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2026.10.21 らしくコラム

Power Automate開発の外注先の選び方|依頼範囲と費用

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

ノートPCに映る業務の流れ図を指して外部の開発者と打ち合わせる担当者

この記事の結論

  • Power Automate開発の外注では、業務のルール決めは自社に残し、連携やデスクトップフローの作り込みを外部に頼むのが基本です。
  • 費用はフローの種類・つなぐシステム・無人実行の有無で変わり、開発費とは別にライセンス費がかかります。
  • 保守で困らないよう、フローの所有者を自社のアカウントにして、開発・テスト・本番の環境を分けておきます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

申請や通知の作業をPower Automateで自動化したいのに、作れる人が社内にいない。担当者が作ったフローが、異動したあとに止まってしまった——。Microsoft 365を使う会社では、こうした悩みが起こりがちです。Power Automate(パワーオートメイト)は、アプリやサービスをつないで、くり返しの作業を自動で流すマイクロソフトのサービスです。

メールやファイルの受け渡しのような作業なら、コードをほとんど書かずに自動化できます。ただし万能ではなく、ライセンスの種類や、フローを誰の名義で動かすかを決めないまま作ると、保守で困ることがあります。本記事では、Power Automateの開発を外注しようと考えている情報システムの担当者に向けて、外部に頼む範囲、費用の決まり方、保守の分担、そして外注先を選ぶときに確認したい点を整理します。

Power Automate開発の外注とは

マイクロソフトは、Power Automateを「コーディングの知識がほとんどまたはまったくなくても」ワークフローを作れる仕組みと説明しています。*1 自動化の単位は「フロー」と呼ばれ、大きく次の2種類に分かれます。

  • クラウドフロー:メールの受信などの出来事、ボタンの操作、決まった時刻をきっかけに動き、複数のアプリやサービスをつなぎます*2
  • デスクトップフロー:パソコン上の操作をまねて、画面でしか操作できない古いアプリやExcelのファイルも動かします。RPA(ロボットによる業務の自動化)にあたる機能です*3

外注で頼む「開発」は、フローを作る作業だけではありません。どの業務をどちらのフローで自動化するかの設計、テスト、本番への移し替え、動き出したあとの見守りまでを含めて考えておくと、見積もりの食い違いを防げます。

外部に頼む範囲と自社に残す範囲

Power Automateは業務の担当者でも作れるため、すべてを外部に頼む必要はありません。外部に頼みやすいのは、複数のシステムをつなぐフローや、デスクトップフローのように設計と検証に手間がかかる部分です。反対に、業務の手順の決定や、動かしてよいかの判断は自社に残します。

印刷した業務の流れ図の分かれ道をペンで囲む手元

Power Automate開発で外部に頼む範囲と自社に残す範囲
作業 外部に頼みやすい部分 自社に残す部分
業務の洗い出し 自動化に向く作業の切り分けの助言 業務の手順と例外の扱いの決定
フローの設計と作成 複数システムの連携、デスクトップフロー 社内の承認ルールの確定
テスト テスト用の環境での動作確認 実際の業務の流れでの受け入れ確認
本番への移し替え ソリューションを使った移し替えの作業 公開してよいかの判断
運用と保守 エラーへの対応や改修の窓口 フローの所有者とライセンスの管理

線を引くときの目安は、「業務のルールを決めること」は自社、「決まったルールを動く形に作り込むこと」は外部、という分け方です。社内でPower Platformを扱える人を育てながら外部の手も借りる進め方は、ローコード人材の不足を外注・委託で補完する進め方で扱っています。

費用の決まり方

Power Automate開発の外注費用は、フローの本数だけでは決まりません。見積もりに効いてくるのは、主に次の4つです。

  • フローの種類:クラウドフローか、画面の操作をまねるデスクトップフローか
  • つなぐシステムの数:標準のコネクタ(サービスとつなぐための部品)で済むか、自社のシステム向けにカスタムコネクタを作るか
  • 実行の仕方:人がパソコンの前にいるときに動かすか、無人で動かすか
  • 環境とテスト:開発・テスト・本番の環境を分けるか、テストをどこまで行うか

