LASSIC Media らしくメディア

2026.10.20 らしくコラム

情シス代行の費用の決まり方|常駐・訪問・リモートの選び方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

会議室の長机に並べた4台のノートPCに担当者が電源ケーブルをつなぎ初期設定する手元

この記事の結論

  • 情シス代行の費用は、常駐・訪問・リモートの形で払い方が変わり、任せる範囲と量で金額が動きます。
  • 常駐型は人数と日数、リモート型は人数・台数と時間帯で決まるので、払う単位を揃えて比べます。
  • 見積もりの前に、任せる範囲・期間・体制・費用の計算方法・引き継ぎを社内で決めておきます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

情シスの仕事を外部に頼みたいが、月にいくらかかるのか見当がつかない。見積もりを取ってみたら、事業者によって金額も前提もばらばらだった——。社内に情報システムの担当者が少ない会社では、こうした迷いが起こりがちです。情シス代行は、PCの準備やアカウントの管理、社内ネットワークの保守、取引先のIT業者とのやり取りといった情報システム部門の仕事を、外部の事業者が代わりに受け持つ委託の形です。

費用は、担当者が社内に常駐するか、必要なときに訪問するか、離れた場所から遠隔で対応するかによって、払い方から変わります。ただし万能な形はなく、金額を大きく左右するのは任せる仕事の範囲と量です。本記事では、情シス業務をまとめて任せたい企業の担当者に向けて、3つの形の違い、費用が決まる要素、見積もりの比べ方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

情シス代行とは

情シス代行が受け持つのは、社員が毎日使うIT環境を保つ仕事です。社員からの問い合わせ窓口だけを切り出して頼む形もありますが、本記事では次のような情シス業務をまとめて頼む場合を扱います。

  • PC・スマートフォン:購入後の初期設定、配布、回収、廃棄までの管理
  • アカウント:入社・異動・退職に合わせた、メールや業務システムの利用者の追加と削除
  • ネットワーク:社内のWi-Fiやルーター、VPN(社外から社内の環境へ暗号化してつなぐ仕組み)の設定と、つながらないときの原因の切り分け
  • 取引先のIT業者の管理:回線、複合機、クラウドサービスの契約先との窓口と、契約更新の管理
  • IT資産の台帳:機器、ソフトウェア、ライセンスの一覧の更新

IPA(情報処理推進機構)の中小企業向けガイドラインも、IT資産の管理に手が回らない場合の選択肢として「IT資産管理代行サービスの利用(IT資産管理の外部委託)」を挙げています。*1 一方で、委託先に渡した情報が漏れた場合は、委託先の不備であっても委託元としての管理責任を問われるとも書いています。*1 頼むとしても、何をどこまで渡すかを決めるのは自社の役割です。

常駐・訪問・リモートの違い

情シス代行の形は、担当者がどこで働くかで大きく3つに分かれます。形ごとに違うのは、費用の払い方と、誰が作業の指示を出せるかの2点です。

棚のルーターとハブにLANケーブルを差し直す訪問担当者の手元

情シス代行の3つの形の違い
形 費用の払い方 作業の指示 向いている場面
常駐型 人数と日数(月の稼働時間)で払う 派遣契約なら自社が出せる。業務委託なら委託先の責任者を通す 社員が多く、対面の対応や機器の作業が毎日ある
訪問型 定期訪問の月額と、臨時の訪問を分けて払う 委託先の担当者が自ら段取りして進める 拠点が近く、機器の入れ替えや配線など現地の作業が月に数回ある
リモート型 対象の人数・台数と対応時間帯で決めた月額で払う 委託先の窓口に依頼する 社員が各地にいて、作業の多くがアカウントや設定の変更で済む

常駐型の金額の目安には、公的な統計が1つあります。厚生労働省の令和6年度の集計(速報)では、情報処理・通信技術者を派遣で受け入れる場合の派遣料金は、8時間換算の平均で34,382円(消費税込み)でした。*2 月20日分を単純に掛けると約69万円となり、全業務の平均26,257円より高い水準です。*2 訪問型とリモート型については、料金をまとめた公的な統計は公表されていません。

作業の指示にも注意が要ります。請負などの業務委託の契約で人が常駐する場合、作業の進め方の指示や勤務時間の管理は委託先が自ら行うことが、厚生労働省の告示で求められています。*3 自社の社員が常駐者に直接指示を出したいなら派遣契約、進め方まで任せるなら業務委託、と契約の形から決めておきます。個別の契約がどちらにあたるかは、契約書と専門家に確かめてください。

費用が決まる要素

見積もりの金額は、形の違いよりも「何を・どれだけ・いつまでに」頼むかで動きます。月額を組み立てる要素は、次の5つです。

  • 範囲:PC、アカウント、ネットワーク、取引先の管理のうち、どれを任せるか
  • 量:社員数、PCやスマートフォンの台数、拠点の数、月の問い合わせ件数
  • 時間帯:平日の日中だけか、夜間や休日の連絡も受けるか
  • 速さ:連絡を受けてから何時間以内に対応を始めるか。SLA(サービスの水準を約束する取り決め)で定める
  • 初期費用:引き継ぎの資料作り、台帳の整理、手順書の作成

情シス代行の見積もりの金額が決まる要素を示した図。範囲、量、時間帯と速さ、初期費用の4つの箱から矢印が右の「見積もりの金額」の箱へ向かう。

つまずきやすいのは、範囲と量を決めないまま見積もりを取ることです。同じ「PCの管理」でも、新しいPCの初期設定だけを指すのか、故障した機器の修理の手配や廃棄までを含むのかで作業量は変わります。入社や退職のたびに発生するアカウントの作業も、年に何人が入れ替わるかで月額が変わるので、直近1年の入退社の人数を数えておくと見積もりの精度が上がります。

