LASSIC Media らしくメディア
問診システムの選び方|電子カルテ連携と個人情報の確認ポイント
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- 問診システムは、紙の問診票の記入と書き写しを、タブレットやスマートフォンでの入力に置き換える仕組みです。
- 選ぶときは受け付け方に加え、電子カルテとのつなぎ方と不具合のときの窓口を両方の提供元に確かめます。
- 回答には病歴などが含まれるため、厚労省のガイドライン第7.0版に沿った安全管理を契約前に確かめます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
紙の問診票を電子カルテに打ち直す作業に、受付の時間が取られている。タブレットやWeb問診を入れたいが、どれを選べばよいのか分からない——。クリニックや病院の事務部門では、こうした悩みが起こりがちです。問診システムは、患者が答える問診を紙ではなくタブレットやスマートフォンで受け付け、画面で確かめられるようにする仕組みです。
電子カルテに回答を取り込めれば、書き写しの誤りも防げます。ただし万能ではなく、回答には病歴などの配慮が要る個人情報が含まれるため、機能に加えて安全管理の確認が欠かせません。本記事では、医療機関の事務長や情報システムの担当者に向けて、問診システムの種類と違い、電子カルテとの連携の形、個人情報と安全管理で確かめる点、そして導入を外部に頼むときに確認したい点を整理します。
目次
問診システムとは
問診システムが受け持つのは、紙の問診票を書いてもらい、その内容を読んで電子カルテに書き写すまでの流れです。何を聞くかという設問の中身は医師が決めるもので、システムはその設問を画面に出し、回答を集めて院内に届ける役目を持ちます。
- 受付や待合に置いたタブレットで答えてもらう「院内タブレット型」
- 来院前に患者のスマートフォンで答えてもらう「Web問診型」
- どちらも、回答は受付や診察室の画面で確かめ、必要な部分を電子カルテへ移して使います
厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」は、対象とする医療情報システムを、医療情報を保存するシステムに限らず「医療情報を扱う情報システム全般」としています。*1 症状や既往歴を受け付ける問診システムも、電子カルテと同じくこのガイドラインに沿って安全管理を考えます。
紙・タブレット・Web問診の違い
問診の受け付け方は、大きく3つに分かれます。どれが正解というより、患者の年齢層や受付の混み方、使っている電子カルテによって合うものが変わります。

| 受け付け方 | 回答のタイミングと場所 | 受付の作業 | 確かめておきたい点 |
|---|---|---|---|
| 紙の問診票 | 来院後、待合で記入 | 用紙を配って回収し、電子カルテへ書き写す | 書き写す手間と写し間違い |
| 院内タブレット型 | 来院後、待合で入力 | 端末を手渡して回収し、清掃と充電をする | 端末の台数と紛失・持ち出しの管理 |
| Web問診型 | 来院前、患者のスマートフォンで入力 | 届いた回答を確かめ、来院時に本人と照らし合わせる | スマートフォンを使わない患者への案内 |
Web問診を基本にしつつ、スマートフォンを使わない患者には院内のタブレットや紙で答えてもらう、という組み合わせ方もあります。いまの問診票の種類と1日の受付の流れを先に書き出しておくと、合う受け付け方を判断しやすくなります。
電子カルテとの連携の形
問診システムを選ぶときに最も差が出るのが、電子カルテとのつなぎ方です。回答を電子カルテへ移す方法は、おおむね次の3つに分けられます。
| 連携の形 | 回答の移し方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 画面を見て書き写す | 問診システムの画面を見ながら、スタッフが電子カルテに入力する | まず小さく試したいとき |
| 文章やファイルで取り込む | 回答を文章やファイルにまとめ、電子カルテの決まった欄へ貼り付ける・取り込む | 電子カルテを改修せずに書き写す手間を減らしたいとき |
| システム同士の直接連携 | 患者の番号をもとに、回答が電子カルテへ自動で届く | 受付の件数が多く、書き写しをなくしたいとき |
直接連携は手間が最も少ない一方で、電子カルテの提供元が連携に対応しているかどうかで、できることが決まります。問診システムの提供元だけでなく、電子カルテの提供元にも、連携の方法と費用、不具合のときにどちらが窓口になるかを確かめておきます。電子カルテそのものの動きは標準型電子カルテとはで扱っています。
もう一つ気をつけたいのが、患者の番号の付け合わせです。診察券の番号などの対応を誤ると、別の患者の回答が電子カルテに取り込まれるおそれがあります。Web問診では、来院時に本人の名前と生年月日を確かめ、届いた回答と照らし合わせる手順を受付の流れに組み込んでおきます。
個人情報と安全管理の確認点
問診の回答には、症状や既往歴が含まれます。個人情報保護法は、病歴を含む個人情報を「要配慮個人情報」と定め、取り扱いに特に配慮を求めています。*3 医療機関向けのガイダンスは、問診票の記入を求める場合などは、あらかじめ利用目的を院内掲示などで示さなければならないとしています。*2 Web問診でも、回答の画面やホームページから利用目的を確かめられるようにしておきます。
システムの安全管理は、厚生労働省のガイドラインの最新版である第7.0版(令和8年6月)に沿っているかで確かめます。*1 選ぶときに関わる点は次のとおりです。