開発の費用とは別に、ライセンスの費用がかかる点にも注意が必要です。無料ライセンスでは、コネクタの使用が標準コネクタに限られ、フローの共有もできません。*4 プレミアムコネクタや、デスクトップフローの無人での実行を使う設計にすると、必要なライセンスが変わります。

Power Automateの主なライセンスの違い
ライセンス 割り当てる先 主にできること
無料 職場・学校のアカウント 標準コネクタでのクラウドフローの作成と実行(共有なし)、人が立ち会うデスクトップフローの手元での実行
Premium ユーザー 標準・プレミアム・カスタムのコネクタを使うクラウドフロー、人が立ち会うデスクトップフロー
プロセス クラウドフローやパソコン 無人で動くデスクトップフロー、所有者のライセンスによらないプレミアムコネクタの利用

ライセンスを自社で買うか、外注先の提案に含めるかは、見積もりの段階で分けておくと後で食い違いません。RPA全体の費用の考え方はRPA開発・外注の費用相場と進め方にまとめています。

保守の分担とフローの所有者

Power Automateでは、「フローが作成されると、作成者がフローの所有者として自動的に設定されます」。*5 外注先の担当者のアカウントでフローを作ると、そのアカウントが所有者になります。所有者のライセンスはフローの動きに影響するため、保守の分担は、所有者を誰にするかから決めます。

  • 所有者は自社のアカウントにする:外注先の担当者が離れても、フローの管理を続けられるようにします
  • ソリューションの中で作る:所有者を変えられるのは、ソリューション(フローなどをまとめて別の環境へ移すための入れ物)に入ったフローに限られます*5
  • ライセンスを確かめる:プレミアムの機能を使うフローの所有者を、Premiumライセンスの無い人に変えると、30日の猶予のあとでフローが止まります*5
  • アプリの名義で動かす:サービスプリンシパル(人ではないアプリ用のアカウント)を所有者にでき、担当者の異動の影響を受けにくくなります*5

Power Automateの環境を開発・テスト・運用の3つに分け、ソリューションで左から順に移す流れ図。開発の環境は作成者と開発者、テストの環境は管理者とテスト担当者、運用の環境は管理者と利用者が使う。

環境の分け方も保守の分担に関わります。既定の環境は、テナント(会社の契約の単位)のすべてのユーザーが共有する場所です。*7 マイクロソフトは、開発・テスト・運用など目的ごとに環境を作り、必要な人にだけ権限を渡すことを強く勧めています。*6 外注先が作業するのは開発の環境までとし、本番の環境は自社が管理する、と分けておくと保守の境目がはっきりします。

外注先を選ぶときに確認しておきたい点

Power Automateの開発を外注する会社を選ぶときは、作れるかどうかよりも、作ったあとの保守まで考えているかを見ます。見積もりの前に、次の点を確かめておきます。

実行記録の一覧で赤い行をマウスで選ぼうとする手元

  • 扱えるフローの種類:クラウドフローだけか、デスクトップフローの無人での実行まで扱えるか
  • 名義とライセンスの提案:フローの所有者を誰にするか、どのライセンスが要るかを設計の段階で示してくれるか
  • 環境の分け方:開発・テスト・本番を分け、ソリューションで移し替える手順を持っているか
  • データポリシーへの配慮:社内で決めた、使ってよいコネクタの決まりに合わせて作れるか
  • 保守の範囲:エラーが出たときの連絡の流れ、改修の頼み方、引き継ぎの資料を契約で決められるか

データポリシーは、ユーザーが意図せずに組織のデータを公開してしまう危険を減らすために、管理者がコネクタの使い方を制御する仕組みです。*8 外注先がこの決まりを知らずに作ると、本番の環境で保存も実行もできないフローになりかねません。発注の前に、社内のポリシーを共有しておきます。

