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2026.10.24 らしくコラム

Copilot Studioエージェント開発の内製と外注の違い

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

工程表の上で社内の担当者のペン先と外部の技術者の指が別々の列を指す

この記事の結論

  • Copilot Studioのエージェント開発は、工程ごとに社内で作る範囲と外部に頼む範囲を分けると進めやすくなります。
  • Teams向けでSharePointや標準コネクタで足りる部分は社内で、社内システムとの接続や手動の認証は外部に頼む候補です。
  • どちらの場合も環境とソリューションで段階を分けて公開し、業務の整理と権限の方針は社内に残します。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

Copilot Studioでエージェントを作りたいが、どこまで社内で作れて、どこから外部に頼めばよいのか分からない——。エージェントを任された情報システム部門の担当者には、こうした悩みがつきものです。Copilot Studioは、エージェントやワークフローをローコードで作り、組織のデータやシステムにつないで、Teamsなどのチャネルに公開するためのMicrosoftの製品です。

作り始めるのは難しくなくても、データの接続や権限、運用への移行で手が止まりがちです。本記事では、Copilot Studioのエージェント開発を工程ごとに分け、社内で作る範囲と外部に頼む範囲を表で比べます。内容はMicrosoftの公式ドキュメント(2026年10月22日確認)で確かめたことに限っています。

Copilot Studioのエージェント開発とは

Microsoftの公式ドキュメントは、Copilot Studioを「AI搭載のエージェントやワークフローの構築と管理のためのグラフィカルでローコードなスタジオ」と説明しています。*1 開発といっても、多くはプログラムを書く作業ではなく、次の部品を画面の上で組み合わせる作業です。

  • 指示:エージェントが何を受け持ち、どう答えるかを言葉で決める
  • ナレッジ:答えのもとになる社内の文書やサイト
  • ツール:コネクタ(他のサービスとやり取りするための部品)を通じて、データを取り出したり登録したりする処理
  • トピック:決まった流れで進めたい会話を、手順として組み立てたもの

エージェントから呼ぶ自動化の処理には、Power Automateに似た作り方のエージェントフローも使えます。*1 フローの開発そのものを外部に頼むときの範囲と費用は、Power Automate開発の外注先の選び方で扱っています。

社内で作る範囲と外部に頼む範囲

Copilot Studioはローコードで作れる一方、つなぐ先や権限によっては設計の判断が増えます。そのため「全部を社内で」「全部を外注で」と決めるより、工程ごとに分けるほうが現実的です。次の表は、エージェント開発の工程ごとに、社内で作りやすい範囲と外部に頼みやすい範囲を比べたものです。

ホワイトボードの手書きの表に列の区切り線を引く手元

Copilot Studioのエージェント開発で社内で作る範囲と外部に頼む範囲
工程 社内で作りやすい範囲 外部に頼みやすい範囲 分ける目安
何を作るか 対象の業務と想定する質問の洗い出し、答えてよい範囲の決定 複数の部署にまたがる業務の整理と、要件の文書化 業務の中身を説明できる人が社内にいるか
ナレッジの接続 SharePointのサイトや公開サイト、手元の文書の追加 Dataverseや、Microsoft Searchのコネクタで索引した社内データの接続 答えのもとになる文書の保存場所がすでに決まっているか
ツールの接続 標準コネクタを使った登録や通知の処理 カスタムコネクタで社内システムのAPIにつなぐ処理、エージェントフローでの複数の手順 つなぐ先に既製のコネクタがあるか
認証と権限 Teams向けの「Microsoft で認証する」の利用 手動の認証(Microsoft Entra IDや一般のOAuth2)の構成と、資格情報の持ち方の設計 Teams以外のチャネルに出すか、誰の権限で動かすか
テスト テストパネルでの会話の流れの確認 テストセットを使った自動テストと、環境を分けたテストの段取り 利用者の数と、答えを誤ったときの影響の大きさ
公開と運用 自分向けの公開と、モニターでの利用状況の確認 ソリューションを使った環境の間の移行と、データポリシーに沿った運用の設計 運用環境に載せて全社に配るか

表の右の列が判断の材料になります。場面で分けると次のとおりです。

  • 社内で作るのが向く場面:Teamsで社員の質問に答える、SharePointの規程や手順書をもとに答える、つなぐ先が標準コネクタで足りる
  • 外部に頼むのが向く場面:基幹システムや自社で作ったAPIにつなぐ、社外の利用者が使うWebサイトに出す、利用者の権限と作成者の権限を使い分ける
  • 両方を組み合わせる場面:試作は社内で作り、認証と接続、運用への移行の部分だけを外部に頼む

データの接続と権限の分け方

外部の手を借りる理由になりやすいのが、データの接続と権限です。Copilot Studioで使える主なナレッジは次のとおりです(Dataverseは、Power Platformのデータの保存先)。

