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authentikとは?シングルサインオンの仕組みと料金を解説
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- authentikは自社のサーバーに置いて使うオープンソースのIdPで、社内のアプリへのログインを1か所にまとめられます。
- 無料のオープンソース版と、特権アクセス管理や監査ログの強化などが付く有料版があり、同じソフトにライセンスキーを入れて切り替えます。
- 本体は前の版に戻せないため、更新とバックアップの手順と、止まったときの備えを導入の前に決めておくことが大切です。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
社員が使うクラウドサービスや社内システムが増え、アプリごとにIDとパスワードがばらばら。退職した人のアカウントを全部止められたのか、確かめようがない——。アプリを少しずつ増やしてきた会社では、こうした悩みが起こりがちです。authentik(オーセンティック)は、社内のさまざまなアプリへのログインを1か所で引き受けるIdP(IDとログインをまとめて管理する仕組み)で、SSO(1回のログインで複数のアプリを使える仕組み)の基盤として使えるオープンソースのソフトウェアです。
自社のサーバーに置けば無料で使え、SSOに対応していない社内アプリも守れます。ただし万能ではなく、開発元のサポートや一部の機能は有料版にしかありません。本記事では、社内のログイン管理を見直したい情報システムの担当者に向けて、authentikの特徴、オープンソース版と有料版の違い、ログインの仕組みと導入の進め方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
authentikとは
開発元の公式ドキュメントによると、authentikにはずっと無料で使えるオープンソース版と、追加機能とサポートが付く有料のEnterprise版の2つがあります。*1 クラウドで借りるサービスではなく、自社のサーバーやクラウド環境に置いて動かす点が、IDaaS(クラウドで提供される認証サービス)との大きな違いです。開発元は、現時点ではホスティング版を提供していないと案内しています。*2
- アプリとのつなぎ方として、OpenID Connect・SAML・LDAP・SCIMといった標準の方式に対応しています
- SSOに対応していない社内のWebアプリも、前段に置く「プロキシ」の仕組みでログインを求められます*7
- 動かす部品は、画面と処理を受け持つサーバー、メール送信などの裏方を受け持つワーカー、設定を保存するPostgreSQL(データベース)の3つです*5
- 画面は、管理者向けの管理画面、利用者向けのアプリ一覧、ログイン画面の3つに分かれています
同じく自社で動かすIdPのKeycloakはKeycloakでSSO認証基盤を外注構築で、SSOの規格そのものはSAMLとはで扱っています。
オープンソース版と有料版の違い
GitHubのライセンス文書では、ソースコードの大部分がMITライセンス(商用を含めて自由に使える緩やかなライセンス)で、有料版の機能を収めたフォルダだけが別の「Enterprise Edition」のライセンスになっています。*3 有料版の機能を本番で使うには、利用者数に見合った契約が必要です。開発や検証の目的であれば、契約なしで試せます。

| 版 | 料金 | 主な機能 | 開発元のサポート |
|---|---|---|---|
| オープンソース版 | 無料 | 標準の方式でのSSO、プロキシ、Webブラウザからのリモート接続など | なし(利用者どうしのコミュニティのみ) |
| Enterprise | 社員など1人あたり月5ドル、顧客など外部の利用者は1人あたり月0.02ドル(年払い) | オープンソース版の全機能に加え、特権アクセス管理、Microsoft Entra IDやGoogle Workspaceとの連携、監査ログの強化、予定日にアカウントを止める退職者対応など | 契約額が1,000ドルを超える場合にチケットで問い合わせ |
| Enterprise Plus | 年2万ドルから | Enterpriseと同じ機能 | 専用のサポートとSLA(サービス品質の取り決め)、請求書での支払い |
有料版は、オープンソース版と同じソフト一式にライセンスキーを入れて有効にする方式で、更新の手順も同じです。ライセンスの確認は社内で完結するため、インターネットから切り離した環境でも使えます。*4 開発元は、オープンソース版の機能を有料版へ移すことはしないと料金ページで明言しています。まずオープンソース版で始め、監査や退職者対応の要件が出てきた段階で有料版を検討する、という順番が取りやすい作りです。
