復旧の手順書を残してもらう
- 移行の後に運用を担う社員が、作業に途中から加わる
移行の計画は業務委託エンジニアと進めるクラウド移行、権限の渡し方は業務委託エンジニアの受け入れと権限管理、クラウドの仕事を受託や委託で補う進め方はクラウドエンジニア不足をAWS受託・委託で補完する進め方で扱っています。契約の細かい扱いは、契約書と専門家に確かめてください。
まとめ:クラウドエンジニア採用で確かめたい3つの点
クラウドエンジニアの採用で確かめておきたい点は3つです。第一に、クラウドエンジニア/SREは開発と運用の環境を整えて信頼性を高める役割で、機能を作るバックエンドエンジニアとは求める水準が違うこと。第二に、求人票は重要度aの4つのスキルを必須の軸にし、使っているクラウドと任せる仕事の中身を具体的に書くこと。第三に、面接では本人が担った範囲を聞き、期間の決まった移行は業務委託、日々の運用は社員と分けて確保を考えることです。
よくある質問
クラウドエンジニアとバックエンドエンジニアは1人で兼ねられますか
兼ねる人もいますが、デジタルスキル標準では求める水準の中心が違います。*1 主に任せたい仕事で役割を決め、もう一方の経験は歓迎の要件にすると、選考の基準がぶれにくくなります。
クラウドの資格を必須の要件にしてもよいですか
資格は学んだ範囲の目安になりますが、必須にすると実務の経験が豊富でも資格を持たない人が応募しにくくなります。歓迎の要件に置き、実務の深さは面接で本人が担った範囲を聞いて確かめる方法が使えます。
自社と違うクラウドの経験者を採用してもよいですか
まず、自社のクラウドでの経験を必須にするか、ほかのクラウドの経験でもよいかを決めます。ほかのクラウドの経験者を候補に入れるなら、入社後に自社の環境に慣れる期間を計画に入れておきます。
クラウドの環境を担う人材を相談
使っているクラウドと任せたい仕事が分かっていれば、そのままご相談いただけます。社員で採るか、移行の期間だけ業務委託で頼むかを決めきれていない段階でも構いません。
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出典
- *1 参考:IPA「デジタルスキル標準(DSS)」(https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/index.html)。出典:経済産業省・独立行政法人情報処理推進機構「デジタルスキル標準 ver.2.0」(2026年4月・PDF)。ロール一覧、ソフトウェアエンジニアのロール(得意領域によるロール区分・ロールの分担・スキルマッピングの考え方)、クラウドエンジニア/SREとバックエンドエンジニアの担うべき責務・主な業務・スキルの重要度、共通スキルリストのスキル項目の説明を参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)
- *2 参考:IPA「DX動向2025」(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2025.html)。出典:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」(PDF)。図表3-1 DXを推進する人材の「量」の確保(日本の不足の合計85.1%)、図表3-5 DXを推進する人材の獲得・確保の方法を参照。2024年度調査(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)