Copilot Studioの主なナレッジの種類と利用者の認証
ナレッジの種類 中身 利用者の認証
公開Webサイト 指定したサイトの範囲で、Bingの検索の結果を返す なし
ドキュメント Dataverseにアップロードした文書の中身から結果を返す なし
SharePoint SharePointのURLにつなぎ、検索して結果を返す 利用者のMicrosoft Entra ID認証
Dataverse 設定したDataverseの環境につないで結果を返す 利用者のMicrosoft Entra ID認証
コネクタを使用したエンタープライズデータ Microsoft Searchで索引した組織のデータにつなぐ 利用者のMicrosoft Entra ID認証

利用者の認証が付くナレッジでは、エージェントは質問した人がアクセスできる内容だけを表示します。*2 権限の整理が済んでいない場所をつなぐ前に、保存場所の権限を見直します。

コネクタは、すべてのプランに含まれる標準コネクタ、一部のプランで使えるPremiumコネクタ、既存のコネクタが無いサービスの公開APIにつなぐカスタムコネクタに分かれます。*3 接続は既定で利用者の資格情報を使い、作成者が指定した資格情報にも変えられます。誰の権限で社内システムを動かすかの方針は、作業を外部に頼む場合も社内で決めます。

エージェントの認証は「認証なし」「Microsoft で認証する」「手動で認証する」から選びます。認証なしを選ぶと、リンクを知っている人は誰でもエージェントと会話できます。*4 TeamsとMicrosoft 365のチャネルは「Microsoft で認証する」だけに対応しており、それ以外のチャネルで認証を付けるときは手動の設定を選びます。*4

テストと運用の分け方

作ったエージェントを社内に広げるには、環境(データやエージェント、フローを格納する場所)を分けておくことが前提です。公式ドキュメントは、運用環境に展開するエージェントには既定以外の運用環境を使うよう示しています。*5 試用環境は作成から30日後に期限が切れ、中にあるエージェントは削除されます。*5

テストの確認表にチェックを入れる手元と引き継ぎのファイル

エージェントは、作った時点で既定のソリューション(エージェントを運ぶ入れ物)に入ります。環境の間でエクスポートやインポートをするには、カスタムのソリューションを作って使う必要があります。*6 検証の環境、一部の利用者で試す環境、運用環境と段階を分けると、変更を確かめてから広げられます。

Copilot Studioのエージェントを3つの環境で段階的に広げる流れの図。社内で検証する環境から一部の利用者で試す環境、運用環境へ、カスタムのソリューションで移す。

  • テスト:テストパネルで会話の流れを確かめるほか、複数の質問をまとめたテストセットで自動テストもできる*7
  • 公開:変更は公開し直すまで利用者に届かない。まず自分向けに公開して試し、その後に対象を広げる*8
  • 監視:モニターのページで利用状況を確認できる。データは360日分まで、会話の詳細と記録は過去28日分*9
  • 統制:管理者はPower Platform管理センターのデータポリシーで、コネクタを「ビジネス」「非ビジネス」「ブロック」のグループに分けて管理する*10

テストパネルでの会話はモニターの分析に表示されないため、公開前の試験の結果は別に記録しておきます。環境の設計やデータポリシーとの調整は管理者の権限が要る作業なので、外部に頼む場合も社内の管理者と一緒に進めます。

外部に頼むときに確認しておきたい点

相談の前に次の5点を整理しておくと、事業者ごとの提案を同じ条件で比べられます。

  • 範囲:6つの工程のうち、どこを頼み、どこを社内に残すか。業務の整理と権限の方針は社内に残す
  • 期間:試作、一部の利用者での確認、運用環境への公開の区切りと、それぞれの受け入れの基準
  • 体制:社内の作成者、Power Platformの管理者、業務の担当者のうち、誰が窓口になり、誰が承認するか
  • 費用の決まり方:作る作業の費用と、エージェントが動くたびにかかる利用料を分けて見積もる
  • 引き継ぎ:ソリューションの書き出し、接続とコネクタの一覧、認証の設定、テストセットを受け取る

利用料は「Copilot クレジット」という共通の単位で数え、支払い方には前払いのサブスクリプション、Azureのサブスクリプションを使う従量課金、1年分の事前購入プランがあります。*11 料金や支払い方は変わることがあるため、見積もりの時点でMicrosoftのライセンスガイドを確かめてください。

