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2026.10.21 らしくコラム

ELK Stackとは?ログ分析の仕組みと導入の進め方を解説

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

夕方のオフィスでモニターのログ件数グラフの山を指でたどる担当者

この記事の結論

  • ELK Stackは、ログを集める・整える・ためる・見るを受け持つElasticの製品群の呼び名です。
  • ログの中身で細かく検索や集計をしたい場合に向き、LokiやGraylogとはログの持ち方とライセンスが違います。
  • 導入前に保存期間とライセンスを確かめ、すべての製品の版をそろえて更新する担当を決めておきます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

サーバーが止まった原因を調べたいのに、ログが何台ものサーバーに散らばっていて探しきれない。障害の連絡を受けてから、関係するログを集めるだけで時間がかかる——。サーバーやアプリケーションが増えてきた現場では、こうした悩みが起こりがちです。ELK Stack(エルクスタック)は、Elasticsearch・Logstash・Kibanaの頭文字をとった呼び名で、散らばったログを1か所に集めて検索し、グラフにして見るための製品の組み合わせです。

障害の原因調査に役立つ一方で、万能ではなく、ログの量や見たい内容によっては、ほかの仕組みのほうが合うこともあります。本記事では、ログの管理を任された情報システムの担当者に向けて、ELK Stackを構成する製品、ログが画面に出るまでの流れ、LokiやGraylogとの違い、導入の進め方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

ELK Stackとは

開発元のElastic社は、Elasticsearch・Kibana・Beats・Logstashからなる製品群をElastic Stackと呼び、ELK Stackはその別名だと説明しています。*1 もとは3つの製品の頭文字をとった呼び名で、いまはログを送り出す小さなソフト(Beats)も含めて呼ばれています。

サーバー室でラックの列から1本のラックへケーブルの束が集まる様子

  • Elasticsearch:ログを保存し、検索や集計をする中心の部分です。1台から複数台のサーバー(ノード)がまとまって動きます
  • Logstash:いろいろな場所から届くログを受け取り、形をそろえて送り出す部分です
  • Kibana:保存したログを検索し、グラフやダッシュボード(複数のグラフを並べた画面)で見る部分です
  • Beats・Elastic Agent:各サーバーに入れてログを送り出すソフトです。多くの用途でBeatsはElastic Agentに置き換わっています*2

4つを全部そろえなくても使えます。Elastic Agentはログを集めてElasticsearchへ直接送れるので、保存する前にログを加工したいときだけLogstashを通す、という組み方ができます。

ログが画面に出るまでの流れ

ELK Stackの中で、ログは「集める」「整える」「ためる」「見る」の4つの段階を順に通ります。ログが画面に出てこないときも、どの段階で止まっているかを順に確かめれば原因を絞り込めます。

ELK Stackでログが通る4つの段階を左から順に並べた流れ図。集める(Elastic AgentやBeats)、整える(Logstash)、ためる(Elasticsearch)、見る(Kibana)。

整える段階では、日時の書き方をそろえたり、1行のログを時刻・サーバー名・メッセージのような項目に分けたりします。項目に分けておくと、Kibanaで「このサーバーのエラーだけ」「この時間帯だけ」と絞り込めるようになります。

ためる段階のElasticsearchは、データを小さな単位(シャード)に分けて複数のサーバーに置き、1台が止まってもデータを使い続けられるようにしています。*2 見る段階のKibanaは、検索の画面のほか、ダッシュボードや通知の機能を備えています。

LokiやGraylogとの違い

ログを集めて検索する仕組みは、ELK Stackのほかにもあります。代表的なものに、Grafana LabsのGrafana Lokiと、Graylog社のGraylogがあります。どれが優れているかではなく、ログの持ち方とライセンスに違いがあります。

ログを集めて検索する3つの仕組みの違い
仕組み ログの持ち方 ライセンス
ELK Stack ログの中身まで検索できるよう索引を作ってElasticsearchに保存し、Kibanaで見る ElasticsearchとKibanaはElastic License 2.0・SSPL・AGPLv3から選ぶ
Grafana Loki 索引はログに付けた目印(ラベル)だけにし、中身は圧縮してクラウドの保存領域(オブジェクトストレージ)に置く。画面はGrafanaを使う*7 AGPLv3
Graylog ログの収集・検索・通知・可視化を1つの製品にまとめたログ分析基盤 SSPL v1*8