ログインの仕組み
authentikの仕組みは、「フロー」「プロバイダー」「アウトポスト」の3つの言葉を押さえると見通せます。authentikはフローに沿って本人を確かめ、プロバイダーを通じてアプリに結果を渡します。
- フロー:ログインや登録の手順を、段階(ステージ)を並べて組み立てたもの。標準のログインは、ユーザー名の入力、パスワードの確認、ログインの3段階です*6
- プロバイダー:アプリごとのつなぎ方。原則としてアプリ1つにプロバイダー1つを割り当てます
- アウトポスト:プロキシやLDAPなど一部の方式で、本体とは別に動く中継役。サーバーの中にも1つ組み込まれています
フローは管理画面から組み替えられ、標準のフローが十数種類用意されています。*6 多要素認証の段階を加える、特定のグループだけを通す条件(ポリシー)を付ける、といった変更をプログラムを書かずに行えます。ただし、誰がどのフローを変えてよいかを決めておかないと、手順が担当者ごとにばらばらになります。
導入の進め方
authentikの導入は、ソフトを入れる作業よりも、どのアプリをどの方式でつなぐかを決める作業が中心です。次の4つの段階で進めると、手戻りを減らせます。
- ステップ1:対象のアプリを洗い出し、OpenID Connect・SAML・プロキシのどれでつなぐかを決める
- ステップ2:置き場所と構成を決める。Docker Compose(複数のソフトをまとめて動かす仕組み)での構成は、公式には試験用と小規模な本番用とされ、CPU2コア・メモリ2GB以上が要件です*8
- ステップ3:Active Directoryなど既存の社員名簿とつなぎ、ログインのフローを整える*10
- ステップ4:少数のアプリで試し、更新とバックアップの手順を決めてから対象を広げる
つまずきやすいのはステップ4の更新です。公式ドキュメントは、authentikは前の版に戻せないため、更新の前にデータベースをバックアップするよう求めています。大きな版を飛ばさず順番に上げること、本体とアウトポストの版をそろえることも条件です。*9 基盤が止まるとつないだアプリすべてに入れなくなるため、この手順は導入の時点で文書にしておきます。
外部に頼むときに確認しておきたい点
authentikはオープンソース版なら利用料がかかりませんが、開発元のサポートは付きません。構築や運用を外部に頼むときは、次の点を見積もりの前に確かめておきます。

- どこまで頼むか:サーバーの用意、アプリとの接続、既存の社員名簿との連携、運用手順書のうち、どれを任せるか
- どの版で始めるか:オープンソース版で足りるか、監査ログの強化やEntra IDとの連携など有料版の機能が要るか
- 止まったときの備え:ログインできなくなったときに管理者が入る手段と、復旧の手順を誰が持つか
- 更新とバックアップ:新しい版への更新を誰がいつ行うか、データベースをどこへどの頻度で保存するか
- フローを変えるルール:ログインの手順を変える権限を誰に持たせ、変更の前にどこで試すか
特に止まったときの備えは見落とされがちです。SSOの基盤は社員が使うアプリすべての入口なので、予備の機器に切り替える冗長化をどこまで求めるかを、費用とあわせて最初に話し合っておきます。
まとめ:authentikで確かめておきたい3つの点
authentikでSSOの基盤を作るうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、対象のアプリごとに、OpenID Connect・SAML・プロキシのどれでつなぐかを決めること。第二に、オープンソース版で足りるか、有料版の機能が要るかをライセンスの条件とあわせて確かめること。第三に、前の版に戻せない前提で、更新とバックアップ、止まったときの復旧の手順を導入の前に決めることです。この3点を踏まえておけば、「入れてはみたが、更新が怖くて古い版のまま動かしている」という事態を避けやすくなります。構築や運用の分担に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
オープンソース版だけで本番運用できますか
オープンソース版は無料で、本番でも使えます。ただし開発元のサポートは無く、困ったときの相談先は利用者どうしのコミュニティになります。障害のときに誰が調べて直すかを、自社か委託先のどちらで持つかを先に決めておきます。
開発元がクラウドで提供するサービスはありますか
開発元は、現時点ではホスティング版を提供していないと案内しています。*2 自社のサーバーやクラウド環境に置いて動かす前提で、AWSに一括で組み立てるためのテンプレートも用意されています。