運用が始まれば手を入れるのは社内なので、社内の作成者が直せる形で納めてもらいます。

まとめ:社内と外部を分ける3つの点

社内と外部を分けるときの要点は3つです。第一に、何を作るか、ナレッジ、ツール、認証と権限、テスト、公開と運用の工程ごとに、社内で作れる範囲を先に見極めること。第二に、ナレッジの権限と、誰の資格情報でツールを動かすかの方針は、作業を外部に頼む場合でも社内で決めること。第三に、環境とソリューションで段階を分けて公開し、引き継ぎで受け取るものを先に決めることです。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Copilot Studioのエージェント開発では、Microsoft Entra IDの認証とSharePointやDataverseのアクセス権を先に棚卸しします。社内システムとはPower Platformのカスタムコネクタとエージェントフローでつなぎ、資格情報の持ち方を処理ごとに決めます。運用はカスタムのソリューションで運用環境へ段階的に移し、データポリシーとモニターの指標で確かめます。

よくある質問

社内の担当者だけでCopilot Studioのエージェントは作れますか

Teamsで社員の質問に答える、SharePointの文書をもとに答えるといったエージェントは、画面の操作で作れます。基幹システムとの接続や、Teams以外のチャネルでの認証の部分だけを外部に頼む形も選べます。

Power Automateの外注とは何が違いますか

Power Automateの外注は、決まった手順を自動で動かすフローを作る作業が中心です。Copilot Studioのエージェント開発では、ナレッジの範囲、会話の流れ、誰の権限でツールを動かすかといった、利用者とのやり取りに関わる設計が加わります。

試用版で作ったエージェントはそのまま使い続けられますか

試用環境は作成から30日後に期限が切れ、中にあるエージェントは削除されます。続けて使う場合は、試用環境を運用環境に変換します。本番で使うエージェントには既定以外の運用環境を使うよう、公式ドキュメントで示されています。

Copilot Studioのエージェント開発の範囲決めのご相談

社内で作る範囲と外部に頼む範囲の切り分けから、社内システムとの接続と認証の設計、運用環境への移行と引き継ぎまで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:Microsoft Learn「Copilot Studioの概要」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-copilot-studio/fundamentals-what-is-copilot-studio)。出典:Copilot Studioの定義、エージェントとエージェントフローの説明、ローコードの位置づけを参照(確認日:2026年10月22日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:Microsoft Learn「Copilot Studio のナレッジ ソース」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-copilot-studio/knowledge-copilot-studio)。出典:サポートされているナレッジ ソースの表と、エージェント ユーザー認証の説明を参照(確認日:2026年10月22日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Microsoft Learn「Power PlatformコネクタをCopilot Studioエージェントのツールとして活用する」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-copilot-studio/advanced-connectors)。出典:標準・Premium・カスタムのコネクタの分類と、接続の資格情報の既定を参照(確認日:2026年10月22日)(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Microsoft Learn「Copilot Studio でユーザー認証を構成する」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-copilot-studio/configuration-end-user-authentication)。出典:3つの認証オプション、認証なしの注意、Teams + Microsoft 365チャネルの対応、公開後に有効になる点を参照(確認日:2026年10月22日)(2026年10月確認)
  5. *5 参考:Microsoft Learn「Copilot Studio で Power Platform 環境を操作する」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-copilot-studio/environments-first-run-experience)。出典:環境の説明、運用環境に既定以外の運用環境を使う注記、試用環境の30日の期限を参照(確認日:2026年10月22日)(2026年10月確認)
  6. *6 参考:Microsoft Learn「Copilot Studio のソリューションの概要」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-copilot-studio/authoring-solutions-overview)。出典:既定のソリューションとカスタム ソリューション、環境を分けたテストと展開の例を参照(確認日:2026年10月22日)(2026年10月確認)
  7. *7 参考:Microsoft Learn「エージェントをテストする」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-copilot-studio/authoring-test-bot)。出典:テスト パネルと、自動テスト用のテスト セットの説明を参照(確認日:2026年10月22日)(2026年10月確認)
  8. *8 参考:Microsoft Learn「エージェントの公開と展開」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-copilot-studio/publication-fundamentals-publish-channels)。出典:変更後の再公開と、自分向けに発行してから対象を広げる手順を参照(確認日:2026年10月22日)(2026年10月確認)
  9. *9 参考:Microsoft Learn「Copilot Studio の分析の概要」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-copilot-studio/analytics-overview)。出典:モニター データの保存期間と、テスト パネルの会話が分析に表示されない点を参照(確認日:2026年10月22日)(2026年10月確認)
  10. *10 参考:Microsoft Learn「エージェントのデータ ポリシーを構成する」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-copilot-studio/admin-data-loss-prevention)。出典:Power Platform 管理センターのデータ ポリシーと、コネクタのデータ グループ(ビジネス・非ビジネス・ブロック)を参照(確認日:2026年10月22日)(2026年10月確認)
  11. *11 参考:Microsoft Learn「Copilot Studio のライセンス」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-copilot-studio/billing-licensing)。出典:Copilot クレジットと、前払いのサブスクリプション・従量課金制・事前購入プランの説明を参照。料金や条件は変わることがある(確認日:2026年10月22日)(2026年10月確認)




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