- 二要素認証(パスワードに別の要素を組み合わせる認証)に対応したシステムは、原則として令和9年度時点で対応したものを選ぶ*1
- パスワードの使い回しの禁止と、アカウントロック(何度も誤るとログインを止める仕組み)の導入が、パスワードの決まりとして追記された*1
- 委託する内容や役割分担などの責任分界を明確にし、書面などで残しておく
- 提供元からサービス仕様適合開示書(ガイドラインへの対応状況を示す文書)などを受け取り、自院が求める内容との差を確かめる*1
クラウドで提供される問診システムなら、提供元がセキュリティの更新を受け持つことが契約書や約款に書かれているかも確かめます。ガイドラインは、記載がない場合や不明確な場合は医療機関側の責任となっている可能性があるとしています。*1 医療情報の安全管理の全体像は医療情報の3省2ガイドラインでも整理しています。
選ぶ手順と外部に頼むときの確認点
問診システムの選定は、製品を比べる前に、自院の問診票と受付の流れを整理するところから始めると迷いません。全体は4つのステップで進めます。

つまずきやすいのはステップ4です。いきなり全ての診療科で切り替えると、患者への案内や回答を確かめる手順が追いつきません。1つの診療科や曜日を決めて試し、受付の作業がどう変わったかを確かめてから広げます。
導入や電子カルテとの連携を外部に頼むときは、次の点を見積もりの前に確かめておきます。
- どこまで頼むか:製品選びの支援、電子カルテとの連携の作り込み、院内の端末とネットワークの設定、スタッフへの説明のうち、どれを任せるか
- 認証の有無:ガイドラインは、医療情報の取り扱いを委託する事業者を、プライバシーマークやISMS(情報セキュリティの管理の仕組み)の認証を取得している事業者から選ぶよう求めています*1
- 責任の分け方:問診システムの提供元、電子カルテの提供元、連携を作る事業者のうち、不具合や情報漏えいのときにどこが何を受け持つか
- 再委託の扱い:作業の一部を別の会社に任せる場合に、事前に知らせて承認を得る取り決めを契約に入れるか*1
まとめ:問診システムで確かめておきたい3つの点
問診システムを選ぶうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、紙・院内タブレット・Web問診のどれで受け付けるかを、患者の層と受付の流れから決めること。第二に、電子カルテとのつなぎ方と不具合のときの窓口を、両方の提供元に確かめること。第三に、ガイドライン第7.0版に沿った二要素認証や責任分界の取り決めを、契約の前に資料で確かめることです。この3点を踏まえておけば、「入れてはみたが、結局スタッフが回答を電子カルテに打ち直している」という事態を避けやすくなります。電子カルテとの連携や安全管理の確認に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
問診システムの導入にはどのくらいの期間がかかりますか
期間は、受け付け方と電子カルテとの連携の形で大きく変わります。画面を見て書き写す形なら院内の準備が中心ですが、直接連携では電子カルテの提供元との調整が加わります。見積もりの段階で、連携の作業と試行の期間を分けて示してもらうと比べやすくなります。
スマートフォンを持っていない患者にはどう対応しますか
院内のタブレットや紙の問診票を残しておくと、受付で案内しやすくなります。紙で受けた回答も同じ画面に入力して電子カルテへ移す流れにそろえておくと、回答を確かめる手順が1つで済みます。
問診システムの提供元を変えるとき、過去の回答はどうなりますか
回答のデータをどの形式で返してもらえるか、提供元の側でいつ消去されるかを、契約の前に取り決めておきます。ガイドラインも、委託契約の終了に際し、医療情報の返却とその方法などをあらかじめ契約で取り決めておくよう求めています。*1
問診システムの導入と電子カルテ連携のご相談
問診システムの選定の支援から、電子カルテとの連携、安全管理ガイドラインに沿った運用の設計まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版」(概説編・経営管理編・企画管理編、令和8年6月)および策定通知(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275_00006.html)。出典:対象とする医療情報システムの範囲、二要素認証に対応したシステムの選定時期、パスワードの使い回し禁止とアカウントロックの追記、責任分界の明確化と書面化、サービス仕様適合開示書、セキュリティアップデート責任の契約上の記載、プライバシーマーク・ISMS認証による事業者選定、再委託の事前承認、委託契約終了時の医療情報の返却の記述を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(令和8年4月一部改正)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000027272.html)。出典:問診票の記入を求める場合などに、あらかじめ利用目的を院内掲示等により明示する旨の記述を参照(2026年10月確認)
- *3 参考:個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第2条第3項(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057)。出典:病歴を含む要配慮個人情報の定義を参照(2026年10月確認)