見積もりの比べ方

複数の事業者から見積もりを取るときは、金額の大小を見る前に、前提が同じかどうかを揃えます。前提が違う見積もりは、安く見えても比べたことになりません。

夜のオフィスでヘッドセットを付けモニター2台を使って遠隔対応する担当者

  • 同じ業務一覧を渡す:任せたい業務と量を1枚にまとめ、どの事業者にも同じものを渡す
  • 含まれるものと別料金を分ける:臨時の訪問、機器の購入の代行、夜間の対応が月額に入っているか
  • 払う単位を揃える:人月、時間、件数、台数のどれで払うかを1つの表に並べ直す
  • 増減のルールを見る:社員や台数が増えたとき、月額がどう変わるか
  • 社内に残る仕事を確かめる:承認や予算の判断など、自社で続ける作業は何か

形どうしの比較も、同じ一覧の上で行います。常駐型は担当者の時間をまとめて買う払い方なので、作業が少ない月でも金額は変わりません。リモート型は対象の人数や台数で月額が決まるため、社員が増えると費用も増えます。毎日の対面作業が多いなら常駐型、現地の作業が月に数回ならリモート型に訪問型を組み合わせる形、と場面で分けて考えると選びやすくなります。

外部に頼むときに確認しておきたい点

情シス代行を頼む前に、次の点を社内で決めておくと、相談のときにそのまま見積もりの前提として使えます。

  • 範囲:PC、アカウント、ネットワーク、取引先の管理のうち、どこまで任せ、何を社内に残すか
  • 期間:まず数か月試すのか、年単位で任せるのか。更新と解約の条件
  • 体制:担当者が休んだときの代わり、連絡の窓口、報告の頻度
  • 費用の決まり方:月額の内訳と、範囲や台数が増えたときの計算方法
  • 引き継ぎ:管理者のパスワードや機器の台帳、取引先の連絡先をどう渡し、契約を終えるときにどう返してもらうか

特に引き継ぎは、始めるときと終えるときの両方で決めておきます。契約を終えたあとに、管理者のパスワードや手順書が委託先の手元にしか残っていない状態は避けたいところです。社内の担当者が1人しかいない場合の課題や、外注の進め方から整理したい場合は、ひとり情シスの課題を外注(情シス代行)で解決する進め方もあわせてご覧ください。

まとめ:情シス代行の費用で確かめておきたい3つの点

情シス代行の費用を見積もるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、PC、アカウント、ネットワーク、取引先の管理のうち、どこまで任せるかを決めること。第二に、常駐・訪問・リモートのどの形で、何を単位に払うかを揃えて比べること。第三に、台数や人数が増えたときの計算方法と、契約を終えるときの引き継ぎを先に決めておくことです。この3点を踏まえておけば、「安いと思って選んだのに、別料金が重なって想定より高くなった」という事態を避けやすくなります。見積もりの前提づくりに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

情シス業務の代行では、Microsoft Entra IDやGoogle Workspaceの管理画面でのアカウントの追加と削除、Microsoft IntuneなどのMDM(PCやスマートフォンをまとめて管理する仕組み)による設定の配布、ルーターやUTM(ネットワークの出入口をまとめて守る機器)の設定管理を組み合わせて受け持ちます。設計の段階では、入社・退職の手続きと連動させるアカウントの範囲、管理者の権限を誰が持つか、機器の台帳に何を記録するかをお客様と決めます。運用では、問い合わせと作業をチケット管理の仕組みで記録し、月ごとの対応の内訳を報告したうえで、任せる範囲と体制の見直しを提案します。

よくある質問

情シス代行に初期費用はかかりますか

引き継ぎの資料作りや台帳の整理を、月額とは別の初期費用として見積もる事業者があります。見積もりを比べるときは、初期費用が別になっているか、月額に含まれているかを確かめてください。社内の台帳や手順書が整っているほど、この作業は少なくなります。

社員が何人くらいから情シス代行を考えるとよいですか

人数だけで決まる基準はありません。社内の担当者がほかの仕事と兼ねていて、入退社のたびのアカウント作業や機器の準備が滞っているなら、検討を始める時期といえます。まず一部の業務だけを頼み、様子を見て範囲を広げる進め方もあります。

業務委託で常駐してもらう場合、社員が直接作業を頼んでもよいですか

請負などの業務委託では、作業の進め方の指示は委託先が自ら行うことが求められています。*3 社員からの依頼は委託先の窓口や責任者を通す流れを、契約と運用のルールで決めておくと、指示の行き違いを防げます。個別の判断は契約書と専門家に確かめてください。

情シス業務の代行のご相談

PC・アカウント・ネットワークの管理から取引先のIT業者との窓口まで、任せる範囲の整理と体制づくりを元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

無料相談はこちら

出典

  1. *1 参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版」(https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/about.html)。出典:コラム「IT 資産管理について」のIT資産管理代行サービス(外部委託)の選択肢と、第1部の委託先の情報セキュリティ対策と委託元の管理責任の記述を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(https://www.mhlw.go.jp/content/001684019.pdf)。出典:表6「派遣料金」の令和6年度・全業務平均(26,257円)と情報処理・通信技術者(34,382円)の8時間換算の平均を参照。派遣料金は消費税を含む額(2026年10月確認)
  3. *3 参考:厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)(https://www.mhlw.go.jp/content/000780136.pdf)。出典:第2条(業務の遂行方法に関する指示、労働時間等に関する指示を請負事業主が自ら行うこと)を参照(2026年10月確認)




View