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ヘルプデスクを業務委託するときの5つのポイント|情シス担当者向け
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- 個人の業務委託には、問い合わせの受付や定型の作業など、手順が決まっていて結果を確かめやすい仕事を任せます。
- 管理者の権限を誰に渡すかの判断、問い合わせの優先順位、社内のルールづくりは社内に残します。
- 日々の指示を自社で出すなら派遣、長く任せるなら社員、範囲を区切って任せるなら個人の業務委託が向きます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
社内からの問い合わせに追われて、本来の仕事が進まない。ヘルプデスクの専任を採るほどの量ではないけれど、兼任ではもう回らない——。こうした会社で検討されるのが、ヘルプデスクの業務委託です。ここでいうヘルプデスクの業務委託とは、社員からのITの問い合わせ受付や一次対応を、会社ではなく個人の専門人材と業務委託契約を結んで任せることを指します。
個人に頼むと、範囲や時間帯を細かく決めて任せやすい反面、1人に頼る形になります。本記事では、情シスの責任者や、総務でIT担当を兼ねている人に向けて、ヘルプデスクの仕事の中身、業務委託で任せられる仕事、社内に残す仕事、社員・派遣・外注サービスとの比べ方、頼む前に確認したい5つのポイントを整理します。
目次
社内ヘルプデスクの仕事と担い手
社内ヘルプデスクの仕事は、社員からのITの困りごとを受け付けて、自分で解決するか、担当者へつなぐことです。中身は会社によって違いますが、おおむね次の5つに分けられます(本記事の整理)。
- 問い合わせの受付と記録:電話・チャット・メールで受けて、内容と対応を残す
- 定型の作業:パスワードの再設定、PCの初期設定、ソフトの導入など
- 一次切り分け:どこで止まっているかを確かめ、直せないものを担当へつなぐ
- アカウントの発行と停止の作業:入社・異動・退職に合わせて行う
- 手順書とよくある質問の更新:繰り返し出る質問をまとめておく
担い手の実情を見ると、専任を置いていない会社が多数です。東京商工会議所が主に東京23区内の中小企業に聞いた調査では、情報システム担当者について、専任の担当者がいる企業が11.7%、兼任の担当者がいる企業が43.9%、外部委託している企業が15.0%、担当者はいない企業が28.9%でした(1,002社)。*1
ヘルプデスクの仕事も、本業と兼ねる社員か外部の誰かが受け持っている例が多いと考えられます。ただし、この調査が聞いているのは情報システム担当者全体の置き方で、ヘルプデスクだけの数字ではありません。
業務委託で任せられる仕事
個人の業務委託に向くのは、手順が決まっていて、結果を確かめやすい仕事です。依頼する側が「何を、どこまで」を決めておけば、進め方は本人に任せられます。

- 問い合わせの一次受付と記録:受け付ける時間帯と、記録に残す項目を決めて任せる
- 手順書のある定型の作業:PCの初期設定やパスワードの再設定など
- 一次切り分けと引き継ぎ:自分で直せないものは、決めておいた社内の担当や保守会社へつなぐ
- 手順書とよくある質問の整備:問い合わせの記録から、繰り返し出る質問をまとめる
反対に、その日の優先度がたびたび変わり、社内の担当者が作業のたびに指示を出す必要がある仕事は、業務委託には向きません。業務委託は、頼む仕事の範囲と成果を約束して進め方を任せる形です。作業の一つひとつを指示したいなら、派遣など別の形を考えます。指示の出し方の扱いは、契約書と専門家に確かめてください。
社内に残しておく仕事
任せる範囲が広がっても、決める仕事と権限の管理は社内に残します。IPA(情報処理推進機構)の「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」は、ユーザーIDと管理者ID(管理者の権限を持つID)の発行・変更・削除の手続を定め、必要最小限の割り当てにするよう勧めています。*2 業務の一部を外部に委託するときは、委託先の責任や実施すべき対策を契約書に明記し、合意する必要があるとしています。*2
| 社内に残す仕事 | 残す理由 |
|---|---|
| 管理者の権限を誰に渡すかの判断 | 渡す範囲を最小にし、契約が終わったときに漏れなく止めるため |
| 問い合わせの優先順位の判断基準 | 業務への影響の大きさは、社内の事情を知る人でないと決められないため |
| 保守会社や製品の窓口との契約 | 契約の当事者は自社で、問い合わせの権利も自社にあるため |
| 社内のITのルールの決定 | 端末の使い方や情報の扱いは、会社が決めて社員に示すものだから |
| 対応記録の保管先の管理 | 担当が替わっても、社内の人が読める状態にしておくため |
権限は、業務委託の人にも社員と同じく1人に1つのIDを発行します。ガイドラインは、共有のIDをなるべく使わないこと、退職や契約満了のときに情報・機器・ID・鍵などを回収することも挙げています。*2 権限の渡し方と削除の手順は「業務委託エンジニアの受け入れと権限管理」で詳しく扱っています。
社員・派遣・外注サービスとの比べ方
ヘルプデスクを担う形は、個人の業務委託のほかに、社員の採用、派遣、会社に任せる外注サービスがあります。選ぶときに使う軸で並べると、次のようになります。

| 形 | 契約の相手 | 日々の作業の指示 | 期間の考え方 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|---|
| 社員の採用 | 本人(雇用契約) | 自社が出す | 期間を定めず長く | 問い合わせが毎日多く、社内の事情を覚えて長く担ってほしい |
| 派遣 | 派遣会社 | 自社が出す | 同じ組織単位で同じ人は原則3年まで | 優先度が日々変わり、社内の担当者がその都度指示したい |
| 外注サービス | 委託先の会社 | 委託先が担当者を管理する | 契約期間ごと | 受付の時間を長く取りたい、複数人で回してほしい |