インターネットにつながらない環境でも使えますか
使えます。アウトポストはインターネットへの接続を必要とせず、外部と切り離した環境でもSSOを扱えると公式ドキュメントに書かれています。*7 有料版のライセンスの確認も社内で完結します。*4
SSO基盤・ID管理の仕組みづくりのご相談
authentikなどのIdPを使ったSSO基盤の設計・構築から、既存の社員名簿との連携、更新とバックアップの運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:Authentik Security Inc.「Welcome to authentik」(authentik公式ドキュメント)(https://docs.goauthentik.io/)。出典:IdP・SSOの基盤であること、無料のオープンソース版と有料のEnterprise版の2つがあること、管理画面・利用者画面・フロー画面の説明を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:Authentik Security Inc.「Pricing」(authentik公式サイト)(https://goauthentik.io/pricing/)。出典:各版の料金・機能・サポート、ホスティング版を提供していないこと、オープンソース版の機能を有料版へ移さない方針、AWSのテンプレートの記述を参照(2026年10月確認)
- *3 参考:goauthentik/authentik(GitHub)「LICENSE」「authentik/enterprise/LICENSE」(https://github.com/goauthentik/authentik)。出典:MITライセンスと、有料版の機能のフォルダに適用されるEnterprise Editionライセンス(本番利用には契約が必要・開発と検証は契約不要)を参照(2026年10月確認)
- *4 参考:authentik公式ドキュメント「authentik Enterprise」(https://docs.goauthentik.io/enterprise/)。出典:ライセンスキーで有効にすること、同じコンテナイメージと更新手順、ライセンスの確認が社内で完結することを参照(2026年10月確認)
- *5 参考:authentik公式ドキュメント「Architecture」(https://docs.goauthentik.io/core/architecture/)。出典:サーバー(組み込みのアウトポストを含む)・ワーカー・PostgreSQLの構成を参照(2026年10月確認)
- *6 参考:authentik公式ドキュメント「Flows」(https://docs.goauthentik.io/add-secure-apps/flows-stages/flow/)。出典:フローとステージの説明、標準のログインフローの3段階、標準のフローが十数種類あることを参照(2026年10月確認)
- *7 参考:authentik公式ドキュメント「Providers」「Proxy provider」「Outposts」(https://docs.goauthentik.io/add-secure-apps/providers/)。出典:プロバイダーとアプリの1対1の関係、SSOに対応していないアプリを守るプロキシ、アウトポストが外部のインターネット接続を必要としないことを参照(2026年10月確認)
- *8 参考:authentik公式ドキュメント「Docker Compose installation」(https://docs.goauthentik.io/install-config/install/docker-compose/)。出典:試験用と小規模な本番用であること、CPU2コア・メモリ2GBの要件を参照(2026年10月確認)
- *9 参考:authentik公式ドキュメント「Upgrade authentik」(https://docs.goauthentik.io/install-config/upgrade/)。出典:ダウングレード不可、更新前のデータベースのバックアップ、大きな版の順番どおりの更新、本体とアウトポストの版をそろえることを参照(2026年10月確認)
- *10 参考:authentik公式ドキュメント「Sources」(https://docs.goauthentik.io/users-sources/sources/)。出典:Active Directoryなど外部の利用者名簿との連携(ディレクトリ同期)を参照(2026年10月確認)