まとめ:外注で確かめておきたい3つの点

Power Automateの開発を外注するうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、業務の手順の決定や公開の判断は自社に残し、外部に頼む範囲をはっきりさせること。第二に、フローの種類と実行の仕方、使うコネクタから、開発費とライセンス費の両方を見積もること。第三に、フローの所有者を自社のアカウントにして、環境を分けて保守することです。この3点を踏まえておけば、「外注先との契約が終わったら、誰もフローを直せなくなった」という事態を避けやすくなります。設計や保守の分担に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Power Automateの開発では、クラウドフローとデスクトップフローの使い分けを業務ごとに決め、フローはソリューションの中で作り、接続参照で接続先を環境ごとに切り替えられるようにします。設計の段階では、フローの所有者を個人のアカウントにするかサービスプリンシパルにするか、プレミアムコネクタやカスタムコネクタを使うか、無人で実行するかを決め、それに合うライセンスを洗い出します。検証では開発・テスト・運用の環境を分け、管理ソリューションとして本番へ移します。運用では、データポリシーに沿ったコネクタの使い方を確かめ、実行履歴のエラーを見守る手順と改修の窓口を文書にまとめます。

よくある質問

社内で作ったフローの保守だけを頼めますか

頼めます。ただし、ソリューションに入っていないフローは所有者を変えられないため、エクスポートとインポートなどで新しいフローとして作り直すことになります。*5 引き継ぐ前に、どのフローがどの環境にあり、誰が所有しているかを一覧にしておくと、見積もりが正確になります。

古い業務システムの画面操作も自動化できますか

デスクトップフローを使えば、ターミナルエミュレーターのような古いアプリや、Excelのファイルも自動化の対象になります。*3 無人で動かすにはプロセスライセンスなどの非アテンド型(無人実行)の権利が要るため、実行の仕方を先に決めておくと見積もりがぶれません。*4

Copilotで作れるなら外注は要りませんか

Copilotに自動化したい内容を言葉で伝えて、クラウドフローを作ることもできます。*2 ただし、所有者やライセンス、環境の分け方、テストの進め方は自社で決める必要があります。小さな自動化は社内で作り、複数のシステムをつなぐものや保守の体制づくりを外部に頼む、という分け方も選べます。

Power Automate開発と保守のご相談

Power Automateのフロー設計から、環境の分け方、所有者とライセンスの整理、運用後の保守まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:Microsoft Learn「Power Automate とは?」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-automate/flow-types)。出典:コーディングの知識がほとんど無くてもワークフローを作れるという説明と、フローの種類(クラウドフロー・デスクトップフロー)の記述を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:Microsoft Learn「クラウド フローの概要」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-automate/overview-cloud)。出典:クラウドフローの3つの種類(自動化・インスタント・スケジュール済み)と、Copilotでの作成の記述を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Microsoft Learn「Power Automate のデスクトップ フローの概要」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-automate/desktop-flows/introduction)。出典:デスクトップフローがRPA機能を拡張したものであること、レガシーアプリケーションやExcelファイルを自動化できることの記述を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Microsoft Learn「Power Automate ライセンスの種類」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-platform/admin/power-automate-licensing/types)。出典:無料・Premium・プロセスの各ライセンスの割り当て先と権利(標準・プレミアム・カスタムコネクタ、アテンド型・非アテンド型RPA、共有)の記述を参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:Microsoft Learn「クラウド フローの所有者を変更する」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-automate/change-cloud-flow-owner)。出典:作成者が所有者として自動設定されること、ソリューション対応フローに限り所有者を変更できること、Premiumライセンスの無い所有者に変えた場合の30日の猶予、サービスプリンシパルによる所有の記述を参照(2026年10月確認)
  6. *6 参考:Microsoft Learn「Microsoft Power Platform に関する ALM の基本」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-platform/alm/basics-alm)。出典:開発・テスト・運用の環境を目的ごとに作り適切なロールだけを付与する推奨と、ソリューションによる環境間の移動の記述を参照(2026年10月確認)
  7. *7 参考:Microsoft Learn「環境の概要」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-platform/admin/environments-overview)。出典:既定の環境がテナントのすべてのユーザーに共有されることの記述を参照(2026年10月確認)
  8. *8 参考:Microsoft Learn「データ ポリシー」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-platform/admin/wp-data-loss-prevention)。出典:データポリシーが組織データの意図しない公開のリスクを減らすためにコネクタへのアクセスを制御する仕組みであることの記述を参照(2026年10月確認)




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