| 個人の業務委託 | 本人(業務委託契約) | 範囲と成果を約束し、進め方は本人に任せる | 契約期間ごと、更新もできる | 量や時間帯が決まっていて、範囲を区切って任せたい |
派遣の欄は法律の定めによります。労働者派遣法は、派遣を、派遣会社が雇う人を他の会社の指揮命令を受けて働かせることと定めています。*3 同じ組織単位の業務に同じ人を3年を超えて続けて派遣することはできません(無期雇用の人などを除く)。*3
- 社内の事情を覚えた人に長く任せたいなら、社員の採用(リモートワークの社員も選べる)
- 作業の指示を日々自社で出したいなら、派遣
- 受付の時間を長くしたい、人の入れ替わりも任せたいなら、外注サービス
- 決まった時間帯の受付や定型の作業を、範囲を決めて任せたいなら、個人の業務委託
個人の業務委託は1人に頼る形なので、本人が休むときの代わりを決めておく必要があります。会社に丸ごと任せる考え方は「ひとり情シスの課題を外注(情シス代行)で解決する進め方」で扱っています。
外部に頼むときに確認しておきたい5つの点
個人に業務委託するときは、契約の前に次の5つを書き出しておくと、候補者との話が具体的になります。フリーランス法は、個人に業務委託をした企業に、仕事の内容、報酬の額、支払期日などを書面かメールなどで直ちに示すよう定めています。*4
- 任せる範囲:受け付ける問い合わせの種類と、本人が対応する作業、ほかへつなぐ作業の境目
- 期間と稼働の時間帯:契約期間、受け付ける曜日と時間、急ぎの連絡の受け方
- 体制:社内の窓口になる人、本人が休むときの代わり、保守会社へのつなぎ方
- 費用の決まり方:時間で払うか、月ごとの定額か、範囲の外の作業をどう扱うか
- 引き継ぎ:対応記録と手順書の置き場所、契約が終わるときのIDと貸与機器の回収
契約の細かい扱いは、契約書と専門家に確かめてください。社内のIT担当を何人置くかは「情シスの人数の目安」、IT担当がまだいない会社の最初の1人は「情シスがいない会社のIT担当の決め方」で扱っています。
まとめ:ヘルプデスクを業務委託するときの要点
ヘルプデスクを個人の業務委託に任せるときに押さえたい点は3つです。第一に、任せるのは問い合わせの受付や定型の作業など、手順が決まっていて結果を確かめやすい仕事にすること。第二に、管理者の権限を誰に渡すかの判断、優先順位の基準、社内のルールづくりは社内に残すこと。第三に、日々の指示を自社で出したいなら派遣、長く任せたいなら社員、範囲を区切って任せたいなら個人の業務委託と、場面で形を選ぶことです。任せる範囲と時間帯が書き出せたら、候補を探す段階に進めます。
よくある質問
ヘルプデスクを1人の業務委託に任せると、休みのときはどうなりますか
1人に頼る形なので、本人が休む日は対応が止まります。契約の前に、不在の日は社内の窓口が受けること、急ぎでない問い合わせは翌営業日に回すことなど、代わりの流れを決めておきます。受付を途切れさせたくないなら、複数人で回す外注サービスや社員の採用と比べて選びます。
業務委託の人に管理者の権限を渡してもよいですか
IPAのガイドラインは、管理者IDの発行から削除までの手続を定め、必要最小限の割り当てにするよう勧めています。*2 渡すなら、作業に要る範囲だけにして、1人に1つのIDを発行し、契約が終わったら止める手順を先に決めます。渡すかどうかの判断は社内に残します。
ヘルプデスクには業務委託と派遣のどちらが向いていますか
作業の指示を日々自社で出したいなら派遣が向きます。労働者派遣法は、派遣を、派遣先の指揮命令を受けて働く形と定めています。*3 受付の範囲と時間帯が決まっていて、進め方を任せられるなら業務委託が向きます。どちらにするか迷うときは、指示の出し方を基準に考えます。
ヘルプデスクを任せる人材の探し方を相談
任せたい問い合わせの範囲と時間帯が決まっていれば、そのままご相談いただけます。業務委託にするか社員で採るか迷っている段階でも構いません。
Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査 集計結果(詳細版)」(2025年1月10日)(PDF)(https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1205203)。出典:東京商工会議所 中小企業のデジタルシフト・DX推進委員会。調査期間2024年10月15日〜11月15日、主に東京23区内の中小企業1万社へ送付し1,218社が回答。情報システム担当者の設置状況(n=1,002)を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
- *2 参考:IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版」(PDF)(https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/ug65p90000019cbk-att/sme_guideline_v4.0.pdf)。出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)。第1部 経営者編の委託先の対策(取組6)と、第2部 実践編のIDアクセス制御・退職や契約満了時の回収を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
- *3 参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088)。第2条第1号(労働者派遣の定義)、第35条の3(同一の派遣労働者に係る期間の制限)を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
- *4 参考:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000025)。第3条(給付の内容その他の事項の明示等)を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)