ログの中身で細かく検索や集計をしたい場合はELK Stack、目印で絞り込めれば足り、保存の費用を抑えたい場合はLoki、検索と通知を1つの製品で済ませたい場合はGraylog、という分け方ができます。LokiはGrafana Lokiでログ基盤を外注構築、GraylogはGraylogの使い方入門で扱っています。

導入の進め方

ELK Stackは、ソフトを入れる前に決めておくことが多い仕組みです。次の4つの段階で進めます。

  • ステップ1:集めるログ(どのサーバーの、どの種類のログか)と、保存しておく期間を決める
  • ステップ2:ライセンスの条件を確かめる
  • ステップ3:自社のサーバーに置くか、開発元のクラウド(Elastic Cloud)を使うかを決める
  • ステップ4:すべての製品の版をそろえ、Elasticsearch、Kibana、Logstash、Elastic AgentまたはBeatsの順に入れる*2

ステップ2のライセンスは、何度か変わってきました。ElasticsearchとKibanaは、2021年の7.11の版でApache 2.0からSSPLとElastic Licenseの2つから選ぶ形に変わり、2024年9月にOSI(オープンソースの定義を定める団体)が認めるAGPLv3が選択肢に加わりました。*3 開発元が配る標準の版はElastic License 2.0で提供され、基本の機能は無料で使えます。

  • ElasticsearchとKibanaのソースコード:AGPLv3・SSPL・Elastic License 2.0の3つから選べます*4
  • LogstashとBeatsのソースコード:x-packと呼ばれる一部のフォルダを除き、Apache 2.0です*5
  • Elastic License 2.0は、ソフトを第三者向けのホスト型・管理型のサービスとして提供することを認めていません*9

ログ分析の機能を他社向けのサービスに組み込む場合は、条文を読み、法務の専門家に確かめてから進めます。変更の経緯はElasticsearchの移行とOpenSearchの選択で詳しく扱っています。

外部に頼むときに確認しておきたい点

ELK Stackを自社のサーバーに置く場合、導入から運用・保守までを自社で受け持つことになります。*6 構築や運用を外部に頼むときは、見積もりの前に次の点を確かめておきます。

2人の手元でチェック欄の並ぶ確認表に印をつける打ち合わせ

  • どこまで頼むか:サーバーの用意、各製品の設定、ログの取り込み、ダッシュボードづくり、操作の説明のうち、どれを任せるか
  • 保存期間とデータ量:どのログを何日分残すか、量が増えたときにサーバーやディスクをどう増やすか
  • ログの整え方:どの項目に分けて保存するか。分け方を後から変えるときの手順
  • 版の更新:すべての製品の版をそろえて上げる作業を、誰がいつ行うか
  • 権限と通信の保護:誰がどのログを見られるか。証明書を使った通信の暗号化をどう設定するか

特に版の更新は、決めないまま運用に入りやすい点です。すべての製品で同じ版を使う決まりなので、更新の手順と担当を見積もりの段階で決めておきます。

まとめ:ELK Stackで確かめておきたい3つの点

ELK Stackでログ分析を始めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、集めるログの種類と保存しておく期間を先に決めること。第二に、Elastic License 2.0・SSPL・AGPLv3のどの条件で使うのかを確かめること。第三に、すべての製品の版をそろえて更新する担当と手順を、導入の前に決めておくことです。この3点を踏まえておけば、「ログは集めたが、ディスクが足りず更新も止まったまま」という事態を避けやすくなります。構築や運用の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

ELK Stackの構築では、Elasticsearchのノードの台数と役割、シャードとレプリカ(複製)の数を、ログの量と保存期間から決めます。保存期間はインデックスライフサイクル管理(ILM)で自動化し、古いログを削除または安価な領域へ移す設定にします。ログの取り込みはElastic AgentとFleetで管理し、加工が必要なログだけLogstashのパイプラインを通します。通信はTLS証明書で暗号化し、Kibanaではロールごとに見られるログを分けます。運用では、全製品の版をそろえた更新手順とスナップショットによるバックアップを文書にして引き継ぎます。

よくある質問

ELK Stackは無料で使えますか

開発元が配る標準の版はElastic License 2.0で提供され、基本の機能は無料で使えます。*3 有料の機能や開発元のクラウド(Elastic Cloud)を使う場合は費用がかかります。

ログ以外のデータも扱えますか

扱えます。開発元はElastic Stackの使い道として、ログのほかに、サーバーの稼働状況を表す数値(メトリクス)、アプリケーションの性能の監視、セキュリティの監視などを挙げています。*1

Beatsはもう使えないのですか

Beatsはいまも提供されていますが、開発元は多くの用途でElastic Agentに置き換わったと説明しています。*2 Elastic Agentは1つで複数の種類のデータを集められ、Fleetという仕組みでまとめて管理できます。新しく入れる場合は、Elastic Agentから検討するとよいでしょう。

ログ分析基盤の構築と運用のご相談

ELK Stackによるログ分析基盤の設計・構築から、保存期間の設定や版の更新を含む運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:Elastic「Elastic Stack」製品ページ(https://www.elastic.co/elastic-stack)。出典:Elastic StackがElasticsearch・Kibana・Beats・Logstashからなり、ELK Stackとも呼ばれること、ログ・メトリクス・APM・SIEMなどの使い道の記述を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:Elastic Docs「The Elastic Stack」(https://www.elastic.co/docs/get-started/the-stack)。出典:各製品の役割、ノードとシャード、Kibanaの機能、Elastic AgentとBeatsの関係、Logstashのプラグイン、全製品で同じ版を使うこと、導入の順序の記述を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Elastic「FAQ on Software Licensing」(https://www.elastic.co/pricing/faq/licensing)。出典:2021年の7.11でのSSPLとElastic Licenseへの変更、2024年9月のAGPLv3の追加、標準の配布版がElastic License 2.0であること、基本機能が無料であることの記述を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:elastic/elasticsearch(GitHub)LICENSE.txt(https://github.com/elastic/elasticsearch/blob/main/LICENSE.txt)。出典:ソースコードがAGPLv3・SSPL・Elastic License 2.0の3つのライセンスで提供されることの記述を参照(elastic/kibana のLICENSE.txtも同じ内容)(2026年10月確認)
  5. *5 参考:elastic/logstash(GitHub)LICENSE.txt(https://github.com/elastic/logstash/blob/main/LICENSE.txt)。出典:x-packフォルダの外のソースコードがApache License 2.0であることの記述を参照(elastic/beats のLICENSE.txtも同じ内容)(2026年10月確認)
  6. *6 参考:Elastic Docs「Elastic deployment options」(https://www.elastic.co/docs/get-started/deployment-options)。出典:Elastic Cloud Hosted、Elastic Cloud Serverless、セルフマネージドの違いの記述を参照(2026年10月確認)
  7. *7 参考:Grafana Labs「Loki overview」(https://grafana.com/docs/loki/latest/get-started/overview/)。出典:ログの中身ではなくラベルだけに索引を作ること、オブジェクトストレージへの保存、Grafanaでの表示の記述を参照。ライセンスはgrafana/lokiのLICENSE(AGPLv3)を参照(2026年10月確認)
  8. *8 参考:Graylog「What is Graylog?」・Graylog2/graylog2-server(GitHub)(https://go2docs.graylog.org/current/what_is_graylog/what_is_graylog.htm)。出典:検索・通知・可視化を備えたログ分析基盤であること、SSPL v1で公開されていることの記述を参照(2026年10月確認)
  9. *9 参考:Elastic License 2.0(elastic/elasticsearch リポジトリ内の全文)(https://github.com/elastic/elasticsearch/blob/main/licenses/ELASTIC-LICENSE-2.0.txt)。出典:ソフトを第三者向けのホスト型・管理型サービスとして提供してはならないとする制限の条文を参照(2026年10月確認)




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